週明けの月曜日。いつも通りに、大学の受験対策を念頭に置いた授業を受け、昼休みは、西城君と中庭で、楽しく昼食。午後は、ウチの苦手科目の理系教科が中心の授業を受けて、やっと放課後になった。µ’sでは、月曜日と金曜日は必ず、ミーティングを行うのが規定になっている。
ミーティングの内容はと言うと、先週の土曜、埼玉スタジアムでのライブに向けた模擬練習(西城君も態々来てくれた)の時に、彼が提案してくれた「ラブライブµ’sと、ケルト音楽との共演案の是非」を問う議論会を行うのだ。もしメンバー9人中、過半数の3分の2に当たる6人が反対すれば、その案は否決される。今日のミーティングの進行役は、海未ちゃんが務める。
海未「では、ミーティングを行います。今回の議題は、京汰君が先週の土曜日に、埼玉スタジアムでの模擬練習の時に、彼が提案してくれた「スクールアイドルと、ケルト音楽との共演案の是非について」です。何かしら意見があれば、挙手をお願いします。」
海未ちゃんが、「意見がある方は挙手をした後、述べて下さい」と促す。
この案に賛成したメンバーは、真姫ちゃん、凛ちゃん、エリち、ウチ、穂乃果ちゃん、花陽ちゃん。基本的に、西城君に好意を寄せるメンツが揃っている。海未ちゃんに関しては、最初は慎重的な立場を示していたが、穂乃果ちゃんが頑張って説得したそう。結果的に、後から賛成側の立場を示したそうだ。
賛成側の意見を述べる代表者は、ウチ。個人的には、穂乃果ちゃんでも良かった気がするけど。でもそんな事は、言いっこなしやな。
希「西城君が提案した「ラブライブµ’sとケルト音楽の共演」に、ウチは賛成するで。何故なら、今回のライブ会場の埼玉スタジアムに大人数が来る訳だから、中にはラブライブの事自体を知らずに、初めて来る人もいるという観点で考えた時に、初めての人向けに、ケルト音楽で盛り上がってもらいつつ、ラブライブに親しんでもらおうというのが、目的やで。」
真姫ちゃん、凛ちゃんなどの過半数を超えるメンバーが首を縦に振り、「そうそう」と頷いている。でも当然、反対派がいた。ことりちゃんと、にこっちである。反対派の意見代表者はやはり、にこっち。
矢澤「ケルト音楽?訳の解らぬ音楽を取り入れて、どうするのよ!私達、スクールアイドルの意味が無くなっちゃうじゃないの!初めて来る人達にも、何のライブか逆に解らなかなっちゃうでしょ!その案、撤回を求めるわ!」
厄介な事に、にこっちは、反対派の中でも強硬派。続いて、ことりちゃんも口を開く。
ことり「あまり厳しくは言わないけど、何故、私が反対したかと言うと、ケルト音楽って、1人で出来るものでは無いこと、バンドを結成しなければいけないなどの観点があるからだよ。京汰は、その辺の事を考えて言ったのかな?」
確かに、ことりちゃんの理論は、いい所をついている。楽器が、幾つも重なり合ってこそのケルト音楽だからだ。仮に、反対派を無理やり押さえつけて、実現すれば、「数勝りで成立した強行案」と言われてしまうだろう。そうならないようにする為には、やはり、賛成・反対派の両方が「それなら、納得だね」と言うまで、議論をするのが賢明だ。
ことりちゃん曰く、「ケルト音楽をやるにあたって、メンバーとかどうするの?」と言った点が気になるようだ。この点についての、質疑応答をエリちが答える。
絵里「西城君と、彼に繋がりのある友人で組むと思うわよ。じゃぁ、彼に来てもらいましょうか。」
矢澤「その方が話が早いわ。彼がどう考えているか、直接聞く方が効率的ね。」
反対派のにこっちも、これには同意見。という事で、重要参考人の西城君をエリちが、スマホで呼び出した。
ガラガラ
西城「失礼します。西城です。って、こ、これは!?!?」
µ’s全員が席に座ってお出迎え状態。これには、流石の西城君も、びっくり仰天する。
絵里「先週の土曜日、埼玉スタジアムの模擬練習した時、西城君が提案してくれた「ケルト音楽との共演案」の是非について、今、議論を行っているの。そこで、納得していない反対派への説明と質疑応答が目的で、発案の重要参考人として、貴方を呼んだ訳なんだけど。」
西城「成程。反対派がいる訳か。で、反対派は誰なんだ?」
エリちの呼び出しに、クールに答える西城君。その眼差しは、まるでSAOのキ〇トのように、キリッと真剣そのもの。賛成派は、そんな彼の眼差しに釘付け状態。凛ちゃん、真姫ちゃん、穂乃果ちゃんは特に目からハートが出ている。
矢澤「まぁ、それはいいとして。(`д´;)西城君!あんた、この案についての説明をもう一度して!」
にこっちから、説明を求められた西城君。彼は、ホワイトボードを使って、丁寧に説明をする。
西城「今回のラブライブの公演は、埼玉スタジアムが開催場所でしょ?そんな大きい会場に、大人数が来る訳だから、中にはラブライブの事自体を知らなくて、初めて来る人もいると思う。そこまでは、解るよね?」
希「せやな。」
矢澤「そこまでは、私でも解るわよ。」
ここまでは、賛成と反対の両方の代表者が、首を縦に振って、納得する。
西城「そこでなんだけど、ラブライブの事自体を知らない人達の事を考えて、「ケルト音楽との共演」を発案した訳。目的は、少しでもケルト音楽を交えて盛り上がりながら、ラブライブ µ’s スクールアイドルの事を知ってもらおうと言う試みだよ。どうやって実現をするかと言ったら、俺の友達の3〜4人くらいで、バンドを結成する。とは言っても、正式にやるのは「ケルト音楽風」だ。エレキギター、ドラム、ハープ、フルートという楽器構成でね。あとはµ’sの中で一番歌が上手い人に、コーラスをやって欲しいと考えているんだけどね。」
彼からの説明を受けた、にこっちはと言うと、さっきの強硬姿勢から一転。少し、西城君に歩み寄る立場を示した。
矢澤「ケルト音楽で盛り上がりながら、私達、スクールアイドルの事を知ってもらおうという試みなのね。」
西城「そうだよ。矢澤は、この案を何だと思ってたんだよ。」
矢澤「私達、µ’s スクールアイドルに対する、邪悪な案だと思ってたわ。」
にこっち。それはあまりにも、西城君に失礼やで。「邪悪な案」扱いしたら、彼を敵に回す事になるやろ。それで苦しむのは、にこっち自身だという事を忘れないでや。
にこっちから「邪悪な案」と言われても、西城君は一切、感情的にならず、冷静且つ、理論を立てて話を進めている。流石、ウチの理想の彼氏やん♡
西城「矢澤の考えだと、俺が提案した「ケルト音楽」という訳の解らぬ音楽文化に乗っ取られるのではないかと懸念したから「邪悪な案」と考えて、反対したんだな。そうだろ?」
矢澤「理解が早くて助かるわね。そうよ。「ケルト音楽」と言う私達、スクールアイドルに普段から関わりが無い音楽を取り入れて、何になるのよと思って反対したのが正論ね。でも、あんたの説明を聞いて、目的、方法がしっかり考え込まれた案だと改めて、考え直したわ。だから、この案は成立で良いんじゃない?ことりは、どうなのよ?」
ことり「ことりも、にこちゃんと同様、成立でいいと思う。ここまで、しっかり考え込まれているのは京汰の案が初めてだよ。」
最初のうちは、反対派の猛攻に遭ったものの、西城君本人が一からしっかり説明をした事で、無事、賛成派と反対派のお互いが納得して終わった。
海未「では、京汰君の「ケルト音楽との共演案」は可決と致します。次に、この案の関連で決めていただだきたいものがあります。それは、誰がケルト音楽のコーラスの担当をするかと言うことです。」
あっ。それな。確かに、西城君言ってたやん。「µ’sの中で一番歌が上手い人に、コーラスをやって欲しいと考えているんだけどね。」と。
誰が一番歌が上手いんやろ?ウチはあまり、人によっては上手くないと評価がされてるしな。
矢澤「一番歌が上手そうなのは、マッキーか、絵里ね。」
パソコンで歌の上手いランキングのデータを見て、そう言う、にこっち。
真姫「ちょっ、にこちゃん!私が歌上手い訳無いでしょ!///」
絵里「真姫、落ち着きなさい。あくまで、それはデータよ。」
突然、凛ちゃんが動いた。
凛「西城君は、スクールアイドルの中で、誰がケルト音楽のコーラスの担当に相応しいかにゃ?」
何と、凛ちゃん。西城君に誰がケルト音楽のコーラスの担当に相応しいか、聞いたのだ。果たして、彼は解るだろうか?
西城「俺的には、希が適任かな。だって、自分の彼女の声が、誰よりも美しく感じるからな。(๑•̀ᴗ- )✩」
絵里「良かったわね。彼氏からの直々のご指名よ。」
希「えっ!?西城君!?!?ウチなんかでええの!?!?」
西城「あぁ。むしろ、希にやって欲しい。副会長としてではなく、俺の彼女としてな。(。 ー`ωー´) キラン☆」
希「西城君…///もう、本当にズルいやん///そんな事を言われてしまったら、断り切れへんやろ〜///」
ウチは、ホワイトボードの傍に立っている西城君に、股ドンをしようと試みるが、西城君が「今、ミーティングである事を忘れてはいけない」と言わんばかり、ウチを必死に押し戻す。
西城「ちょっ、希!イチャイチャは、後でな!Σ(;゚ω゚ノ)ノ」
希「むぅ///西城君のイジワル…///」
ここで、にこっちが西城君にツッコミを入れる。
矢澤「ねぇ、あんた!希と付き合ってるの!?!?」
西城「あぁ、そうだが?」
矢澤「アイドルは恋愛禁止なのよ!発覚したらどうする気なのよ!?!?」
西城「もし発覚したら、愛しい希と南国で楽しく暮らすのさ。(。-∀-)ニヤリ」
そんな事を言われたら、恥ずかし過ぎるやろ!!しかも、イヤらしい笑顔で!///(⸝⸝>□<)<キャ~ッ♡ウチは顔を真っ赤に染めて、両手で覆い隠す。
矢澤「でかい夢だな!」
西城「それより矢澤。あんたの夢は?」
矢澤「恋愛禁止条例を固める事ね!この宇宙一可愛いアイドルのにこにーが絶対に定めてやるんだから!」
誇らしげに、胸を張って堂々と言う、にこっちだったが…。早速、西城君からのダメ出しが飛ぶ。
西城「コホン。あんたがやろうとしているのは、江戸時代の鎖国政策と一緒だぞ。そして早速、ダメ出しな。」
ビシッ!!
矢澤「ちょっと、あんた!私に何すんのよーっ!痛いじゃない!」
西城君のデコピンを含むツッコミに、にこっち以外のメンバー全員が笑い始め、やがて、部室が笑いの嵐と化した。これで、ケルト音楽との共演案が通ったし、ケルト音楽のコーラスの担当も決まった。ウチがやる事になるなんて、思ってもいなかったやで。まぁ、これはこれで良かったかも。
そして、ミーティングは終了。時間は午後7時半を過ぎていた。ウチは、西城君と共に部室を出て、学校を下校する。結構遅くなってしもうたな。下校の途中、彼は、ウチのアパートに5日くらい泊まると言い出した。ウチとしては、大歓迎や。好きな人と一緒に過ごせると思ったらな。今日は、有意義なミーティングで本当に良かった。彼が一からしっかり、反対派に対して、詳しい説明を一つ一つ丁寧にやったお陰やな。やはり、こういう議論は彼がいないと、ダメな気がするんよ。彼の説得力と言うか、説明力に、改めて見直したウチであった。
fin.