※この作品はR-18です。

フェニックステイル   作:KY_PT

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第五話 コクピット・アフェア

「彼女はアイネ・クライネ伍長。先ほど我々が救援に向かった、サラミス改級巡洋艦アバリスMS隊の生存者だ。

 皆にはまだ知らせていなかったが、クライネ伍長はジオン残党との激しい戦闘の末に乗機を撃墜され、漂流中のところを私が発見し、救助した。

 アバリスが撃沈され部隊も全滅したため、彼女は今後本艦MS隊に編入される。機体到着までの間、彼女には予備MSパイロット要員として勤務してもらうことになる。

 クライネ伍長、前へ」

 すう、と息を大きく吸って、吐いて、それから背筋を伸ばしてきっと前を見据えながら、少女は半歩前に出る。

 そしてトラキアMS格納庫全体に聞こえるように、よく通るマコトの声にも負けない強さでアイネは名乗った。

「旧サイド5テキサス出身、アイネ・クライネ伍長です。前回の戦闘では母艦アバリスも、部隊も守ることが出来ずに撃墜されてしまった未熟者ですが、その敗北を教訓にしてこれから精一杯頑張らせていただきます。

 百戦錬磨のトラキアの諸先輩がた、どうかよろしくお願いいたします!」

 あらかじめ頭の中で反復練習していた口上を一気に言い切ると、アイネはふっと息を吐きながらも努めて表情を凛々しく保ち、新たな同僚たちを見据えた。

 

 

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 何事も、最初がすべて肝心だ。不必要に馬鹿にされたり、なめられたりしないように。

 ハヤカワ准尉がそばにいてくれても、自分は自分として強くあらねばならない。

 ちら、と一瞬アイネの視線がシュンのそれとかち合ったが、二人は互いに慌ててそれを逸らした。

 何しろ最初の出会いが出会いだっただけに、この二人は互いに気まずいことこの上ない。

 ぱち、ぱち、ぱちと、アイネとマコトの前に居並ぶ三人のパイロット以外から、散発的な拍手が届いた。

 見上げれば、MS格納庫に所狭しと屹立する四機のジムⅡの間を浮かんで行き交う整備兵たちが、アイネに歓声を送っていた。

「ひゅう! いいぞぉ、アバリスのお嬢ちゃん!」

「敵討ちかい? 手伝ってやんよぉ! 新しい機体が届いたら、整備はバッチリ任せときなぁ!」

「――ありがとうございます!」

 好意的な反応に、アイネは思わず顔を綻ばせて叫び返す。

 よかった。ここの整備の人たち、いい人たちみたいで。女の人もいるみたいだし、仲良く出来るといいな。

 でも、とりあえず、問題は――。

「…………」

 一度は緩みかけた表情を再び引き締め、アイネは目の前に居並ぶパイロットたちを見つめた。

 一人は複雑そうな表情で無言の、シュン・カーペンター伍長。

 こうして落ち着いて見てみると、先ほどアイネに欲情して凌辱しようとした攻撃性が嘘のような、穏やかで優しげな容姿をしている。

 若干頼りなさげではあるが、清潔感のある黒髪に顔立ちもなかなか整っていて、中性的な美少年と言ってもいい。

 ――残念……これで女の子だったら、もっと仲良くしたかったのに。でも、あんなことになっちゃったし……これから、この人とどうやって付き合っていこう。憂鬱だな。

 そして、残りの二人。

 一人は癖の強い黒髪を伸ばした、浅黒い肌の屈強な大男。もう一人は小柄だが少し横幅のある、短髪の気難しそうな男だった。二人とも若い。

「次はクライネ伍長に、こちらから自己紹介する。ガルノフ軍曹から序列順で行け」

「へぇーい」

 ガルノフと呼ばれた大男がマコトの指示に、一瞬だけ皮肉げなかたちに口元を歪ませ、アイネはびくりと背筋を震わせる。

 だが次の瞬間には男は破顔し、むしろ人懐こさを感じさせるような笑顔でアイネに名乗った。

「イベル・ガルノフ軍曹、二十三歳だ。一昨年に第411コロニー防空中隊から転属してきた。MSパイロット歴は四年だ。

 だがジム・コマンドだのジムⅡだの、明けても暮れてもジムばっかり乗らされるのはもうお腹一杯だぜ。次は景気よくガンダムにでも乗りてぇな、ガンダムによ!

 クライネ伍長、分からないことがあったら何でも俺に聞いてくれよな!」

「あっ……、は、はい。ガルノフ軍曹、ありがとう、ございます……」

 呵々大笑して友好的な表情で歩み寄り、握手を求められたアイネは手を差し出してスーツ越しにそれを受ける。

 雰囲気は終始友好的だったが、男からの視線に敏感なアイネは握手のためにぐっと近づいた瞬間、獣のように鋭さを増した視線が自分を上体から嘗めまわしていったのを感じ取っていた。

「ロブ・サントス伍長、二十歳。訓練生課程修了後、ガルノフ軍曹と一緒に一昨年トラキアへ配属されたッス。クライネ伍長、俺も相談乗るんで、何でも聞いて欲しいっすね」

「サントス伍長、よろしくお願いします」

 隊長のマコト以下、二人のパイロットが紹介を終えて、残るは一人。だが不自然な沈黙が降りて、視線がその最後の一人に集中した。

「おいシュン! ボサッとしてんな、次はオメーだ!」

「あっ。はいっ!」

 ロブに怒鳴りつけられて、びくりとシュンが震える。

「シュ、シュン・カーペンター伍長、十九歳。去年トラキアに配属されたばかりです。

 自分にも、まだ分からないことが多々ありますが……クライネ伍長を出来る限り手助けしたいと思うので、よろしくお願いします」

「……よろしくお願いします」

 最後までお互いに目線を合わせることなく、終始微妙な雰囲気のままで二人は会話を終える。

 その様子にガルノフとロブが視線を交わしあったが、それを打ち切るようにマコトが最後の名乗りをあげた。

「では改めて、マコト・ハヤカワ准尉だ。79年からトラキアでMSパイロットとして勤務している。今はここのMS隊長だ。

 クライネ伍長は原隊が全滅し自身も撃墜されたばかりで、混乱している部分も大きいと思うが、早い段階での戦力化を目指して訓練していく。積極的についてくるように」

「はい!」

 鬱屈しかけた気分を吹き飛ばすように、アイネは大声で応じる。

「なおクライネ伍長の練度掌握のため、明日MS実機訓練を実施する。カーペンター伍長。君の25をクライネ伍長へ貸し出すので、それまでに申し送りを確実に済ませておくように」

「えっ!? じ、自分の機体をですかっ!?」

「か、カーペンター伍長の……?」

「どうした、カーペンター伍長。何か機体に問題でもあるのか? 整備の方からはそういう連絡は受けていないが」

「き、機体の問題と言いますか……その……」

 突然に指名されてシュンはうろたえ、アイネも表情をかすかに引き攣らせる。だがマコトは動じることなく、あくまで強引に押し切った。

「機体に問題がないのなら、私の指示通りにしてもらう。ではカーペンター伍長はクライネ伍長への申し送り、サントス伍長は引き続き当直上番、ガルノフ軍曹は待機だ。私は再度艦橋へ上がる。質問は?」

「あ、あー……いや……そのぉ……」

「無ぁし!」

「では、分かれ」

 アイネとシュンがしどろもどろの沈黙で答える中、二人のパイロットからの言葉が早々にその場を解散に導いた。

 マコトは床を蹴り、格納庫から艦内への通路に向かう。アイネとすれ違いざまに一瞬の視線を交わし、シュンの肩をぽんと叩くと、彼女はそのままエアロックの向こうへ消えていった。

「…………」

「…………」

 そして格納庫の底に残される、気まずい空気のままの二人。

「ロブ。お前、こっからどうする?」

「あー。次の下番までもう作業も訓練も入ってないッスからねぇ。整備と一緒に24の面倒でも見てるッス」

「じゃあ俺も手伝うわ。空振りとはいえ出撃したばっかで目ェギンギンしてよぉ、こんなんでもう寝られねーっての。おいシュン! ボーッとしてねぇで、クライネ伍長にちゃんと申し送ってやれよぉ」

「愛しの25、そのまま取られちまわないようになぁ?」

 ロブとガルノフが笑ってシュンの背中を叩き、そのままジムⅡ24の方向へ流れていくと、今度こそその場は二人だけになった。

「…………」

「…………」

「…………あの……。このまま、ここでじっとしてても何ですし……。25号機、見せてもらえませんか……?」

「えっ? あ、ああ……。そ、そうだね……」

 未だに視線を合わせようともしないままのアイネにそう言われて、シュンは自身も床を蹴って自機のコクピットハッチへ跳んだ。

 到着するとハッチを開放しながら、後続してきたアイネに向かって手を伸ばす。だがアイネはそれを無視して自分で器用に慣性をいなし、ハッチの前で危なげもなく身体を止めた。

 MSパイロットとして正規に任官しているのだから当然と言えば当然なのだが、アイネの運動能力は相当に高い、とシュンは感じた。

 ――あんなに胸が大きくて、ほとんど裸の格好で痴女みたいにいやらしく誘ってきて、かと思えば、か弱い女の子そのものの姿で怯えて泣きじゃくったりしていたのに。

 最初の出会いが出会いだっただけに、シュンはMSパイロットとしてのアイネとの『再会』に戸惑い、そして、自分と同じ伍長の階級章を着けたパイロットスーツ姿の彼女をまじまじと眺めた。

 宇宙空間での生命維持という基本機能こそ共通するものの、一般用のノーマルスーツと、パイロットスーツは要求される性能が大きく異なる。

 パイロットスーツは作戦環境下におけるMSの操縦という、機敏さと正確さを同時に要求される動作に対応するため、可能な限りに装着者の動きを妨げないことを要求される。つまり何より、軽く薄いことが必要となる。

 その一方で、宇宙の過酷な熱や放射線に耐えるための宇宙服としての機能も具備していなければならない。

 民生用、軍用ともに、宇宙世紀開闢以来膨大な数が生産されてきた一般用のノーマルスーツならば、多少の重さや動きにくさを受け入れることで、堅牢性と信頼性、そして経済性を両立できる。

 だが前述の特性が必要となるパイロットスーツは、薄く軽くあるために、まず装着者の体型に近い必要がある。それも身体の各部分ごとでなく、全身でだ。

 よってパイロットスーツは経済性と堅牢性を犠牲にしてでも、身体に密着する薄く軽い素材によって作られている。だから軍服などよりもずっと格段に、体型が出やすいのだ。

 アイネの細く引き締まった腰と、それと裏腹に西瓜のように大きく張りつめた二つの爆乳、そして健康的に鍛えられた豊かな臀部と悩ましい太股。

 しかも本来の着用者であるマコトのそれよりずっと巨大なアイネの乳房は、胸周りの生地を限界までぱんぱんに突っ張らせ、張り付いたスーツ越しに左右の形も露わにしている。

 あまつさえその頂点ではシュンがたっぷりと味わった、あのぷっくりとした桜色をした突起の微かな気配さえ隠しきれてもいないように思われた。

 もはや過剰なまでに『女』でありすぎるアイネの肉体の線をそのまま、ほとんど剥き出しで主張してしまうパイロットスーツは、健康な男子であるシュンにとって間近での正視に耐えられるものではなかった。

 ――あそこに、今……窮屈そうに詰まってるんだな。

 愛らしく造作の整った彼女の顔より、なお大きいほどだった乳房を思い出し、シュンの喉を唾が落ちる。

「……カーペンター伍長? とりあえず、25を起動させてもらえませんか?」

「えっ? あ、ああ――ご、ごめん!」

 むすっとした声が聞こえて視線を上げると、砲弾二発が押し込まれたように突っ張る胸の上で、ひどく機嫌悪そうにアイネがシュンを睨んでいた。シュンの視線が自分の身体のどこへ来ていたか、何もかも知っているのだろう。

 

 

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 ひどい赤っ恥にシュンは耳まで茹であがり、慌ててリニアシートでコンソールを操作しはじめる。

 アイネは大きくため息を吐いてハッチを蹴った。しなやかな肢体を球形のコクピット内へ泳がせると、リニアシートの背に手を掛け、シュンの肩越しにコンソールの起動画面を覗き込む。

「あの、……カーペンター伍長」

「……何? クライネ伍長……」

「いま、起動画面を見てたんですけど。この子って、ルナツー工廠製の79AをジムⅡ規格に改修した79Rですよね?」

「あ、ああ……うん。そうだよ」

 一年戦争の後期から各地の地球連邦軍拠点で量産が開始されたジムは、その製造拠点ごとで規格の異なる箇所が存在し、効率的な統合運用に支障を来していた。

 そんな状況の中で84年に制式化されたジムⅡ規格は、単なる在来ジムの性能向上だけでなく、連邦軍が運用するジム系MS全体の再規格化による整備性、運用性の向上をも意図するものだった。

 だがジムⅡとしての完全な新造機であるRMS-179ならいざ知らず、既存旧式ジムからの改修によるアップデート機であるRGM-79Rには、やはりジムⅡ規格による部品交換でも解消しきれない、元機体由来の微妙な癖が存在する。

 アイネがトラキアで新たなジムⅡに乗る上で、一番気にしていたのがそれだった。だが一見したところでは、シュンの機体は彼女の前の乗機とロットとバージョンが近く、そこまで深刻な問題は起こり得ないように思われた。

「……だったらこの子、私が前に訓練隊やアバリスで乗ってた子とおんなじです。一通り、動かし方は同じだと思いますから……少し、シミュレーションとかを一人で操作してみていいですか。

 分からないことがあったら、そのときまた改めてうかがいますから」

「そ、そう……」

 要するに、お前に教えてもらうことなど何もないから、一人にしてくれ――シュンは彼女の言わんとするところを、すぐに理解した。

 それは正直なところ、シュンにとっても渡りに船の提案だった。

 先ほどの事件の直後である。理解不能の痴態を晒して自分から積極的に誘惑してきながら、途中で態度を急変させて犯さないでと哀願してきた彼女。

 その美少女に身体の線が出やすいパイロットスーツで、巨大な乳房をこれでもかと言わんばかりに張りつめさせて強調されたまま、この狭い空間でこれ以上一緒にいたら、今度こそ頭がどうにかなりそうだった。

「――カーペンター伍長。私、そこで操作してみてもいいですか?」

「あ、ああ……」

 言葉遣いだけは丁寧でも、その大きな胸はしっかりと張り、目にはやたらと強く威圧するような光がある。

 シュンのシートを奪おうとする彼女は一歩も譲らない強硬な構えのようで、そしてシュンにはわずかに負い目があった。

「……どうぞ」

「どうも」

 少女からの圧力に負けたシュンがシートを空けると、アイネの身体がすかさずそこへ滑り込む。

 乳房に負けず肉付きの良い腰を沈み込ませながらベルトを回し、慣れた手つきでコンソールを叩く。そしてシュンが何か言おうとしたときには、アイネはすでにシミュレーターを起動させていた。

 息づく全天周モニターはトラキア艦内の格納庫の風景を一瞬だけ映したあと、すぐさま仮想戦場の宇宙空間に切り替わる。

 CG描画された満天の星空が辺り一面に広がるが、言うまでもなくこのコクピット内の少年少女の間には、そこで甘く語り合うような雰囲気など存在しない。

「うん。ここまで来たら、もう大丈夫です。シミュレーターで慣らしながら、新しいユーザーIDで私用の設定、作っておきますね」

「そ、そう……?」

 手際よく操作を進めていくアイネがリニアシートに座ってしまえば、開放されたままのコクピットハッチから見える外界はごく狭く、言いようのない圧迫感が二人の上に降りてきた。

 重たい。

「じゃ、じゃあ、クライネ伍長。とりあえず――」

「カーペンター伍長。まだ何か、私にご用がおありですか?」

 その重さにこらえきれずにシュンが何か言おうとしたところを、アイネがカウンターのようにぴしゃりと冷たく制してのけた。

 視線はコンソールとディスプレイに据えたまま、傍らのシュンへと追い撃つように言い放つ。

「勘を取り戻すために集中したいんです。しばらくここで一人にさせてもらえませんか」

 それはまさしく庇を借りた勢いで母屋も分捕る類の無体さだったが、何しろここまでの経緯が経緯だけに、彼女の勢いに対してシュンは何も言い返せない。

「ここに二人でいても、それで出来ることなんて何もありません。それとも、カーペンター伍長……私に何か、特別な用件でも?」

「う……っ」

 少し話くらいは出来ると思ったのに、それすらさせてもらえないなんて。25は僕のMSなのに。

 ――女の子って、こんなにも信じられないものなのか……?

「わ、分かったよ……。すぐそこにいるから、何か分からないことがあったらすぐに呼んで」

「分かりました」

 結局最後まで一度も目を合わせようとせず、アイネはただ冷たく答えるだけでシュンをあしらう。

 ただスタイルが圧倒的なだけじゃなくて、こんな表情でさえなければ、とっても可愛い女の子なのに……。

「うう……」

 そしてシュンはアイネの冷たい気配に追い出されるようにして、コクピットハッチを蹴る。ハッチから遠くなっていくシュンの背中は、やがて全天モニターに広がる宇宙空間の向こうへ消えていった。

 

 

 

「たまんねぇよな」

「たまんねぇっすよねぇ」

 ジムⅡ24の機体の陰で整備を手伝う風を装いながら、トラキアMS隊の中堅パイロット二人――イベル・ガルノフ軍曹とロブ・サントス伍長は、不穏な目配せを交わし合った。

「なんだよ、あの乳、腰、尻、脚……あんまりあからさまに男を誘いすぎだろーよ? 目の保養っつーか、あそこまで行くともう完全に、目の毒にしかならねぇよな」

「アイネちゃん、ヤバい体してるっすよねぇ。ここに来てしばらくの頃は、小隊長のノーマルスーツ姿にもずいぶんお世話になったもんッスけど……あの子のは破壊力がさらに桁違い、ッスよねェ」

「おう。マジいっぺん抱いてみてぇ。

 だが、その前によォ……MSどころか脱出ポッドまできれいに吹っ飛んだ挙げ句、ノーマルスーツまでダメージ食ったのに本人だけはピンシャンしてる、っつーのはどーゆーことよ?」

「そうッスよねェ。『ジオン残党との激しい戦闘』ったって実際どんなもんだったか、客観的な証拠、っつーもんが何にも残ってないンすよねぇ……」

 アイネのジムⅡやその脱出ポッドは戦闘で完全に失われ、生命維持のために最低限必要なパイロットスーツすら、『損傷のため、破棄』されたということになっている。

 それで今のアイネは、男を挑発するためにわざとやっているとしか思えない、あの規格外の爆乳でぱつんぱつんに胸を張らせた、借り物のパイロットスーツなどを着ているのだ。

 だからこの時点で、アイネがアバリス隊の一員として、ジオン残党とどう戦ったかを証明する物はない。

 むろん実際には証拠として、当のガルノフとロブがアバリス艦橋部の残骸から回収してきたブラックボックス内の戦闘記録がある。あるのだが、サラミス改級巡洋艦のブラックボックスを同じサラミス改級で開けるはずもない。

 実際にその中身を開いて調べられるのは、要塞化された根拠地へ帰投したあとの話だった。

「なーんか、変なんだよなァ……。マコッちゃんはそのへん適当にサラーッと流してたけど、普通あり得る話じゃねェよな。

 あのお嬢ちゃん、ひょっとして……ブルっちまって、敵前逃亡かましたんじゃねぇのかぁ? でなけりゃ最悪裏切りモン……いや、全滅した部隊の生き残りになりすまして来た、ジオンの潜入工作員って可能性も……?」

「あー……あり得るッスわー」

 まあ、あり得なくはないか、と思いながら相槌を打つロブの前で、ガルノフは自説への確信を深めてひとり頷く。

「だよなァ。となると、これから俺らの予備パイロットになるってあの娘に、いろいろと聞いておかなきゃならんことがあるみたいだな……?」

「それは間違いないッスねぇ」

 ロブは肯定しながら、視界の端でガルノフの鼻の下がしだいに伸びていくのを見守っていた。

 あー。この人、絶対なんかやらかす気だな。

 ここ数年の付き合いで先輩パイロットの性格をおおむね理解していると自負するロブは、悪巧みするガルノフの表情へ諦め気味の苦笑を向ける。

 そのとき二人はジムⅡ25のコクピットハッチから、そのパイロットであるシュンが飛び出してくるのを見た。

「んっ? シュン?」

「何やってんだ、あいつ……」

 周りへ目もくれずに暗い表情で自機のもとから飛び去るシュンには、そのまま自機へ戻ろうとする気配もなかった。

 いったい何があったのかと思案するロブの傍らで、ガルノフはシンプルかつストレートに行動方針を立てていた。

「ってことは今、あそこにゃアイネちゃん一人か。マコッちゃんも外してるし、整備の連中も近くにゃいねえ……早速こりゃあチャンスだな!」

 呟きながら、ガルノフは床を蹴った。一直線に、開放されたままの25のコクピットハッチへ向かっていく。

「ロブ! 俺ちょっと、そのへん込みであの娘に挨拶してくるわ」

「えっ、マジっスか先輩? 今スか、今行っちゃうんスか!?」

「いつ行くの? 今でしょ!」

「あーあ、……知らねぇッスよぉ……」

 何の迷いもない明快な返答。ロブは顔面をひくつかせながら、怖さ半分、期待半分で先輩の行く手を見守った。

 

 

 

「……ふぅ……」

 シュンの気配がコクピットから完全に遠のいたのを見届けて、アイネは大きく息を吐く。

 そして彼女はまず最初に、パイロットスーツのファスナーを襟元から引き下ろしはじめた。

 下りていくファスナーが巨大な隆起の位置にかかると、一気に指が重くなる。アイネはそこから、むっと力を込めて引き下ろしていく。

「……んっ、……んんんんん……っ! ……」

 じりじりとファスナーが頂上へ向かって前進していくその途中で、急にファスナーを引く抵抗が消失したかと思うと、一瞬にしてパイロットスーツの前が爆発したように左右へ割れた。

 

 

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「ひゃっ!」

 スーツの内側で圧迫されていた乳房が弾けるように飛び出して、その重たい弾力でへその位置までファスナーを飛ばしたのだ。ぱつぱつに張っていたパイロットスーツの前は左右それぞれ大開きにされたが、それでもその両端は、左右の峰で天突く頂点をギリギリで覆い隠す位置まで広がり、そこでようやく止まっていた。

 シャツと水着だけをまとった巨大な乳房二つがきつく締め付けられて、スーツの中はいつにも増して蒸れていた。湯桶でも叩きつけられたように胸の谷間は濡れていて、そこから蒸れあがってきた湯気にアイネは嫌そうな顔を見せる。

「私のモビルスーツも大事だけど、ノーマルスーツの方も次の補給で一緒に来てくれるのかな……? フランクス艦長は被服の補給も依頼してくれた、って言ってたけど……大丈夫かな。私の体型って、ちょっと変だし……」

 アイネは呟きながらスーツの内側へ手を伸ばし、圧し潰されていた乳房のポジションを直した。

 数十分ぶりに完全な呼吸の自由を手に入れて、アイネは喘ぐ。

「……ふぅ……っ。息、……詰まるかと思った……。やっぱりキツいよ、これ……。

 ……ハヤカワ准尉のスーツを着られるのは、ちょっと嬉しいけど……胸だけは、どうしても息苦しいな。それに……男の人と狭いコクピットの中で二人っきりなんて、イヤだよ……。怖い……」

 やっと一人だけになれた空間で混乱する思考を整理しようとするかのように、落ち着かない独り言ばかりが連なっていく。アイネはコンソールを操作する手も止めて、戦闘シミュレータが投影する無限の宇宙へ視線を投げた。 

「…………。ちょっと、悪いことしちゃったかな……」

 シュン・カーペンター伍長の機体、ジムⅡ25。

 一人のパイロットが責任を持って預かる機体を、ああも強引に奪ってしまったことに、アイネの胸がずきりと痛んだ。もし自分が同じことをされたら、きっと耐えられないだろうと彼女は思う。

 だが今の彼女はどうしても、彼と二人きりの空間などには耐えられなかった。

「…………」

 アイネは頭を抱え、一人リニアシートにうずくまる。

 自ら半裸で男性に襲いかかりながらトラウザスもブリーフも引き下ろし、弾け出たペニスを愛おしげに口へ含んで愛撫した。

 乳房も秘所も素肌すべてを生まれたままの姿でさらけ出し、燃えさかる少年の雄の欲望に身を委ねながら、互いを貪りあう快楽の中で喘いでいた。

「ああああああ……」

 あのときの淫らな自分を思い出すだけで、アイネの全身には自分を焼いたはずのビームより強い熱量が蘇るようだった。正直、もう今すぐ自殺したいとさえ思ってしまう。

 自分が分からない。

 自分はいったい、どうなってしまったのだろう。

「どうしちゃったんだろう。私……」

 ビームの直撃に焼き尽くされる悪夢を経てトラキアで目覚めたときから、すでに自分の中にはあの異常な熱があった。

 それはかつて訓練隊時代に嫌がらせで盛られた媚薬など比較にもならないほどに、どうしようもなく強烈に燃えさかる剥き出しの雌の欲望の炎だった。

 だから自分は交わりで慰めてくれる男を求めて虚ろな意識のまま薄着で彷徨い、そして、偶然見つけた彼――シュン・カーペンター伍長に襲いかかったのだ。

 アイネの行為は彼自身の雄としての欲望にも火を付け、一気に燃え上がらせた。処女のアイネにしても男性の性欲のあり方ぐらい、大体のところは知っている。

 だから途中でアイスクリームを浴びて懐かしい記憶とともに正気へ帰り、泣き叫んで必死に拒もうとしたアイネを許さず、彼は彼女を犯そうとしたことも、理屈としては理解できていた。だが、理解と感情は別物だ。

「私が、……悪かったのかな……? でも、……あの人は……私が正気に返って、嫌がっても無理矢理、私と……続きを、しようとして……」

 分からない。

 自分のことも、彼と、どう向き合えばいいのかも。

 でも、もう少し……さっきほど近くない、もう少しだけ離れた距離で、彼ともう一度話したい。

 戻ってきて、くれないかな。

 自ら追放した少年の帰還を心の片隅でかすかに願い、アイネはまだコクピットハッチを閉鎖しないまま、半ば無意識のうちに前髪へ手をやった。小さく薄い金属の冷たい質感が、少女の心を落ち着かせる。

「……シエル」

 その金属の冷たい感触が、波紋立つアイネの心をわずかに鎮めてくれた。

 シエルがくれた、大事な髪留め。

 乗機を撃墜され、乗艦までも撃沈されて、MSもノーマルスーツも下着さえも、持ち物はみんな失くしてしまった。

 それでも、MSパイロット候補生課程の修了間際にルームメイトだった親友の少女、シエル・カディスが贈ってくれたその質素な髪留めだけはアイネの前髪に残っていてくれて、それが少女の心を何より安らがせてくれた。

「私のこと、シエルが守ってくれたのかな……」

 そうだ。偶然の事故でアイスクリームを顔に掛けられたとき、蘇ってきたシエルの優しい記憶が、彼女を正気に戻してくれた。

 もしあのまま得体の知れない劣情が冷めずに、獣のようにシュンを受け入れて交わっていたら自分は、もっと深く傷ついてしまっていただろう。

 髪留めにまとめられた前髪の房を弄ぶように、アイネの指が優しくその金属面を撫でさする。

 MSパイロット訓練生時代のルームメイトにして親友、シエル・カディスが贈ってくれた髪留め。

 いつも清潔で折り目正しくはあっても、決して華美であることはなかった小柄な眼鏡の凛々しい少女を思い出して、アイネの胸に暖かい感情が染み出していく。

 シエルがあんなに鍛えてくれたのに、最初の戦いには負けてしまった。母艦も仲間も守れなかった。

 でも、自分はまだ生きている。

 一度は死んだと思った命だ。力の限りに思い切り、やれることをやれるだけやってみよう。

「よし、――って!?」

「よっ、クライネ伍長。捗ってるぅ?」

「あっ!? が、ガルノフ軍曹っ!?」

 ひとり力強く頷いたときに男の野太い声が掛かって、アイネはリニアシートでビクリと跳ね上がった。

 無防備に胸元をはだけた少女の目の前には、コクピットハッチに足を掛けながら身を乗り出してくる男性パイロット。

 彼女が心のどこかでここへ戻ってくるのを待っていた、シュン・カーペンター伍長ではない。屈強な巨漢イベル・ガルノフ軍曹の、やたら迫力のあるいかつい笑顔があった。

 本来の主である少年を閉め出し、自分一人だけの空間にしたはずだったコクピットへの不意な男の侵入。

「あっ! ちっ、違うんです! これは……これはっ!!」

 アイネは頬を紅潮させながら咄嗟にパイロットスーツのファスナーを上げ、無防備な胸を少しでも隠そうとする。しかし大きすぎるアイネの乳房は慌てふためいた雑な動作など受け付けず、ファスナーは乳房の下にも届かずに止まってしまう。

 そしてその間にガルノフは足場を蹴ってコクピット内へ泳ぎ、脇からコンソールを叩いてコクピットハッチを閉じていた。

 屈強な男の目の前へ胸の深い谷間を無防備に曝したまま、コクピットハッチを閉じられて二人だけの閉鎖空間にされてしまったことに、アイネは上擦った恐怖の悲鳴を押し殺す。

「あ、ああ……あああっ……」

「シュンの奴、こりゃ後で修正だなぁ。クライネ伍長をたった一人にしてサボるなんてよぉ。こういうのはやっぱり先任の俺が責任持って、手取り足取り教えてあげないと……な?」

「で、でも……っ」

「いいから、いいから」

 不意を突かれてすくんだアイネは強引な押しを止められず、ガルノフはその隙に慣れた動きでリニアシートの後ろへ、アイネの背後へと回り込んだ。

「が、ガルノフ軍曹!?」

「なんだよクライネ伍長、緊張してるのかい? もっとリラックスしなよぉ。役立たずなシュンの代わりに、俺がなんでも教えてあげるから……さぁ」

 閉鎖空間で背後という死角に入られて声をうわずらせるアイネに、耳へ息のかかりそうな距離からガルノフが猫なで声で話しかけた。

「仲良くしようぜぇ、クライネ伍長ぉ」

「ひっ!?」

 操縦桿を握るアイネの手に、後ろから伸びてきたガルノフの手が重なる。思わず全身を総毛立たせたアイネの耳元へ、さらに男が囁きかける。

「ン? 震えてるな、クライネ伍長……。そうか。最初の実戦でいきなりMSを落とされたあと、一人で宇宙を漂流してたんだったな。かわいそうに……怖かったろ?」

「ふっ……震えて、なんか……っ!」

 いま震えているのはさっきの戦闘や、気絶していて覚えてもいない宇宙漂流のせいなんかじゃない。いきなり男の人にここまで近づかれたのが嫌なだけだ。

 アイネは勇気を振り絞ってそう訴えようとしたが、ガルノフはその前に次の行動へ移っていた。

「かわいそうに……いったい何があったんだ? 話せばきっと楽になれるぜ。俺でよかったら、なんでも話してくれよ」

「っ!?」

 操縦桿に置かれたアイネの両手を、パイロットスーツ越しに愛撫するように撫でさすっていたガルノフが、今度はその逞しい両腕でアイネの身体を背後から抱きすくめてきた。

「…………っ!!」

 屈強な男性との唐突な密着に、アイネの顔面は瞬間的に沸騰した。悲鳴はもはや声にもならない。

 不意を突かれて身構える間もなく文字通りに懐へ飛び込まれ、まるで恋人同士のように身体に触られ、抱かれる。

 思春期を迎えてからずっと異性との距離を取り続けてきた彼女にとって、つい先ほどシュンと繰り広げた異様な時間だけを除けば、そんな行為は今までの人生で一度もなかったことだった。

 その衝撃だけで、アイネの頭はほとんど真っ白になってしまっている。声を出すことも身体を動かすことも出来ず、ただ、侵入してきたこの男になされるがままだ。

 だがアイネは同時に、別の現象に戸惑ってもいた。

 身体が、熱い。

 覆い被さるように抱きすくめてくるこの大男の手で、コクピットという密室でこれから何をされてしまうのかを期待するかのように、女性の芯の部分がぬめりを帯び、そして全身が妖しい熱を帯びていくのをアイネは感じていた。

 さっき部屋を抜け出して、自分が自分でなくなってしまったかのように、シュン・カーペンター伍長に絡んだときと同じだ。

 土壇場でシエルのことを思い出して、吹き消えたとばかり思っていたあのときの異様な熱が、まだ身体の底にほんの少しだけ残っていたのだ。

 そして種火のようなその小さな熱源が、背後から自分を抱きすくめる男という脅威を認識したことで、再び疼きはじめている。アイネの意志に反して、淫らな快感を貪ろうとしている……。

「……だっ……だめっ……だめ……だめぇ……っ……」

 でも、そんなことはダメだ。許されない。会ったばかりの男の人と二人っきりで、こんな風に身体に触れられるなんて。

 まして正規のMSパイロットである自分がよりにもよってコクピットで、それ以上の行為に及ぶなんて絶対に、絶対に許されない……!

 だが抗議するようにか細い悲鳴は上げながらも、アイネの身体はガルノフに対してわずかの抵抗も示すことはなかった。

 頬を上気させ、熱に浮かされたような甘いあえぎを漏らしながら、わずかに逃れようとする気があるかないかの気配で身をよじるだけのアイネに、ガルノフは唇を歪めて舌をなめずる。

「やああ……っ……」

 おいおい。ずいぶん色っぽい顔で、いい声上げて鳴くじゃねぇか……。

 ひょっとして、この娘……このまま最後までここで、ヤれちゃったりする?

 今日はまだじっくり話を聞くのがメインで、イケたとしてもせいぜい味見までで止めとくつもりだったが……据え膳食わぬはなんとやら、でしょ。

「これから一緒に戦うんだ。仲良くしようぜ、クライネ伍長……仲間同士のスキンシップは大事だろ?」

「すっ、スキンシップって……どこを、触って……!」

 そのとき背後から伸びてきた男の両手が、遠慮もなしに少女の乳房を左右もろともにそっと包んだ。同時に熱をも伴いながら、ぞわりと怖気が背筋に走る。

「あっ!?」

「アイネちゃんの、胸……これ、すんごい大きいよねぇ……?」

「いっ、いや……っ!」

 ――揉まれる

「ああッ!!!」

 アイネが直感した次の瞬間、左右の乳房はその半ばまで掛かった半開きのパイロットスーツごと、ぐにいっ、と大きく変形させられた。

 その蹂躙は、一回だけでは終わらない。何度も、何度も、ガルノフの手指は強弱を付けながらアイネの乳房へ圧力を掛け、張りつめた肉をパイロットスーツ越しに弄んでいく。

「いや……っ、いやぁ……やめっ、やめて……こんな、こんなの、……こんなのぉ……っ!」

 ――私の胸が、男の人のおもちゃにされてる。いやらしい欲望のために弄ばれてる……!

 恥辱のあまりに熱い涙がアイネの目尻に溢れ、球形の水滴となってコクピット内を漂った。

 だがそうして必死に屈辱に耐えるアイネの表情も、背後のガルノフにとっては欲望の炎に油を注ぐだけだった。

「あー、いいね、これ……何このもちもちおっぱい? すんげーでっかい……これって左右のひとつひとつがクライネ伍長……アイネちゃんの小っちゃくて可愛い顔と同じぐらいあるよね?」

「ふっ、……ふあああああ……っ!」

 もはや完全に開き直って痴漢のようにアイネの乳房を揉みしだきながら、ガルノフは肩越しに少女の表情を覗き込んで笑みを深めた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ――これ、完璧に感じてるな。声が甘くなってきた。揉めば揉むほど、オッパイの肉もなんか張ってきてるし、先っちょも堅くなってきてる。これだけデカいオッパイなのに、感度もいいとか……最高じゃねえか。

 せっかくここまで来られたのだ。こんな見事なデカ乳が無防備に放り出されているのを目の当たりにさせられて、揉まずに帰れるわけがないだろう。

「おおお……っ!」

 ガルノフは自身の大きな両掌にも収まりきらない爆乳のたっぷりとした圧倒的な質量と、揉みしだこうとする手指をけなげに跳ね返そうとしてくるみずみずしい弾力の両方を、二人のスーツ越しにじっくりと楽しむ。

 さらに左右の人差し指で頂点とおぼしき付近を、パッドらしき厚い生地の上から強く引っかくように撫でさすった。

「ひううっ!!」

 ビクンッ、とアイネが電気に撃たれたように背中を反らす。胸板ごと突き出された乳房がガルノフの両手に潰れ、男の掌中へとその尖端を突き刺した。

「おほっ。いいねェ……感じやすいねぇ?」

 いっそう堅く股間の剛棒をいきり勃たせながら、ガルノフは下卑た会心の笑みを浮かべた。

 ビンゴ……。この娘の乳首、完璧に勃っちゃってんな。バリバリ感じまくってんじゃん。

「これだけ大っきなおっぱいでパイロットすんの、大変でしょ? ウチの小隊長のマコッちゃんも結構ムネあるけどさぁ、アイネちゃんのはもう別格だねぇ。こうやって、マッサージしてあげるとさぁ……刺激で脂肪が燃焼して……ちっちゃくなってくるんだよねぇ……」

「……やめて……っ、……やめてぇえ……っ……」

 だがアイネはもう、そんな方法などとっくの昔に試している。

 実際には思春期のアイネが自らの双球を揉めば揉むほど、甘い痺れが体に走って股間の秘所ばかりが濡れそぼり、乳房はむしろ充血して重たく張りつめるばかりだった。

 それでも健気に揉み続けた間にバストサイズはさらに大きく成長してしまい、ブラジャーを二度も大きなサイズへ買い換える羽目になって、アイネは泣く泣くその方法を断念した。

「やっ……やめて……くださ……い……」

「大丈夫、大丈夫。やっぱりコレ、スーツのサイズが合ってないでしょ? 胸が苦しそう。今すぐはどうにもならないけど、とりあえずはちょっと楽にしてあげようよォ」

 そしてガルノフはその十指の先を、乳房の頂近くへと開いて掛かる、パイロットスーツの内側へ潜り込ませた。

「……あっ、……」

 ――剥かれる……!

「はぁい、コンニチワ……!」

「あぁっ!」

 そのままスーツを左右へ開いて引き下ろすと、最後の圧迫から解放された爆乳ふたつが、弾けるようにだぷんと大きく揺れ弾んだ。

 汗に濡れそぼって貼り付いたシャツから透ける、白い乳房。その尖端に苺のような突き上がりと、その周りに広がって膨らむ乳暈をかろうじて覆い隠すニプレス代わりの大胆な三角形のビキニトップスが、男の掌中で露わにされる。

「おおお……っ。何、アイネちゃん……こんな大きなおっぱいしといて、ノーブラだったの? 大胆すぎるなぁ……。

 もしかしてさ、アイネちゃん。今日は最初っから、『その気』だった……? 墜とされたのが怖かったから寂しくて寂しくて、誰か男に抱きしめられながら慰めてほしかったから、こうやってやらしい身体で誘ってたの?」

「ち、ちが……っ!」

 赤子がいやいやをするように首を振るアイネに、ガルノフが獣じみた獰猛な笑みで顔を寄せる。

「またまたぁ……。でもなぁ、こりゃ参ったな。ここまで本気で誘われてたんじゃ……アイネちゃんを最後まで愉しませて、慰めてあげなきゃ、男が廃るってもんでしょうよ……!」

「えっ……!?」

 言うが早いか、ガルノフは自身のパイロットスーツを首もとからファスナーを下ろした。そしてアイネの横から目の前へ、下着を突き破らんばかりに存在を誇示する股間の巨砲を見せつける。

「あ、ああ……っ」

「アイネちゃあん。君が欲しかったのは、コレでしょ……?」

「な、なにを……い、いや……っ、それは、嫌! 嫌です! やめてっ……やめてください、ガルノフ軍曹!」

 アイネは雄特有の濃厚な臭気とともに迫るそれから思わず顔を背け、リニアシートから逃れようと身をよじるが、十分な力が入らない。ガルノフの腕に軽々とシートへ引き戻され、眼前へと股間の隆起を突きつけられる。

「何言ってるの。本当はそんなに、嫌がってなんていないくせにさ」

「ひあうっ!!」

 もう覆い隠すものはシャツとトップスだけになったアイネの乳房へ、ガルノフの手が無造作に伸びて握り潰す。もはや彼女の爆乳にはたとえ半分だけでも、スーツの厚い布地という防御はない。

 そのうえトップスの三角形の布地の中心をその存在感で突き上げて、もはや自身の存在を隠しきれなくなった乳首をピンポイントで指先にきつく摘みあげられてしまえば、アイネはもう電撃されたように反りかえりながら甘い悲鳴を上げるしかなかった。

「あっ!? あうっ、あああーーーっ!!」

「どう……気持ちいい? 気持ちいいでしょぉ……もうアイネちゃんのアソコ、だいぶ濡れてきちゃったんじゃないの?」

「なっ、何を……っ!」

 アイネはそれでも気丈に反抗の言葉を吐こうとしたが、現実はガルノフの言うとおりだった。

 自分の女の部分は、もうぐしょぐしょに濡れてしまっている。アイネの秘所は限界まで下ろされたファスナーのすぐ下で、洪水を起こしていた。

 ――ダメだ。イヤだイヤだと言い続けても、この人は絶対にやめてくれない。だが、せめて本気で抵抗する意志を示そうとしても、なぜか力が出ない。

 最後まで、されてしまう。

 私はこのままここで、この人に犯されるしかないの?

 よりにもよってMSのコクピットなんかで、会ったばかりの男の人に処女を奪われるなんて。せっかくハヤカワ准尉みたいに、素敵な人と巡り会えたのに。

 イヤだ、こんなの。こんなの、こんなの絶対にイヤだ……!

「ふっ……ふぅっ、ふあああああああっ……!」

 涙が溢れる。それなのにアイネの喉は意志に反し、押し殺そうとしてもなお甘く上擦った嬌声のような悲鳴を上げてしまう。

 ――あー、……このままここでヤレるわ、こいつ。

 今度はリニアシートに押し込まれたアイネの真正面に迫りながら、ガルノフは乳房を思うがままに揉みしだいて邪悪に笑う。

「アイネちゃぁん……どしたの? さっきから口ではずっとイヤ、ダメってばっかり言ってるけどさ、声色のほうは、すんごい甘くなっちゃってるよぉ……!」

 これだけ敏感ないやらしい体で軍にいたのだ、今まで男を知らないわけがない。むしろ毎晩でも取っ替え引っ替え欲しがっていた淫乱変態娘だったのでは、とすら思えるほどだ。

 だが、アイネの細身に不釣り合いな大きさながら張りも形も見事な爆乳、いかにも男を欲しがりそうないやらしい腰つき、そこから与えられる快楽に抗おうと頬を紅潮させながら喘ぐ可憐な横顔。

 それらはガルノフの股間にたぎる雄の欲望を、これまで一度も無かったほどに熱く激しく燃え上がらせる。

 据え膳食わぬは何とやら、ってな。ここまで来ちまったらもう我慢できねェ。このまま一気にキメるしかないっしょ……!

「だ、だめぇ……だめえぇ……」

「大丈夫だよぉ……アイネちゃあん、すぅぐぅにぃっ、良ぉくなるからねぇ……っ!」

 もはや薄く涙を浮かべながら弱々しく懇願するだけのアイネの股間へ、乳房から腹筋を伝うようにしてガルノフの手が降りていく。

「ああっ……!」

 すでに上半身からは完全に脱がされてしまったパイロットスーツのファスナーを下へ辿られ、濡れそぼった女の部分を太い指先に目指されていくのをアイネは感じる。

 イヤだ。そこを触られたら……わたしの身体が、わたしの女の部分がもう、このひとの男の部分を受け入れる準備を整えてしまったことを、知られてしまう……!

 イヤなのに。私の心はこんなの絶対に、絶対に嫌なのに。どうして、身体が言うことを聞いてくれないの?

「へへへ……。アイネちゃん、俺のも見せてあげるからねぇ……」

「ひっ……!」

 ぼろんっ、と天突くような勢いで飛び出してきた自慢の逸物から目を逸らし、怯えながらなんとか逃れようとするアイネ。

 だがその瞳の端には単なる嫌悪と恐怖だけでなく、隠しきれない期待の色が見え隠れするのをガルノフは見逃していなかった。

 あ、しまった。今、ゴム持ってねぇ……。ま、いっか。この娘との記念すべき一発目は、やっぱり生で楽しみたいし。

 二、三発ぐらい生ハメしながら中で出しても、即妊娠ということはないだろう。新人歓迎がわりの祝砲だ。濃くて熱いのをたっぷりと、いちばん奥で出してやるとしよう。

「もう寂しくないよ、アイネちゃん……アイネちゃんの寂しがり屋なおまんこに、今から俺のすんげぇぶっとくて堅いの挿れて、いっぱいいっぱいにしたげるからねぇ……!」

「イヤ……いやあああああ……っ!!」

 紅潮しきった頬を背ける美少女の甘く掠れた切ない悲鳴が、ガルノフの怒張をさらに大きく強くしてしまう。過去感じたことがないほどの圧倒的な勃起に恍惚としながら、ガルノフは己が逸物を撫でさする。

 ……撃墜数+1、ゲェーット……!

 実戦任務を繰り返す中で遭遇したジオン残党などの敵MSを撃墜した経験はまだ無くとも、自信に満ちた強引な押しで多くの女性を『撃墜』してきたガルノフ。

 MSパイロットなんかやってる女なんてどいつもこいつも、あのマコっちゃんみたいに可愛げのない人間兵器みたいな連中ばかりかとも思ってたが。このアイネって娘はなかなかどうして、実に可愛いじゃねぇか。すんげぇいい体してるし、このままMSパイロットなんぞにしておくのが実に勿体ない。

 さっきはMSを撃墜されたばかりらしいが、今度はここで本人のオマンコも撃墜してやるとしよう。

「おっと。その前に……」

 抱きすくめながらさんざ全身を愛撫して爆乳を揉みしだき、嬌声を上げさせ泣きよがらせてきたが、そういえばまだキスはしていなかった。

 成り行きの都合でいろいろと行為の順序がおかしくなってはいるが、これはあくまで強引なレイプなんかじゃなくて、たまたまスキンシップの一環からここまで発展してしまった、双方合意のうえでの行為なんだからな。

 事後に彼女をそう納得させるためにも、この艶やかに濡れた可愛い唇のほうも盗んでおくか。

「あっ、……」

「可愛いよ……ほんとに可愛いよぉ、アイネちゃあん……」

 少女の小さな顎にその手を掛けて顔を向けさせながら、ガルノフは接吻へ向けて自身の顔を寄せていく。

 自分に対して欲情しきった男の顔がゆっくりと、アイネの視界いっぱいを埋め尽くしながら迫ってくる。

 イヤだ。私のはじめてが、こんな風に奪われてしまうなんて。

 私は……私がファーストキスを捧げる相手は、ちゃんと心から尊敬できて、愛し合える人とじゃないと、イヤだよ……。

 ましてやこんな風に、レイプみたいに一方的にされながら奪われるなんて、イヤだ。絶対にイヤだ。

「……シエル、……ハヤカワ准尉……」

 涙とともに、唇からその名前がこぼれ落ちた瞬間、不意にアイネの意識から霧が晴れるように妖しい熱が引きはじめた。

 ただなされるがままだった身体が自由を取り戻し、それどころか、得体の知れない力が満ちていくような感覚をアイネは覚えた。

「やめて、……ください」

「……あん?」

 急に調子が変わった少女の声色に男が顔を上げると、そこには凛として、真剣な怒りに満ち溢れたアイネの強い表情があった。

 同時にアイネの乳房を揉みしだく左手、秘所を目指して下腹部を進んでいたガルノフの右手へそれぞれ、アイネから左右の手指が組み合わされる。

「やめてください。これ以上、私に何かすると……私、本当に……怒りますからね……?」

「ははッ。今頃になって、なんだよソレぇ。アイネちゃんってホント、怒った顔もかわ、い、い、……ね……?」

 そのとき不意に異常を感じて、ガルノフの表情から余裕が消えた。一気に強ばった視線を、ゆっくりと手元に落とす。

「……!?」

 そこでガルノフが見たのは、アイネのそれと真正面から組んだ自身のごつい手指が、不気味なきしみを上げながら、本来あり得ない方向に少しずつ折り曲げられていく光景だった。

「へっ……? なんだ、……これ……」

 明らかに異常な目の前のその状況を現実として認識できず、しかし間違いようもなく発生しているその痛みに、ガルノフは慌ててその全身の力を振り絞って両腕に込めた。

 だが、状況は変わらない。ただ一方的に押されていく。

 屈強な大男の手指が、MSパイロットとして鍛えられてはいてもなお可憐、華奢と言っていい少女の手指によって、万力にでも掛かったかのように押し込まれていく。

 もはやガルノフの顔面は、性の恥辱にまみれたアイネのそれとは全く異なる理由から、茹で上がった蛸のように紅潮しきっていた。

「やっ……やっ、や、め、て……っ……」

 強ばる唇が、今度は少女からではなく、男からの悲鳴をその場へ吐き出す。だがガルノフの悲鳴は掠れて、目の前のアイネにすらまともに届かない。

 そして、ばぎん、と何かが砕けるような音がして、それでアイネははっと我に返った。

「ぎぃっ! ぎぃやあおおうぅっっ!!」

「えっ、――あっ、あれっ!?」

 コクピット内にガルノフ渾身の絶叫が轟き、思わずアイネは手を放す。自由になった手でほぼ反射的にコクピットハッチを解放するとガルノフはコクピット内をのたうち回り、涙目で全天モニターを蹴って逃げ去るように機外へ飛び出した。

「なんだ? どうした」

「ガルノフ軍曹? なんで25から!?」

「えっ? あ、あれ……っ、が、ガルノフ軍曹!? ど、どうしたんスかっ!?」

 半裸で両手を握りしめたまま絶叫し、空中で暴れ狂うガルノフに、格納庫じゅうから視線が集まる。

 MS隊長マコト・ハヤカワ准尉がMS格納庫へ戻ってきたのは、まさにその瞬間だった。

「――ガルノフ? 25号機、クライネ伍長――ああ。そういうことか。奴が彼女に仕掛けて、そして彼女にはまだ『残っていた』わけか」

 異様な状況を見たマコトは、しかし瞬時に事態を推察して何事かを得心し、ひとり小声で呟いた。

「!」

 騒然とする格納庫の空気を、そのとき突然の警報音がつんざいた。ガルノフに目を取られかけていた整備兵たちがざわめく。

「警報!?」

 その出鼻を聞いた瞬間にはマコトはもう床を蹴って、自らの愛機ジムⅡ22のコクピットハッチへ向かっている。ハッチを開けて飛び込みながら、彼女は部下たちへ指示を飛ばした。

「サントス伍長は乗機へ付け! カーペンター伍長は23、ガルノフ軍曹は艦内待機、クライネ伍長はそのまま25を起動! MS隊全機出撃準備!」

「りょ、了解!」

 それを追うように放送が流れる。

『総員戦闘配置、総員戦闘配置! 救難信号受信、近傍宙域にて民間船舶へのMS襲撃事案発生。MS隊、至急出動準備されたし!』




イラスト:はお様(http://www.pixiv.net/member.php?id=164461)
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