『おじさま、着艦ですわ。衝撃に備えてくださいまし』
「おう!」
ノイズまみれの全天周モニターに開いた通信小窓から、柔らかな少女の声が鈴鳴るように響く。ジオン残党兵ドッツィ・タールネン少佐はゆっくりと顔を上げ、可能な限りの威厳を込めて頷いた。
メインカメラをジムⅡのバルカン砲に吹き飛ばされてやたらと死角の多くなったザクⅡの全天周モニターの中で、新型戦艦のMSカタパルトデッキがぐんぐん大きくなってくる。
その奥には緩衝ネットが張られているのが見えていた。操縦困難に陥ったMSを回収するための古典的手段だ。
全機が両脚を『スプレーガン持ち』に叩き斬られているジオン残党の三機は、一般的な手順では着艦する事が出来ない。
連邦軍MS隊に拘束されたワイヤーを外さないまま三機を曳航している改装型のジムⅡ隊は、このままカタパルトデッキ奥の緩衝ネットへ彼らを放り込むつもりらしかった。
「了解や……デティ、聞いたか?」
『聞こえとるで、兄ィ。せやけど、イーデンはまだアカンな』
「まあ、生命反応は確認しとる……何とかなるやろ」
曳航機が制動を掛けて減速する。緩やかな逆Gを感じながら放り出された三機は、MSカタパルトデッキに張られたネットへ受け止められるようにして着艦した。
追って曳航してきた三機のジムⅡも着艦すると、たちまちノーマルスーツが群がってきて彼らの機体の破損部めがけて不活性化剤を噴射し、そして絡まる網の目を外しに掛かった。
『おじさま方、ノーマルスーツに破損はありませんこと? MSデッキの与圧がまだですの。そのまま出られまして?』
「大丈夫や。問題あらへん」
『では、降りてきていただいてけっこうですわ。お茶を用意させていただきます。ご自分の艦だと思って、おくつろぎになってくださいまし』
「自分の艦やと思て、か……」
全天周モニターへ切れ切れに映る外界は、MSデッキの光景を写している。行き交うノーマルスーツはいずれも連邦系であり、出撃してきた八機以外にまだ数機が残っていた艦載機も、リアンナ・シェンノート少尉と名乗った美少女の乗機と同じジム系のようだった。
『兄ィ。こりゃ、まるきり連邦軍の巣やないけ。生きた心地がせえへんな……』
敵機めがけてドラッツェを全速で飛ばしていたときと異なり、急に慎重な口調になったデティ・コイヤー軍曹は小声で呟きながら、通信小窓の中から不安げにドッツィを見た。
『……兄ィ、行くんか?』
「まあ、せっかくのご招待やしな。助けてもうたことは確かなわけやし、とにかく行ってみいへんことには話も何も始まらんやろ」
あっけらかんと言い放ちながらも腕組みし、ドッツィはしばし思案した。
自らドッツィの一の舎弟を自称し、そしてドッツィとしても腹心として信頼を置いていた部下、イーデン・モタルドゥは、あの忌々しい不死身のジムⅡ『スプレーガン持ち』からの強烈なシールド突きを受けたきり、気絶していた。まだ目を覚ましそうにない。
すぐに動けるのは自分とデティの二人だけ。そして機体はこの有様で、もはや何が出来るというわけでもない。
助け船を出してはくれた《エゥーゴ》を名乗るこの組織も、果たしてどこまでの信頼に足るのかをまだ見極められていない。
「ええか、デティ。お前はここの連中におかしなことをされへんように、ワシらのMSを見張っといてくれや。ただくれぐれも、こっちから先には手ぇ出すなよ」
『兄ィは、……兄ィはどないするんや?』
「ワシはちょろっと行って、ここの艦長と話してくるわ。デティ。お前はイーデンと、ワシらのMSを頼むで」
全天周モニターの生き残りが映すザクⅡのすぐそばには、すでにジムⅡ系から降りてきた小柄なパイロットが着地して、彼のザクⅡのコクピットを見上げているのが見えた。さっきの美少女であろうか。
ままよ、とドッツィはコクピットハッチを開放し、その小柄なパイロットスーツの元へとリニアシートを蹴った。
すると相手も床を蹴り、ドッツィの胸へ飛び込んできた。避けられない。ぶつかる。
「なんじゃあっ!?」
「きゃっ!」
慌てて空中で抱き止めると、そのヘルメットがジオン軍パイロットスーツの胸板の広さを確かめるように頬をすりつけながら、スーツ同士の接触回線で呼びかけてきた。
「ああ、逞しい……。うふっ。やっと直接お会いできましたわね。改めまして、戦艦ジャカルタ第二MS小隊長、リアンナ・シェンノート少尉ですわ、おじさま」
「お、おう……」
……めんこい娘やのう。
MSを降りて直接に相対してみたその少女は、ドッツィの胸までも背丈が届かないような小柄さだった。
ドッツィが大柄で屈強な体格であることを差し引いても、もはやジュニアハイどころか、エレメンタリーの学生と言っても通るのではないかと思えるほどだ。
だが、連邦軍の現行パイロットスーツへ如実に浮き出るそのボディラインは、幼く小柄な印象の中にも確かに女を感じさせる豊かさを要所要所に秘めていた。トランジスタグラマーと呼ぶべきだろう。
「あ、当たっとるで……」
「何が当たってるんですの?」
くすくす、とリアンナが笑う。連邦軍制式の黄色いパイロットスーツと、おそらくはその下でブラジャーのカップにも包まれているのだろう形の良さそうな乳房が、ドッツィの股間近くでみずみずしい弾力を潰れさせながら、今にもはちきれそうな若い甘さを伝えてくる。
股間に痺れにも似た熱を感じてたじろぐドッツィに、少女がそのヘルメットの小首を傾げた。上目遣いで呟く。
「あら? 他の方は、降りてこられませんの?」
「せ、せや。あとの二人は、うちらの損傷した機体がおかしなことにならんように見させとる。まずは隊長のワシ一人で、艦長さんにお礼させてもらうとするわ」
「まあ、おじさま。さっそく艦長に会っていただけますのね?」
「お、おう……」
ドッツィに押されてゆっくりと降りていく少女は左右の掌を合わせ、バイザーの向こうに眩しいほどの笑顔を弾けさせた。
そんな美少女に面映ゆさを感じてたじろぎながらも、しかしドッツィは着地とともに振り向いて、周囲の整備兵たちを牽制した。
「そこの整備の人ら! いろいろ危ないでな、勝手にワシらのMSに触らんといてな! 二人残しとくさかい、どうしてもちゅうときはそいつらの指示に従ってんか!」
「大丈夫ですわ。エゥーゴは不作法な真似はいたしませんもの。こちらにいらしてくださいまし、おじさま」
「お、おう……」
ころころと笑う少女に手を引かれて導かれ、エアロックをくぐって与圧された艦内通路へ入る。
リアンナと一緒にバイザーを上げると、空気には新造艦特有の匂いが漂っていた。良好な空調フィルターに濾された塗料の匂い、悪臭と言えるものの強さはさほどでない。ドッツィが以前にこの匂いを感じたのは、もう何年前のことだっただろうか。
「艦橋ですのね? シェンノート少尉ですわ。艦長にお伝えくださいまし。タールネン少佐がお会いくださるそうですわ。――もう今行ってよろしいんですのね? ――では参りましょう、おじさま」
「は? もうええのか??」
素早く艦内電話に取り付いていたリアンナは、早くも艦長とのアポを取り付けた様子だった。笑顔で向き直ると右手にリフトグリップを、そして左手にドッツィの手を握って再び先導していく。
リアンナのパイロットスーツに包まれた脚、そして小作りながらも豊かな腰つきが、手を伸ばせばすぐ触れられる目の前で、無重力の通路を泳いでいる。
今のうちに艦内を観察しようとしても、どうしてもドッツィの視線はそちらへ強く引きつけられてしまう。
だからドッツィがまともに気づくことが出来たのは、艦内を行き交う人影には連邦軍の制服以外に私服のような軽装が多いこと、そしてやたらと多く見かけられるその服装は、どうやら制服に準じる扱いであるらしいということぐらいのものだった。
美少女の脚と尻ばかり眺めているうちに艦橋前まで着いてしまったが、むしろそれ以上の直接的な行為を彼女に働かなかった己の自制心を評価すべきかもしれない、とドッツィは思った。
「艦長。リアンナ・シェンノート少尉、ドッツィ・タールネン少佐をお連れいたしましたわ」
「ご苦労だった、シェンノート少尉。下がりたまえ」
小さく見上げる高さで艦長席をぐるりと回して、艦長はリアンナと向き合いながら敬礼を交わす。
「おじさま、それではまた後ほど」
「お、おう……」
リアンナは微笑みながら囁くと、艦橋にドッツィを残して退出していった。憮然とした表情のドッツィに、連邦軍制服のジャカルタ艦長は親しげに話しかけた。
「戦艦ジャカルタに――そしてエゥーゴにようこそ、タールネン少佐。艦長のデミトリ・スワロフ中佐だ。不屈の闘志を持つジオン残党勇士の諸君らを歓迎させてもらおう。僚機パイロットの方も、身体の方に異常はないかな?」
「ええ。おかげさんで、塩梅ようさしていただいとりますわな」
「それは何よりだ」
「スワロフ艦長、まずはお礼を言わしていただきます。ワシらジオン残党を連邦軍から助けてもろうたご恩、これは素直に恩に着さしていただきます。おおきに」
率直に謝辞を述べたドッツィに、破顔しながら艦長が応じる。
「なに、礼には及ばんよ少佐。我々は掲げる旗こそ違えど、今の地球連邦政府のあり方に異を唱えんとする者同士だ。助け合うのが当然というものだろう」
「いやあ艦長、せやけど、言うても何ですわ……やっぱ世の中、タダより怖いもんはありませんわな。単刀直入に聞かしてもらいます……艦長さん。何が狙いなんや?」
乾きかけた唇を舐めながら、ドッツィは直接に疑問をぶつけた。だがスワロフは韜晦するように目を細める。
「狙い、とは?」
「わざわざ連邦軍の巡洋艦とやり合うて、本気のど突き合いにまでなりかける危ない轍を踏んでまで、ワシらを助けてくれはった。それはもう、心底感謝しとります。
せやけど、艦長……そこまでしてくれはるちゅうのは、単に通りすがりのジオン残党を助けてみたかったから、だけではないですやろ? あのときあの場所まで、わざわざ月から駆けつけてきてもうたことも含めて、何を考えておらはったんですかな」
「ふむ」
艦長席を小さく回し、スワロフは艦橋を巡る窓の外に広がる宇宙の光景へと斜めに対した。
「タールネン少佐。我々は、力を必要としているのだ。より多くの、正義を志す人々の力をね」
「ほお。力、でっか」
言われてドッツィは腕を組んだ。
『キャリホルニヤの悪夢』を名乗る身としては、ここで己自身の力を誇示する威勢のいい啖呵の一つも切りたいところだったが、なにぶんあの『スプレーガン持ち』に叩きのめされたところを救出されたばかりだ。さすがに自重した。
「我々が今の力だけで戦うには、地球連邦の地球至上主義が生んだ悪しき尖兵ティターンズは、あまりに強大な存在なのだ。
そして本来ならスペースノイドのために在るべき連邦宇宙軍の中にも、未だ真実を知らされることなく情報の暗闇に閉ざされたまま、大義の在処に気づくことが出来ていない人々があまりにも多い。先ほどのトラキア隊のようにね。
だが今はまだ、ティターンズも地球連邦軍の全軍までは掌握できていない。多くの力を集め、叩くならば今しかないのだ。
だから私はまず、この暗礁宙域の奥に拠点を構える、少佐が属するジオン残党組織の長にお会いしたい。そして、我々エゥーゴとの共闘を申し込みたいのだ。
タールネン少佐。あなたにはその会談のパイプ役になっていただきたい」
「共闘、でっか……」
そう来たか――ドッツィの唇がわななく。
組織全体でエゥーゴと共闘するということは、この方面の連邦軍だけではなく、遠方にいるティターンズとも積極的に打って出て交戦するということになるだろう。
こんな辺境にくすぶりながら、ちんけな海賊行為や破壊工作の合間に時たま連邦軍や民間警備会社と交戦する、といったぬるま湯の環境ではなくなる可能性が大きい。
「今までは辺境ということもあってここまでティターンズが手を伸ばしてくることも少なかったようだが、このまま奴らが勢力を拡大すれば、いずれ必ず君たちの組織にも目を付けるだろう。
そうなる前に我々と共同で、先制してティターンズを叩く。これがお互いにとって最大の得策のはずだ」
「……言うても結局、おたくらのエゥーゴいう組織は連邦軍が基盤なんでっしゃろ? ティターンズ打倒ちゅう共通の目的がある当分の間は良うても、将来どう転ぶかは分かりゃしまへん……。
ワシらにとっては、こんな連邦軍のごっつい新型戦艦と仲間を引き合わせるだけでも一大事、大博打です。そう簡単に、仲間は売れませんわなあ」
「少佐。我々エゥーゴの目的は、単にティターンズを打倒するだけで終わるものではない。さらにその先、スペースノイド全体の地球連邦における地位の大きな向上を目指しているのだ。
この目的には、君たちジオン残党組織のそれとも重なるところが大きいと思うが?」
「いやいやいや。しょせんワシらは、あんな重力井戸のどん底から無茶な政治をしよる連邦のバカタレどもの言いなりになってたまるか! ゆう虚仮の一念だけでなんとか頑張っとるだけの弱小ですわ。
ご期待してもらえるんは嬉しいんですけどなあ。そない大きな青写真、とてもやないですが――」
「ほう? そうなのかね?」
面倒くさい方向へ転がっていきそうな話を無難に収めていこうとするドッツィに、スワロフが口角をわずかにつり上げた。
「タールネン少佐。君の属するジオン残党組織――『ルスラン・フリート』は、かの『デラーズ・フリート』にも匹敵する規模の戦力を整備したと伝え聞いたのだがね」
「!?」
事もなさげにスワロフが言い放った一言で、任務の傍らで話を聞いていた艦橋要員の何人かが顔色を変えた。
デラーズ・フリート。一年戦争後にジオン公国の木星開発拠点アクシズへ逃れることなく、地球圏へ残留しての闘争継続を選択したジオン残党における最大勢力。
四年前に決起するやコンペイトウの観艦式に集結していた大艦隊を核攻撃で壊滅させ、さらに移送中のコロニーを奪取して北米に落着させた彼らの戦いぶりは、まさにその後の地球圏の歴史を大きく変えたと言っても過言ではない。
そのデラーズ・フリートに匹敵する戦力を隠し持っていたジオン残党組織などというものがもし本当に現存するなら、エゥーゴの現有戦力と合わせてティターンズを一挙に壊滅へ追い込むことすら夢ではなくなるかもしれない。
だが、いかに一年戦争終結時にジオン共和国への復帰を拒んで行方を眩ました旧公国軍部隊が多かったとはいえ、さすがにギレン・ザビ親衛隊を中核としたデラーズ・フリートに匹敵する勢力が未だ地球圏に現存するなど、いかにも眉唾物に思える話だ。
「い、いや……それはさすがに、買いかぶりすぎですやろ……」
しかし、そんな荒唐無稽にも思える話を振られたドッツィ・タールネンは脂汗を垂らしながら唇を引き攣らせ、切れの悪い調子で否定するしかなかった。
探るような視線をスワロフへ向けてくる。目の前の男は、自分たちについて一体どこまで知っているのか、と。
スワロフの笑みが深まる。
「今、君たちルスラン・フリートと我々エゥーゴが手を組めば――地球圏全体の未来を、ティターンズの魔手から救うことが出来る。我々の手で、だ」
「ワシら両方の手で、地球圏を、でっか……」
「君たちが持つ、老練な技術を有する人材。我々の持つ最新鋭の装備と技術。この二つが合わされば、出来ないことなど、ない。そうは思わないかね?」
「…………」
「我々にはその最新装備を、君たちに提供する用意がある」
一気に踏み込んできたその言葉が持つ重さに、ドッツィは圧倒される。
それはすなわち、彼らがエゥーゴという大きな組織についてこのまま勝利を手にした場合、巨大な配当にあずかることが出来るということだ。
彼らを連邦軍から救出するために出撃してきたジム系MSには、新造機の輝きがあった。最後に少しだけ出撃してきた二機など、完全に新規開発の代物だろう。
あれらの機体の前では彼らを苦しめたトラキア隊のジムⅡなど、もはや単なる旧式機でしかないのだ。
エゥーゴには、連邦軍をも凌ぐ力がある。
先細りが目に見えている今のジオン残党組織から、大きな勝ちをも狙える、若く勢いある組織への大胆な転換。
これは自分だけでなく部下たちや、組織全体にとっても決定的なメリットをもたらす可能性もある。
「ど、どうですやろな……まあ何にせよ、自分一人ですぐに答えの出せる話ではないですわ」
「それは当方も承知の上だ。君たちのために部屋を用意した。まずはそこでゆっくり疲れを取って、それからじっくり考えてほしい。
部屋までは、シェンノート少尉に案内させよう」
艦長の目配せに合わせるように、ドッツィの背後で艦橋のドアが開いた。
「おじさま、お迎えに上がりましたわ!」
「んん? シェンノート少尉か――はおっ!?」
開いたドアに目をやって、ドッツィは目の玉が飛び出るほどに大きく見開いた。
そこにいたのはパイロットスーツを脱ぎ、エゥーゴ制服に着替えたリアンナだった。
頭上の照明を受けて天使の輪を宿す柔らかな栗髪はアップにされて、大きく可憐な白いリボンで少し短めのポニーテールにまとめられている。
実際にはそう極端に大きいわけではなくとも、涼しげな制服の薄い布地を押し上げる胸の膨らみは彼女の全体的な小作りさとの好対照をなして、丸みを帯びた豊かさを強烈に主張していた。
そしてノースリーブにミニスカートという露出の多い大胆なエゥーゴ女子制服からはすらりと眩しい四肢が覗き、愛らしい両脚は清潔感のある白のオーバーニーソックスに腿の過半までを包まれている。
ミニスカートの裾が無重力に揺れて、見えそうで見えない下着とオーバーニーソのわずかな隙間に、太股の輝くような眩しい白さがいっそうよく映える。
「おっ、おおっ! ……おおおおお……っ!!」
え、ええんか? 軍艦の中でこんなん、ほんまにええんか??
「ではシェンノート少尉、タールネン少佐の案内をよろしく頼む」
「了解ですわ、艦長。では、こちらにいらしてくださいまし――おじさま?」
「はおっ!?」
「ご案内いたしますわ」
悪戯っぽくウィンクするリアンナが、ドッツィに腕を絡める。形よく立体的なリアンナの胸がドッツィの腕で柔らかく潰れて、口ひげを吹き飛ばすような強烈な鼻息を吐き出させる。
「捨てる神あれば拾う神あり、ですわ。おじさま……」
ドッツィの背中で微笑みながらささやくリアンナは、艦長席のスワロフと無言で視線を交わし合った。