歓楽異人街 ~絶滅の危機に瀕した魔族が人間相手に風俗店を経営した結果~ 作:うた野
やあいらっしゃい──ってなんだいなんだいっ? 急に泣き出してどうしたよ? そんなに異人が恐ろしかったのかい?
違う? じゃあどうしたってんだい? ……仕事に疲れてもう何もかも嫌になった? そうかい、苦労してるんだねえ。
そうか、あんたさんは迷い込んだ人間か。いきなり異人の街に迷い込んでおきながらそれに気付かない辺り、相当参ってると見える。
今更気付いたのかい。……いっそひと思いに、ってそう自棄になるもんじゃない。それに人を食べたりはしないよ。そりゃ人間からすれば得体の知れない化け物連中の集まりかもしれないが、理由もなしに危害は加えないサ。
あんたさんの愚痴ぐらいならいくらでも聞いてやりたいが、此処は異人専門風俗
迷い込んだ事情もある、サービスするからご利用どうだい? うちで遊べば少しは気も晴れるかもしれないよ?
……そう、稼いだ金を使う暇もなかったのかい。同情するよ。うんと楽しめるようにキャストに言い含めておくよ。
それとも
いいや、こんなの優しさに入らないよ。あんたさんの傷心につけ込んで引き込んでるだけサ。
今のあんたさんにはがっつくような娘は合いそうにないね。そうなると選択肢は限られてくる──この娘でどうだい?
のんびりとした娘でね。多分、今のあんたさんには丁度良い。
そら、その扉の奥だ。いってらっしゃい。
──せめて一時でも嫌な事は忘れて、自分を労りなよ。
◇◆◇◆
仕事に嫌気が差し、生きる事にくたびれた青年は言われるがまま、重い足取りで指定された部屋の扉を開けた。ほんの数十歩の距離にも関わらず吐いた溜息の数は片手の指を越えていた。
入室して、青年は少し驚く。店舗型風俗というので内装はラブホテルに近いものを想像していたが、その部屋はホテルというよりはむしろ自分の部屋に近いものを感じる。
脱ぎ捨てられた衣服にスナック菓子の袋や飲みかけのペットボトル、積まれた漫画本と生活感(それもかなり駄目な)に溢れた一室。此処が風俗店とはフロントを通らなければ想像できなかっただろう。
「……騙されたのかな。別にいいけどさ……はぁ」
固まる青年の耳に、がさがさという音が届く。そちらを見やればベッドの上で盛り上がった布団の中から伸びた、また一つ新たなスナック菓子を開ける手が見えた。
「……あれぇ? ひょっとしてお客さんー?」
青年の溜息が聞こえたのか、もぞもぞと布団から手の持ち主が顔を出した。
モスグリーンの髪。気怠げに垂れた眉、口元には食べ滓。今まで見た中で一番の美少女である事と髪留めのように頭から無数の花が生えている事を除けば、まるで滅多にない休日を過ごす自分のようだと思った。
「……あぁ、ごめん。邪魔したよね」
だからこそ、青年は申し訳なくなった。誰にも邪魔されないはずの一時を侵してしまった事に。その一時の素晴らしさを青年も知っていたから。
「はぁ……何やってんだろ、俺。本当にごめん、すぐに出て行くから」
これで青年が「俺は客だぞ!」と怒鳴り散らせる性格だったなら、彼は此処まで思い詰めてはいなかっただろう。自分一人で苦労を抱え、それを表に出せない性格故に青年はこの異人街に迷い込んだ事に気づかないほど追い詰められているのだ。
「なんでー? お客さんなんでしょ-?」
「それはそうだけど、君の邪魔は出来ないよ。自分の時間を邪魔されたら俺だって嫌だから」
疲れた顔で語る男に、部屋の主はにへらっと笑う。
「お客さんー、すっごい疲れた顔してるねー。ちょっと休んできなよー」
蓑虫のように布団に包まったままベッドの上を這い、ぽんぽんと空けたスペースを叩いて青年を手招く。
青年は困惑しながら、積まれた漫画を崩さないようにベッドへと近づいた。
「ここ、ここー。エリンのよこー」
勧められるまま、青年は遠慮がちにベッドに腰かける。エリンと言うのだろう。幼い顔立ちの彼女の言葉を無視するのは躊躇われた。
「えへー、いらっしゃーい。お菓子食べる-? おーいしーよー?」
世間で問題視されるような危険な存在とはとても思えない、邪気のない、気の抜けた笑顔と声。小動物のような、見るだけで荒んだ心を癒やす魅力がある。
「あ、ああ。ありがとう、でも大丈夫だよ」
「そーう? じゃあエリンが一人で食べちゃおー」
幸せそうにお菓子を頬張るエリン。危険な異人でも風俗嬢でもない、等身大の子どものようだった。
「ねー、お客さーん」
食べ滓をぼろぼろと落としながらエリンは間延びした声で呼びかける。青年は知らず、頬が緩み始めていた。
「なに?」
「よーしよーし」
お菓子の脂のついた手が伸び、青年の頭が撫でられる。いきなりの事に青年は目を丸くする。どうしたのかと問いかけるべきか、それともやめてくれと拒絶すべきかと悩む青年にエリンは言葉を続ける。
「大変だったんだね-。よーく頑張ったんだねー。エリンの前で無理なんてしても勿体ないよ-? だってエリンはー、面倒くさーい事はだいっきらーい。だからいーよー? エリンといっしょに-、無理なんてやめちまえー」
「……………………」
長い沈黙。微笑ましいと笑えばいいだけなのに、青年は言葉を紡げない。
やがて理由も分からないまま、静かに涙が頬を伝っていった。
「あー泣いてるー。お客さんは泣かしたのはだれだーっ、エリンだーっ。えっへへへー」
「ごめっ、なんで……俺……いきなり……っ」
「いーのいーのー。涙腺締めるのだってやめちまえー、いやな気持ちは捨てちまえー」
溜め込まれていた涙が涸れるまで、エリンはそれ以上は何を言うでもなく、ただ青年の頭を撫で続けた。
そうしてようやく落ちついた後で、青年は初めて笑みを見せたのだった。
「なんかごめんね……でも君のおかげですっきりしたよ。泣くのなんていつぶりだろ……」
「おー、エリンさまに感謝しろー、よきにはからえー」
「あはは、うん。ありがとう、エリンさま」
「なはー、照ーれーる-」
お返しに青年が頭を撫でるとエリンは気持ちよさそうに目を細めた。
その姿に青年は自らの頬が緩むのを今度は自覚した。
「すぐに出て行くつもりが長居しちゃったね」
「何をおっしゃるー。時間はまだまだあるぞー? うーんとー……おー、一番長い三時間コースとはお客さんはヤる気満々マーン」
「えっ!? い、いや、俺はそんなつもりじゃ……受付の人が勝手に……それに君みたいな幼い子とそういう事をするのはマズいって……」
人界の法律と常識に乗っ取り、青年は慌てて否定する。今更、異人だからとエリンに対する恐怖はないが良識ある彼にそんな気を起こせるはずもなかった。
「そっかー?」
「そうだよ。……でも、お金は払うからもう少し此処に居てもいいかい?」
「おー、好きにしろー?」
「ありがとう。ところで此処は一体どういう所なんだ? 俺、此処にどうやって来たのかも覚えてなくて……迷い込んじゃったって事は受付の人に言われたんだけど」
冷静になり、改めて浮かび上がった青年は疑問をぶつけた。ただ不思議と不安はない。どちらかと言えばエリンとの会話の口実のようだった。
「おー、此処はなー、人間向けに作られたえっちぃお店がいっぱいの歓楽異人街だぞー。それでーお客さんは九重塒のお客さんー。たまーに迷ってくる奴もいるらしいぞー? でもだーいじょーぶー。街の外に出ればー、迷い込んだ所までひとっとびー」
「そっか、帰れるのか……。異人って、エリンは……?」
「呼び捨てかよー。いーいーけーどー。エリンかー? エリンはなー、『アルラウネ』ー」
頭の花が特徴の異人、アルラウネ。
元々は下半身が植物であり、花冠の中に人型の上半身が生えているが、九重塒に配属される際、人界でいう所の品種改良のように魔王の手で申し訳程度の花要素を残した今の姿に変えられた。ちなみに本人は特に気にしていない。
「その、エリンはどうしてこのお店で働いてるんだ……? 失礼な言い方だけど、働くとか柄じゃなさそうな……」
異人の外見年齢はアテにはならない、その程度の知識はあった青年は見た目には触れずに尋ねた。
この部屋を見ても、体を売り物にするようなタイプにはどうしても見えなかったからだ。
「んー? そりゃーおまえー、えっちぃ事がしたいからだぞー?」
「え……?」
しかし、エリンは恥ずかしげもなくそう答えたのだった。
「めんどいのはやーだけどー、えっちぃことはしたいので-、がつがつ強引なー、肉食系をぼしゅーちゅー。エリンは草だけどなー」
「そ、そう、なんだ」
どうやら貞操観念も人間とは掛け離れているらしい事を察し、青年は曖昧な表情で相づちを打つ。
「ごろごろもさいこーだからいーけどなー」
その様子に気付いているのか、わざとらしくエリンは俯せの状態からごろんと仰向けになり、掛かっていた布団を蹴飛ばす。
布団の下から出てきたのはその体には大きすぎるTシャツ一枚だけの、あまりに無防備な姿だった。
「……」
ごくり、と生唾を飲む。青年に少女性愛趣味はない。けれど溜め込まれていたのは涙だけではない。溜まりに溜まった性欲が青年の中で猛っていた。
「んふー」
一瞬だけ見せた、見た目に似つかわしくない妖艶な表情。ぺろりと一度、舌なめずりをしてエリンはベッドの上に転がっていたアイマスクに手を伸ばす。
「いっぱいしゃべったらー、眠くなってきたー。エリンはおやすみー」
「あ、う、うん……」
「お客さんも時間まで好きにしてていいよー。部屋の中のも好きに触っていいかーらーねー?」
言うが早いか、アイマスクを装着して視界をシャットダウンし、エリンは再び俯せの姿勢に戻る。その拍子に捲れ上がったTシャツの下から、小さなお尻と──人と変わらない性器が露出していた。
「────」
エリンはどうしようもなく疲れた自分を癒やしてくれた。
エリンは泣き出した情けない自分を撫でてくれた。
エリンは生きる気力を自分に取り戻させてくれた。
異人であるかどうかなど関係なく、青年にとってエリンは恩人だ。
その恩人がここまでお膳立てしてくれた。その恩人がそうする事を求めている。
それに応えなくては男が廃る。そうだろう? と自分に問いかける。
エリンにとって自分は客の一人でしかない。
エリンにとってはきっと特別な事は何もない。
エリンにとって自分はそんな存在のままでいいのか。
重ねて自分に問いかける。
そして同時に気付けば今までにない程に勃起していた男性器が語る。
──俺はエリンは自分の女にしたいのだと。
その未発達な少女のような肉壺に自身を突き立て、かき分け、自らの形を刻みつけたい。
その奥に強引に押し入り、腰をぴったりと密着させて、蓋をして精をぶちまけ、汚したい。
──目の前のメスをめちゃくちゃに犯したい、と。
「ふーっ、ふーっ」
この部屋までの道中のように、ゆらりと幽鬼じみた動きで息を荒げた青年はエリンに覆い被さった。
「……♥」
枕に押しつけられ、青年には見えないエリンの口元が緩んだ。
「……っ♥」
性欲に支配され、しかし青年は冷静だった。
(あっ、あっ、あっ♥ その手付き-。ぞくぞくするぅ……♥)
触れるか触れないかのフェザータッチ。乱暴な事は”まだ”しない。
エリンがアイマスクをつけたのは当然、眠る為などではない。こうして視界を封じて、何をされるか分からない、その快感を味わいたいからだ。
ならばその通りに。手が次に何処に触れるのか、何処を這うのかを悟られないよう、静かに青年は手を動かす。
まずは背中。Tシャツの上から優しく、指でつーっとなぞる。
「っ♥」
それだけで敏感な反応。エリンはびくりと体を震わせた。
そのまま指を下、尻の谷間近くまでにスライドさせるが、肝心な所にはまだ触れない。
(んっ、もう、いじわるだぁ……♥)
背筋を走る快感に身もだえしながら、エリンは内心で甘えた声を上げる。
まだ早い。さながら食虫植物のように誘い、誘われた虫の擬態が剥がれ、獣の如き本能を剥き出しにするその時を待ち続ける。
背筋、腋、太股。露わになった素肌を青年の指が這い回り、その度にびくびくとエリンは体を跳ねさせた。
体が汗ばみ始めた頃、青年はエリンの体を優しく転がす。アイマスクで覆われた、上気したエリンの顔と服の体を為さない程にずれ落ちたTシャツから小さな乳首が零れ、晒される。
(ぁ♥ 見られてるー♥ エリンのちっちゃい癖にビンビンになった乳首もー、真っ赤になったお顔もー、ぜーんぶ見られちゃってるんだぁ♥)
次に触れるのはお腹か、それともやはり主張激しい乳首か。期待を膨らませたが、青年はエリンが期待し、意識を集中させているそれらを避けて、口元を寄せる。
──ふーっ、と細い吐息がエリンの耳を刺激した。
「っあ♥」
意識の範囲外、思考の想定外、まるで予期していなかった部位への責めに、耐えきれず甘い声が漏れる。
畳みかけるように青年は吐息を吹きかけたのとは反対の耳に音を立ててしゃぶりついた。
「ぁ♥ あっ♥ んぁ♥」
真っ暗闇の視界の中で自然と研ぎ澄まされた聴覚への刺激。
じゅるじゅる、ちゅぱちゅぱ、ぐちゅぐちゅと耳元から頭を掻き回され、脳を犯される感覚。
体をなぞられた時よりも激しく、エリンの体が跳ねた。
(あー♥ それ、反則ぅ♥ お耳ぐちょぐちょ、頭ぐちゃぐちゃになるぅ♥ 脳みそとろとろになってぇ……♥)
「耳、弱いんだね」
「すーっ、すーっ……♥」
囁きにまた痺れながら、あくまで寝たふりを続けるエリンだが体の反応は隠せない。一度も触れられていない秘部は濡れそぼっている。
(バレてるー♥ エリンが目隠し耳責めだーいすきな事、バレてるぅ♥ うれしーからー……♥)
エリンは寝言を漏らすようにむにゃむにゃと口の中で唾液をかき混ぜる。
ねちゃねちゃと下品な音が青年に聞こえるように、その意図が伝わるようにと。
「……はーっ、はーっ」
その意味する事を察し、青年は下着ごとズボンを下ろした。
完全に勃起した男性器──エリンの体には不釣り合いなちんぽを取り出し、ベッドの上部へと回り、エリンの吐息がかかる距離までちんぽを近づける。
(感じるー♥ 見えなくても分かるよー♥ おちんぽ、すぐそこにあるぅ♥ くっさくてしゅごー……♥)
思わず舌を伸ばしそうになる自らを律し、エリンは一際大きく息を吸う為に口を開いた。
その瞬間、青年は開いた口の中にちんぽを侵入させる。
一般的な成人男性と大差ないサイズのちんぽは、それでもエリンの口では役不足だ。開かれた口をさらに強引に押し開いていく。
「っんぶぅ♥」
(エリンのお鼻を潰して入ってきたぁ♥ 想像してたよりもおっきー♥ 目に入れるより先にお口にごあんなー、い──?)
変化はすぐに起きた。顔をくすぐる陰毛、喉奥まで侵入したちんぽと鼻腔を覆い潰す玉袋の感触、残された四感全てでそれを感じていたエリンの瞳がアイマスクの下で動く。
(あ、れ-? なんか、おかしい、ぞー?)
ぐるんと眼球が回転し、思考が停滞した。
(──あ-、これ──っ♥)
「おぶっ♥ んぶっ♥ んぎゅっ♥ んぐぅっぅう♥」
ぷしっとエリンの子どもマンコから潮が吹き出し、背筋が反り返る。
弓なりに反った体が痙攣する度、二度三度と潮吹きも繰り返された。
ちんぽを口に迎え入れただけでこれまでない程の激しい絶頂を迎えた事をエリンの肉体は正直に表現していた。
(んあ゛ー♥ あ゛ー♥ やばー♥ ちんぽ♥ 全部ちんぽになっちゃった♥ エリンの全部ちんぽだけになってるー♥ えへっ、えへへへへぇ♥)
ガクガクと腰を跳ねさせながらエリンは絶頂を受け入れた。いや、逆らう方法などメスである以上ありはしない。
喉がちんぽの形を覚えるようにごきゅごきゅと脈動し、玉袋の皺一つ一つを味わうように鼻を鳴らす。胡乱な意識の中、エリンはひたすらにちんぽに執心していた。
「ふぐっ♥ はーっ♥ ぁー♥」
「っ、すっごい吸い付き……動かすからね……!」
青年は両手を頬に当て、首に指を回してエリンの顔を動かないように固定するとゆっくりと喉奥からちんぽを引き抜く。
反り返ったちんぽがずるずると喉壁に我慢汁を塗りたくりながら抜かれていくのを感じ、エリンはその喪失感に胸が切なくなるが、それも一瞬。
「んぶっ♥ あぶっ♥ お゛♥ お゛っ♥ ごっ♥」
喉内を往復する度、溢れた唾液と我慢汁でより滑らかにちんぽは深くまで入り込む。
じたばたとエリンの体は苦しげにもがくが、青年は決して止まらない。理性を捨て、性欲を満たす為に、ではない。
体を跳ねさせながらもエリンの両手は青年の手を引き剥がそうとするわけでも、苦しみを訴えるわけでもなく、寄り添うように重ねられていた。
(ちんぽ出たり入ったりー♥ エリンのお口使ってるー♥ エリンが何もしないでもーエリンを使って気持ちよくなってくれてるー♥ これ、すごひぃ……♥)
まるでオナホール扱いだが、エリンの内心は幸福感で満ちている。
彼女に限らず、アルラウネのような植物系の魔物娘は受動的な性交を好む傾向にある。結果としてマゾヒズムに目覚める者も多いが、それは後に来るものであって先に立つものではない。
本来は人の下半身を持たないアルラウネのほとんどは一所で不動の一生を過ごし、交配も人界の植物同様、オスが目には見えない精を風に乗せる事で行われる。中には別種族のオスを誘う事を得意とする種もいるが、エリンは当て嵌まらない。
魔王によって人の手足を与えられても、アルラウネとしての性質、性格は簡単には変わらない。自由に動く手足を得てもその習慣がない。とはいえ怠惰と言われても仕方ない事は彼女自身自覚している。
だからこそ、青年に”使用”される事に悦びを感じるのだ。
動けるにも関わらず奉仕しない自分を、そんな怠惰な自分をわざわざ使ってくれている。その事実がどうしようもなくエリンを昂ぶらせる。
その悦びを知り、やがてアルラウネたちはマゾヒズムに目覚めるのだ。
「もうイキそうだ……くそっ、もっと感じてたいのに……!」
「おごっ♥ ぐぷっ♥ いぎっ、ぎっ♥」
(出せー♥ イっちゃえー♥ エリンのお口でー、抜き差ししか出来ない役立たずなお口でー、びゅーびゅー出してー♥)
えりんは指を青年の手に絡め、甘えるようにぎゅっと握る。それが合図だった。
「出る……ッ!」
「んお゛っ♥」
最後の一突きは自制しきれず、気遣いを廃して性欲の赴くままに一際強い肉音を鳴らす。僅かに間を置いてちんぽが震える。
初めての人間の射精を味わう事も目にする事も出来なかった事を少しだけ残念に思いながら、エリンはアイマスクの下で目をとろかせながら受け入れる。
自分で気持ちよくなってくれた証拠。子孫を残す事に躍起になっている魔族とは違う、ただ快楽を得る為だけの無駄打ちだが、もしも逆流などさせたらそれこそ無駄だ。
(エリンのお口オナホで気持ちよくなってくれたんだもんねー)
最初に挿入された時と違い、覚悟を決めていたからだろう。
体は敏感に反応し、まんこから潮をまき散らしながらエリンの思考は穏やかだった。
(エリンなんかのお口に出しちゃってー、いーけないんだー。子ども作る為のせーしの無駄遣いー♥)
「っ、く……っ……うっ!?」
「……じゅっ♥ じゅるっ♥ じゅずずずーっ♥ ずずっ♥」
射精を終えた後で、初めてエリンが動いた。口を窄め、引き抜かれていくちんぽの根元に残った精液を吸い出していく。
(でもー、嬉しかったー……だからありがとー……♥)
せめて残ったものだけはと吸い出した精液を舌で転がし、口内に混じった陰毛と共に味わい尽くす。
(どろどろでー、喉にひっかかりそー……人のせーえきってこんなに濃いんだー……)
頭がぼうっとするその味を堪能し、陰毛が喉に引っかからないように唾液で水増しして嚥下した。
「んくっ、んっ……♥ はぁー……♥」
あまりにも熱っぽい吐息に、飲み干した事を伝える為に開かれた口から湯気が上がっている錯覚に襲われる。
青年は震える手でエリンのアイマスクを外した。
「えへー♥ ごちそーさまー」
「全部、飲んでくれたんだ……」
「おー。勿体ないしー? 布団が汚れるからなー」
既にエリンの体液でベッドはぐしょぐしょに濡れていたが、それを指摘する気にはなれなかった。
「それにしてもー、寝込みを襲うとかー、お客さんのおにー、あくまー、鬼畜ー」
「ははっ、そうだね……エリンの言う通りだ」
苦笑しながら青年は抱き起こしたエリンの唇を奪った。
先ほどまで自分の性器をくわえ込んでいた事など関係ない。そうしたいと思った。
「んーっ……♥」
目を閉じてエリンはキスに応じる。まるで恋人のような、舌を絡め合いながらも優しいキス。性欲ではなく愛情を伝える為のキスだった。
「ん、ちゅっ…………ずるいなー。こんなんされたらー、許しちゃうだろー?」
「ならもっとするよ」
「わー……♥ いいよー? ちゅー、好きぃ……♥」
(メスって単純だなー……ちゅーも好きだけどー、これだけでー、お客さんを好きになっちゃうんだもんなー……えへー……♥)
徐々に深く長く、激しく。三度四度と唇を重ねた後、青年はエリンを抱きしめながら再び勃起していたちんぽを擦りつける。
「入れたい……今度はこっちに」
「えっちだなー。そういうやつはー……へへー、大好きだぞー♥」
頬を染めながらエリンは青年のちんぽを撫で、改めてその大きさに内心で驚愕する。
これを入れたらどうなってしまうのか。それは恐怖ではなく期待だった。
「でもーいいのかー? エリンは動いてやれないぞー? 疲れてないかー?」
「大丈夫。それよりも今はエリンを抱きたい。思いっきり犯してやりたいんだ」
「熱烈ぅー……♥ だったらーせめてー、エリンが自分で入れたいなー♥」
エリンは青年の肩を軽く押し、対面座位の体勢でちんぽをまんこの入り口に宛がう。
怠惰なエリンと違い、それだけで男を求めてまんこは鈴口に吸い付いた。
淫蕩な笑みのお願いに青年は唾を飲み込み、頷く。
「じゃあ……入れるぞー……♥」
つるつるの子どもまんこに凶悪なちんぽが呑み込まれていく。
たとえどれだけ幼い見た目だったとしても此処は異人専門風俗。魔界には存在しないサイズであろうとも魔物娘の肉体は適応し、貪欲に男を受け入れる。
「──あ、はぁ……♥ 入っ、たぁ♥ えへへー、ありがとなー……♥」
「っ、大丈夫……!? やっぱり痛い!?」
「んー、いやー? きついけどー、痛くはないぞー。エリンたちはみんな淫乱だからなー」
「けどっ、泣いてるじゃないかっ」
嘘を言っている様子はない。それでも青年が心配の声を上げたのは、エリンの瞳に涙が浮かんでいたからだ。
「えー……? おー、ほんとーだー。でもだいじょーぶー、これはー、嬉しい涙ー」
青年に言われるまで気付かなかったエリンはしかし、あっけらかんと返して笑う。
──魔界を離れ、得体の知れない人界に赴く事になった時からずっと不安があった。
慣れない人の手足にも。人間という異種族を相手にする事にも。
その不安が今、この瞬間に霧散したのだった。
(この人がー、エリンを犯してくれてるんだー……エリンをオナホールにして、メスにしてくれてるー……あはー♥ エリン、くびったけー♥)
青年の首に手を回し、体をすり寄せる。厚い胸板、ごつごつとした肩、逞しい両腕。そのどれもがエリンにはないもので、そのどれもがエリンの求めたものだった。
「なー、エリン、もー疲れたー……だからー、よろしくなー? さっきみたいに好きなようにエリンを使ってー……? エリンは丈夫だからー、お客さんが気持ちよくなるように動いてー? それだけでエリンは-、すっごーくきもちいーから……♥」
「ッ──!」
「んはぁ♥ そのっ、調子ぃ♥ エリンの事、簡単に持ち上げてー、ひぐっ♥ 腰を振って-? お客さんの-、っ♥ メスなんだーって、分からせっ、てぇ♥ おっ、おっ゛♥」
出し入れされる度、エリンのお腹にちんぽの形が浮かび上がる。
メスを自分の形に拡張している。エリンを自分専用のメスに変えている。その事実が青年の動きをさらに強くさせた。
「んぎっ♥ すごっ♥ これっ♥ こんなのっ、おかひくっ♥ なるぅ♥ えりんじゃなくても♥ ぜったいにぃ♥」
「違う! エリンだけだっ! 俺がこんな事するのは! 絶対に!」
「言っ♥ たなぁ♥ ならぁ、えりんっ♥ だけだぞ♥ お客さんはっ、えりんだけの♥ お゛っ♥ えりんのだからなぁ♥」
「ああ! だからエリンもっ、俺だけのものだ!」
互いの熱に魘された告白。けれどその気持ちに嘘はない。
「うれひっ♥ なるぅ♥ えりん、お客さんのメスになるぅ♥ してっ♥ えりんのおまんこっ♥ せんよーにかえてっ♥ えりんに、ひぅっ♥ 覚えさせへよぉ♥」
甘いおねだりに応え、青年は体の中にはちんぽを、外にはキスマークを落とす。何度も何度も、決して消えないようにと証明を刻み込む。
(イっへる♥ もうずっとイってる♥ ちんぽが擦れるだけでっ♥ 印付けられるだけで♥ えりん、イキっぱなしぃ♥)
「いぎっ♥ きゅっ♥ あ゛っ♥ だめっ♥ くそぉ♥ えりんばっかぁ♥ お客さんもっ、きもちいーくなってほひぃのに♥ えりんひとりでイキまくりゅ♥」
エリンの言葉を否定する余裕は今の青年にはない。だがエリンが絶頂へと達する度にまんこが締め付けを強め、精をねだる動きは今まで感じた事がないほどの快感を与えていた。
「泣き虫だと思ってたのにぃ♥ えりんも泣かされてっ♥ 鳴かされっぱなしとかぁ♥ あ゛ー♥ しゃいこーっ♥ よかったぁ♥ えりんっ、メスに生まれてよかったよぉ♥ ん゛ー♥」
打ち付けられた腰も、吸い付かれた肌も、掴まれたお腹も、青年が触れた所全てを赤く腫らしながらエリンは喘ぎ続ける。
自分らしくもなく、けれど青年のメスになったのだから仕方ない。この快楽には抗えない。抗う理由もない。
「ん゛ぐっ♥ あっ♥ わかっ、るぅ♥ せんよーにされたからぁ♥ ちんぽが膨らんできへるのっ♥ わかるっ♥ きもちいーんだ♥ えりんのおまんこで、んきゅ♥ ちゃんとぉ♥ ああんっ♥」
「ああっ! 俺もっ、もう……っ!」
「いーよぉ♥ えりんのおくで♥ えりんの中でっ♥ えりんでっ、イって♥ しゃせーして♥ 中だひっ♥ たねづけっ♥ 孕ませぇ♥」
喉で感じた射精。それが子宮に叩きつけられる。その想像だけで何度も絶頂を重ねる。
何度も気をやって、それでも青年の体にしがみついて離れない。
(もう捕まえたから♥ えりんはせんよーだからっ♥ えりんのこと、使い終わるまで♥ ぜったいに、離さないからぁ♥)
「──ッ!」
「んきゅうぅぅぅーー♥ あ゛ー♥ きはぁ♥ さっきよりもっ、お゛っ♥ すごひっ♥ んぎゅっ♥ あ゛っ♥ あっ♥ イク♥ イクっ♥ イッてるのにっ♥ こへっ♥ いちばんのっ♥ イっクぅぅぅぅううううう♥♥♥」
(すっごいしゃせー、きたぁ♥ えりんのおまんこの奥でっ♥ 入りきらない♥ 受け止めなきゃなのに♥ えりんのおまんこっ♥ おぼれてる♥ せーししみこんで♥ いっぱいで♥ イってるぅ──♥)
二度目の射精は一度目よりもさらに多く、さらに長く、ちんぽで子宮口をこじ開けて精をエリンの中に吐き出した。
エリンの体は折れてしまいそうな程に曲がり、全身で絶頂と悦びを訴える。
こんなに気持ちよくなったよ、こんなにイッてるよ、もう、エリンはあなた専用のメスだよ、と。
「──ぁ、へ……はっ……♥」
やがて青年はエリンを押し潰さないように静かにベッドへ倒れ込んだ。
互いに激しい絶頂の余韻に浸りながら、青年はエリンを見下ろし、エリンは青年を見上げ、どちらからともなく微笑むのだった。
「えへぇ……♥ 好きー……♥ だーい好きー……♥」
◇◆◇◆
やあお疲れ様。どうだい、少しは疲れは取れたかい? ……まあ、疲れるような事はしたみたいだけどねぇ。
へ? なんだい、そんな事気にしなくていいサ。あんたさんが苦労してるってのは見れば分かったからね。あんなのは失礼の内に入らないよ。
それにうちの見立て通り、エリンにだって酷い事はしちゃあいないだろう? もしもあんたさんがそういう奴だったなら追い返すか、ぺろりと丸呑みにしちゃってたかもねえ。
って冗談サ。この街じゃ人間に手を上げるのは御法度だ。
……なんだい改まって、別に礼なんていいよ。あんたさんはお客さんで、うちは受付だ。たとえ金を払う気がなくてもね。
はっはっは、冗談冗談。はい確かに、毎度あり。ん、これだけで十分サ。残りは気持ちだけもらっておくよ。
それはそうと……その背中に引っ付けたぐーたらもんをどうする気だい?
……いや、いくらあんたがちんまくてもそりゃバレるだろうよ。
なに? ついてく? そのお客さんがそんなに気に入ったのかい。
ありゃりゃ、これはあんたさん、また余計な苦労を背負っちまったねえ。……はいはい、ご馳走様だ。
エリン、今までは目を瞑っていたけど、これ以上働く気のない奴を置いておくつもりはないよ。勝手にしな。
お客さんに捨てられてたってうちじゃあもう引き取らないからね。
……そうかい。そのやる気をうちでも出してくれりゃあ良かったのに。お客さんが来なかったら本当に放り出してたところだよ。
あんたもかい。やめなよ気持ち悪い。別にうちはあんたがどうなろうと知ったこっちゃないんだ。うちらは仕事の付き合いだけなんだからサ。
……うっさいね、泣いてなんかいないよ! さあもう店仕舞いの時間だよ! とっとと出ていきな!
あんたさんもね、ご利用ありがとうございました! ほら、いったいった!
─CLOSE─
……まったくいきなり泣かせる事言うんじゃないっての。調子が狂うったらありゃしないよ。
……お客さん、エリンを頼んだよ。
あの様子なら心配ないだろうけどサ。
やれやれ、何度送っても慣れないもんだけど……まあ、悪い気分じゃない。
小話②
男の性欲の薄い魔界には存在しない為、オナホールを知った魔物娘はカルチャーショックに襲われたぞ。
道具のくせに精を搾り取るなんて、と怒りに燃えて一部の魔物娘はオナホール絶滅計画を企てているとか。
小話③
精は魔物娘にとて魔力であり栄養の完全食品だぞ。けど魔界では中々ありつけないんだ。
けど毎日注いでもらえたらエリンも自分の力で人間体と本来の姿を自由に選べるようになるかもしれないぞ。