「はっ!せやあっ!」
「ぷぎぃぃぃ…」
「うぉぉぉぉ!ルーシェ隊長に続けぇぇぇぇ!」
「いや、あの人1人でいいんじゃないか?」
「言ってやるなよ、惚れた女には良いところ見せたいもんだろ?」
「気持ちは分かるけど…もうモンスターいないぞ?」
「うーわ、さっすが隊長。」
10体はいたモンスター達はいつの間にか地面に夥しい血痕を残して消滅していた、それを成し遂げたのがうら若き美女というのだから驚きだ。
「そこの2人、私が粗方倒したとはいえ潜んでいるモンスターがいるかもしれないのだから警戒は解かないように。私達騎士に失敗は許されない」
部下を叱責する様子には若さゆえの未熟さや傲慢さを感じられず剣のように尖った雰囲気が漂っていた。
「ルーシェ隊長!付近は概ね確認致しました!モンスターは恐らくいないと思われます!」
「分かったわ、ありがとうルクス。…私は先に報告に戻ります、貴方達もルクス任せにせずに周囲を探索して生き残りが居ないか確認して帰投するように」
そう言い残してルーシェは部下を残して立ち去って行った
「はいはい…ったく実力はあっても可愛げはねぇなぁ…ありゃ嫁の貰い手に苦労…っ痛!何すんだ!ルクス!」
「くだらない事を言う暇があったら仕事をこなすぞ!隊長の下で働ける幸福をもっと噛み締めろ!」
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王都に戻ってきたルーシェは報告の為に王城内の執務室にいた
「以上が任務の詳細だ、何か不明点はあるだろうか?アルテアさん」
「いえ、特にありません。貴方が討ち漏らすとも思えませんし、手勢の者を暫く巡回させる程度で事後処理も大丈夫でしょう。ですが…報告に早く来るのは結構ですが報告書もきちんと出すようにお願い致します。」
「んぐっ…善処は…する…」
(この人の事は苦手だ…)
ルーシェはアルテアのことがあまり好きでは無かった、とにかく細かい事や礼儀作法に五月蝿いし、口を開けば嫌味ばかりだ。そして何より
「今何か失礼な事を考えていませんか?」
「いや!そんなことは無いぞ!」
この全てを見透かす様な洞察力、心の奥底まで見抜かれているようで話しているとなんだか背筋がゾクゾクしてしまうのだ。
(まぁそれもしょうがないか…)
ルーシェは詳しくは知らないがアルテアは有能なのは勿論それ以上に遠慮が無いらしい、王宮内の政治に関わりながらも財務を初めとしてありとあらゆる仕事の頂点に立っている。
その権力を遺憾無く発揮して不正を暴こうものなら例え貴族でもあっても容赦なく処罰することから大層嫌われているとか
(噂では実は凄腕の実力者で潜入任務も自分でこなすらしいけど本当なのだろうか?)
「こちらの話に集中して頂いてもよろしいですか?帰って早々ですがまた任務に出てもらいます」
「また任務か?」
「えぇ…それも少々厄介なものになります、今から説明致しますね」
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「成程…要するに最近妙に発展し続けてる街があるからそこに潜入調査をして欲しいという事か…それなら私じゃない方がいいんじゃないか?」
「私も最初はそう思っていたのですがね、先行して送っていた私の部下の者から魔族の気配ありという報告が送られてきたのですよ。魔族と戦える実力者は少ないですし若い女性でしかも美女となれば警戒もされにくくなります。」
「び…美女と言われると……照れるな…」
整った顔立ちにスラリとしたモデルの様な体型
それらの要素は有利に働くことをアルテリアはよく知っていた。
「はぁっ…その単純さは少し心配ですがメインの調査は私の部下がやりますのであなたの仕事はそこまで多くありません、万が一の備えです。」
「そうなのか、分かった、このルーシェが引き受けよう!」
「ありがとうございます、では行きの馬車を手配致しますね。街に入ったらリオという女性を探してください。」
そう言って1枚の写真を渡される、綺麗な水色の髪をポニーテールに纏めたそこには活発そうな女の子が写っていた。
「リオだな、分かった。では準備をしてくる!」
そう言ってルーシェは執務室を出ていった、これがアルテアが見たまともなルーシェの最期の姿だった