星空を縫うように数条かすかな火線が走り、それに撫でられた小さな光が飛沫を散らす。
「ハヤカワ小隊、敵MS隊と会敵。交戦開始」
先行させたジムⅡ隊を追うように戦闘宙域へ突進していくサラミス改級巡洋艦トラキアの艦橋に、レーダー手からの報告が響いた。
「相変わらず、口火はハヤカワ准尉のスプレーガンですか」
「ああ。飽きるぐらいにいつも通りさ」
半ば呆れ、半ば感心するように艦長席の真正面に立つ操舵士の青年が呟くと、諦め顔でトラキア艦長、リドリー・フランクス大尉が苦笑した。
「本当に昔から、あいつもずっと変わらんな――対空警戒厳にせよ! MS隊はまるっとお留守だ、いま伏兵に襲われたら俺たちだけで保たせにゃならんぞ!」
現在、トラキア艦内は総員戦闘配置の態勢にある。交代制勤務で非直にあった者たちは叩き起こされ、戦闘時における優先度の低い勤務にある者たちも所定の戦闘配置に従い、対空砲座群やダメージコントロールの任へ付いている。
「……しかしハヤカワ准尉は、どうしてビームライフルを使われないのでしょうね?」
「ん?」
そんな緊張に満ちた空間の中で一瞬生じた空白に、ぽつりと呟いたのは前髪の長い女性通信士だった。
「准尉ほどの腕なら今のジムⅡに少し手を加えるだけで、標準ビームライフルでもスナイパー系MS並みの長距離狙撃をこなせるのではないでしょうか。それなら劈頭の一撃で、ジオン残党に有効な打撃を与えることも出来ていたはずです」
「ああ、そうか。お前、まだマコトの『アレ』を見たことがないんだっけか」
「『アレ』?」
どこか不審げに訝るようなその口調に、リドリーは苦笑をいっそう深くする。
「あいつにとってアレは、ただ敵を落とすだけの武器じゃないってことだよ。なんせあいつは、このトラキアの『傘』なんだからな」
「『傘』……?」
「ああ、傘さ。そのためにあいつは、あの改良型のスプレーガンを後生大事にぶら下げてるんだからな――よし、砲雷長! いつでも行けるな?」
『あいさぁ~。任せといてくださぁい』
「頼むぞ。メガ粒子砲群は威嚇斉射を準備。MS戦に艦を割り込ませることもありうる! 機関は出力維持」
艦の全般を指揮する艦橋から離れた火器管制室から来る、ゆったりと落ち着いた返答に艦長は頷き、同時に機関科への指示も飛ばす。
リドリーはMS戦の展開次第では、トラキアが持つメガ粒子砲やミサイルの遠戦火力はおろか、艦体ごと防御のための対空機銃群までをジオン残党のMSへ容赦なく叩き込むつもりだった。
「さて。MSの相手をMSにやらせるなら、艦の相手は艦でやっておきたいところだが――」
航行中の商船などを襲撃できたジオン残党が、MSだけで行動していたとは考えにくい。どこかにMS母艦がいるはずなのだ。
それをリドリーが尋ねようとした瞬間、索敵手の方が声を跳ね上げた。
「艦長! レーダーに反応――大型艦艇です! 急速に接近してきます!」
「ジオン残党の母艦か?」
索敵手の報告に艦橋が色めき立ち、リドリーが鋭く尋ねる。
貨物船を改装した程度の急造母艦ならともかく、もしもムサイ級巡洋艦以上の本格的な戦闘艦艇が出てくるならば大事だ。戦局に重大な影響を与えかねない。
「現在照合中……、いいえ、友軍です! 急速接近中の大型艦は友軍! 友軍ですが、これは……」
「友軍だぁ? マカッサルか、コベントリか?」
周辺宙域における友軍艦艇の展開状況はリドリーの頭に入っている。このタイミングでこの宙域へ接近する僚艦はなかったはずだが、ミノフスキー粒子下での電波はその分布状況に応じて、時に予測も付かない伝わり方を見せることがある。
だからトラキアよりも遠方からリバティ115の救難信号を受信したそれらの僚艦が、いま全速力で駆けつけて来ているという可能性もなくはないのだ。
だが索敵手は艦長席へ振り向き、直接に彼を見つめてきた。その瞳に動揺の光を見たリドリーが目力で強く押し返すと、索敵手は迷いを振り切るようにコンソールへ向かって叫んだ。
「望遠画像、モニターへ出します!」
中央主モニターへ映し出されたその艦影に、リドリーはにわかに表情を強ばらせた。
「おいおい……こいつは、まさか――」
「行ける……!」
全天周モニター上で急速にその鮮明さを増していく敵機の映像から、アイネは勝利の確信を深めている。
ジオン残党MS三機のうちで、まともな射撃兵装を持っているのはリック・ドムだけのようだった。隊長機らしいザクⅡに目立つ武装はヒートホークのみ。ドラッツェの40ミリ機関砲はよほど近距離でなければ脅威にならない。
ザクⅡが何か強力な内蔵火器でも隠し持っていれば話は別だが、リック・ドムのジャイアント・バズをシュンがハイパーバズーカで抑えてくれれば、あとはロブとアイネのビームライフルで一方的なアウトレンジ攻撃が可能だ。
確かに一般には、ミノフスキー粒子の蔓延が大艦巨砲と火力万能の時代を終わらせ、優れた機動性で近接戦闘を主体とするMSの時代を呼んだとされている。
だが機動戦という同じ土俵に乗れるMS同士の戦いであれば、やはり火力の優劣は大きな戦力差となって現れる。
だからトラキア隊は距離が詰まる前にリック・ドム一機を、マコトの部下三機のジムⅡの火力で制圧すればいい。そうすれば後は射程の短いマコトのスプレーガンに期待するまでもなく、一方的に蹴散らせる。
ジオン残党の装備は敵MSを無力化し、鹵獲しやすい近接格闘戦に特化している。だがビームライフルを揃えて近代火力の充実した連邦正規軍と対決することになってそれが裏目に出たな、とアイネはいくらかの余裕を持って敵を見た。
その彼女の視線の先でリック・ドムが、両肩に担うジャイアント・バズを前に倒す。そしてその両方の後端部から、まだ数発の粘着榴弾を収めたままの弾倉が外された。
リック・ドムは代わって無駄のない動作で予備弾倉を二門に装填すると、流れるように前へ構え直す。
『兄ィ、……行くで……』
『おうっ! やったれやイーデン! ぶちかましたれ!!』
静かな狂気をたたえた瞳で、リック・ドムのパイロットはジャイアント・バズ二門の砲口を迫るジムⅡ編隊へ向ける。
対MS戦でのジャイアント・バズの有効射程は、その弾速の低さも手伝ってビームライフルよりずっと短い。
だが彼我の距離がビームライフルの有効射程を割る寸前、イーデン・モタルドゥは左右にわずかな時間差をつけて、ほとんど同時に二発の砲弾を放っていた。
「撃った!?」
『脅しだ』
マコトが言い終えるより先に巨大な爆光が二つ、前方で弾ける。同時に細かな無数の破片が爆風に広がりながら慣性で飛ぶ傘を開き、豪雨のようにトラキア隊の四機へ降り注ぐ。
「うっ……!」
シールドや本体装甲を叩く衝撃がコクピットにまで響いて、アイネはうめく。
榴散弾だ。主にミサイルの迎撃などに使われる弾種で、強力な装甲防御を有するMSへの攻撃では補助的にしか使われない。センサー類への打撃ぐらいは期待できるが、所詮はそこまでの威力でしかない。
『けっ、この程度っ!』
ロブ・サントス伍長が強気に嘲って吐き捨てるが、マコトが落ち着き払ってそれを制した。
『次が来る』
『へっ?』
間を置かず、またしても前方で爆光二つ。距離が詰まった分だけ狙いも近づき、ぶち撒けられてくる霰弾の密度が増したか、先ほどよりも機体を叩く回数も跳ね上がる。
『各機、まだ編隊を崩すな』
「わわっ――また!?」
霰弾の濃密な部分との接触を避けようとジムⅡ25を編隊内で機動させながら、アイネは傘状に飛来する霰弾の幕の向こうに、次の爆光二つが膨れ上がるのを見た。
「あ、うっ!」
弾数を重ねるごとに狙いの精度も増しているようで、今までにない強い衝撃が機体を揺らした。
ブラジャーのカップで保持されていないアイネの乳房が揺れ弾み、パイロットスーツの胸をだぷんと波打たせる。爆発の向こうに見え隠れするザクⅡをどうにか狙おうとしていた、ビームライフルのロックも外れた。
「これじゃまともに照準もできない……!」
アイネがうめき、呆れ混じりにシュンが呟く。
『こ、こいつら……! いったい何発撃つつもりなんだ!?』
重MSであるリック・ドムの強みは、大推力スラスターと潤沢な機内スペースに搭載した推進材を使って得られる高機動性と、大きな兵装搭載量(ペイロード)だ。
搭載量の優位は取りも直さず、大量の弾薬を携行しての贅沢な火力戦を可能にする。
リック・ドムは想像以上の弾薬を携行していて、有効射程外から惜しみなく叩き込んでくる。それでトラキア隊の機先を制して動きの自由を制圧し、四機のジムⅡからの反撃を封じているのだ。
MS戦を制する主要素が運動性と機動性にあるといっても、逆にそれらが対等なら、戦勢を決するのは火力の多寡となりうる。
警備会社MS隊との戦闘にもそれなりの弾数を消費していたはずのリック・ドムは大胆にも、シュンのジムⅡ23が携行しているハイパーバズーカの砲弾を上回るだけの弾量を序盤戦から投射しようとしていた。
『何やってんだシュン、撃ち返せ!』
『やってますっ!』
どうにか榴散弾の隙間から射撃姿勢を取ったジムⅡ23が、ハイパーバズーカを応射する。だがその砲弾は絶え間なく弾ける後続の敵榴散弾に呑まれ、道半ばでそこへ熱と光を注ぎ足すように弾けた。
「撃ち負けてる……」
呆れ混じりにアイネは呟くが、敵リック・ドムはその偶発的な爆発さえも利用するように砲弾を重ねるように『置き』にかかる。砲弾の爆発が大きくなった。弾種が榴散弾から炸薬量の多い榴弾に切り替わったのだ。
その大口径榴弾の巨大な爆発を、リック・ドムは巧妙にトラキア隊の編隊内へと配置してくる。
そして、ついに編隊内へ入り込んできた敵弾の爆発が、トラキアMS隊をマコトとアイネ、ロブとシュンとに分断した。
「引き剥がされたっ!?」
近距離爆圧で大きく揺れる機体の中で、アイネの背筋を不意の冷たい感覚が撫でさする。
「これだけの弾薬を携行しているのに、機動性に低下が見えなかった。通常のMS-09Rのデータと合わない……改良型なの?」
ジオン残党のMSは見た目こそほぼ一年戦争当時のザクⅡとリック・ドム、その後の簡易改修機のドラッツェのままだが、その性能は戦後の技術を用いて引き上げられているのではないのか。
現に自分たちの乗るジムⅡが一年戦争を戦ったジムを改修した機体であるように、ジオン残党も何らかの手段で既存MSを改修した可能性が大きい。
アイネの胸にわだかまった不安が、ひとつの像を結んでいく。
「MSの性能は、……互角かもしれない」
そしてMSの性能が互角なら、戦闘を決する主要素は搭乗員の技量となる。
こちらは四対三と数では圧倒しているが、同僚のロブ・サントス伍長やシュン・カーペンター伍長の操縦からは、熟練の気迫といったものがあまり感じられない。新兵の自分とさほど変わらないような気さえしてしまう。
対してジオン残党と言えば、長きに渡る実戦経験と高い練度が通り相場だ。巡洋艦アバリスを襲った大ジオン仏道のゲルググも、恐ろしい動きの冴えを見せつけていた。
この敵とまともに戦えるのは、ハヤカワ准尉一人だけではないのか。数で圧倒されて撃破されるのは、こちらになってしまうのではないか――
『25、正面!』
「はっ!?」
連鎖する爆炎を蹴破るように、突進するザクⅡがアイネの眼前にまで肉薄していた。
ジャイアント・バズの弾幕は単にジムⅡ隊の動きを制約するだけではなく、途中からは一気に急加速して突撃を掛けたザクⅡとドラッツェの姿を隠す煙幕としての機能も担っていたのだ。
『ガババババッ!! 死ねやぁーーーっ!!』
「こんのぉっ!!」
それでもアイネの反応は、自分で驚くほどに速かった。ビームライフルの照準を即座に修正すると、眼前のザクⅡへ向かってトリガーを引き絞る。
『うおっ!?』
MSの装甲を濡れ紙のように撃ち抜くビームが迸り、至近距離から過たずザクⅡの中心部へと吸い込まれる。
だが必殺のはずの光弾は、ザクⅡが正面に押し立ててきていた右肩部重層シールドを二枚抉って力尽きた。
「対ビームコーティングっ!」
『かはっ! ビビらせんなやズベタがぁっ!!』
穴を穿たれて赤熱したままのシールド第一層がパージされ、間合いを割ったザクⅡが相対速度を合わせながら身を翻してヒートホークを振り上げる。すでに第二射を放てる距離ではない。
アイネのジムⅡ25は電光石火の動きでシールドを構える左腕を跳ね上げ、シールド下端部での突きをザクⅡの胴体へ放っていた。
『ホウッ!!』
「まだまだぁっ!!」
それをザクⅡは受けることなく体軸ひねりでずらして避けるが、アイネはすかさず頭部バルカンを叩き込んで追い撃つ。まさにこういう接近戦でこそ真価を発揮する兵装だ。
だが頭部から絶え間なく迸る火線は躍るザクⅡに多くが外され、わずかな命中弾もスパイク・シールドと曲面装甲に跳ねて致命傷には届かない。
『バルカンではのうっ!!』
アイネが繰り出したシールドとバルカンを避ける動作の延長線で、ザクⅡはヒートホークをアイネ機の胴をめがけて振り下ろしてくる。突撃の中で攻守が途切れることなく一体となった、まさに流れるような動きだった。
「強い……っ!」
――でも、
「あのゲルググに比べたら……!」
その牽制で稼いだ時間に、アイネはシールドの後ろでビームライフルを離し、左肩のビームサーベルに持ち替えていた。一気に奔った光の剣閃がザクⅡへと躍り掛かる。
『オホッ!?』
ザクⅡはヒートホークの軌道を急場で変じてそれを受けたが、ビームサーベル相手にヒート兵器で長くは保たない。
『チィッ!! やりよるな!!』
「あっ!?」
その鍔競り合いを軸にして、ザクⅡはアイネ機の胴へ蹴りを入れた。蹴りは浅かったがザクⅡは反動で一気に後方へ引くと、スラスターを噴かしてアイネ機から離脱していく。
「下がった!? ――いや、そっちはっ!」
『加勢するでぇデティ!! ズベタに泥水飲ましたるっ!!』
アイネ機をその一瞬の攻防だけでは撃墜できないと見るや、ザクⅡは即座に標的を切り替えていた。
リック・ドムからの猛射がなおもロブとシュンのジムⅡ二機を拘束する間、残るドラッツェがビームサーベルを展開し、マコトのジムⅡ22へ高速で食いついていた。
すでに両者は初太刀を交わして離れていたが、ドラッツェは40ミリ機関砲を放ちつつ、見ているだけで目眩がするような急旋回を掛けて再びマコト機めがけて突入してくる。そこへザクⅡが別方向から加勢しようというのだ。
「あんなのに二対一で同時に来られたら!」
二機の来襲は一瞬後、そして同時。
アイネが咄嗟に持ち替えたビームライフルは機体を離れて漂い、このままサーベルとバルカンだけで後ろから斬りかかろうにも、すでにザクⅡの背中は遠い。
援護しようにも間に合わない。
あの至近距離まで接近されてしまっていては、マコトからビームの射撃で敵の突撃を阻止することも不可能だ。
融合炉を射貫けば大爆発に巻き込まれるし、運良くコクピットだけを撃ち抜いたとしても、敵機は慣性のまま激突しに来る。もはやドラッツェの機体そのものが有人操作の大型ミサイルと化しているのだ。
『死ねやズベ公!!』
『連邦のメス犬売女は、焼却処分じゃぁーーー!!』
「ハヤカワ准尉ーッ!!」
ビームライフルを必死に回収しながらザクⅡを追おうとするアイネの眼前で、マコト機の右腕がゆらりと動く。
ドラッツェと切り結んだサーベルを持つのはシールドを備える左腕で、マコト機の右腕にはまだビームスプレーガンがある。
時折生じる40ミリの着弾がシールドに弾ける中で、その奥からスプレーガンの銃口が迫るドラッツェへ泳ぐように向き直り、そして立て続けに閃光が走った。
『あん!?』
ドラッツェの機体が揺れた。
揺れながら、固定装備の40ミリ機関砲を連射し続ける右腕が、補助ジェネレータでビームサーベルを展開している左腕が、そしてMS離れした高加速力を与えていた下半身のスラスターユニットが、胴体から次々に離脱して分解していく。
その決定的な破壊がスプレーガンによる至近距離からの超高速連射でもたらされたものだと、背部バックパック以外の推進手段を失った胴体だけのドラッツェの中でパイロットが気づくまで、さらに数秒を要した。
『なっ――』
この近距離で姿勢制御など間に合うはずもなく、分離した四肢が周囲で次々と爆散する中、推進軸を狂わせられたドラッツェ本体はマコト機の側を転がるように突き抜けていく。
残った背部推進器だけで必死に姿勢制御を試みているようだったが、要する手間は通常の比ではない。
『でっ、デティーーーっ!!』
『うおおおお兄ぃぃぃっ、ワシに……ワシにかまわんでくれえええっっっ!! 今やあああっっ!!』
『待っとれよデティィィィ!!』
絶叫とともにスラスターを全開し、ザクⅡがマコト機の背後から斬りかかる。
『ザクッとこいつ潰して、拾いに行ったるさかいなぁぁぁ!!』
射撃のためにドラッツェと正対していたマコトのジムⅡを、ザクⅡは横から突く格好でヒートホークを振り下ろしていく。だがマコト機は四肢を振りながら全身のスラスターを一気に噴かして独楽のように旋回、再びザクⅡを正面に捉えようとしてくる。
迫るヒートホークをマコト機の左腕に握られたビームサーベルが受け止め、熱い火花を飛び散らせる。
『おうらぁ!!』
「准尉っ!!」
近接戦闘におけるマコトの技術はアイネの想像を遙かに超えた高みにあった。だがそれでもなお、アイネと交錯する一瞬にあれだけの攻防を繰り出してきたあのザクⅡは油断できない相手だ。
すぐにでも加勢したいが、こうも両機が絡み合ってしまえばそれも難しい。
一方でザクⅡのドッツィ・タールネンもマコトの脅威を承知していたから、眼前のジムⅡ隊長機とは即座に決着をつける必要に迫られているのだ。
『死にさらせ!!』
熱刃が光刃に喰われていくぶつかり合いを支点に、ザクⅡの機体が猛然と回転する。スラスターを全開にしたドッツィは左手に握るスパイク・シールドへザクⅡの全運動エネルギーを載せて、ジムⅡ22のコクピットハッチへ叩きつけようとする。
『こいつさえツブせば! こいつさえツブせば、あとは! もう、どうとでもなるねんっ!!』
連邦軍MS隊四機のうち、本当に恐るべき熟練兵はこのスプレーガン持ちだけと見た。ドッツィが最初に切り結んだジムⅡも反応は悪くなかったが、まだ渡り合える。
だが、こいつだけは別格だ。倒せるときに倒しておかなければ、こいつ一機に他のすべてをひっくり返される!
強化スラスターが最大推力で火を噴き、ザクⅡの左半身は至近距離から蹴飛ばされたように加速していた。
もはや防げるはずもない。ここまで密着しては射撃兵器など取り回せないし、ビームサーベルはヒートホークで封じてある。
今さら頭部バルカンを叩き込まれたところで、ザクⅡが打ち砕かれるよりもジムⅡのコクピットがスパイクに叩き潰されるほうが早い。
『勝ったでぇ!!』
勝利を確信したドッツィが叫んだ瞬間、不意の衝撃がザクⅡを、リニアシート上のドッツィを襲った。
『……へっ?』
一気に軽くなった機体がドッツィの意図より遙かに早く旋回し、予想外の急加速の中でドッツィはそれに気づく。
ビームスプレーガン。
ビームライフルよりも、90ミリマシンガンよりも短いその銃身がジムⅡの右脇腹へ潜り込むように抱え込まれていて、この密着状態でもスパイクシールドの内側から狙撃姿勢を確保していたことに。
その超至近距離から瞬時に集中して放たれたスプレーガンの高速連射が、迫り来るザクⅡの左肩関節を撃ち抜き、切断していたことに。
そしてバランスを崩したザクⅡのヒートホークから光刃を外すと、ジムⅡはそのまま無造作にザクⅡの両膝を薙ぎ払った。さらに蹴り足がコクピットハッチを叩き、ドッツィを一気に吹き飛ばす。
『なんとぉーーーっ!?』
左右の脚部がその上体と生き別れ、バラバラに宇宙空間を浮遊していく。
ほとんど両足と左腕を失ったとはいえ、まだ上半身は残っている。右手のヒートホークも使える。ドッツィのザクⅡは完全に戦闘能力を失ったわけではない。
だが格闘戦に特化した機体構成でAMBAC能力を激減させてしまったことと、敵ジムⅡ隊長機の異常な技量を合わせて考えれば、これ以上の勝ち目などもはやないと確信させるに十分だった。
『ま、負ける……!? 負けるんか!? ワシらが!?』
『ぐおわぁっ!!』
『イーデン!?』
そのときドッツィが全天周モニターを振り仰げば、単機でよくジムⅡ二機を抑えていたイーデン・モタルドゥのリック・ドムが、ビームライフルの光弾に右腕をジャイアント・バズごと持って行かれるところだった。
シュン機がタイミングを計って榴散弾で牽制をかけたところを、ロブ機の連射が捉えたのだ。
『あ、兄貴……すまんっ!』
さらに追い撃つように飛来するビームとバズーカ砲弾の中を、リック・ドムは脚部のミサイルランチャーから撃ち返しながら後退してくる。
『ヘハッ! 見たかよシュン! アイツの片腕持ってったの、俺のビームだぜ!』
『僕のバズーカで牽制したから、先輩のビームを当てられる隙も出来たんでしょう? まだ油断できませんよ!』
ジャイアント・バズの片割れを失ったリック・ドムにかつての神通力はもはやなく、後はもう二機のジムⅡから一方的に押しまくられるだけだった。
そのとき共通回線に、凛とした娘の声が響きわたる。
『ジオン残党に告ぐ。大勢はすでに決した。ただちに武装解除し機関を停止、投降せよ。さもなくば撃墜する』
『ぐっ、ぐうう……っ!』
ビームスプレーガンの銃口をザクⅡのコクピットハッチへ突きつけるマコトからの、三度目となる投降勧告。アイネもビームライフルを両手で構えてザクⅡを狙い、無言の圧力を積み増した。
今度の勧告は重みが違う。
健在だったジオン残党のMS三機は壊滅的な大打撃を受け、対する連邦軍のジムⅡは四機のいずれも目立った損傷を受けていない。
一時は完全に戦闘の主導権を握ったかに見えたジオン残党は、今や完全敗北の半歩手前にあった。
『あかん、……こんなん……こんなん絶対に、絶対にあかんがなっ!! 捕まってしもたら……ここで連邦軍に捕まってしもたら、ワシらの人生! もう、完っ全に終わりやがな……!!』
ジオン公国が崩壊してジオン共和国へと継承された現在、なおも地球連邦との武力闘争を継続するジオン残党組織の構成員は、法的には軍人ではなくテロリストとして扱われる。
そのうえ彼らがジオン残党として今まで活動してきた実績を余罪として積み上げられれば、もはや極刑は免れ得ない。
『あ、兄貴……!』
ジオン残党MSのうち、まだ比較的高い戦闘力を残しているリック・ドムには、ロブとシュンからのビームライフルとハイパーバズーカが指向されている。
『25。ザクⅡを抑えておけ』
「は、はいっ!」
さらにマコト機が堂々と接近してビームスプレーガンの銃口を突きつけてくると、さすがにリック・ドムもたじろいだ。ドラッツェの四肢を瞬時に粉砕し、隊長機たるザクⅡの左肩と両足を切り裂いてのけたこのジムⅡが、別格の強敵であることは明白だったからだ。
『リック・ドムのパイロットへ告げる。ただちに武装を解除せよ。今から十数える間に武装を解除しない場合、このまま撃墜する。十、九、――』
『ぐっ、ぐう……っ。兄貴……!』
『…………』
そのとき突如、ザクⅡの背部スラスターが点火した。溺れるように不細工な動きで両手が泳ぎ、ザクⅡはふらふらと危なっかしく明後日の方向へ機動する。
「あ、こら――!」
アイネが厳しい表情でビームライフルの銃口を向け、スラスターを噴かして追跡したが、共通回線にはザクⅡからの悲鳴が飛び込んできた。
『あ、あかん!! 連邦軍の姉さん、こちらザクⅡ、なんやもうわけわからんのやけど、スラスターがいきなり全開になってしもうた! さっきの打ち所が悪かったんか!? 機体制御不能! あかん!! 止まりまへんっ!!』
「はぁ!?」
トリガーに指をかけながらアイネは叫んだ。まさかこのザクⅡは『事故』を言い訳にして、このまま自分だけ逃げるつもりなのだろうか?
だがマコトの投降勧告以降、ジオン残党は直接的な攻撃には出ていない。震える軌道も滅茶苦茶だ。本当の事故かもしれない。
『堪忍や! 撃たんといて、頼む、後生や、姉さん堪忍、堪忍してや……』
「うっ……」
涙声で哀願しながら迷走するザクⅡの後ろ姿をビームライフルで狙撃してもよいかをアイネは逡巡し、そしてその目的に気づいたときには、ザクⅡはもう『そこ』の直前にまで辿り着いてしまっていた。
「!? ま、まさかこいつっ!」
『ヒャハーアッ! もろたでっ!!』
気づいたアイネが咄嗟に発砲したビームを紙一重の機動で回避し、ザクⅡが飛びついて捕らえたのは、フレームを歪ませながら漂流していた民間警備会社のボールだった。
最初の戦闘でドッツィのザクⅡに肩スパイクでタックルを喰らわされ、吹き飛んだまま漂流していた機体だ。うなだれたままのパイロットの姿が透けるそのコクピットハッチに、ドッツィはヒートホークの刃を押しつける。
『おおっと動くなや! 動いたらこいつの命はないで!!』
「ええ。そのときには、あなたの命もなくなるけどね……信じられない。人質を取るなんて、本当に正気!?」
ビームライフルをしっかりと両手で保持する狙撃姿勢を取りながら、アイネは手段を選ばないジオン残党への怒りとそれを止められなかった自分の愚かさに、きつく歯噛みしていた。
『何とでも言えやらぁ! ワシらは自分と仲間が生き残るためやったら、どんだけ汚いことでもしたるわ!!』
『すまん、兄ィ……!』
マコトに大破させられた胴体だけのドラッツェが、ビームに溶けた四つの粗い切断面からときおり放電を飛ばしながらも、ザクⅡの側までどうにかこうにか戻ってきた。漂流方向が近かったらしい。
いっそのこと、こいつを人質に取り返してやったらどうだろうかとまで考えるアイネの意識に、共通回線から落ち着き払ったマコトの声が聞こえてきた。
『……要求を聞こうか』
『はっ。さすがに今さらMSが欲しいだの、そこの貨物船が欲しいだの言うんは贅沢やからなぁ。この軌道からすぐそこの暗礁宙域までの、ワシらの安全な撤退。連邦軍の追跡はナシ……これを保証してくれるだけでええわ』
『その前に、ひとつ確認しておきたい。そのボールのパイロットは、本当にまだ生きているのか?』
『なんや、姉さん……随分えげつないこと言うてくれるやないけ。何か? 姉さん的にはもう、この警備会社のボールぼんずは息しとらん方が都合ええのか?』
『先ほどから反応がないようだ。単に気絶しているだけならいいが、死者を人質に取られてジオン残党を見逃したとあっては私の責任問題に関わる。確認させてもらう』
『ムッ……』
ザクⅡのパイロットはしばし考えたようだったが、やがて回答を寄越した。
『ええやろ! こっちでボールのハッチを開けたるさかい、姉さん、自分で近づいて確認しに来や』
『いいだろう。――各機、現態勢を保て』
ジムⅡ22が緩やかに加速し、ボールを捕らえたザクⅡの目の前まで接近していく。ヒートホークを握るザクⅡの右手が指を一本伸ばし、ボールのコクピットハッチを探りはじめた。
『……よっしゃ……』
自身のザクⅡと人質に取ったボール、そして傍らのドラッツェに連邦軍の意識が集中しているのを把握しながら、ドッツィは視界の隅で確認していた。
誘き出されてきたジムⅡ隊長機を確実に狙撃できる位置まで、それとない動作で姿勢を変えたリック・ドムが密かに前進してきていることを。
すべての配置が狙いにはまったその瞬間、くわぁ、と限界まで目を見開いてドッツィ・タールネンは僚機へ叫んだ。
『今やぁ! イーデン、撃てぇぇぇ!!』
『応!!』
リック・ドムの生き残っていたジャイアント・バズが、機体各所のミサイルランチャーが、すべて一気に火を噴いた。
残存火力を振り絞って瞬間的に生じた火力は、まさに弾幕と呼ぶに相応しい。回避の余裕も与えない近距離から、実に合計十発近いバズーカ砲弾とミサイルの嵐がマコト・ハヤカワ准尉のジムⅡ22を包み込むように襲いかかる。
直後、大爆発の連鎖が生じた。
『タマ殺(と)ったぁぁぁあああ!!』
「そんな!? ハヤカワ准尉ぃぃぃっ!!」
勝利を確信したドッツィの狂ったような哄笑に、アイネの悲鳴がつんざくように被さってくる。
『あ……っ、隊長……?』
『マジか!? マジかよマコっちゃん!!』
慌てふためいたロブのジムⅡ24がビームの光弾をリック・ドムへ放つが、ミサイルを撃ち尽くして身軽になったリック・ドムは素早い動きで直撃を避ける。すかさずジャイアント・バズを撃ち返して、シュンとロブとを下がらせた。
『これでええ! これで一事が万事で全部ヨシ、やわぁ!!』
ドッツィはザクⅡの小脇に胴体だけのドラッツェを抱え、一目散に離脱しようと反転した。
確かに当初の目的であった、貨物船や警備会社MSの鹵獲は失敗した。それどころかMS隊に壊滅的な大損害まで受けてしまった。
だが、ジオン残党の活動に対してここまで積極的に介入してくる連邦軍の部隊があり、そのエース格のパイロットを仕留めたとあれば、これはまさしく大金星だ。
戦闘記録とともにこの功績を持って帰れば、MSの修理や代替機の配備はおろか、さらなる報償や組織における地位向上さえ夢ではない。
『見とれやあのクソガキども!! 誰がホンマにワシらルスラン・フリートのエースなんか、骨身に教えたるっ! ケツの穴に手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタ言わしたるわ!!』
躁状態で喚くドッツィが最初に切り結んだジムⅡはビームライフルを構えたままだが、撃ってくる様子がない。人質に取ったままのボールの盾が効いているのか、隊長機を落とされたショックが大きすぎたか。
やはり残る三機は隊長一人に頼りっきりの雑魚と見た。あとはこのまま母艦まで逃げ切る。それだけでいい。
『あとはもうええ!! 長居は無用や、下がるで! イーデン、デティ!! ――イーデン?』
二機のジムⅡを牽制していたリック・ドムの喉元から、ビームサーベルの刃が、にょきっ、と生えていた。
剣状のIフィールド内に固定成形されたメガ粒子の奔流は、そのまま滑るように横へ動いた。リック・ドムの頭部と残る左腕を斬り落としながら、機体の外へ飛び出していく。
『!? な、なんやこいつはっ!?』
両腕とジャイアント・バズのすべてを失い、ミサイルも撃ち尽くしていたリック・ドムは、振り向きざまに牽制用の胸部拡散ビーム砲を放つ。
だが叩きつけるように来たシールドの打突が、低出力ビームを深い角度で跳ね散らしながらビーム砲基部を叩き潰しつつ、コクピットハッチをも強打する。
『ごぷ』
冷静沈着なそのパイロットが短い悲鳴を上げたきり、リック・ドムはシールド打撃に突き上げられたまま、両脚を膝から斬り落とされる。
機体装甲表面のそこかしこは弾片に穿たれ、塗装も焦げついている。シールドは何カ所もの穴を開けられ、溶け曲がってもはや原型を保っていない。
だが、マコト・ハヤカワ准尉のジムⅡ22はほとんど五体満足のままで爆炎を突き破って、リック・ドムを背後からの奇襲で瞬時に無力化していた。
『隊長!』
『マコっちゃん!?』
『准尉、……ハヤカワ准尉っ!! ご無事で!』
『アホな!? なんでや! なんでや!! あの距離で、あの弾幕で、避ける間もなくブチ込まれといてっ!! ガンダムならともかく!! そんなんジムⅡごときの装甲で、保つわけないやろっ!!』
『25!』
「はいッ!!」
『!!』
ドッツィが振り向いた瞬間、目の前には抜刀しながら急接近するアイネのジムⅡ25。光熱の斬撃が残る右腕をヒートホークごと払い落とすと、捕らえていたボールが機体から離れていった。
「人質、返してもらいますっ!」
『げぶっ!?』
もはや傍らのドラッツェと同じく、頭部と胴体だけとなって武装一切を失ったザクⅡに、アイネはシールド突きを叩き込んだ。
「よくも人質を! よくも准尉をっ!!」
『ぼっ、ぼうやべで、ばぶう』
ボールを奪い返したアイネがさらに60ミリバルカン砲を撃ち込むと、連続で被弾したザクⅡのモノアイグラスが割れ、さらに頭部がポップコーンのように弾け飛ぶ。
ドッツィは四〇前にもなって十八のアイネにフルボッコにされて、エアバッグに顔を突っ込んで悲惨に呻いた。
『もういい、やめろ25。生け捕りに出来なくなる!』
『あっ、准尉――准尉! 准尉、よく……よくご無事でっ!』
『私は悪運が強いからな。なかなか死ねないようになっているんだ』
互いに生身でいれば、間違いなく人目もはばからずに抱きついてきていただろう新たな部下からの涙声に、マコトはどこか冷たさすらも感じさせる乾いた声色で答えた。
『今度こそ、敵機は完全に無力化した。あとはワイヤーで拘束してトラキアに回収する。警備会社MS隊の救難支援と、リバティ115への連絡を――』
だが後方から接近してきているはずの母艦に通信を入れようとして、マコトはそれが通らないことに気づいた。振り向けばトラキアの艦影そのものは健在で、確かにこちらへ向かってきているのだが。
そのとき四機のモニターに生じた警告表示が、ジムⅡ隊を一斉に機動させていた。
『警告:高エネルギー反応』
「なっ!?」
そして戦闘宙域へ飛来してきたのは、MS級の領域をはるかに超えた大出力のメガ粒子。それも一発だけでなく数発が立て続けに、宙域を洗い流すように突き抜けていく。
「艦砲射撃!?」
『砲雷長がトチ狂ったか!? なんで今頃トラキアが撃ってくるんだよ!』
『なんだこれ!? いつの間にか、ミノフスキー粒子濃度が跳ね上がってる! トラキアとの通信が確保できません!』
『各機、落ち着け。これはトラキアからの砲撃ではない』
「トラキアじゃない? じゃあジオン残党の母艦!?」
しかし自らジムⅡの頭部センサー群を向けて砲撃の来た方向を辿ったとき、アイネは息を呑んだ。
「連邦の艦……友軍から!?」
その艦からの識別信号は紛れもなく、地球連邦宇宙軍への所属を示している。
望遠すればその艦容もサラミス、マゼランといった連邦軍の標準的航宙戦闘艦艇の意匠を踏襲してはいるが、アイネが知るどの既存艦級とも異なるものだ。
マゼラン改級戦艦をも凌ぐ大型の艦体には、前方へ向けて左右に独立した二本のMSカタパルトが配されている。そこから次々と出撃してくるのも、ジム系と思しきMS。
だが甲板上に居並ぶ多数のメガ粒子砲塔は、なおもこちらへ指向されたままだ。
「MSが来る……!?」
そして大型艦から発進してきた二個小隊のMSに、アイネは戸惑いながらうめく。
『な、なんだ……なんだ、こいつら……。敵なのか? 味方なのか……?』
『全機、ジオン残党MSを中心にして全周防御陣形! 警戒態勢は解くな。だが、決してこちらから手は出すな!』
『りょ、了解!』
マコトの号令一下、四機のジムⅡがそれぞれ別方向に武装を向け、全体としては前進してくるトラキアとの合流を図るように少しずつ移動する。
「以前の情報にあった、アイリッシュ級……とかいうやつか。月資本系企業がMS運用能力の向上を主眼に開発した、次世代型戦艦。地球圏の大勢に影響することもないこんな辺境に、新型艦を出してきただと……」
通信回線を閉じたコクピット内で、マコトは忌々しげにその艦影と、彼女たちを牽制するように動いてくるモスグリーン塗装のMS隊を睨みつける。
「どういうつもりだ……エゥーゴ」