※この作品はR-18です。

フェニックステイル   作:KY_PT

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第一章 灰燼の少女
第一話 はじまりの散華


 少女の周囲には見渡す限り、まさに満天の星々があった。

 ひときわ大きく輝きを放つ水の惑星と、その青さへ寄り添うように浮かぶ灰色の衛星を見下ろしながら、彼女の眼下で無骨な装甲スリッパが、カタパルトの下駄を履いた。

 装甲された巨人は、少女の操作へ従順に従う。膝を折って身体を倒すと、ゆっくりと機体の重心を沈み込ませていく。

 あまりに見晴らしの良すぎる全天周モニターは、広大な宇宙空間に剥き出しの身体一つでいるかのような感覚をも与えてくる。そんな星空の中心に座るパイロットスーツの少女は、バイザーの下で息を呑んだ。

 彼女が睨む前方宙域に躍る三つの光条は、すでに先行した上官と先輩パイロットたちが操る僚機のそれだ。

 今から自分も、あの中に飛び込んでいく。

 前方の虚空へ伸びるカタパルトデッキの手前で、信号表示が赤から緑に切り替わった。同時に艦橋から通信が入る。

『ジムⅡ04、発艦準備よろし』

「ジムⅡ04、アイネ・クライネ伍長、行きます!」

 回線の向こうにいるオペレーター以外の誰かへ向けるように、声を張り上げて少女は叫んだ。

 サラミス改級巡洋艦の前部甲板に電光を散らし、大電力を帯びて瞬時に猛加速したカタパルトが地球連邦軍の量産型MS、RGM-79R《ジムⅡ》の機体をはるか前方へと打ち放つ。

「くっ……」

 カタパルトの下駄が外れて虚空へ飛び出したジムⅡは、射出時の前傾姿勢からさらに重心を落として寝そべるような姿勢へ移った。ランドセルと脚部の主スラスターが噴焔を吐き、機体自らが推進力を発揮していく。

 Gの苦痛に喘ぐ彼女の遙か背後へと全天周モニター上を、暗礁宙域の外縁部を独航するサラミス改級が流れていく。

「大丈夫、アイネ。これも今までの訓練と同じ。落ち着いて、落ち着いて、一つずつ……」

 自分に言い聞かせながらも確実な操作で、そのジムⅡは先行して発艦していた僚機編隊三機の中央に着けた。

 まだ顔立ちにあどけなさを残すジムⅡ04の女性パイロット、アイネ・クライネ伍長は、そこでほっと一息を吐く。

 MSパイロット訓練生としての教育期間を終え、『魔の宙域』などとも呼ばわられるこの辺境――サイド4の駐留艦隊に所属するサラミス改級巡洋艦《アバリス》とその搭載MS部隊にきのう配属されたばかりの彼女には、ベテランのMSパイロットならばどうということはないはずの動作の一つ一つが、まだ緊張の種だった。

「このまま哨戒任務か……」

 操る機体こそ訓練生時代から慣れ親しんでいた地球連邦軍の主力量産MS・ジムⅡだが、周りに訓練生時代の気心の知れた仲間はいない。ヘルメットのバイザーの下でショートカットの黒髪を揺らし、アイネは一人つぶやく。

「このあたりはジオン残党勢力の活動も、けっこう頻繁に確認されているはず。哨戒任務といっても、いつ実戦になったっておかしくないんだから」

 言いながら手元に電子資料を参照する女性パイロット――アイネ・クライネ伍長は、あどけなく可憐な面差しの、いくぶん色素の薄い黒髪をショートカットにした十八歳の美少女である。U.C.0087年というこの時代に生きる一スペースノイドとしての生い立ちにも、MSパイロット訓練生時代の成績にも特筆すべき部分はない。

 だがアバリスへ昨日配属されたばかりのアイネは、これから向かう宙域のことすらほとんど教えられまま、哨戒任務に参加させられていた。

 入念かつ周到な準備と訓練、そして正確で十分な情報こそがあらゆる危機から自分たちを救う、と訓練隊で教えられてきたアイネにとっては戸惑うばかりだったが、小隊長は何の準備も予習もできていない彼女を半ば無理矢理に出撃させていた。

 このまま何かあれば右も左も分からないまま、ひどい足手まといになりかねない。

「今のうちに、せめて直近の戦闘記録だけでも……」

 まだほとんど目を通しきれていなかった資料を小窓に開き、ほんの少しでも目を通そうと睨んでいたアイネは、編隊の小隊長機を見失っていたことに気づく。

「! そうだ、小隊長機は――あっ!?」

 周囲を見回そうとしたとき、少女は不意に下方から迫るぞわりと何かを感じた。そしてアイネが視線を向けた先から、ジムⅡの機影が駆け上がってきた。

『クライネ伍長、何だ今のはァ! 実戦なら撃墜されていたぞォ!』

「小隊長っ……、申し訳ありません!」

 全天周モニターに僚機からの通信映像の小窓が開き、パイロットスーツ姿の中年男がバイザー内に飛沫を飛ばして喚き散らす。

『下方への注意が散漫だなァ! 居眠り操縦か!? 脇見か!? それとも何か……そこに下方への視界を邪魔するようなものでもあるのかァ?』

「……っ!」

 小隊長に怒鳴りつけられたアイネはその胸を抱き隠すように、リニアシートの上できゅっと小さく身を縮めた。

 彼女について特筆すべきところといえば、まずはその胸である。

 愛らしく整ってはいても今一つ華やかな印象には欠け、ともすれば地味で控えめとも見なされがちな顔立ちと裏腹に、アイネの胸にはスイカのような大きさの乳房が二つ、見事な実りを見せていた。

 きゅっと細く締まったウェストと対照的に、そのバストはメートルサイズにも迫ろうかというほどだった。

 少女の極度に女性的な肉体は、もはや通常規格の地球連邦軍女性用パイロットスーツには収まりきらず、特別サイズを身につけてようやく対処しているのだった。

 機体各所のカメラから来る映像を統合して映し出す全天周モニターを採用するジムⅡのコクピット内からは、機体の真下ですら見下ろすことが出来る。

 その大きすぎる乳房がアイネ自身の視界にほんのわずかな死角を作ってしまっていることは確かだったが、今回小隊長機の挙動を見落としてしまった件にはまったく関係ない。

 ――いつも男の人たちから変な目で見られるだけじゃなくて、こんな言いがかりまでつけられるなんて……。

『クライネ伍長! ブラジャーのサイズはいくつだ!?』

「えっ!?」

 コンプレックスの対象を理不尽に責められて傷つく彼女へ、小隊長はなお矢継ぎ早にあられもない質問を叩きつけた。

『即答せよ! これは今後の任務遂行上、きわめて重要な質問である! 即答せよ、クライネ伍長!!』

『そうそう、これは重要だよなァ、アイネちゃん』

『アイネちゃんの胸のサイズを知っておかないと、俺らも今後の編隊の組み方とかを考えるうえで問題になるし。それってすんごい重要なことだから、今ここで教えてもらえないとなぁ』

『重要なことだと言っているッ! 即答せんかァ!!』

「そんな……」

 通信窓いっぱいに血走った目で睨みつけてくる小隊長に、他に僚機を駆る先輩パイロット二人も下品に笑って相づちを打ってくる。三人がかりのその圧力に抗しきれず、アイネは俯きながらそっと小声で答えた。

「うっ……、うう……っ……。あ……、Iの……65、です……」

『ひゅう!』

『やっぱそんぐらいあるんだァ!』

『ほう、そうか……Iカップ……Iカップか、クライネ伍長……それだけ大きいと、いろいろと大変だろう? いろいろとなぁ……クックック……』

『ヒヒヒッ……』

「…………!」

 異性である小隊長から自身の女の部分を弄ぶように指摘され、僚機の男性パイロットはおろか、母艦の艦橋要員にすらその通信を傍受されるという恥辱に思わず頬を真っ赤に染め、目頭までも熱くしながらアイネはうつむく。

 だが小隊長はこの時すでに、アイネが脱いだばかりのブラジャーをロッカールームから入手していた。そのカップサイズはおろか、もはや実際にはIカップですら小さすぎるのか、アイネがそこから乳房の形を整えるためのパットを外していることまで知っている。

 アイネのブラジャーがまだみっちりとその爆乳を包んでいた湯気と温もりの名残を、頬と鼻と舌とで存分に味わい尽くしてから、小隊長は出撃してきたのだ。

 あれほどの乳房を持ちながらすれたところを見せない、清純で控えめな美少女パイロットに自らの口で語らせるという行為に凌辱の喜悦を味わいつつ、小隊長は次の段階へと駒を進める。

『ではここで、抜き打ちの戦闘訓練と行こうか』

「せ、戦闘訓練? 我々は今、哨戒任務のため実行動中なのでは?」

『馬鹿者ォ!』

 口角泡を飛ばして一喝され、アイネはびくりと背筋を震えさせる。

『くどいぞクライネ伍長! MSパイロットたるもの、常に実戦に臨まんとする気概を忘れてはならんのだ!』

「実戦って……!」

 いま遂行中のこの哨戒任務こそが、まさに他ならぬ実戦そのものではないのですか? ――なお食い下がろうとしたアイネの反論は、通信越しに薄ら笑いを浮かべながら近づいてくる他二機のジムⅡに気圧されて沈んだ。

『そうだよアイネちゃん。MSパイロットってのは、訓練から手を抜いたらもう終わりなんだよぉ』

『俺ら、まだ君の実力とかぜんぜん知らないわけだしぃ。アイネちゃんは他の人より、下も見えづらいわけでしょ? それがどんなもんかもよく分からないうちから、このまま一緒に任務行けって言われたって、ちょっとなぁ』

「そんな……」

 馬鹿げている。ジオン残党の跳梁跋扈も珍しくないというこんな危険宙域で、哨戒任務のさなかに周辺警戒を中断しての戦闘訓練など。

『まあ、クライネ伍長……そう気を悪くしてくれるな。これが我が小隊恒例の、新人歓迎行事なのだよ』

 全天周モニターの通信小窓に映るアイネの不満と困惑の表情と、その下で威圧するようにパイロットスーツの胸元を前へ横へと押し出している巨大な起伏を眺めながら、小隊長は舌なめずりした。

 小隊に欠員が生じて補充人員の必要が生じたとき、MS訓練隊の人事課に裏金を握らせて目を通した訓練生ファイルで小隊長はアイネを見つけた。それ以来、この爆乳娘のことはずっと狙っていたのだ。そのまま人事への手回を続けてこのアバリスへ配属させることに成功したが、今日のこの日は待ちきれなかった。

 いろいろと協力させた手前、いずれは小隊の部下や艦長らとお楽しみを折半することにもなるが、やむを得まい。

 訓練生時代はルームメイトの女性同期生に守られて男たちから距離を取っていたという、うぶで世間知らずな生娘だったらしい。

 まずはこの逸物で処女膜をぶち抜いて初物の膣内を抉り、あのデカい爆乳を無茶苦茶に揺り回させながら、この俺無しではいられない体にしてやろう。

『クライネ伍長。動きに不備があれば、このままここで個人指導だ! だがここにはあいにく、ジム・トレーナーもジム・カンヌもないのでな……すぐにこちらのコクピットまで来てもらうぞ』

「小隊長のコクピットって……ここで、ですか……?」

 宇宙空間に出撃したMSのコクピットという密室。脂ぎった獣の雄の目で自分をなめ回してきた男と、その密室で一対一になるということが何を意味するのか、アイネはすぐに理解していた。

『ああ、そのあとは俺らだ……そうですよね、小隊長? アイネちゃん、たっぷり技術指導してやるよぉ』

『後輩の面倒は、みんなで見てやらないとなぁ……小隊長?』

「一対三……!?」

 アイネを囲むという圧倒的に有利な布陣を取りながら、それぞれの武器を構える三機のジムⅡ。

『おぉ……。うちの小隊はみな、本当に後輩思いで教育熱心だなァ』

 一対一ならまだ何とかなるかもしれない、そう思っていたアイネの希望を完全に打ち砕きながら、小隊長は手元のコンドームを撫でさする。

 生で中出しはダメだ。これほどの爆乳美少女、そう何度も巡り会えるものではない。欲望のままの膣内射精ですぐに孕ませて艦から『撃墜』してしまうのではなく、じっくりと時間をかけて楽しみながら、末永く艦の肉壷として愛用していかなければ。

 今まで目を付けた多くの女性兵士を性の食い物にしてきた小隊長は、このコクピット内に引きずり込まれて恐怖と恥辱に歪むアイネの表情を想像する。

 パイロットスーツから剥き出されたあの爆乳を、自分の胸板で押しつぶしながら泣き喘ぐ美少女の姿までを想像し、目の前まで迫ったその未来に股間をいっそう堅くいきり勃たせた。

 さて。犯るか――

『あべッ』

『ゲボッ!?』

 そんな意味不明の通信だけを残して突然、アイネを囲んでいたジムⅡの二機が爆散した。

「!?」

 突き抜けていくビームの光条の後ろで、二つの火球が広がっていく。レーダー上の反応も同時に消失していた。

 アイネも小隊長も状況を理解できず、しかしアイネは咄嗟にジムⅡに回避機動を取らせていた。ついコンマ数秒前までアイネ機のコクピットがあった空間をビームの光条が通り過ぎていく。

 そしてわずかに反応の遅れた小隊長機は最初の一撃で右腕をもがれ、次いで集中してきた射撃の雨に、頭部と左脚までもを引きちぎられていた。

『なっ! 何なのだ!! いったい何なのだ一体ィィ!!』

「一時方向に敵機!」

 半狂乱で叫ぶ小隊長に、アイネは声を張り上げて報告した。即座にビームライフルの安全装置を解き、その方向へ立て続けに数発の応射を浴びせる。

 スラスターの噴射炎がきらめき、敵機はアイネからの応射を鮮やかな機動で回避する。猛然と接近してきたのは、大柄な機体の旧ジオン公国軍MSだった。

 MS-14《ゲルググ》。遠方からの狙撃で二機のジムⅡを瞬時に火球に変え、さらに小隊長機を集中射撃で無力化してのけたゲルググは、一糸乱れぬ三機編隊を保ったままで肉薄してくる。

 アイネはジムⅡを機動させて戦況を俯瞰しながら、母艦アバリスへの通信回線を再び繋いで状況を送った。

「て、敵です! MS-14ゲルググ三機! 奇襲を受け、こちらは二機撃墜、小隊長機中破!」

『んなっ!? て、敵!? 来るのか!? こっちへ来るのか!?』

『バカな! ここの残党どもとはもう話は付けてあったはずだろうが!? 話が違う……ジオン残党、攻撃を中止せよ! 本艦はアバリスである、繰り返す、本艦は巡洋艦アバリスである!!』

「何を言って……!?」

 小隊長らによるアイネ凌辱の生中継を心待ちにしていたアバリス艦長以下の艦橋要員らが慌てふためき、アイネには意味の分からない言葉を喚き散らす。

『うおおおおおおっ!! 反故にしおったか狂犬どもがあああっ!!』

 小隊長機は中破したまま、でたらめにビームライフルを乱射している。もはやAMBACによる姿勢制御もままならないまま四方八方へビームの光条をまき散らして、あまつさえアイネ機の方向にまで撃ってくる始末だ。

「小隊長! そっ、そんなに乱射したら……!」

『うっ!?』

 ジムⅡのビームライフルは往年の伝説的名機、ガンダムの装備に匹敵する威力を備えていると言われている。

 だがそれは昨今新たな主流となりつつあるEパック交換方式ではなく、整備施設などでEキャップを充填する方式だ。ビームを撃ち尽くせば即座に利用可能な予備弾などないが、小隊長は半狂乱の乱射で、それすらあっという間に撃ち尽くしていた。

 そしてゲルググは、小隊長がEキャップの切れたライフルを空撃ちする瞬間を見逃さなかった。

 武器を持ち換えられる前に一気に飛び込むともはやアイネが援護する間もなく、至近距離からコクピットへ狙い澄ました一撃を放つ。

 そのビームがジムⅡの胴体へ吸い込まれる直前、間一髪の差で脱出ポッドが射出された。くの字に折れて腹から火花を散らしたかと思うと、そのまま爆散する機体を背後に、小隊長は激震する脱出ポッドから喚き散らした。

『くっ、クライネ伍長! 徹底抗戦だ!! 死をも恐れぬ敢闘精神で、ジオン残党を撃滅せよ! 我がアバリス隊の精神を受け継いだ君ならば出来る!!』

「そんな! この戦力差で何を!?」

『馬鹿者がぁッ!! 仲間の仇を取りたくないのか!? 敵前逃亡は銃殺刑だぞッ!!』

 ここはこの小娘を捨て駒にして逃げるしかない。あの爆乳の現物を拝むことなく、ただ宇宙の塵にして下がるのは心残りだが、命あっての物種だ。

 あの娘、あれだけ馬鹿でかい乳をしているわりに、MSパイロットとしては悪くない。ここから勝つことまでは出来ずとも、自分が暗礁宙域に逃げ隠れするまでの時間ぐらいは稼いでくれるだろう。

『はうあ!?』

 だがゲルググはスラスターを噴かすと、アイネ機ではなく小隊長の脱出ポッドへ向かった。がしりとその球体を掴み取る。

『こっ、降伏だ! ジオン残党の戦士よ、我が隊は降伏するッ!! これは名誉ある降伏だ、クライネ伍長、もう撃つなよ! 絶対に撃つなよ!?』

「なっ!? 降伏っ!?」

 自分に対して徹底抗戦せよと叫んだ、その舌の根も乾かぬうちに?

 だが四機のアバリスMS隊のうち二機はすでに初弾で撃墜され、それらのパイロットもおそらくは戦死。さらに小隊長機まで撃墜されてその脱出ポッドを捕獲され、無傷で残るは新人の自分ひとり――ならば、あるいは降伏という選択肢もあり得るのかと逡巡するアイネの眼前で、またも信じがたい光景が展開した。

『哀れなり。この神聖にして清浄なる大宇宙にありながら、腐敗極めし連邦餓鬼道に堕ちたる犬畜生よ。せめて速やかにかつ安らかに、宇宙(そら)の仏道へ帰命(きみょう)せよ』

『!? な、何をッ……、何を言っているんだお前はァァアッ!!』

「え……え……?」

 何を言っているんだ、こいつは? 捕獲した小隊長の脱出ポッド相手に接触回線を開いてきたゲルググからの通信を傍受しながら、アイネの表情がただ困惑ばかりに満ちていく。

 彼女は仏教などというものに関する知識などほとんどない。存在すらよく分かっていない。

 だがゲルググはお構いなしに、ハッチを指で塞いでもはや脱出不可能の密室と化した脱出ポッドを握りしめながら、ビームナギナタに再び刃を形成させた。そしてためらいもなしに、Iフィールドの枠からメガ粒子がたびたび飛び散るその刃先を、掌中の脱出ポッドへと突き当ててくる。

『はうあ! ま、まさか! まさか貴様! なにを!?』

『我、見いだせり……超高圧高熱のメガ粒子による即身蒸発成仏こそ、この宇宙世紀にて人が涅槃に至るべき唯一無二の葬送法也。連邦餓鬼道に堕ちたる現世に見切りを付け、極楽浄土に輪廻転生するがよい』

『じょ、蒸発!? 成仏!? おまえ、おまえいったい何を……たっ、助けてくれっ! クライネ伍長! 撃て! こいつを撃てェェェェエェッ!!』

「えっ。えっ。えっ……」

 アイネはビームライフルを構えながらも、その照準には脱出ポッドを外してゲルググだけを狙い撃つ、などという神業など望むべくもない。彼女の機体は単なる汎用量産機のジムⅡであって、往年のエース仕様カスタム機、ジム・スナイパーシリーズなどではないのだから。

『南無阿弥陀仏』

 そしてゲルググの手でがっしりと出口を塞がれたままの脱出ポッドへと、ビームナギナタの刃が突き刺さり、火花を散らしながら飲み込まれていく。

『うッ……うおおおおおおーーーッ!!! ベッ』

「え、嘘……小隊長?」

 獣のように小隊長が放った断末魔の絶叫はアイネのヘルメット内へ鳴り響き、それも途中から奇妙なノイズになって消えた。通信機が破壊されたのだ――おそらくはそれを使用する人間も、同時に。

 ジムⅡの脱出ポッドだったものは文字通りの串刺しとなり、一瞬だけは団子のようにビームナギナタにぶら下がったものの、次の瞬間には内側から爆砕して粉々に消し飛んだ。

 ほか二機のゲルググパイロットが、それを見届けて通信回線に唱和する。

『成仏!』

『成仏!』

『完・全・成・仏!』

 ゲルググはビームナギナタを握る右手を真横へ突き出し、胸前に置いた左手の四指をビシィッ、と真上へ揃えて突き立てる。ゲルググの三機揃ったその姿は何かに祈りを捧げる異教の僧侶のようでもあったが、今のアイネにとっては単なる悪夢の具現でしかなかった。

 彼らは狂っている。確実に。

 自分も殺される。確実に。

「あ、ああ……あああああああ……!!」

 操縦桿を握る手が、恐怖と絶望に震える。ほんの一瞬だけ、自分も小隊長のように逃げようか、との思いが頭を掠めた。だが次の瞬間、全天周モニターの視界に入った母艦、アバリスの姿がそれを思いとどまらせる。

 艦を――そこに残った人々を、守らなければ。

 私は、MSパイロットなのだから。

「やるしかない……!」

 涙のにじんだ瞳で、アイネはきっとゲルググを睨みすえる。ビームライフルとシールドをジムⅡに構え直させ、せめて一機でも道連れにし、せめて数秒でも母艦に時間を稼がせようと機動する。

『ゲオルグ居士(こじ)!』

 迫り来るアイネ機を前に、ジムⅡ小隊長を蒸発させたゲルググの脇を他の二機が固める。が、そこに野太い命令の声が飛んだ。

『エレイン信女(しんにょ)、フローラ信女! ここは我に任せ、汝らはあの餓鬼道艦を成仏させよ! このジムⅡは、その後に皆で確実に成仏させる……苦しませぬよう、確実にな!』

『御意!』

「! 一対一で……!? 馬鹿にしてぇっ!!」

『くっ、来るぞ! 撃て、撃てぇ! ん、対空砲火出ないぞ……当直は! 寝てたのか!?』

 そうして残る一機がアイネを足止めしながら、二機のゲルググはアバリスへ向かう。

 アイネの報告を受けるが早いか転進し、MS隊を捨てて真っ先に戦場から離脱しようとしていたアバリスは、そこでようやく対空砲火の火蓋を切った。

 しかしその対空砲火があまりに疎らで粗く、また立ち上がりも遅いのは、一年戦争時代のMSを操るジオン残党という敵への油断か、それとも単なる練度不足か。

 いずれにせよ戦場にあって、その代価は死をもって償う他にない。

 ゲルググの巨体がアバリスの艦橋直上に取り付き、半ば踏み潰すようにみしりと両足を沈み込ませつつ、ビームライフルの銃口を真下へ向けて密着させる。

『南無阿弥陀仏――』

 必死に外へ脱出しようと慌てふためくクルーの姿がまだ窓越しに見えるそこへ、ゲルググの若い女性パイロットは通信越しに凛と響く気合いとともに発砲した。

『――喝ッ!!』

「やめてェーーーッ!!」

 単機残ったゲルググの足止めを抜けないまま、ジムⅡのコクピットで振り絞ったアイネの絶叫は、もう誰にも届かない。

 艦橋に銃口を密着させたまま、ゲルググはビームライフルを立て続けに乱射した。最初の一発でブリッジの内部は爆裂して、ノーマルスーツの人影を飲み込みながら内側から膨れ上がって消し飛ぶ。

 銃口を密着したまま立て続けに放たれたビームは、核融合炉をズタズタに貫通して真下へ抜けた。そこで艦内のエネルギーすべてを一気に反応させると、解放された膨大な光熱が宇宙に巨大な爆光の華を咲かせていく。

「あ、ああ……あああああっ、あああ……っ!!」

 熱の光輪はかつてサラミス改級巡洋艦の艦体とその乗員たちであった金属と血肉を瞬時に蒸発させ、艦体を折り崩しながら内部を吹き抜けると、ガスから塵へと冷え固まりながら宇宙空間へと溶け残りのデブリを拡散させていく。

 アイネの帰るところが、なくなってしまった。

『成仏!』

『成仏!』

『完・全・成・仏!!』

 アイネを足止めしていたゲルググ、そしてアバリスを撃沈してきた二機が爆光を背に飛来しながら、例の祈りのポーズを取る。

「うっ……うわあああああっ!!」

 アイネは今度こそビームライフルを無茶苦茶に乱射し、弾切れを起こすと背中からビームサーベルを抜いて切りかかった。

「よくもっ! よくもおおおっ!!」

 ナギナタのビーム刃にサーベルを弾かれながらも、アイネは頭部60ミリバルカンを発砲しながら必死に食らいつく。

 昨日配属されたばかりのアイネは、まだあの艦の乗員たちのことはよく知らなかったし、着任早々からこの胸に突き刺さっていた男性クルーたちからの不躾な視線もイヤだった。

 だが、これはないはずだ。

 あんな風に、大勢の人間が一瞬のうちに焼かれ、おそらくは痛みを感じる間すらなく肉体も生命も、その存在までをも消滅させられていったことが、アイネを絶望の中で逆上させた。

 そして逆上したアイネの操縦など、場慣れしたゲルググパイロットたちからすれば、いかようにもあしらえる程度のものでしかなかった。

『南無三!』

「あぐっ!?」

 アバリスを撃沈して戻ってきたゲルググから狙い澄ましたビームライフルの一弾が放たれ、ビームサーベルを振り回していたアイネ機の右腕を吹き飛ばす。

 アイネが機体重量バランスの変化を埋め合わせようと姿勢制御する間もなく、切り結んでいたゲルググのビームナギナタが頭部を薙払い、飛んだ生首はバルカン砲の残弾もろとも爆散した。

 さらにジムⅡの両脚、シールドを構えていた左腕までもがナギナタに切り落とされると、もうアイネ機は胴体だけの漂流物となった。

 そんなアイネ機を二機のゲルググが両側から押さえつけ、バックパックからの噴射も封じる。そして小隊長を殺した最後の一機が、ナギナタのビーム刃をコクピットハッチの正面に押し当ててきた。

 脱出も、反撃も、自爆すらも出来ない。

 もはや為す術もなく棺桶に閉じ込められたアイネは、それでもリニアシートの上で、十指の感覚を失うほどにきつく操縦桿を握り締めるしかない。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あ、ああ……。ごめんね……ごめんね、シエル……私、やっぱりダメみたい……」

 絶望の中で脳裏に去来するのは、MS訓練生時代のルームメイトの姿。言葉少なく成績優秀で凛として、いつも律儀で潔癖で冷静で、そして自分をいつも守ってくれた、黒髪と眼鏡の小柄な少女。

「私、一人でも強くなりたかったけど……シエルが、一緒にいてくれないと……私一人だけじゃ、やっぱり……ダメ、だったんだね……」

 アイネの瞳から溢れた涙が、静かにバイザーの内側に浮き上がっていく。少女の目はもう迫るビーム刃でもゲルググでもなく、その向こうのずっと遠い場所を見つめてしまっていた。

『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』

『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』

 接触したゲルググから、呪文のように意味不明な何かを呟き続ける娘たちの声が通信回線で流れてくる。そしてアイネの正面の全天周モニターに、目の前のゲルググのパイロットらしい屈強な男の通信小窓が開いた。

『連邦餓鬼道に堕ちたる亡者にしては、最後まで踏みとどまらんとしたその覚悟、実に見事なり……しかしその存在、この末法の現世に留め置いては我ら《大ジオン仏道》の禍根とならん! これにて現世より成仏いたせい!! 喝(カァ)ーーーッつッッ!!!』

 通信回線に流れ続ける敵女性パイロットたちの念仏の中、その野太い声だけがやけに鋭く響いたと思った瞬間、ビームナギナタの切っ先が一気にコクピットへ侵入してきた。

 チタン・セラミックス複合材のコクピットハッチが溶解し蒸発、超高熱の粒子が嵐のように吹き込んでくる。

「あっ!? アウッ!!」

 コクピット内に飛び散る粒子がアイネの座るリニアシートを、操縦桿を、そしてパイロットスーツを掠めては瞬時に溶断していく。

 穴だらけになった全天周モニターが機能停止して暗転、アイネの目の前のすべてを、迫る灼熱のメガ粒子の閃光だけが覆い尽くす。

「あっ、ああ……」

『成仏!!』

 もはや眼前に迫った確実な死に絶叫することしか出来ないアイネの五体を、ついにナギナタのビームが呑んだ。

 バイザーがひび割れながら同時に超高熱で泡立ち、そして粉々に砕け散る。強固なヘルメット全体も同様に爆砕して、アイネが清楚なショートカットにしていた明るい黒髪を吹き乱し、死の絶望に引き攣った少女の表情を露わにする。

 パイロットスーツは正面から燃え上がるや全身に無数の穴を開け、一糸残さず溶け落ちた。その内側の下着など一瞬すらも保たずに破裂し、アイネは裸身に剥かれていく。

 ほどよく日焼けした健康的な素肌が、よく引き締まった健康的な四肢と贅肉のない腹筋が露わとなり、そして陽炎のように消滅していくスポーツブラジャーの下から、ついにサポートを失って、一抱え以上もあるスイカ並みのみずみずしい爆乳が弾けるように飛び出した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「いやあああああああーーーッ!!」

 まだ一度も男に愛されたことのない処女の爆乳が、メガ粒子の奔流の中で激しく揺れ弾んだ。みっちりと詰まった乳肉の頂でよく発達した桜色の乳暈と、その中心から起き上がってくる乳首の突端までが露わとなって、薄紅色の軌跡を描きながら暴れ狂う。

 ――ああ、シエル……! わたし、もうイッちゃう……っ!

 人体など瞬時に蒸発させる死の閃光の中で、股間の茂みの下に潜む秘裂がじっとりと濡れそぼり、粘りのある体液を溢れさせる。死に直面した生命が最期の瞬間に暴走させた生殖本能が、無垢な乙女が初めてその肉体に知る倒錯した絶頂へと導いていく。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 光の中で、少女は一糸まとわぬ完全な裸身となった。アイネ・クライネ伍長の意識は、そこで消失する。

 すべてはわずか、一瞬の出来事。

 エンジンブロックまでも破壊され尽くしたアイネのジムⅡ04は、無情にも巨大な火球と化す。

 宇宙に一瞬のきらめきを放ち、かつてMSだった火球は急激に膨れ上がると、先に撃墜された三機や母艦と同様、次第に冷え固まっていく宇宙のゴミ――スペースデブリとなって拡散していった。

『成仏!』

『成仏!』

『完・全・成・仏!』

 アイネ機の爆散を至近距離から見届けて、ゲルググはビームナギナタを力強く目の前へと突き出した。別方向へビームライフルを向けながら、その機体へと僚機の女性パイロットが報告する。

『ゲオルグ居士。急接近する熱源反応を感知。おそらくMS四機』

『地球連邦餓鬼道の新手……このまま成仏させますか?』

 戦闘の興奮に荒く熱を持った息づかいで問いかけてくる僚機の女性パイロットたちに、ゲオルグ居士と呼ばれた男はコクピット内で猪首を振った。

『否。我、四機のうち一機より強き気を感ぜり。餓鬼道、畜生道とともに修羅道の影あり。この場に利無し……これよりのさらなる功徳を積まんがため、いま一時は退くべし!』

『『御意!』』

 言うが早いか一糸乱れぬ動きで反転し、三機のゲルググは元いた暗礁宙域の奥へと離脱していった。

『遅かったか……』

 そこへ入れ替わるように、地球連邦軍のジムⅡ四機が新たに到着する。周囲に散乱する、かつてサラミス改やジムⅡだったデブリを見渡しながら、その小隊長機は落ち着き払って通信回線を開いた。

『22より21。敵機の後退、および救助信号発信艦の轟沈を確認。所属MS隊も全滅の模様。なお22はこれより生存者の捜索を実施する。了解か』

『21了解。――22、深追いは無しということだな』

『そういうことだ。終わり』

 通信画面に現れた、後方に展開するサラミス改級巡洋艦の艦長へ言葉少なに返すと、小隊長は周囲に展開する列機へ指示を送る。

『22より各機。我が隊はこれより生存者捜索を実施する』

『無駄だっつーの、小隊長。こんなもん、誰がどう見たってもう、全員とっくに死んでるっつーの。宇宙のゴミしかねーわ』

『ざまぁねぇっすね。マジ雑魚すぎッすわ連中。ジオンの残党もこいつら相手でラッキーだったッス。俺らが相手してやってたら、結果は完全に逆だったっすねェ』

 状況を呑んだ剛胆さか、あるいは経験の浅さから来る蟷螂の斧か。いずれにせよ過ぎた軽口を叩く二人の若いパイロットを、小隊長の落ち着き払った、しかしみずみずしい娘の声が制した。

『23、24。前方の、艦橋部を含む残骸を確認できるか』

『前方のォ……? あぁ、あのアホサラミスで焼け残った一番でっけー残骸っすかぁ?』

『二機で内部の状況を確認しろ』

『はぁ?! 生存者とか、あんな鉄板焼肉スクラップの中にいるわけねーっしょ! あんなもん、とっくに全員挽き肉ローストミンチになっちまってるに決まってるでしょうがよ小隊長ォ!』

『潜んでいるのが我が方の生存者だけとは限らん。あの大きさ、MSが隠れ潜むにも絶好の遮蔽物だ。うかつに近づく敵機を狙撃で叩き落とすにも悪くない――23、24。特に、今のお前たちのような相手をな』

『…………!』

 増長しきっていた若いパイロットたちが息を呑み、通信画面の中で急に周囲へ警戒の目を配りはじめる。

 僚艦からの救助信号を受信し、このMS隊が緊急発進してすぐ、かれらは盛大な爆光がいくつも煌めくのを目撃した。まずMSと思われるそれが二つ、一つ、続いて巡洋艦と思われるものが一つ、だいぶ間を置いて、最後にMSがまた一つ。

 そしてスラスターの噴炎を曳いて離脱する三機のMSを見届けたことで、敵機はすでに友軍を殲滅して後退したもの、と部下たちは思いこんでいた。

 しかし、そんな楽観的な思いこみは危険だと彼女は知っている。

『23、24。言うまでもないが、あの残骸への発砲は禁止だ。生存者の他に、可能ならばブラックボックスも回収したい。慎重に行け』

『はっ! わ、分かってますよ……やりゃいいんでしょ、やりゃあ……おいシュン! まずお前ちょっと行って覗いてこいよ!』

『えっ!? 自分がですか!?』

『そうに決まってんだろ! お前がまず最初に行けよ。掩護してやるからよぉ!』

 まだ少年の部分を残した後輩パイロットを矢面に仕立てようとする彼らを、またも小隊長が制する。

『23、24。すでに示したはずだ。お前たちが最初に二人で行け。25は22と周囲全般を警戒しつつ捜索する』

『ハァ!?』

『……聞けないか?』

 冷え切った声が、二機のジムⅡの間に殺気を満たした。だが通信画面越しに映る小隊長の怜悧な美貌に見すくめられて、やがて部下が言葉を発する。

『わ、分かりましたよ……行きゃあいいんでしょ行きゃあ! クソッ、おいロブ! てめぇ最初に行って見てこい!』

『えぇ!? おっ、俺っすかガルノフ軍曹!?』

『当たり前だろテメェ!? 他に誰が行くってんだよ!? あぁ!?』

『そ、そんなぁ……』

 実際に見てみる前から、すでに残骸には敵機が潜んでいると決めてかかっているような二人のやりとりを聞き流しながら、周囲を警戒しつつ捜索する22――ジムⅡ小隊長機の横に、25と呼ばれた新人少年パイロットの機体が並んだ。

『あ、ありがとうございます、小隊長……』

『25、それはいったい何に対する礼だ? よそごとに気を回す前に、与えられた任務を確実にこなせ。長生きしたければな』

『は、はい!』

 恐縮した少年パイロットの声を聞きながら、小隊長は周囲の捜索を再開した。再び来襲するかもしれない敵を警戒しつつ、恐ろしく手慣れた調子で同時に漂流物を検分していく。

『ん、……あれは……?』

 そしてそのときジムⅡだったデブリの中に、小隊長はそれを――生き物のように揺らぐ淡い光を帯びたなにかを、見つけた。

『まさか……』

 息を呑むと、そこへ静かに機体を寄せて相対速度を合わせる。まるで壊れ物を扱うように、自機の手でそっと自機のコクピットハッチ前へと導いた。ハッチを開け、ゆっくりと慣性で飛び込んできたそれを、彼女は自分自身の胸で抱き止める。

 すぐにハッチを閉じると、コクピット内に空気を満たす。呼吸が可能になったところで、小隊長はそれが帯びた光がすうっと薄くなり、そして消えるのを見届けた。

 そこに収容されたのは宇宙を漂流していた、一糸まとわぬ少女の裸体。

 健康的に薄く日焼けした肌、ショートカットの明るい黒髪、引き締まった四肢、細い腰と、規格外にも思える大きさの二つの乳房。

 傷一つない生まれたままの裸身で宇宙空間から漂着した少女は、その身に帯びていた光を失うとともに、そこで呼吸を再開した。




※イラスト:b10b10アットzoho.com様
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