TS淫魔は、魔法少女の悪堕ちを所望する。 作:TSすこすこ侍
目覚まし時計が鳴る数分前、小柄な女の子が僕の寝るベッドに飛び込んでくる。
布団越しに僕の下腹部に跨って、僕の寝起き直後の顔を覗き込むのは、僕の三人居る妹の一人。褐色肌の彼女は「兄ちゃん!」と快活な声を発する口元から覗かせる八重歯、満面の笑顔に当てられた僕もまた困った風に笑顔を返す。彼女の名前はひなた、半分だけ血の繋がりのある腹違いの妹である。三日に一度、週に二度の頻度で起こしに来るので目覚めた時に妹の顔があるのも慣れたものだ。
とりあえず僕を馬乗りにする彼女に「どいてくれない?」と問い掛ける。
「ん~?」と彼女は焦らすように考える素振りを見せる。
そして「やだ」と挑発的に僕の事を見下して、両手を僕の胸元に乗せて腰を前後に揺らす。思春期の妹は、僕が高校生に入学した頃を境に、僕を誘惑する行動が目立つようになる。好意を向けられるのは嬉しいのだけど、そこに性愛が加わるのであれば話は別。妹を性欲の対象として見れない僕の逸物は、彼女の少し無理をした刺激程度で勃つこともない。少し息を荒くする妹の両手首を掴んで、ゆっくりと上半身を起こす。
少し息を荒くした妹を立たせてやると、ショーツを履いた妹の下腹部が僕の鼻先に触れる。
「あっ、兄ちゃん。ごめんなのだ」
僕を見下す妹に反省の色はなかった。
クスクスと笑う妹の履いているショーツは、タイツのように透けており、薄っすらと陰毛が生えているのを確認できる。少し湿り気のあるショーツから顔を逸らして「ほら、さっさとどいて」と澄まし顔で答える。
中学生まで妹の願いで一緒に風呂に入っていたのだ。二人で入るには小さな浴槽に身体を密着させていた頃に比べれば、妹の裸程度どうということはない。
妹は、渋々と僕の上から身体をどかして少し困った風に小さく零す。
「兄ちゃんって本当に男なのか?」
妹の疑問に、僕は曖昧に笑うだけで誤魔化した。
パジャマ姿から着替える最中も、何故か妹は部屋に居座り続けている。
「私の身体って魅力がないのかな~?」と薄手のTシャツにショーツ姿の妹が、僕のベットの上で自分の胸を軽く揉んでいた。ジトッとした目で妹を睨んでやれば、襟ぐりに人差し指を引っかけて、ぐいっと引っ張り下げてみせる。山とは呼べない丘程度の胸の先端に付いた桃色の蕾を覗かせる。口から舌先をチロリと出した精一杯の誘惑を受けるも、幼稚園の時から同じ屋根の下で暮らしている妹の乳首を見せつけられたところで興奮するはずもなかった。
不服そうに口先を尖らせる妹の頭を軽く撫でてやり、朝食の準備をする為に部屋を出る。
僕は男なのか、という疑問。その返答は、極めて怪しいと言わざるを得ない。
何故ならば、僕は今、男性としての機能を失っているも同然の状態にあるからだ。
部屋を出る。横から抱き付く妹が転ばないように、片手で支えながら階段を下りる。
一緒にトイレの中まで付いてこようとする妹を追い出して用を足した後、洗面台で軽く身嗜みを整えてから朝食の準備に取り掛かる。今日は休日で、妹は透けたショーツのまま短パンを履いている。手に取ったリモコンで妹がテレビを点ける。丁度、ニュースが始まる時間だ。
僕は、薄く油を敷いたフライパンに卵を落とし、頃合いを見計らって少量の水を入れる。
「被害者はなく、建造物の被害が少々。現場に駆け付けた魔法少女プリメロマンナが怪人を撃退したことが確認されています」
ジュウジュウと沸騰する水に蓋を被せる。
今日のニュースは昨晩、発生した怪人による襲撃について取り扱っているようだ。大体、週に一度か二度の頻度で襲撃してくる怪人を魔法少女と呼ばれる正義の味方が撃退する。ひなたが興味深く魔法少女関連の報道に目を通す中、ダイニングキッチンに同じ屋根の下で生活を営んでいる妹達が次から次に姿を現した。
先ず最初に顔を見せたのは、ボサッとした金色の長い髪の妹。名前は純香、攻撃的にも見える切れ長の目も寝起き直後では鳴りを潜めている。彼女は、僕とひなたを一瞥した後の軽い会釈と共に洗面所へと赴いた。彼女は、父親の再婚相手の連れ子であり、僕が認知する三人の妹の中だと唯一、血が繋がっていない。
純香が寝癖を整えている間、出来上がった朝食を机に並べていると部屋の外から足音が聞こえてくる。
「おはよう、兄さん。ひなた」
「おはよ」
「おはようだ!」
栗色の長い髪の妹の挨拶を受けて、僕とひなたが返事をする。
彼女の名前は茜。僕が認知する三人の妹の中で唯一、完全に血が繋がっている妹だ。学校だと品行方正で文武両道の優等生として知られており、生徒会にも所属している。何処か抜けている僕と違って、何処に出しても恥ずかしくない妹である。
そして、あと一人分の足音。僕が認知していない自称妹がダイニングキッチンに姿を現す。
「うむ、時間はバッチリじゃな! 目玉焼きに味噌汁、ザ☆日本の朝餉と言った感じで実に良い!!」
発育の良い体躯に桃色の髪をした彼女の名前はリリス、諸悪の根源である。
◇
小鳥遊リリス。彼女は淫魔であり、夢魔でもある悪魔である。
そして世間様を騒がせる悪の組織の首魁でもある。同じ屋根の下で過ごしているのは「独り暮らしをする時の炊事に洗濯、掃除と面倒ではないか」との事で、妹三人に認識改変の魔法を掛けて家の一室を占拠してしまった。
僕には、彼女に逆らえない理由がある。
朝食を摂った後、他の妹達には聞こえないように「逢引じゃ」とリリスに耳打ちされた僕は、簡単に食器を後片付けを終えてから家を出る。庭にある物置の鍵を開けて一度、中に入った後、引き戸を閉めてから左手の薬指に指輪を嵌める。そして引き戸に手を翳してやれば、外の光の差し込まない暗闇の中、指輪の宝石が赤く輝きを放った。指輪に反応した引き戸に魔法陣が展開されるのを確認し、僕は改めて引き戸を開いた。
すると物置の外は、入って来た時とは別の空間に繋げられる。
四方をコンクリートに覆われた何処かの一室。ほとんど手が付けられていない部屋の中で唯一、持ち込まれた粗大ゴミ置き場のソファで寛ぐのは悪魔リリス。ユニ〇ロで買い揃えた普段着とは違って、今の彼女は逆バニーにバニースーツを掛け合わせたような衣装に身を包んでいる。
彼女は、淫魔を関するに相応しい蠱惑的な笑みで僕を手招きする。
僕には、彼女に逆らえない理由がある。
生涯を賭しても払い切れない程の大恩の見返りとして、僕は彼女と契約を交わした。それは魂の契約、生前死後問わず、僕の存在は彼女に捧げられている。彼女には目的があり、目的を果たす為に悪の組織を立ち上げた。そして僕は悪の組織の一員として、彼女の企てる悪事に手を貸しているのである。とはいえだ。ソファ以外に何もない伽藍洞の部屋を見て分かるようにリリスの起ち上げた組織は結成間もなく、僕以外では、組織に所属する人手すらいない有様である。
「私には良い考えがある」と人差し指を立てる御主人様に一抹の不安を覚えつつも、反対する権利を持たない僕は彼女の意見に賛同する他になかった。
「眷属、先ずは変身してみせるのじゃ。やり方は覚えておるな?」
僕は、気が乗らずとも左薬指に嵌めた指輪を翳し、赤い宝石に唇で触れる。
チュッと小さな音を鳴らせば、宝石は強い光を発して僕の身体を包み込んだ。魔法少女のシステムを流用した、と御主人様が説明する変身方法。着ていた衣服が消失し、晒した裸体もまた宝石の光に包み込まれる。全身の肉体が作り替えられる感覚。痛みはない、だけど骨格から作り替えられる感覚は気分の良いものではなかった。元から小柄な身体が更に小さく縮んで、股間に映えていたはずの陰茎が豆粒ほどの大きさに縮小される。肢体は丸みを帯びて、胸元に微かな膨らみ。くびれの付いた腰にポッコリと膨らんだお腹に刻まれる淫紋的な何か。下腹部に熱い何かを感じ取り、男にはない機能が肉体に備わるのを感じ取る。
全身の肌感覚が敏感になるのを感じて、思わず自分の身体を抱き締める。
肉体改造を終えても変身は止まらず、新しく生成させる衣装が全身を締め付けた。ガーターベルトをモチーフに組み込んだボンテージ。レオタードにも、水着にも取れるデザインで淫紋が刻まれたお腹は晒されている。少しキツめの首輪に嗚咽を零し、手足に鎖のない手錠が嵌められる。背中から蝙蝠の翼が生えて、口には性器を啜る為の牙を備える。
最後は悪魔の尻尾、眼前に生成されるプラグ付きの尻尾を見て、僕は口元を引き攣らせる。
魔法少女には、力の源となるアイテムが存在する。
感情がダイレクトで力になる魔法少女は、胸元の宝石だったり、髪飾りが特別なアイテムになっている事が多い。
僕の場合は、この悪魔の尻尾である。
淫魔であるリリス様の根源は子宮にあり、男のままでは都合が悪いので変身時に僕の肉体を女性に作り替える。そして、僕がまだ処女なので、膣は犯さず、力を注ぎ込む為にプラグ付きの尻尾を尻穴に嵌める方法を取る事を彼女は思い付いた。
鎖のない首輪と手錠が光を発し、前屈みになった姿勢で僕の身体を固定する。
突き出した尻に触れる、ぬるりとした冷たい感触。僕が覚悟を決めるその前に「お゛っ♡」と汚らしい嗚咽と共にズチュリと尻尾プラグが差し込まれた。お尻の穴が大きく広がり、一気に閉じる不思議な感覚。まだ慣れない下腹部の異物感に荒い息を零す。まだ開発を始めて数日、力の貸与はプラグのサイズに比例すると御主人様は仰られていた。最終的には、腸液で溶ける固形状のゼリーを差し込んだ後、腸を埋め尽くすプラグ付きのアナルビーズを入れる事になる、とリリス様から宣告を受けている。
無事に変身を終えた僕は、膝から崩れ落ちる。
両手を地面に着いて、座り込んだ僕の顎を御主人様の足先が触れる。高いヒールを履いた彼女は、足先で僕の顎を上げて、にまにまと満足げな笑みを浮かべる。
僕の精神と肉体は今、尻尾プラグを通じて御主人様と繋がっている。
なので僕が今、何を考えているのか、とか全て伝わっちゃっている。
身体が作り替えられる不快感と嫌悪感、だけど彼女に感じる恩義から反発はしない。
あの時、彼女が悪魔だと知って契約をした。悪魔の契約が如何なるものか、サブカル関係の知識で知っていたけど、他に手がなかったので彼女に縋るしかなかった。だけど彼女は完璧な形で僕との契約を果たす。理不尽な目に合うことは契約前に教えられていた事もあったし、僕を騙すことなく、契約を達成した彼女には最大限の恩義と忠義で返したいと思っている。
僕には、理解できない事も、彼女が望むのであれば、望まれるがままだ。
それだけの大恩を彼女から受けている。
「健気なもんじゃな」
御主人様は、少し寂しげな笑みを浮かべた後、気を取り直すように僕へ指示を出す。
「と、その前に、眷属の力について教えてやらんとな」
彼女は、僕の顎から足を外して自分が座るソファの隣に座るように促す。
尻尾プラグを付けた今の状態で? と思いはするけど、反対する意思すら持つ事を許されていない僕は、ゆっくりと腰を下ろす。くぐもった声に荒い息が零れる。慣れない異物感に冷や汗を流し、微弱な快感に僅かな困惑。複雑な感情で渦巻く僕を見て、御主人様は楽しそうに目を細める。
そんな彼女を見て、僕の心は安堵と共に満たされる。
「このまま眺めてるのもいいか、と思いもするが時間は有限。用件は速やかに済ませなければな」
前屈みになる僕の頭を少し、名残惜しげに撫でながら御主人様は説明を始める。
「我が眷属に与えたのは、淫蕩の魔眼。眷属に抱いた感情を性欲に置き換える代物じゃ」
もっと良い力を与えられれば良かったのだが、と御主人様は溜息を零す。
「本来であれば、もっと素直に魅了の魔眼とか与えられれば良かったのだが……今の我には使い魔ほどの力も残されていないのでな。認識阻害と認識改変が関の山、でもまあ淫蕩の魔眼にも使い道がない訳ではない。悪感情も性欲に変換されるからな。相手を懐柔するにはうってつけの能力と呼べるであろうな」
それは即ち雌に改造された自分の肉体を使え、と言っているも同然だった。
初めて肉体を改造した時、僕の肉体は雄としての機能を失っている。というのも変身する度に雌雄を入れ替えるのは、効率が悪いようで、雌に適合した肉体のガワだけ雄に作り替えている。と言った方が正しい。つまりは、今の淫魔化した僕の姿が本物であり、人間の男としての姿が変身した姿と言った方が正しかった。だけど僕の性的嗜好は男の時から変わっておらず、今もまだ性的対象は女性のままだ。御主人様が望むのであれば、男に抱かれる事もあるのだろうけど、心情的には避けたい。
「大丈夫じゃよ」と僕の心を読み取った御主人様が告げる。
「我は可愛い子が好きじゃ。故に眷属として扱うのは、可愛い子だと決めておる」
眷属のようにな、と御主人様が僕の頬を愛しげに撫でる。
言外に、男らしくない。と言われた気がした僕は僅かながら嫌悪感を抱く。
愛い奴じゃ。と優しく頭を撫でられる。
「だが性技は必要になるだろうよ」
御主人様、リリスは淫魔と夢魔の両方の性質を持っている。
性欲を司る悪魔でもある彼女が、最も力を発揮できるのは男女のまぐわいである。即ち、夢魔の力を用いて、女体に陰茎を生やして、身体を重ねる必要がある。また淫魔化した僕が、対象を射精させることには、強い意味が込められている。対象が抱いていた憤怒や絶望を始めとしたネガティブな感情を性欲と共に発散する事ができる。本来は搾精した相手の感情を食らう事で糧にする淫魔の体質を利用したものだ。後天的な僕は食らう感情の選別が出来ないので、御主人様が調節で淫魔としての能力を限定して貰っている。
幾ら相手が女性だと言っても陰茎を受け入れる事には抵抗がある。
だけど射精をさせれば手段は問わないとの事であり、僕は渋々と覚悟を決める。
男の相手をするよりはマシなのだ。
「候補は幾らか見繕っている。家出少女に怪人の被害を受けて孤児になった少女、自殺を企てる女子もおるな? 先ずは戦闘を出来るものを三名、戦闘できるものが欲しいの。眷属の趣味嗜好で決めても良いが、出来れば、元から魔法少女の素質を持っておる者を狙って欲しいのう」
御主人様の計画に僕の貞操は勘定に入れられていない。
むしろ性行為に早い段階で慣れて、貞操観念なんてものは捨てて欲しいと考えている。御主人様は僕を無理強いする事はないけど、遅かれ早かれ失ってしまうのであれば、早い方が良い。と僕も頭の中では分かっていた。候補者のリストに目を通し、直近で誰かの助けを必要としているものを厳選する。
迷っている時間はない。と僕は身売りを考える家出少女に目を付ける。
◆
近頃、兄ちゃんが家を空ける事が多くなった。
今年で中学二年生になる私、小鳥遊ひなたは高校生になって恋文を受け取る数を増やす兄に焦りを抱いている。兄とは、腹違いの兄妹の関係になる。私は、父親が結婚した年に出来た子供になる。再婚の邪魔になるからと実の母親に捨てられた私は、住所の書かれた紙と一万円札を握り締めて、一人で顔も知らない父親の家を尋ねる。まだ五歳の時だ。既に家庭を築いていた父親の下に、結婚を機に関係を切ったはずの相手から子供が送り込まれる事態に勿論、家庭は修羅場と化した。元から育児放棄気味だった実母に育てられていた経験から、幼心に僅かな希望を抱いていたのを覚えている。だけど、家には上げて貰えたけど、剣呑な空気に、此処にも私の居場所がない事を嫌でも認識させられる。
此処に私が居ても迷惑になるだけだ。行く宛もないのに家から出ようとした私の手を取って、両手で握り締めてくれたのが兄ちゃんだった。
「僕に、こんな可愛い妹が居てくれたなんて嬉しいよ」
満面の笑顔で、そう言ってくれた時から兄妹ではなく、ずっと異性として見ていた。
顔も知らなかった父親と血も繋がっていない母親も兄ちゃんの態度に毒気が抜かれたようで、とりあえず家には置いてくれる事になった。義理の母親からは、快く思われていない事は、子供ながら気付いていた。だけど完全に愛情がなかった訳でもなく、実の子供として見ることは出来ずとも、親戚の子供程度には扱って貰えていた。
義母の最後は、怪人の襲撃に巻き込まれた茜を庇っての事だ。
間近に見た母親の死に泣き喚く、茜の姿を見て心が痛んだ。
彼女の母親が逃げ切れなかったのは、同じ場所に居た私も助けようとしたからだ。茜一人だけなら抱えて逃げることも出来たのに、義母は私を見捨てず一緒に逃げようとしてくれた。何処か疎ましげな義母の事を最後の瞬間まで、私は母親として認識する事が出来なかった。だけど彼女が死んで、初めて、私は彼女の事を母親として認識する事が出来た。
決して、姉妹仲が良い訳ではない。
だけど遺された茜の事を守るのは姉である自分の役目だと己に課す。実際、小学六年生の夏に魔法界の精霊と魔法少女の契約を交わして、とある悪の組織を壊滅させている。
今も魔法少女としての活動は続けている。
だけど茜の姉である事と兄ちゃんを恋愛対象として見るとでは話は別だ。
中学生になった頃、一緒の風呂に入ってくれなくなった時は、ちょっとは異性として見てくれるようになったのかと思ったりもしたのだけど、その後の進展がまるでなかった。ネットで得たエッチな知識で体を張って誘惑もしているけど、兄ちゃんのチンコは勃たせられた事は一度もない。
結構、頑張って恥ずかしいこともしてるつもりなのだけど、今以上に恥ずかしい事ってなると、それはもう痴女も同然で逆にドン引きさせてしまいそうだった。
事ここに至っては、告白するしかないのだろうけど、今までの関係を壊すのも嫌で行き詰まっている。
もっと女性らしい所をアピールしなくては、と昨日までと変わらない結論を出して、同性愛疑惑の兄を籠絡する作戦を考える。
(ひなた、お出かけ中に悪いんだけど……!)
そんな折、魔法界から怪人の襲撃が発生したとの報せが入る。
脳に直接、送り語れる念波に「大丈夫だ」と脳波で返事をし、人前から身を隠して変身する。私は個人で活動する魔法少女。アストラを名乗り、ステゴロを得意としている。
魔法少女には、あるまじき格闘特化の魔法少女だ。
現場に駆け付けると女子高生を誘惑する破廉恥な女怪人を見つける。
まるで小柄な身体の癖して、全身から淫靡なオーラを醸し出す相手の姿に苛立った私は、名乗り口上も告げず、握り締めた右拳を彼女の鳩尾に叩き込んだ。
手応えあり。女怪人の肉体は、まるでピンボールのように弾けて、向かい側にある廃ビルまで吹っ飛んだ。
「……怪人にしては、弱いのだ?」
想像していたよりも貧弱な手応えだ。
だけど二人の母親と父親を奪った怪人に対する慈悲なんてあるはずもない。歯切りしをし、女怪人を逃さない為に手前で殴り飛ばした彼女の後を追いかける。
廃ビルの中、腹を抱えて蹲る彼女の姿を見た私は、醜悪な笑みを浮かべる。
「立て、あたしはまだ殴り足りないのだ」
私は日頃の鬱憤を彼女で晴らすことを決めた。
◆
家出少女に部屋くらいは貸すよ、と勧誘していた時の事だ。
横殴りに不意を突かれた僕は、魔法少女の一撃を鳩尾に受けて、数十メートルも先にある廃ビルまで殴り飛ばされてしまった。地上から三階の大部屋、怪人化した事で幾分か強化された肉体も魔法少女が持つ超火力の前では焼け石に水。子宮ごと腸を抉られたかと思う一撃は思考の全てを吹き飛ばし、ただただ痛くて悶え苦しむ他になかった。
幾つかの壁を破壊して、柱に叩き付けられた肉体は、口から胃液を吐き出して、膝を着いて前のめりに倒れ込んだ。お腹の奥に残る鈍痛に涙が溢れ出す。男の時と比べて、緩くなった股間からは尿が漏れてしまった。
しかし恥辱に塗れても、それ以上に腹を殴られた痛みに耐え兼ねる。
だけど悲鳴すらも上げられず、お腹を抑えて耐え忍ぶしかなかった。
トンと軽い足音がした。
痛みに悶えながら顔を上げると先程、僕を殴り飛ばした魔法少女が立っている。レオタードにフリフリの衣装を合わせた彼女は、憎悪を込めて「立て」と冷酷に告げる。
立てるはずもない。苦しむ僕に、彼女は一歩、歩み出す。
「あたしはまだ殴り足りないのだ」
活動初日、僕は絶望の前に立たされる。
変身の影響で、桃色に変色した髪を掴まれる。
無理矢理、力尽くで立たされた僕は悲鳴を上げる間もなく、再び右拳を鳩尾に叩き込まれる。ズンと来る重い衝撃。痛みが突き抜けず、腹の奥に溜まる不可解な感触。先程、出した胃液がまた口から溢れ出す。視界は明転し、全身から力が抜け落ちるのを感じ取った。そのまま意識すらも落ちるかという時、再び鳩尾に拳が叩き込まれる。悲鳴すら上がらない。先程、漏らした尿がまた股下から垂れるのを感じる。
混濁し、朦朧とする意識の中、魔法少女の右拳は、私の顔面を捉えた。
そのまま地面に叩き付けられて、三階から二階、二階から一階とコンクリートの床を砕いた。
もう呼吸すらも儘ならない。
コヒューと掠れる呼吸音。霞む視界に辛うじて捉えるのは、三階から一階に降りる褐色肌の魔法少女。何故か、この時、僕は彼女の姿が、妹のひなたと被って見えた。
まだ死ぬ訳にはいかない。妹を残して死ぬ訳には、いかなかった。
彼女から感じる憎悪、怪人に強い恨みを持っているのだと思った。
気持ちは分かる。僕も怪人に両親を奪われている。だけど、だからこそ、僕はまだ、死ぬ訳にはいかなかった。
彼女が僕に向ける強い憎悪は、そのまま僕の武器になる。
僕を睨みつける彼女に、僕は淫蕩の魔眼を発動する。
「えっ?」
突如、生やされる陰茎に彼女は、困惑の声を零す。
陰茎のサイズは、対象が持つ性欲の強さに比例する。彼女に生やされた陰茎は、小柄な彼女には似付かわしくない凶悪な代物であった。
少し前屈みになるだけで、自分で、自分の逸物を咥えられる程のサイズに、僕は己の死を再認識する。
「あ、あたしの身体に変なことをしたな……!?」
「……あ、いや、その……ちがくて、その……」
「望み通り、犯して殺してやるのだ!!」
股間を隠すボンテージを力で千切られる。
身体を地面に押し付けて、彼女の陰茎が私のお腹に乗せられる。胸元にまで届くかという程の長さ。大凡、人に許されざる巨根に僕は、全身から血の気が引くのを感じた。殺される、陰茎に殺される。自業自得とはいえ、こんな殺され方は嫌だった。
その時、視界の端に物陰に隠れながらスマホを構える家出少女の姿を見た。
「た、助け……」
助けられるはずもないのに、思わず、伸ばした手は、途中でビクンと跳ねる。
「……キッ……ツい、のだ」
鳩尾を殴られた時の衝撃が股下から子宮に掛けて、叩き付けられたと認識できたのは事を終えた後だ。
頭が、真っ白に弾けて、意識がグルンと途絶える。その数秒後に頬を殴られた鋭い痛みで覚醒する。
「よくも、よくも! こんなことをさせやがって! 初めては兄ちゃんと一緒って決めてたのに、よくも! 身体で償え! 子宮を締め付けろ! 孕め、孕ませてやる!! お前なんて精液を溜めるだけのオナホも同然なのだ!!」
支離滅裂な言動、申し訳ない事をしたと思った。
振り上げられる拳を甘んじて受け止めて、股下から突かれる暴力的な性行為に身を委ねる。快感はない、あるはずもない。全身に感じるのは苦痛だけのはずで、だけど何故か身体は悦びを感じている。頭では、理解できず、だけど肉体は、彼女の暴力的な行いを受け入れていた。錯乱する意識、顔を殴られる度に思考は中断し、突かれる度に嗚咽を零す。苦痛しか感じないはずの挿入に、甘い声が混じり始めたのは何時からか。度を越えた激痛に最早、脳は痛みを感じなくなってしまった。
代わりに感じるのは快感で、内から突かれて、陰茎を象るお腹に拳が叩き込まれた瞬間、プシュッと僕の股間から何かが吹き出した。ガクガクと痙攣する身体、最早、自分の肉体に何が起きてるのかも認識できなく中、お腹の奥に熱い何かが注ぎ込まれたのを感じ取る。
淫魔の身体が、無意識に自分の子宮に注がれたものを吸収する。
肉体が回復し、僅かに意識が回復する。
全身に感じる激痛に、自身を貫く陰茎の感触を明確に感じ取る。そして涙を流し、嗚咽を零しながら拳を振り上げる褐色肌の魔法少女の拳を顔面に受け止めた。
気絶と覚醒を繰り返すこと、如何ほどか。僕を犯しているという事実にすら不快感を示す彼女の射精は留まることを知らず、空が暗くなり、そしてまた明るくなってもまだ僕の膣を貫き続ける。まだ留まることの知らない性欲に、僕は、どれだけ彼女が怪人を恨んでいたのかを思って、悲しくなった。文字通り、一朝一夕では、どうにもならない憎しみだ。
痛みは感じない。殴られ過ぎて、何が痛いのかもよく分からなかった。
僕を殴り過ぎて、拳から血を流す彼女の姿が痛々しくて、僕はつい耐え切れず、彼女の身体を抱き締めてしまった。
精液を注がれる度に回復する肉体、彼女の全てを受け止めてあげようと身を委ねる。オナホ扱いでも良かった、それで彼女の気が少しでも晴れて、昨日よりも少しだけ前を向いて歩けるようになれば、それで良かった。
泣いているのか、怒っているのか、少女は慟哭し、そして僕の肉体を陰茎で貫いた。
「殺してやるのだ!!」
首を締め付けられる。
意識は遠のいて、全身から力が抜けた。もう何度目かになる気絶、だけど次がない事を本能的に悟る。そして僕の膣がキュッと締まり、魔法少女はまた精液を僕の子宮に注ぎ込んだ。まるで妊婦のように膨らんだお腹、魔法少女は涙を流して僕の身体を抱き締める。骨が軋むほどの強い力、ドクドクと注ぎ込まれる熱い液体の感触が、とても心地良くて、ああ、死んでも良いやって、そう思えてしまった。彼女の腕の中で死んでしまえることが、まるで幸福な事であるかのように。僕は、僕を乱暴する彼女の事が好きになってしまったようだ。始めから好きだったのかも知れない。もうよく分からなかった。
最後の一滴まで注がれた僕は、とどめは刺されなかった。
それまでずっと僕の身体の中に収まっていた陰茎は縮まり、僕の膣から抜け落ちて消失する。
瓦礫の中に投げ捨てられて、魔法少女は何処か惜しむように、だけど明確な敵意を込めて僕を睨み付ける。
トクントクンと高鳴る胸の鼓動、僕は彼女が、本当に好きになってしまった。
今度もまた悪事を働けば、乱暴してくれるだろうか。想像した時、ピュルと透明の液体が股間から吹き出し、吐き出された彼女の白濁液が地面に零れる。
「……ぼく……いき、て……る…………」
半日以上も休みなく犯され続けて出た言葉は、そんな間の抜けた言葉だった。