※この作品はR-18です。

歓楽異人街 ~絶滅の危機に瀕した魔族が人間相手に風俗店を経営した結果~   作:うた野

4 / 9
キャスト4 ゴーレムの場合 ~致命的なエラーファック~

 ─OPEN─

 

 やあ、いらっしゃい……って、どうしたんだいその格好?

 そりゃあ人界と比べたらこの街は大らかだけど、流石に半裸でうろつく奴はそうはいないよ?

 

 ……はあ、そうかい。賭けに負けて身ぐるみを剥がされてほっぽり出されたわけだ。

 あんたさんたち人間と同じで、うちらにも色々いるからね。

 この歓楽異人街に居る奴らは友好的な奴ばかりだけど、たまに人間を良く思わない奴も紛れ込むのサ。

 店は違えど身内のした事だ、すまないね。

 とはいえあんたさんにも問題がある。あんたさんが入ったその店は人界で言うところのキャバクラみたいなもの、お触りぐらいなら許されてもそれ以上はNGだよ。

 随分と飲まされたみたいだから仕方ないかもしれないけどね。

 

 おや、随分と素直だね。夜風で酔いが覚めたかい?

 それともうちのナリを見て目が覚めたのか。

 くくっ、うちぐらい人間離れした姿の奴はいなかったろうからね。

 安心しろと言っても無駄かもしれないが、人間相手に危害はくわえないサ。勿論、不埒な真似をするなら話は別だけど。

 

 そんなに慌てなくてもいいよ。この九重(ここのえ)(ねぐら)は特に大らかだ……けど、金がないんじゃそうもいかないか。

 どれ仕方ない、賭けとはいえ使った金は取り返してやれないが、服ぐらいは話をつけてきてあげるよ。その格好じゃ帰るに帰れないだろう?

 

 礼を言うなら今度は金を持って来ておくれ。上玉が揃ってるからね。

 それじゃちょっと行ってくるよ。

 

 ──ああ、それと、もしも猛ったまま落ち着かないそいつを静めたいんだったらフロントの奥の扉を開けるといい。

 店を汚されるのはうちとしても御免だからね。

 まあ、ゆっくりしていきな。

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 店のラウンジに半裸で居座るのも居心地悪く、男は尾を引きずって出かけていった受付嬢に言われたようにフロントの奥の扉へと手を掛けた。

 一体何が待っているのかと身構えていたが、開けた先はなんてことはない。ただの厠、トイレだった。

 店の外観、内装からして和洋折衷の建物だったがトイレの中も同様だ。

 整頓されたスリッパと下駄が並び、見慣れた白い開き戸の個室と居酒屋でたま見かける木製の引き戸の個室が対面して四つずつ並んでいる。

 

「従業員用のトイレ……? 此処で自分で処理しろって事か……ははっ」

 

 風俗店に来ておいてそんな悲しい事はないが、知人に勧められこの歓楽異人街を訪れた男は元々、異人に対して嫌悪感よりも恐怖感の方が勝っていた。

 故にこの九重(ここのえ)(ねぐら)のようないかにもな店ではなく酒を楽しむ事を目的とした店を選んだのだった(酒を飲んで気が大きくなった結果がこれだが)。

 情けない自分にはお似合いか、と渇いた笑みを浮かべて男は裸足にスリッパを通し、一番奥の開き戸へと進む。

 受付嬢の言う通り男の性器は勃起していたがこの場で処理する気にはとてもなれない。

 そんなに図太い神経を持っていたなら一目散に此処に来ていた事だろう。

 トイレに座ってぼーっとしていればそのうち収まるだろうと考えて扉を開く。

 

「ふぅ……」

 

 清掃の行き届いた洋式トイレの便座に腰掛け、溜息を吐く。

 背中を預けて天井を仰げば酔っ払っていた時の自らの愚行が頭を過ぎり、後悔が押し寄せてくる。

 異人問題は毎日のようにニュースで取り上げられているが、自分には関わりのないことだと思い込んでいた。

 歓楽異人街についても冗談か何かだと思っていたが、こうして訪れた以上、疑いようのない現実で、他人事などではなかった。

 

「とんでもない所に来ちまったなぁ……これからどうなっていくのかね、この国は……」

 

 半裸のまま、つい真面目ぶった事を考える男だったが、その思考は背後から聞こえて来た声によって打ち切られる事になる。

 

「人間のアクセス、および男性器の勃起を確認──成人済みと判定。SR388、稼働を開始します」

「は……?」

 

 何処か機械音声(システムボイス)じみた女の声。同時に男の座る便座が脈動を始め、理解が追いつかない男を余所に変形を始める。

 固い便座が波打ち、柔らかい膝の感触へと変わり、背を預けていたタンク部分が二つの豊満な山を形成され、男の溜息と換気扇が回る音だけが響いていた個室に新たな息遣いが生まれる。

 

「うぁ!?」

「男性器のサイズを測定……完了。奉仕設定を行いますか?」

 

 背後から伸びてきた女の手に男性器をズボン越しに撫でられ、体がびくりと跳ねる。

 いつの間にか男の座っていたトイレは無表情を浮かべる女の人型へと変化していた。

 白い肌と白い髪、整った顔立ちをしている妙齢の女。

 男はその女の膝に座り、抱きかかえられる体勢になっている。

 

「な、な、な……?」

「ヘルプ、奉仕設定とは。当機体SR388の性格設定、男性器および女性器の呼称設定、奉仕スタイル等を利用者の好みに応じ個別に設定出来ます」

「な、なに? なにこれ?」

「奉仕設定を行わない場合、おまかせ奉仕モードへと移行。当機体SR388の嗜好に基づいた奉仕を開始します。……奉仕設定を行いますか?」

 

 突如として身に降りかかった超常現象に男は混乱とまだ体に残る酒気のせいで口をぱくぱくと開閉させる事しか出来ない。

 

「応答なし。よって自動的におまかせ奉仕モードへと移行します。なお、奉仕設定は途中からでも行えます。控えめに申し上げて当機体の嗜好、性格は人間にはあまり好ましくないものと自己判断しますので早急な設定をおすすめ致します。……では奉仕を開始します」

 

 背後から回された両手に抱きすくめられ、立ち上がろうにもその細腕からは逃れる事は出来ない。強い力で締め付けられているようには思えないにも関わらず、女──SR388の腕はまるで揺るぐことはなかった。

 

「ベルトを脱着、下着を脱衣、男性器を解放……完了。推定される最大勃起時と比べて現在の勃起率はおよそ40%から50%。当機体の嗜好に基づき、言葉責めと手淫による完全勃起を図ります」

「ちょっ、何して……!?」

「人間よ、あなたがこの個室を訪れたのは九重(ここのえ)(ねぐら)の正規キャストを購入する資金がなく、しかし溜まりに溜まった性欲を解消する為ですね? 理解しています。当機体は我らが王の手によって創造されたゴーレムの一機、人間相手の無償奉仕を目的として創られました。安心なさい、我らが王は貧しき者であっても差別はしません。訪れた者には須く至上の快楽を提供します」

 

 背中に豊満な胸を押しつけられているとはいえこの状況で素直に勃起する程、男の危機感というものは欠落してはいない。

 困惑と恐怖が勝り、むしろ萎えていくばかりだ。

 

「勃起率の低下を確認。やはり早急な奉仕設定を勧めます。ん、れろぉ……」

「んんっ!?」

 

 首筋を舐められるぞくぞくとした感覚から逃れようと顔を振り乱した男だが、逆に唇をSR388に捉えられ、ねっとりとした動きで口内に舌が侵入した。

 

「んちゅうっ、れろ、じゅるるっ、ちゅっ、あむっ、んっ、ちゅっ」

「んぐっ、んっ、まっ、んんっ!」

「抵抗は無意味です。完全な勃起後、射精へと至るまでは当機体はあなたを逃しません」

「っはぁ……なんなんだよこれぇ!?」

「いえ、訂正が必要ですね。……バッキバッキに勃起したおちんぽからザーメンを絞り出して金玉袋が空になるまで、あなたを離しません……♥」

 

 再び唇を塞がれ、濃厚なキスによって唾液を流し込まれながら、SR388の手は蛇のようにうねりながら男の玉袋と蟻の門渡りをなぞる。

 背筋が震えるフェザータッチに男性器に徐々に血液が集中していく。

 

「体温並びに勃起率の上昇を確認。人間の雄というのは単純で、故に愛おしく思います。本来であれば泥人形に等しいこの機体に性的興奮を覚える者はいませんが、人間だけは違う。この役割は当機体にとって天職と言えるでしょう。いえ職というのも奇妙ですが」

 

 何やら無表情ながらしみじみとした様子だがその手の動きが止まる事はない。

 くすぐるような絶妙な動きに着実に男性器は勃起を始めていた。

 

「想像して下さい。あなたの勃起ちんぽにとって最高の射精を。手に包まれての射精。おっぱいに挟まれての射精。喉奥での射精。まんこへの射精。およそ人間が考え得る射精パターンの全てを当機体は実現出来ます。人間では壊れてしまう程のピストンにも、呼吸できない程の激しいピストンにも。何もあなたが動く必要はありません。当機体が自動であなたを射精に導く事も出来ます。あなたは気の赴くまま、好きな時、好きなように射精する事が許されています」

 

 荒くなる息遣いは得体の知れないSR388への恐怖によるものだけではない。

 純粋な性的な欲求が男の中に生じていた。彼女の言う通り、人間の雄のなんと単純なことか。

 

「さらに勃起率が上昇。心拍数および体温の上昇も確認。……興奮しているのですね。さらなる興奮を助長する為、言語機能、淫語パラメータを調整……完了」

 

 感情の希薄な口調はそのままに、しかし明確にSR388に変化が生じる。

 男の耳元へと寄せられた唇から紡がれる言葉はさらに淫らに、下品なものへと変わる。

 

「ザーメンミルクを射精したいのでしょう? あなたは子を宿す機能を持たない精処理ゴーレムオナホに自分勝手なオナニーザーメンを吐き出したくて堪らない。良いんですよ。オナホ手コキ射精、オナホフェラ射精、オナホパイズリ射精、オナホセックス射精……♥ どれにしましょうか。あなたが決めないのならまずはこのままオナホ手コキで射精しましょうか? 人間なら確実に孕むぐらいの特濃子種ザーメンミルクをびゅーびゅー吐き出しましょう?」

 

 脳の処理が追いつかない淫語の連呼、未だに残る酒気からか、男はそれ以上の思考を放棄する事を決めた。

 逃れようとしていた手の力を抜き、男性器に添えられたSR388の手へと重ねる。

 

「やはり手ですか。了解しました。ではこのまま……」

「いや、手と口だよ」

 

 不思議な事にびくともしなかったSR388の両手はあっさりと解かれ、男は立ち上がりつつ低い声で告げる。

 男は知る由もないが、それもSR388の機能の一つだ。

 対象が性的奉仕を受け入れた場合、SR388は対象者に対して無力となる。

 SR388が起動した時点で対象が射精へと至る事は決定事項となるが、対象自体が射精を望むのならば強制奉仕行動の必要はなくなる。

 射精が必定ならばそこに至るまでの過程は対象者に委ねられるのだ。

 

「……♥ 了解しました。では対象者の意向に従い、奉仕を再開します……♥」

 

 SR388は自らの機能を活用することで男の要望を瞬時に酌み取り、即座に対応する。

 背を向けたまま立ち上がった男の腰へ床に膝をついて両手を回し、男性器と玉袋の位置を確認した後、口を開く。

 

(対象者の欲求を感知。それに従い奉仕行動を修正します)

「んじゅうううう♥」

 

 そして、開いた口でそのまま男の尻穴へとむしゃぶりついた。

 口内や鼻腔へと侵入してくる尻毛など意に介した様子もなく、尻の穴へと舌を突き入れる。

 

「ぢゅるっ♥ んぢゅっ♥ じゅるる♥ じゅぽっ♥ じゅぽっ♥ れろぉ……♥」

 

 人間であれば顔を歪めるであろう尻穴の悪臭や苦味。だがSR388は無表情ながらも、むしろ恍惚とした表情すら浮かべているようにも見えた。

 尻穴の入り口や穴の皺の一つ一つを丁寧に舌がなぞる。

 尻穴に唇を重ね、押しつけ、愛撫する。これこそが自らの本懐だと言わんばかりの熱烈な奉仕に、男性器はついに最大限まで勃起した。

 

「ぐぽっ♥ んぐっ、はぁ……♥ おちんぽの完全勃起を確認……我慢汁のおもらしも同時に確認……♥ 当機体SR388の腕部へ付着……♥」

「……あのさ、その呼び方だといまいち興奮しないから、サラって呼んでもいい?」

 

 刺激に反応こそすれ、やはり人間にとってSR388の名称は性的対象として見るには受け入れがたいものがある。

 男の何気ない提案に、SR388の機体がびくりと震えた。

 

「確認。サラを当機体の個別認識名として登録してよろしいですか?」

「そっちがいいならそうしてくれ」

「……了承。当機体をこれよりサラとして登録。同時に命名者をマスターとして本登録……完了」

 

 大げさな確認はやはり機械じみているな、と他人事のように聞き流し、男は尻を自ら押しつける事で奉仕の再開を求めた。

 

(マスター登録の完了に伴い対象者の権限をグランドマスターと同等に再設定。この設定はグランドマスターおよびマスター以外の手による変更は不可能です)

「ぶふぅ♥ んじゅ♥ ぶちゅっ♥ んぐっ♥ じゅぼっ♥ ずずずずっ♥」

 

 当然のようにそれに応え、サラはさらに奥深くへと舌を突き入れ、同時に右手で竿を擦り、左手で玉袋を刺激した。

 敏感な部分でありながら、サラの技巧によって不快な痛みは一切感じない。ただただ至上の快楽だけが男にもたらされる。

 何より、見ず知らずの女に尻穴を奉仕させるという非現実感が酒気と色香に酔った男を興奮させた。

 

「じゅるるっ♥ んごっ♥ ぐぽっ♥ ずぷぷぅっ♥ ふごっ♥ ふんごぉ♥」

 

 機械的な抑揚のない発言とは裏腹に奉仕中に漏れ出る音は酷く下品に響き渡る。

 押さえつけられた鼻からは豚にも似た無様な音が、口元からは溢れる涎が滴り落ちる水音が。

 そのギャップが雄を興奮させるのだとサラは生まれながらに知っていた。特にマスターとして登録されたこの男はそれを好んでいるのだと。

 

「ふぎぃ♥ ぷごっ♥ んごっ♥ ずずずっ♥ はぐっ♥ あむぅ♥」

 

 男性器から分泌された我慢汁と滲み始めた汗がより卑猥な水音を大きくし、サラの手を滑らせる。

 

(マスターの射精タイミングを予期、マスターが求める最高の射精を推測──完了)

「ふはぁ……♥ 精液袋がぐつぐつと煮えたぎるのを感じます。射精が近いのですね? おちんぽミルクサーバーからザーメンを吐き出すのですね? 排泄部位の希望は? お手々オナホ? お口オナホ? おっぱいオナホ? それともまんこオナホ? さあ、一体どれになさいますか……♥」

 

 限界の近づいた男にはそれに答える余裕はなかったが、サラは男の欲望を察知し、自ら男を引き寄せ、足を滑らせながら床へと倒れ込んだ。

 逆らう暇もなく、引き寄せられるままに男はサラの上へとのし掛かる。

 ぶぴっ♥ とゴムボールか何かが潰れたような間抜けな音と共に男の尻がサラの顔面を押し潰した。

 男の顔面騎乗。およそ考え得る限り最悪のシチュエーションといっても過言ではないそれを、サラは尻の下で初めて表情をはっきりと恍惚としたものに変えて受け入れる。

 全体重を乗せられながらサラの動きに淀みはない。離した両手を胸へと移動し、上下に揺れる男性器を寸分の狂いなくその胸に挟み込んだ。

 

「ぐっ、やべ……!」

(予測される射精までの時間、残り5、4、3、2──)

「じゅっぽじゅっぽっ♥ んぐっ♥ じゅるるるぅ♥」

射精()る……ッ!」

 

 尻穴をほじくられながら、肉棒には吸い付くような胸の感触。その感触を味わう間もなく、男に限界が訪れる。

 男性器が乳房に覆い尽くされその姿を隠した瞬間、男は今まで感じたことのない快感に震えながら溜まっていた精を吐き出したのだった。

 

「ずるるるるっ♥ んお゛っ♥ ずぞぞぞぞぞっ♥」

「ケツもちんこも、搾られっ……くぅ……!」

 

 吐き出される精を乳房で受け止め、もっともっととサラは搾り取る。

 それこそがゴーレムである彼女の使命であり、悦びなのだ。

 

「んぐっ、おぶっ♥ んっ、ずずずずっ……っはぁ……♥」

 

 肉棒を口へと導き、尻尾フェラで尿道に残った精液を吸い出し、咀嚼し、嚥下する。

 股下から覗くサラの熱っぽい表情にその口から白い吐息が吐き出されているような錯覚を男は覚える。

 その錯覚は精を吐き出したばかりの肉棒へと血液を送り、僅かに萎えた肉棒に再び固さと熱が宿る。

 

「はぁっ、はぁっ……」

「射精を確認。お疲れ様でした。男性器の縮小を確認。金玉袋内の精液の残量、十分。次の奉仕行動に移ります。奉仕設定を行いますか? 行わない場合、お掃除の後──お゛っ、もぐぉ♥」

 

 未だ尻の下のサラの問い(確認)に応えず、肉棒をサラの口内へ直下で挿入し、男は一心不乱に腰を振り下ろす。

 

(想定を越えた速度の再勃起。マスターのデータを上方修正)

「お゛っ、んお゛っ♥ あぶっ♥ おぶっ♥」

 

 男は気遣いのないイラマチオを行いながら、眼前へと置かれたサラの人と寸分違わぬ女性器へと乱暴にしゃぶりつく。

 クンニリングス。男から女へと行う愛撫であり奉仕だが、男のそれは単なる蹂躙も同じ。

 女に快楽を与える為のものではなく、ただ己の興奮を高める為の行為でしかない。

 

(予期せぬ快感を検知。データベース照合──ヒット。クンニリングス、主に人間の雄が雌へ行う愛撫、性交前の前戯──不可解、当機体には不要)

「お゛ほぉ♥ んぶっ♥ はぁ♥ んぐっ♥ んん゛っ♥」

 

 しかしサラにとってそれは未知の快楽だ。

 魔王によって生み出されたゴーレムは人間の為のモノだが、人間用というわけではない。

 人間の住まわぬ魔界で生み出されたのだから当然だ。

 淡泊な魔族の雄との性交を想定(当然、魔族の雄がゴーレム相手に性交を行うはずはない)して創られたゴーレムであるが故に性交以外、前戯が想定された造りであるはずがない。

 完全なる想定外の快楽、常識の外の快感、ゴーレムの身で感じるなというのが無理な話だ。

 

(想定外の事態。エラー、エラー、エラー。奉仕ロジックに致命的ダメージ、再起動……現状では不可)

「おお゛っ♥ んごぉ♥ お゛っ♥ お゛っ♥」

 

 泡立つカウパー液を口から零しながら埒外の快楽にサラは溺れる。

 そこから浮上する術は彼女には備わっていない。沈み込んでいくばかりだ。

 

「はーっ、はーっ……!」

「んぐっ、ぷぁっ♥」

 

 上下の口からだらだらと粘液を溢れさせるサラを血走った目で見下ろし、男は太股を抱えて仰向けのままM字開脚の体勢を取らせる。

 全てを曝け出した体勢の己にサラの茹だった思考は自覚のない期待に震えていた。

 

(エラー、ERROR、えらー)

「け、警告。当機体の奉仕ロジックに致命的エラーが発生しています。現状のままの挿入は危険と判断します。再起動を推奨します」

「はぁ……?」

「つ、つまり今そのギンギンに勃起した凶器ちんぽをどろどろの防御力皆無まんこに突っ込まれたら……サラはおかしくな────んおお゛ぉぉぉん♥」

 

 脳内でエラーを吐き出しながらも機械的に警告を発するサラだったが、そもそも今の男にロジカルは無意味だ。

 容赦なく挿入された肉棒にサラの脳内回路で何かが焼き切れた。

 

「……ぷぴっ♥」

 

 鼻から逆流した精液を垂らし、瞳を裏返してたとえ淫語のパラメータを操作していても理知的、機械的思考のままであるはずのゴーレムとは思えない声を零した。

 

(エラー、ERROR、■らー)

「んぎゅおっ♥ お゛う゛っ♥ お゛っ、ちん、ぽ……♥ ちんぽちんぽちんぽちんぽぉ♥ ゴーレムオナホまんこにちんぽキタぁ♥ ずぼずぼばこばこ♥ ちんぽピストン開始ぃ♥ えっぐいちんぽピストンでまんこエラー♥ まんこ性交♥ ちんぽ交尾♥ エラーセックスぅ♥」

 

 男に酒気が残っておらず正気であったならばサラの狂態に肉棒は萎え、自らが取り返しのつかない何かをしてしまったことを悔いただろう。

 けれど今の男にとってサラのその姿は自らの肉棒が与える快楽に酔いしれ、媚びる一匹の雌としか映らない。

 

「お゛っほぉん♥ に、人間ちんぽしゅごぉ♥ ゴーレムまんこエラー♥ 無理ぃ♥ こんなの奉仕行動不可ぁ♥ ただの穴になりゅ♥ ただの穴としてしか存在価値なくなりゅ♥ すいません♥ ゴーレム失格のまんこ穴ですいません♥ 謝罪まんこで懲罰ちんぽ受け止めましゅからっ♥ もっとずこばこしてぇ♥」

 

 サラの言葉は男には届かない。だが結果は変わらない。

 言われるまでもなく男はサラを精の捌け口として使い潰す。

 

(エラ■、E■ROR、えらー)

「んほぉ♥ お゛っ、おっ゛、おお゛っ♥ ち゛ん゛ぽっ、子宮に直接アクセス♥ 承認っ♥ ちんぽアクセス承認♥ 雑魚ファイアーウォール素通り♥ がばがばセキュリティちんパスぅ♥」

 

 一突きの度により深く、奥まで入り込む肉棒に延々とエラーを吐き出しながらサラは喘ぎ狂う。

 感情を表す機能に乏しくとも喜怒哀楽は備わっている。脳内は真っ赤に染まり、回路は一つ、また一つと焼き切れる。だがサラが感じるのは恐怖ではなく、喜びだった。

 

「おほっ♥ あびゅ♥ でたらめピストン♥ 快感値測定不能♥ ちんぽ入射角予測不可能♥ 無能まんこ絶頂不可避♥ 絶頂♥ オーガズム♥ アクメ♥ くるクル来る狂ぅ──」

 

 狂乱、後、静寂。

 嵐の前の静けさというべきか、一瞬の沈黙を置いて絶頂(それ)は来た。

 

「お゛っ──? お゛ぉぉほぉおお゛お゛ん♥ おほっ♪ オ゛ッ♥ オ゛ォ♥ イひっ♥ ん゛んォおおおおお♥」

 

 深い絶頂。視界がスパーク、暗転、明滅、閃光。

 意識のブレーカーがオンオフを繰り返す。

 

(エ■ー、ERROR、え■ー)

「ひーっ♥ ふひーっ♥ ふっ、ふぅっ……ふぅっ♥ ぴぎぃん!?」

 

 快感のボルテージが振り切れようとそれはサラに限った話だ。

 男はまだ二度目の絶頂へは至っていない。暴発に近かった一度目とは違う、自らの限界へと挑むような荒いピストン運動が再開される。

 

「勃起率さらに増大ぃ♥ 当機体の許容量オーバー♥ 強制かくちょっ、ほぉん♥ 量産ゴーレムからマスター専用ワンオフゴーレムに改造進行中ぅん♥ え゛ひっ♥ んぶっひぃ♥ くっひゅ♥」

 

 セーフティゾーンを優に越えて子宮を抉る肉棒だが、サラの機体は徐々に創り変わり、変化していく。

 より深く受け入れられるように、より快楽を感じられるように。

 

(エ■ー、ER■OR、■らー)

「えぎゅ♥ おふぅッ♥ 勃起ちんぽ♥ がちがちちんぽ♥ 子宮ロックオン解除不可♥ 射精回避不能♥ 膣壁を扼し迎撃開始ぃ♥ ぐちゅぐちゅまんこで最後の抵抗♥」

 

 開脚し、張り詰めていたサラの足が男の腰へと回る。

 それはサラの脳が論理的に判断した結果である。

 回避は出来ずとも防御ならば出来る。この機体は強固にして頑強。

 奉仕ロジックはとうに壊滅しているが、たとえ許容値を越えてもダメージコントロールによって重要回路だけは死守出来るはずだ、と。

 

「ふきゅうううう♥ 奉仕モードダウン、緊急搾精モード起動♥ マスターちんぽっ♥ し、搾り取りゅ♥ 搾精しへっ♥ 一滴たりとも逃がさなひぃ♥ 次の射精で金玉袋の中身ぜんぶ吸い出しゅ♥ お゛ぉ♥ ガっ♥ いぎぃ♥ ふにぃぃぃいいん♥」

 

 だがそれはギリギリの戦いであると承知している。

 九重(ここのえ)(ねぐら)内で行われた性行為のデータは自動的にゴーレムたちにフィードバックされるが、現時点でもその想定を越えている。

 データだけでは読み取れないヒューマンエラー(人間の雄の精力)を身を以て体感しているのだ。

 

「ふーっ♥ ふくっ♥ 射精タイミングを予測、子宮口を解放準備、ちんぽの根元まで受け入れ準備完了♥ まんこ最奥で射精を補助しっ♥ ちんぽ蛇口全開にさせりゅ♥ 金玉袋の中身空にしてっ♥ 自己修復の時間を゛ぉ♥ そのしょっ♥ 勝率っ、72%♥」

 

 通常であればさらに演算を繰り返し、95%を越える確率をはじき出すまでは実行には移らないが今のサラにはこれ以上の確率を導く事は出来なかった。

 けれどこれ以外はない。未来永劫、奉仕ゴーレムとして活動する為にもこの戦いに勝利しなければ自らの価値は永遠に失われる。

 

(マスターに廃棄を言い渡される以前に自ら稼働を停止する。それは当機体、否、全ゴーレムにとって存在価値の消失であり、絶望である)

「んぎゅ♥ えぶっ♥ 射精まで後ちょっ、とぉ♥ マスターのちんぽピストンを全力で受け止めましゅ♥ どっ、どうかぁ♥ 満足のいく射せっ、いぉぉおおお゛お゛♥」

「ああ……ッ! 出すぞッ、出してやるッ、お前の一番奥でザーメン吐き出してやるからな……!」

 

 万が一にも射精の瞬間に腰が引かれる事のないように腰のホールドを強め、両手を男の背中に回す。

 まるで恋人たちのセックスのようにも見える体勢でサラは射精の瞬間を待ち──そしてその瞬間は訪れる。

 

(エ■■、E■■OR、■■ー、男性器の最大勃起を観測。子宮口の解放シークエンス開始)

「お゛っ、おお゛っ♥ せーし♥ ザーメン♥ ちんぽミルク♥ 来るっ♥ 来る来る来るぅ♥ んひっ────い、まぁ♥」

 

 エラーを吐き出し続ける回路は男の射精を爆発と誤認した。

 膣内に挿入された爆発物が破裂し、爆風が子宮内に流れ込んだのだと。

 

(否定、修正。これは爆発ではなく射精。膣内、子宮内での極めて強烈な射精である)

 

 食事を想定した胃で受け止めた一発目と違い、魔族用の容量しか持たない精液タンクである子宮で人間の射精の全てを受け止めた事により、サラのお腹はぷっくりと膨れたが外装に破損はない。

 自らを創造した王に感謝しつつ、震える声でサラは勝利を宣言する、

 

(射精圧の減衰を確認……。膣壁の収縮を高速化──搾精……完了……)

「し、射精、確認……♥ ぴぎゅ♥ 致命的ダメージ……なしぃ♥ ふっ、ふひっ♥ これ、で、サラはゴーレムとしての本分をまっと、ぉ……?」

 

 はずだった。

 膣内でサイズを縮小させた肉棒が射精とは違う脈動を始めるまでは。

 

「だ、男性器、ちんぽの急速な増大を確認……はぇ……? な、なんで……? 理解不能、し、したっ、だって今っ、それにさっきも射精した! びゅーってっ、二回もざーめんびゅるびゅる射精したのになんでぇ……?」

 

 今更にサラは理解した。既に大半が焼き切れて使い物にならない回路でではなく、自覚できていなかった、芽生え始めた心で理解した。

 この快楽、このマスターから逃れる事は出来ない。受け入れるのが最良であり、壊れてしまう事が最高なのだ。

 

「ちんぽピストンの再開……ふへっ、えへへへっ────ンぎぃぃぃいい♥♥♥」

(お゛っ……♥ マスターちんぽしゅご……♥ これ、データなんて意味ないぃ♥ もういい♥ もうロジカル奉仕なんて必要なひっ♥ ただのゴーレムオナホとしてマスターに全部おまかせしゅる♥ それが幸せ♥ マスターちんぽも悦んでる♥ ゴーレムまんこも大悦びぃ♥ ふひひひぃん♥)

「マスター、ますたー、ますたぁ! サラのゴーレムオナホ使って♥ 使い潰してぶっ壊してぇ♥ サラのっ、サラの一生を捧りゅからぁ♥ ますたーを満足させるまで頑張りゅからっ♥ ますたーちんぽでサラを終わらせへぇ♥ ん゛っほォぉおおおおっ♥」

 

 その後、サラはデータ収集を放棄したが男は膣内に四度、腸内に三度射精した。

 ……これはサラも男も知らぬ事だが、その常人を越えた精力は男が飲まされた魔界の秘酒による効果によるものだった。

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 あれま、随分な有様だねえ。

 せっかく服を取り返してきてやったっていうのに、そんなにどろどろじゃあ服なんて着れたもんじゃないだろう。

 ゴーレムには洗浄機能も備わっているけど、あれじゃあ駄目そうだね。

 

 おやおや、さっきにも増して縮こまっちゃってどうしたね?

 ──はぁ、だから言ったろう? あんたさんに危害を加えたりしないよ。

 そりゃまあここまでするとは思ってはなかったけど、これはこれでゴーレム冥利に尽きるってものだろうサ。

 

 キャストが出揃う前に魔王様から賜ったゴーレムたちだけど、中々出番に恵まれなくてね。

 それだけキャストに恵まれたって事だけど、生まれたからにはその子だって役割を果たしたくて溜まらなかったんだ。

 商売人としてはゴーレムたちを使われるのは商売あがったりだが、生まれた時から知ってると親心みたいなもんもあるもんでね。

 将来的には単純な労働力として使われる予定だったけど、一度くらいは本来の役割を与えてやりたかったのサ。

 だからあんたさんは渡りに船だったよ。それに本当に危険な奴なら防衛機能が働いてる。

 あんたさんが無事って事はどんだけ手酷く扱っていても、心のどこかにそれを止めるなにかがあったって事サ。

 

 それはそれとしてあんたさん、ゴーレムのマスターとして登録されてるね。

 マスター登録されたゴーレムはマスター以外には……いや、マスターにだってその登録を解除出来ない。

 そうなるともう店には置いておけないね。

 廃棄処分が妥当な所だけど……さて、どうしたものか。

 他に働き口がないことはないけれど、それにはマスター同行でないと認可が下りないんだよねえ。

 

 ふふふっ、へえ? なんだい、転がり込んで来た時は情けない面だと思ったけど、良い顔も出来るじゃないか。

 雄の、いや男の顔って奴かい?

 

 ……うん、それじゃあ責任を取ってもらおうか。

 紹介状を書いてやるから、まずはシャワーでも浴びてきな。

 当然、そのゴーレムも一緒だ。その様子じゃ暫くは自己修復の為に目を覚まさないから、あんたさんが面倒を見るのは当然だろう?

 

 ふぅ……やれやれ、こりゃ今日は店仕舞いだね。

 しかしゴーレム相手に……魔族の雄なら鼻で笑うような話だが、情に絆されてるのはうちも一緒か。

 ……良いマスターに、良い男に出会えたじゃないか。

 

 

 

 ─CLOSE─

 




小話⑤
マスター登録を済ませていないゴーレムは再起動の度に記憶もリセットされるが、SR388がこれまで稼働した事は一度もなかった。
つまりは生まれたてほやほやファックでこの有様だ。まったく人間とは恐ろしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。