若きマスターがじごくのマドンナ(♂)をスカウトしてから、およそ一ヶ月ほど経過した頃のことだ。
「アタシの配合の相手は誰なのかねぇ」
じごくのマドンナは「おあずけ」を食らっていた。暇と性欲をもてあましていた。最初の頃は肛門に♀の杖を装備(手がないモンスターもいる以上、武器は手に装備しなければならないという決まりはない)することで自慰を行い、制御していたが、それも限界を迎えようとしていた。
特にここ最近は、ずっと“彼”の男性が猛っていた。配合に備えて子種を温存しなければならないというのは、“彼”にとっては拷問であった。
「マドンナ(オカマ)殿」
そんな折のことだ。杖を持つ、気味の悪い肌色の肉の塊のような怪物――ハイゴナと呼ばれるドルイドが、じごくのマドンナに声をかけたのは。
「配合の相手が決まりましたぞ。さあ、こちらへ」
ハイゴナはその名の示すとおり、配合を司る仕事をしている。牧場で待機している魔物にとって、彼に声をかけられるということは、配合を行うという用事があるときに限られていた。
案内されたのは城であった。高い尖塔が幾つもあり、煉瓦の城壁を持つその城は、いかにも難攻不落という風情を醸し出している。飛空挺の中の牧場スペースにこのような巨大建築物が存在することには、さしものじごくのマドンナも驚きを禁じ得ない。
「この城の中に居るの?」
「この城が貴方のお相手です」
「へえ……」
じごくのマドンナは野生の魔物であった頃、他の野生のモンスターとセックスをしていた。繁殖のためである。様々な魔物との経験はあるが、城とセックスをするのは初めてである。
「あら、貴方がわたくしのお相手? ご立派な殿方とお聞きしていたけれど――」
城から上品な女性の声が聞こえてきた。城というのは往々にして高貴な身分と結びつけられるからか、いかにも上品なお嬢様といった感じの口調であった。
そう、この城こそヘルクラウド城、魔神デュランの居城である。ちなみにじごくのマドンナ(♂)の配合相手なのだから、必然的に♀である。
なお、近年では城郭を擬人化した少女を扱ったゲームが実在するが、このヘルクラウドは特に擬人化はされていない。
「そうよ。アンタに子供を産ませるわ」
じごくのマドンナは股間のサポーターをずらして、タイラントワームをスタンバイから戦闘に出した。
「ひっ!? な、何よ、それ!?」
ヘルクラウドはショックを受けた。本来ならば完全な耐性を持つはずのマインド系の効果を受けていた。さもありなん、デュラン以外の男を知らないのだ。
「ハイゴナから聞いてないのかい? 配合だよ、配合。これからアタシの子を産むのさ」
「そうじゃなくて、その、それは……」
「まさか知らないの? ウブねえ」
「し、知ってるわよ! おちんちんでしょう? ただ、その、デュラン様よりもワンサイズ大きかったから、ちょっと驚いただけよ!」
デュランはスタンダードボディ、じごくのマドンナはメガボディてある。したがって、モノが違うのも自明の理と言えよう。
余談だが、孔子曰く、一度も侵入を許したことのない城は頼もしく、価値のあるものである。目の前の城は、勇者の侵入すらもまだ許していない、まさしく難攻不落のヘルクラウド城であった。つまり処女である。
また、一度も侵入に成功していない兵は頼りないとも孔子は言うが、じごくのマドンナはそのような軟弱な兵ではなかった。それは“彼”の股間にそそり立つ朱槍の偉容を見れば明らかであ。
「まあいいや。満足させておくれよ」
「ひっ!? こ、来ないで!」
一度も侵入を許していない難攻不落のヘルクラウド城(♀)と、それに果敢に挑むじごくのマドンナ(♂)の戦いが始まった。
じごくのマドンナは突撃した。城門を突破し、全ての子種を解き放った。暴走する性欲が爆発を起こす。
「あふぅ、中で、暴れて――んんっ!」
「ヘルクラウド! 城内(なか)で出すぞ!」
「ひぃん! ダメ、中は、中はやめて――んあッ!?」
“彼”の内側に眠る男性が姿を表し、口調が荒々しくなる。
じごくのマドンナは一旦表門から出て、が裏口から出入りする。これは余興だった。アナルセックスで妊娠はしないように、ヘルクラウドは裏口に出されても妊娠はしない。
「ん゛お゛お゛ッ!?」
しかし、ヘルクラウド城に新たな新たな性癖を目覚めさせることはできたらしい。
ヘルクラウド城がじごくのマドンナによって征服されるのも、もはや時間の問題でしかなかった。
再び表門から入って、城内に子種を撒き散らす。
「ダメぇ! にんっしんっしちゃうっ!」
残念ながら、これは配合なので、着床するまで戦いは終わらない。それが目的なのだから。ここには日本における第百七十七条は適用されないので、無理矢理にヘルクラウド城を犯して妊娠させても罪には問われないのである。しかし、城郭を妊娠させてはならないとは明記されていないので、合意の上であれば城とセックスをしてもよい。今回の場合は後者の例である。
ついでにヘルクラウド城内にいたスライムも、スライムベスも、キングスライムも、全て区別せずに犯した。
戦いは終わった。見たところ、ヘルクラウド城は特に変わったところはないように見えるが、それはあくまで外観だけの問題でしかない。
城内は大理石の壁面や赤い絨毯に、白い液体が散布されていた。じごくのマドンナによる凌辱と狼藉の爪痕が確かに残っていた。
「ウフフ、妊娠確実だねェ」
「ううっ、汚されちゃったよぉ……」
ヘルクラウドに感情を表現する手段は声しかない。しかしそれで十分だった。深い哀しみがヘルクラウド城を襲った。
「デュラン様以外の殿方に傷物にされるなんて……」
前述の通り、元々のヘルクラウドの城主は、戦いを愛する魔神デュランであったと伝えられる。そしてヘルクラウド城は元々クラウド城と呼ばれており、夢の世界を司るゼニス王の居城を、デュランが乗っ取ったものである。つまり、ヘルクラウドにとって、はじめての相手はデュランであった。
しかし、そもそもスライムが住み着いているので、何を今更という声もあるかもしれない。
「デュランならガルマッゾとセックスしてダークドレアムを出産したよ」
「あ……? あ……?」
ヘルクラウドとも配合できます。
また、理論上は本編におけるじごくのマドンナと同じことができますが、公共の施設で精液を撒き散らす行為は、軽犯罪法や迷惑防止条例等に接触する恐れがあるため、絶対に真似しないでください。