※この作品はR-18です。

とある魔女の性癖被虐譚   作:ポムポム

1 / 3
プロローグ

 

 

 

「はぁ……。こんな依頼、受けるんじゃ無かったですねぇ〜」

 

 鬱蒼と生い茂るとある森の中。

 その場所で凛とした声が響き渡る。だが、その声音とは裏腹に些か落胆が籠っていた。

 

「『ワーズマン盗賊団』、でしたか……。ギルドの依頼だとランクはAとなっていたのですが、とんだ期待外れでした」

 

 樹々の葉を揺らす風に流され銀色の長い髪を靡かせる。魔女を思わせる黒いローブをその身に纏い、白みを帯びた顔の蒼い双眸が見下ろす先には依頼書の文字列。

 『ワーズマン盗賊団』と呼ばれる徒党を組んだ盗賊達の討伐依頼。ランクはA。それは腕利きの冒険者や傭兵、或いは国が抱える兵士と言った部隊が対応して然るべき難易度。

 

「……寧ろ依頼を出していたあのギルドの能力がその程度だったの間違いかも知れませんね」

 

 彼女はそう言いながら腰掛けていた盗賊達で積み上げた人の山から跳び降りる。この盗賊団は30人規模の徒党であり、長年この近辺を縄張りにして荒らしていた者達であったが、彼女1人により鎮圧されていた。

 

「……それにしても、彼らの装備はそれなりに良い代物ですね。……各人の装備品がバラバラな点から略奪を繰り返して得たモノでしょうね」

 

 30人規模であり、それなりに盗賊稼業は成り立っていたと思われる。

 そんじょそこらの冒険者や傭兵では苦戦する事が予想される。……が、そんな者達よりも遥かに華奢な筈の彼女の敵にはなれず、数秒持たずに一掃されてしまった。

 

「……此の儘、丸ごと火葬して灰にし、証拠品をギルドに提出すれば依頼完了……となるのですが」

 

 盗賊達を積み上げた山。一掃したが、殺しては居ない。適当に加減をして気絶させたに過ぎない。此の儘、殺しては彼らの身分証明となるモノを依頼を出したギルドに提出すれば依頼は完了となる。だが、彼女はそれではつまらないと考えていた。

 

「……此処まで私を失望させてくれたのですから、その身尽きるまで、私の『趣味』に付き合って貰いましょうか。そもそも盗賊団が1つ消えようが誰も気にしませんし」

 

 彼女は気絶している盗賊達を前に返答が返ってくる事も無い言葉を投げつける。その目は半目であると同時に黒い欲望が渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます。シノア・クゥーレイルさん。コレでこの周辺は暫くは安全になるでしょう。貴方が偶々、この町に来て下さって助かりました」

 

 その後、討伐依頼を提示していたギルドに『ワーズマン盗賊団』の頭目の所持品をギルドの職員に証拠品として提出し依頼の完了手続きを終わらせた。

 

「まぁ、小遣い稼ぎみたいなモノですからね。何かとお金は必要ですので」

 

 シノア・クゥーレイル。

 それが彼女の名前であった。銀色の髪に少々大きめの黒いローブを羽織った、如何にも『魔女』の格好をした華奢な体躯の少女であった。

 だが、その少女は世界有数の魔術師学校を飛び級かつ首席で卒業した天才的な天賦を持つ魔術師。その才覚故に『天稟』と言った異名を贈られる程で、界隈では一躍有名となった。

 

 各国から宮廷魔術師としての勧誘が来る程の逸材と見做されているのだが、本人はその誘いを丁重に断り続けており、一定の居住地を持たずに各地を放浪し冒険者や傭兵と同じくギルドから依頼を介して報酬を得るフリーの魔術師として自由気ままな生活を送っていた。

 

「それで、他に何か面白い依頼とか情報はありませんかね?」

 

「他に面白い、ですか……」

 

 天才と変人は紙一重と言う言葉がある。天才は凡人とは認識が異なり世界が変わって見えると言う。

 

「魔物の討伐やら、護衛任務じゃなくて……遺跡とかの調査任務が良いですね。危険な為に人が寄り付かないとか、そう言うのありませんか?」

 

「調べてみますので少し待ってて下さい」

 

 職員はそう言い、受付所から離れて隣の部屋に消えていく。依頼書の類を探しに行ったのだろう。

 

「…………」

 

 暫く待つ事、数分。先程の職員が戻って来た。

 

「お待たせしました。えーと、この地域周辺からの辺境にある古城があります。

 遠い過去、とある辺境伯の居城だったのですが、流行病で城主は病死した後、そのまま放置されました」

 

「古城……ですか」

 

 その言葉にシノアは興味を惹かれた。自身の趣味にとっては実に都合の良い舞台であると、考えたからだ。

 

「はい。時が経ち、今となってはどうなっているのか分かりません。ギルドとしては人員の人手不足や実力不足故に調査が進んでおらず、どの様な魔物が潜んでいるのか分からない状態なんです」

 

「その場所、詳しく教えて貰えませんか?」

 

「っ‼︎ ありがとうございます。すぐに地図を用意しますので‼︎」

 

 ギルドの職員としては渡りに船だったのだろう事が容易に予想出来た。最もあの程度の盗賊団に悩まされていた時点で察して然るべきだったのだろう。その後、地図を用意して貰い場所の確認をして諸々の準備をしてから目的地である古城へと向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。