歓楽異人街 ~絶滅の危機に瀕した魔族が人間相手に風俗店を経営した結果~ 作:うた野
─OPEN─
やあ、いらっしゃい……ってあんたさんか。
あんたさんも飽きずに良く来るねえ。
払う物払ってもらってるからうちとしてもあんまり文句は言いたくないけど、うちは風俗店なんだよ?
あんたさんとあの娘はそれでいいのかもしれないけどねえ……まあいいさ。
──はい、毎度。
今度は他のお客さんたちに迷惑をかけるような事はしないでおくれよ。
何がって……異臭! 騒音! 爆発! どんなプレイだって話だよ、まったく……。
あの娘とはうちもそれなりに長い付き合いだけど、
客を取れば変わるかと思えば、その客があんたさんみたいな同類じゃそれも望めやしない。
あんたさんも物好きだねぇ。
まあいつも一人きりだったあの娘が誰かを受け入れる所か待ちわびるってのは、随分な変化ではあるんだけどサ。
なんでもないよ。ごゆっくり。よろしくどーぞ。
……はぁ、ここまで来たらとっととヤることヤって持ち帰って欲しいもんだけどねぇ。
あの娘相手じゃ、そう上手くもいかないか。
◇◆◇◆
白衣を身に纏った眼鏡の中年の男は大きな鞄を抱え、鼻歌交じりに慣れた足取りで扉を潜り、階段を下りていく。
地下の奥から二番目、目的地は初めて
他の部屋と比べて少し年季が入ったように傷んだ扉をノックもせず開け放てばツンとした鼻に刺さる臭いが漏れ出るが、男は気にした様子もない。
「ん? ああ、君か。ようこそいらっしゃい。ご指名ありがとう」
「おはようございます、先生」
ラブホテルの一室のような内装の中、明らかな異物感を放つ大鍋の前で脚立に立つ、とんがり帽子にローブというレトロスタイル。
所々が跳ねたぼさぼさの金髪、ローブにも染みと汚れが目立ち、彼女のだらしなさを如実に表していた。
「今は何を?」
「ああ、魔界の薬草と以前君が採ってきてくれた人間界の薬草の調合をね。上手くいけば魔族の雄の精力を増幅出来るかもしれない」
「おお、それはすごい……!」
「とはいえサキュバスたちに搾り取られた雄ではそもそもの精力が枯渇しているが。だがまあ、多少の成果は出さねば」
「目に見える、分かりやすい成果というのは重要ですからね。本当に評価してほしい部分とはズレるとはいえ……って先生?」
「なん──とぉぉ!?」
火にかけられた鍋の中身がぐつぐつと煮立ち、絵に描いたような黒煙を放つ爆発。
爆風に脚立から転げ、床に這いつくばってずり落ちた赤いフレームの眼鏡を直しながら、魔女は咳払い一つ。
「ふむ、一定温度を越えるとこうなる、か。貴重なデータが取れたな……けふっ」
「さっき怒られたばっかなんでもっと慎重にやって下さい」
「ふはは、案ずるな。脆弱な君たち人間と違って超! 天才! ウィッチ! であるこの私、ダリア・ダルク・ダルケスタにとってこれぐらい何でもない。自分の才能が恐ろしい……」
「才能と体の丈夫さは関係ないですよね」
呆れ顔で男は鞄を下ろし、中からシリコン栓で密閉された試験管を取り出した。
試験管内は白くどろりとした液体──男の精液が中程まで注がれている。
「うむ、毎度ご苦労」
男の言葉を聞き流し、ダリアは試験管を受け取ると粘度を確かめるように二、三度振り、満足げに頷いた。
「排泄してから半日といった所か。欲を言えばもっと鮮度の良い精が欲しいものだ。なんだったらこの私が手ずから採取してやろうか? もしくは見ていてやるからこの場で出してもいいぞ、わはは」
「セクハラは勘弁して下さい。僕ももういい歳なんで一回出すのだって辛いんですよ……流石に研究室の若い連中に頼むのも気が引けますし」
「
ダリアはつまらなそうに試験管を弄ぶ。
歓楽異人街の噂を知らないままに迷い込んだ異人の街、恐怖よりも知的好奇心が勝り、道行く異人たちを眺めて興奮した様子でメモ帳にペンを走らせていた男は、気晴らしに散歩に出ていた所、アイディアが降って湧き、地面に数式を書き連ねていたダリアに躓いた。
歓楽異人街のメインストリートに現れた二人の変人、それが始まりだった。
どういう流れだったか、ダリアに
それから毎週のように男は
「からかわないで下さい。僕なんて先生と比べたらまだまだですよ」
「天才と凡才を比べる事が間違いなのだよ。それにこの私に食らいつこうとするその気概は素晴らしいとも」
「ありがとうございます、と言っておきます」
「うむ。励めよ、若人──さて、それでは今日も始めるとしよう」
男も頷き、二人はローブと白衣を大仰に翻し、光に反射する眼鏡に瞳を隠して高笑いの三段活用。雰囲気と自分に酔っていた。
そんな二人が遠くない未来では二つの世界の希望の光を灯すというのだから世の中分からないものだが──それは今語るべき話ではない。
今日も例に漏れず終了10分前のコールまで研究に没頭する──はずだった。
「ふぅっ、ふぅっ……今日はなんだか暑いな」
開始から小一時間、ダリアが頬を赤らめて呟いた。
「冷房は利いてて僕は寒いくらいですが……強めますか?」
「いや、外気がどうというよりなんというかこう、体の芯から熱くなるような……」
「また寝食を忘れて励んでいたせいでは? いくら体が丈夫とはいえ先生も生物ですし。少し休憩にしましょうか」
「何か引っかかる言い方だが……そうだな。一息入れるとしよう。冷蔵庫から適当に飲み物を取ってくれ」
男はダリアに言われるがまま、素直に部屋に備え付けられた冷蔵庫の扉を開く。
冷蔵保存された研究材料の試験管やビーカーに混ざり、人間界でも見慣れたペットボトルのスポーツ飲料が何本が乱雑に突っ込まれていた。
物流は一体どうなっているのか、という新たな疑問が生まれたがそれは自身の専門ではないな、と深く考えずに二本のペットボトルを取り出す。
気を遣って朝のランニングを行う男にとっては慣れ親しんだラベルだが、基本的に引きこもってばかりのダリアが常飲しているのであれば問題な気がするな、と少し心配になる。
「ふぅ、ふぅっ……いやに喉が渇く……風邪か? 一体何百年ぶりだ……? 人間が訪れるからといって人間界のウイルスに魔族が冒されるとも思えんが……」
「……大丈夫ですか?」
より頬を染め、荒い呼吸を繰り返すダリアに男が神妙な顔つきで身を案じる。
肩に手を回し、とりあえず寝かせるべきだとベッドへと運ぶ。
その間もダリアはされるがまま、熱に魘されたようにぼんやりとした様子で男を見上げていた。
「すまないな……せめて料金分の対価はくれてやりたいが……」
「何を言うんです。十分過ぎるくらいに対価はもらってます。今の時勢じゃ僕の世界で発表こそ出来ずとも此処で学んだ知識はこれからの世界を変えるものになる。間違いありません」
「ふふっ、まったく勤勉な事だ……その功名心は少し羨ましいな。生憎私は俗世に疎くてな。知識を深めたいだけで、その知識が誰にどう使われようとあまり興味はない。研究をやめることは絶対にないが、長い時を生きる中で一人でモチベーションを保つというのは中々に難しい」
「その辺りは人間と異人の違いでしょう。どれだけ近しくなっても、理解しあえない部分ですよ。そして理解しあえなくとも近しくなれる、それは僕たちが証明している事です」
ベッドに寝かせたダリアの口元にペットボトルを近づける。
くぴくぴと喉を鳴らして飲み込む姿は妙に艶めかしいが、起伏に乏しく見た目は幼いままのダリアの肢体に心を乱す程、男も若く無鉄砲ではなかった。
「っ、ふぅ……」
「ローブも脱いじゃいましょう。皺になる……なんてのは今更ですが、暑いのならまずは薄着になった方がいい。熱は……結構高いですね」
男が手を当て、ダリアと自分の額の体温を確認するとその差は明らかだった。
単なる風邪であればいいが、人間ではなんとも判断できない。今日は退散して受付嬢に伝えるべきか、と男は思案する。
「んっ……駄目だ……君の手が触れた先から、体が熱く……?」
「? 先生?」
手で額を覆ったまま黙り込んだダリアを覗き込もうとした矢先、ダリアが跳ね起き、額同士が強かにぶつかり合った。
「そうかぁ! 痛ぁ!?」
「おうぶっ!?」
ベッドの上と脇でそれぞれ悶えながら、先に回復したのはやはり丈夫なダリアだった。
「分かったぞ君ぃ!」
「つぅ……何がです?」
「風邪でも未知のウイルスでもない! これは──」
「これは──?」
「──発情だ!!」
密室であるはずの部屋の中を一迅の風が通り過ぎた気がした。むなしく。ひゅるるると。
「他の魔族たちと違って性欲とは長らく無縁だったからな、久しく味わった事のないこの感覚、渇き、飢え、思い出すのに時間が掛かったぞ。私が浴びたあの薬には精力増進効果は勿論だが媚薬効果もあったのだろう。そうと分かった途端にムラムラが止まらん!」
「ちょちょちょちょっと、落ち着いて下さい先生、分かるように説明して、はいるんですけど僕の理解が追いつきません」
「ええい、うじうじするな! とっとと脱げ弟子ぃ! ちんぽ出せちんぽ!」
血走った瞳で迫られ、白衣の裾を強引に、引き裂かんばかりの勢いで掴まれた男はどん引いた様子で後退るが、悲しいかな人間の、それも中年の力でダリアの力には逆らえない。
あっという間にひん剥かれ、上半身が露わになるがそれでは足りぬと今度は腰のベルトに手が掛かる。
「ほーれ、ちんぽ、ちんぽ!」
「本当にやめて下さいそのテンション!」
「ご開帳じゃああああ!」
抵抗むなしくベルトの金具が吹き飛び、下着ごとズボンをずり落とされる。
男は両手で顔を覆い、今にも泣き出してしまいたかった。
「む……どういう事だ、ちんぽ? おい元気だせちんぽ? どうした、何か悲しい事でもあったのかちんぽ?」
大きさこそ今までダリアが(研究対象として)見てきたちんぽと比べるまでもないサイズだが、固さはなくふにゃりと重力に従って俯いたままだ。
「人の性器に向かって話しかけるのやめて……言ったでしょう、僕もいい歳だって……そう簡単に日に何度も勃起したりしませんって……」
「成る程、そうか……ちんぽが
「あぶぶぶっ!?」
超天才ウィッチの称号は自称だがそこに一切の偽りはない。発情を自覚し、朦朧とした意識であっても指をくいと捻ればたちまち鍋の底や部屋中に霧散したあの薬が一つにまとまり、バケツをひっくり返したように男に頭から降りかかった。
ダリアは簡単にやってのけたが、単なる物質浮遊ではなく、僅かであれ時を操る域にまで達したかなりの高等魔術である。
「ふはは! 未完成とはいえ魔族の雄用の性欲増強薬だ! 人の身にはさぞ良く効くだろう! なにせこの私の性欲を刺激し、強制的に発情させるのだ! ちんぽのふぬけた魔族の雄であっても三日三晩は勃起が収まらないと私の脳は試算するが、いかがかね?」
「ぅ、あ……」
「おお! 7時から8時、9時、10時……11時! ちんぽが11時をお知らせしているぞ! 目を見張る効果ではないか! さすが私! さっすが天才! さっすが超! 天才! ウィッチ!」
見る見るうちに勃起していく男のちんぽにばかり気を取られ、肝心のそのちんぽの持ち主に気を配れなかったのはダリアの失策だろう。
とはいえ彼女も発情しているのだから仕方ない事か。普段であればここまでエキセントリックではない。
「う、ぉ……お……」
「んー? どうだね感想は? 若かりし頃、いやそれ以上の勃起だろう? いやはや、私も発情していなければどん引くサイズだよ。此処は性欲に身を任せたいところだがぐっと我慢して、徐々に慣らしていくと──ぉ!?」
「はぁっ、はぁっ──はぁっ!」
「ええい、いくら興奮しても獣であるまいし、少しは落ち、んんぅ!?」
ベッドの上に突如押し倒され、発情した体と心は高鳴るがウィッチとしてのプライドから文句を飛ばそうとしたダリアの唇が強引に奪われる。
どころか一気に男の舌が口内へと侵入した。
(くっ、生意気な真似を。少々躾が必要なようだな……!)
一度舌を噛んで、怯んだ所を拘束、肉バイブとして焦らして射精を嘆願させてやろう、とダリアは考えた。
出来たのは考える所までだった。
「んぢゅっ、ずるっ、じゅっ、んんっ、ちゅっ、れろ……ずずずっ、じゅるっ、じゅるるるっ」
(舌を、噛んで……絡めて……? 弟子の唾液……熱くて、口の中に広がって……とろけて……はぇ……?)
やるべき事は分かっていても実行に移せない。体が舌を拒絶する事を拒絶している。
呼び覚まされた雌の本能が理性と心の抵抗を許さない。
「んぢゅっ、ずずっ、ちゅっ……は、ぁ……」
長い口づけが終わる頃にはこてん、と力なくダリアはベッドに体を預けていた。
「はへ……?」
「うっ、うぅ……せ、先生、先生っ、先生先生先生ッ!」
「うぉわわわっ、お、落ち着け、ちんぽを擦りつけるな! 熱い、熱いからぁ!」
「僕、が、我慢出来ないです! いいんですよね、先生のつるつるのぷにあなにちんぽ突っ込んでいいって事ですよね!」
両手を掴まれ、ダリアに覆い被さった男は人生最大サイズにまで勃起したちんぽをぷにぷにの幼児体型のお腹に擦りつけ、溢れた我慢汁が臍の穴へと流れ込んでいく。
閉じ、何処にも繋がっていないはずの臍からまるで直接子宮へと落ちていくような錯覚。熱い疼きが止まらない。
「ま、待て! 待てったら! 段階を踏むべきだ! 私は比較的人間に近いからまずは前戯をしてだな……!?」
「あっ、ああっ、くそ、もう
「え、ちょ、待ってぇ──!? わぷっ、君の精液がかかって……あっ、熱っ、熱いっ! なんっ、これ……! 火傷してしまうっ、熱くて、体が燃えるようでっ……!?」
水風船が破裂するような勢いでちんぽから精液が吹き出す。
腹、胸、肩、顔。およそ目に見えるダリアの裸体、至る所に男の精液が降り注ぐ。
「ひうっ、口の中にまで……っ!」
男から提供される精液を鮮度を確かめる為に舐めた事はあったが、こんなにも新鮮な熱を持ったままの精を口に含むのは初めてだ。
平時であれば貴重なサンプルだと嬉々として舐め取るが、今だけは違った。
口に含んだ瞬間、体が大きく跳ねる。ぞわぞわと血管が脈打つような感覚。抑えきれない発情の波が一気に押し寄せる。
「っ、ふっ、あっ、ふぁぁあああん♥」
「ふーっ、ふーっ……!」
「あっ♥ んなっ、んだっ、これっ、は……♥ 甘くて抗えない、疼き……体が勝手に、求めてしまうっ、雄の精……君のっ、精液を……♥ 子宮が口を開けるのが分かる……♥ 卵巣が精を求めているのが分かる……っ♥ 子作りの準備を進めてっ、るぅ……♥」
シーツを握りしめ、太股をすり合わせて悶えるダリアは男にとって盛り付けられた料理も同じ、組み敷く事に躊躇はなかった。
「おっ、おおっ……これはあれだな? もう何を言っても無駄という奴だな? し、仕方ない、私も覚悟を決め──お゛ほぉっ♥ ひぐっ♥ さいっ♥ ごまでっ♥ 言わへろぉ♥」
抵抗の暇もなく、濡れそぼった秘部もまた抵抗なく、男の勃起したちんぽを迎え入れる。
容赦のない一突きで子宮の奥を揺らし、ただの一突きでダリアは秘部から潮を吹き出した。
「ふっ、ふひっ♥ これは、想像以上にクる──♥」
ぐるんと瞳が裏返る。意識を手放すには十分すぎる一撃。
だが当然、一突きで終わるはずもない。
「お゛っ♥ おっ゛♥ ちんぽピストン♥ 激しっ♥ 薬が効きすぎぃ♥ き、き、君もっ、そんな調子ではっ、おほっ♥ すぐに果ててしまうっ、ぞっ♥」
「こんな風になったのは先生のせいですからね! 僕が満足するまで何発でも中で
「じ、上等だとも♥ 古来にあったというセックスバトルという奴だな♥ 雌が孕むかっ、雄が全て
嬌声を漏らすものかと歯を食いしばってもその決意は一瞬で無駄になる。
ダリアの体を一切案じない、容赦のないピストン。出会ってから常にダリアを尊敬し、立てていた男の初めての雄としての姿に、媚薬に冒されたダリアが敵うはずもないのだ。
「まっ、まっへ♥ ちょっとだけまっへぇ♥ こんなのずるいっ♥ このままじゃ勝てるわけなひぃ♥ ちっ、ちゃんとるーるをっ、んほぉぉ♥」
「孕めっ、孕めッ、孕めぇ!」
「んおお゛っ♥ わかっ、分かった♥ 孕むっ♥ 君の子を孕むからっ♥ 勝っても負けても君の子を孕むからぁ♥ だから止まれぇ♥ 一方的すぎっ♥ これじゃあ勝負にならなひっ♥ 一度落ちつけぇ♥ むぐぅ!?」
男に唇を塞がれ、それ以上の言葉を紡げない。
このまま一方的に犯され続ける……それも悪くない、とそんな思いが心の何処かで生まれていたダリアだったが、長い口づけが終わると同時に、意外にも男は腰を引いた。
「ふぇ……? な、なんで抜いて……? っ、い、いや今のは違うぞ!? き、君も少しは冷静さを取りもどしたようだなっ! 流石は私の弟子だ! まずは前提として、互いに公平になるようなルールを敷かなければ──」
「言いましたね?」
「へ?」
「僕の子を孕むって、言いましたよね」
「ぇ、あ……、ああ……。結局どれだけ天才であっても私は
「そうですか。……なら、先生の子宮を壊してしまうわけにはいきませんね……?」
男は何を思ったのか、ダリアの全身に飛び散った自分の精液を指にすくった。
敏感に体を捩らせながら、ダリアはそれを訝しげに見詰める。
「そ、それはそうだが……ひぎっ!?」
固形物に近い重量感を持つ、どろりとした精液に塗れた男の指が突如としてダリアのもう一つの穴へとねじ込まれた。
全くの未知の感覚に悲鳴を上げ、震える口調でダリアが問う。
「待て……き、君は一体何を考えている……?」
「……聡明な先生なら、もうお分かりでしょう?」
「お゛っ、おお゛っ、お尻の穴っ、ほじくりゅなぁ♥ ま、まさか君っ、はぁ♥」
「次の射精も今まで出した事ないぐらい
「ふっ、ふひっ……じ、じつにろんりてきだ、なぁぁぁんっ♥ お尻にちんぽっ、奥までぇ♥」
媚薬の効果か、それとも魔族生来の淫乱さ故か、精液を塗りたくられた尻穴はあっさりと男のちんぽを受け入れ、どころか中程まで挿入される頃には尻穴の方からちんぽを迎え入れていた。
「おっ、お゛っ、お゛っ♥ 前の穴よりももっと奥ま゛て゛ぇ♥」
「違いますよ、先生。名称はきちんとしないと」
「っ……♥」
男の言わんとしている事、言わせようとしている事を理解して、まさか自分の天才的な脳がこんな風にも働く事を自賛し、だが雄の前では無力である事を思い知らされ、ぞくぞくとした背徳的快感が背筋を走った。
「君のちんぽ、がっ、おまんこよりも深くっ、ケツ穴っ♥ ケツまんこからっ♥ お腹の奥にまで入ってる……♥」
「良く出来ましたッ!」
「おっほぉ♥ ありっ、ありがとっ♥ こんなっ♥ 褒められてこんなに嬉しいのは初めへだっ♥ もっとっ、もっといっぱい褒めてぇ♥」
「先生のまんこもケツまんこも、最高に気持ちいいですよ!」
「んひぃ♥ ありがとぉ♥ いっぱい気持ち良くなっへくれ♥ 君のちんぽ、ぎゅって締め付けるからぁ♥ 天才ウィッチの天才ケツまんこぉ♥」
理性も理知も微塵に感じられないダリアの叫びに男の興奮はさらに高まる。
地道な研究を続け、牛歩の如き研鑽の果てに皺を刻んで現在へと至った己と若く美しい容姿を保ったままそれを容易に飛び越えた彼女。
師と慕う魔女に嫉妬がなかったといえば嘘になる。
(──そんな事を考えている目だ。分かるとも。長い生の中で飽きる程に見てきた目だし、そうでなくとも君と出会ってから、ずっと君の瞳を見ていたんだから)
獣の如き叫びを上げながら、心の奥底でダリアは冷静に男の瞳を見つめていた。
魔界において魔女というのは特異な種族だ。他の魔族、異人たちのように見た目ではっきりと分かる人間との差異はない。
当然だ。そもそも彼女たちは太古の昔に魔界に渡った一人の人間の直系なのだから。
魔界の環境に適応し、進化したある種の新人類。それが魔女だ。
不死を求めて原初の魔女は自らの分身を作り出したが、多くは長い時の中で魔族と交わり、その血を染めていった。
(人を捨て、知識の探求に全てを捧げた。雌を捨て、知識の探求に全てを捧げた)
純粋な魔女と呼べる者はダリアを含めても少なく、そして原初の魔女本人と呼べる者は誰一人残ってはいない。
引き継がれるはずの記憶は劣化し、思想は変化し、感情は帰化し、新人類はウィッチという魔族へと生まれ変わった。
それでも人の部分が残っていたからだろう。魔族用に調整された媚薬は完全な効果を発揮せず、理性の消失ではなく、理性の箍を外すに留めていた。僅かな理性を心の隙間に残していた。
それは男も同じだった。
獣の如き荒々しさを見せながら、己の内にあった暗い感情を自覚してしまっていた。
(この人を滅茶苦茶にしてしまいたい。ありとあらゆる解を導き出すその脳を快楽で埋め尽くしてしまいたい)
(君に滅茶苦茶にされてしまいたい。あらゆるものを愚かと見下した私こそが愚かだったのだと思い知りたい)
(ああ、そうだ──この人と、同じになりたい)
気付けばダリアは男の首に、男はダリアの背に手を回し、獣の如き腰遣いはそのままに、いつしか恋人同士のように密着していた。
「んぎぃぃ♥ ちんぽ、ケツ穴から子宮に響くぅ♥ 直腸の方から子宮を小突いてくりゅう♥ ケツまんこセックスからケツまんこアクメまで一気にスピード初体験終えてひまったぁ♥」
「僕も先生のケツまんこで初射精ッ、しますよッ!」
「んぎゅううううう♥ あちゅい♥ あっちゅいザー汁きたぁ♥ 直腸で君のザーメン吸収しゅりゅ♥ んお゛お゛ぉ♥ ひう゛っ♥ お腹がどんどん膨れていくのが分かりゅ♥ お腹ぽっこり妊娠体験♥ 妊婦ママの先取りぃ♥ おふっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥」
ダリアのシルエットが変わる程の精液を注ぎ込む長い射精が終わる。
けれどそれは性交の終わりを意味しない。現に男のちんぽは未だに微塵も衰えてはいない。
「ふぅっ、ふぅっ……これで、ちょうどいいですね」
「はぁっ、はぁん♥ ちんぽ抜けてっ♥ ケツまんこからザーメン溢れるぅ♥」
「奥の奥で射精しましたから、そう簡単には全部は出ていきませんよ……だからこっちのまんこの方から刺激して、お腹に溜まった精液を押し出してあげます……子宮に注ぎ込むのと入れ替わりで、ね!」
「おっぎぃ♥ まんこにきたぁ♥ 萎え知らずのちんぽが天才まんこ抉ってくりゅ♥ おっほぉ♥ みちみちって音立てながら子宮口まで一直線♥ いひっ、はっ、ふひひぃ♥ ちんぽの事しか考えられなくなる♥ まんこでしか考えられなくなりゅ♥」
絶頂の余韻が引くのを待たず、間髪入れずにちんぽを挿入された勢いでダリアの尻穴から下品な音を立てて精液が吹き出す。
抜け出る喪失感と差し込まれる充足感。耳元で感じる男の荒い吐息。男の耳元に届くダリアの嬌声。
この部屋に相応しい様相だった。
「ちんぽカリ首ぃ♥ 反り返って♥ 膣壁ごりごりってぇ♥ んひっ♥ 私の弱点丸わかりひぃ♥」
「今の先生なら全部が気持ちいいでしょ!」
「んお゛っ♥ そうっ♥ そうだったぁ♥ 全身性感帯♥ 敏感肌の天才ウィッチだったぁ♥ 君のちんぽで突かれるだけでっ、君に触れられるだけでぇ♥ 即イキキメてたぁ♥ あっ♥ あはぁ♥ んきゅ♥ くひぃ♥ あひゅ♥ くそぉ♥ セックスがこんなにすごいなんてぇ♥ 失敗だった♥ 雌を捨てていたのは間違いだったぁ♥ 気持ひぃ♥ セックスさいこぉ♥ おっほぉ♥」
心の奥底の思考を打ち切る。理性も知性も此処に至っては野暮なものだ。
今はただ獣のように。恋人のように。
この交流に心と体を震わせる。
「好きぃ♥ ちんぽ好き♥ 長さも太さも固さもザーメンの量も濃さも全部大好きぃ♥ このちんぽじゃなきゃ駄目だ♥ このちんぽじゃないと駄目ぇ♥ あっ、深ァ♥ もっとっ、もっと奥までぇ♥ 孕んだ赤ちゃんが苦しくないようにまんこ穴広げてくれぇ♥」
「先生の穴、きゅんきゅん締め付けて、僕を離さない……ッ! 素直で嬉しいですよ!」
「くぅん♥ あったりまえだぁ♥ 君のだからだぞっ♥ 君のちんぽだから逃がしたくないんだっ♥ 私のまんこに刻みつけろ♥ 絶対に忘れられないようにっ、君の遺伝子を私の中に植え付けろ♥ 種付けぇ♥ 君の子どもっ、孕ませろぉ♥」
両足を男の腰に回し、もっともっととダリアは腰を押しつける。
深く突き刺さるちんぽに肺から酸素が押し出され、意識が朦朧とする。
その感覚がまた快感を呼び、抜け出せない快楽の渦へと沈み込む。
「かふっ♥ ふぅっ♥ くぅっ♥ 意識っ、とびそぉ♥ ちんぽで頭一杯になっへ♥ 真っ白になるぅ♥ な、なぁ、お願いだぁ♥ 私が気を失う前にぃ♥ 君がくれる気持ちいいの全部感じられる今の内にぃ♥ 一番気持ちいいのっ、子宮の奥にくれぇ♥ 失いたくなひんだっ♥」
「まだ駄目ですッ! まだまだ先生のまんこに僕のちんぽの形を教え込まないと!」
「いじわるするなぁ♥ もう限界なのぉ! 気持ちいいのに分からなくなるのっ♥ もっと知りたいんだっ♥ 全部分かりたいんだっ♥」
「たとえ意識飛んでも何度でも分からせてあげますからッ! 安心してイきまくって下さい!」
「おお゛っ♥ ……おっ──? んぎゅおお゛っ♥ そこっ♥ ごりごりだめぇ♥ くひゅ♥ 私の知らない気持ちいいとこぉ♥」
言葉の通り、ダリアが快楽に気を失えたのは一瞬だった。止まらない突き上げがダリアに沈黙を許さない。
膣の入り口のすぐ近く、ダリアも知らない敏感なGスポットを探り当て、男はそこを執拗に突き立てる。
ぷしっ、ぷしっ、と壊れたシャワーのように吹き出す潮に全身を濡らしながら、男も絶頂へと昇っていく。
「おっ♥ お゛っ♥ お゛お゛っ♥ まんこ壊れたぁ♥ 自分でも制御できないっ♥ 突かれる度に潮吹きするように変えられたぁ♥ はぁっ♥ 気持ちいいっ、気持ちいいっ、気持ちいぃ♥ 言葉に出ないっ、言葉が出てこなひっ♥ 天才なのに気持ちいいしか言えないぃ♥」
「言葉にしなくても十分に伝わってますよっ! 先生のまんこがうねって、潮吹いて、僕のちんぽが好きで好きで堪らないって事くらい!」
「くっほぉ♥ そっ、そうかっ♥ 分かるのかっ♥ そうだっ♥ その通りだぁ♥ だって君とのセックス♥ 気持ちいいからぁ♥ あっ♥ ぎっ♥ んぐぅ♥ また一つ学んでしまった♥ 君とのセックスぅ♥」
ダリアの言葉が嘘偽りの含まれていない本心であると思うだけで、男は堪らなくなる。
認めてくれている。認められている。性欲だけではない、心の隙間が満たされるのを感じ、男は絶頂へと至る。
「くぅ……ッ!
「きてぇ♥ 子作り準備はできてる♥ 後は君のザーメン注ぐだけだからぁ♥ いつでも受精できるようになっへるからっ♥ ちんぽからザーメン
「全部吐き出すからっ、先生もッ、一番のアクメキメっ、ろ!」
叫びと共に背を仰け反らせた射精。これ以上はない、一滴も残さないという最大の射精だった。
同時にダリアにも身体を反り返す、最大の絶頂が訪れる。
「お゛っ……♥ おっほぉぉおお゛お゛お゛♥♥♥ ザーメンき゛た゛ぁ♥ 熱いザー汁が子宮に流れ込んで♥ 絶頂アクメ止まらにゃい♥ イキ狂ってしまうっ♥ ほぉ♥ お゛お゛ぉん゛♥ イっき゛ゅうううう゛ぅぅ゛♥」
◇◆◇◆
おや、お疲れ様。今日は随分と遅かったじゃないか。
やってる事がやってる事だから、延長料だなんだと言うつもりはないけ、ど……?
ちょいと待ちな。ダリア、なんであんたがそこにいるんだい? お客さんに絡めたその手はなんだい? その赤らんだ頬はなんだい? その拭いきれない精臭はなんだい!?
えっ、ちょ、はっ、えぇ? まさか、あんたがっ? お客さんと? 研究一筋の枯れ女が?
うっそでしょ、本当に……?
あっ、いや、すまないね。取り乱したよ。
っておいこら、さっさと出て行こうとしてるんじゃないよ!
あのね、あんたは分かってるかもしれないがお客さんが困惑してるじゃないか。
まったく……ごほんっ、どうやらダリアに随分と気に入られたみたいだね。
うちとしても驚きだよ。引きこもって研究三昧、性欲も女も捨てたそいつが気まぐれ以外で外に出ようとするなんて。
その娘の頭脳は魔界にとっても貴重なものでね。色々とごたついてる向こうより、此処の方が落ち着けるだろうって事で名ばかりのキャストって事にして
ダリアがその気になってしまえばうちとしても引き留めるわけにはいかないのさ。臍を曲げて研究を投げ出されたら堪らないからね。
それにあんたさんになら任せられる。天才ウィッチが認めた人間だ。
あんたさんには迷惑もかかるだろうが、悪い気はしないんだろう?
どうだい? そのままその娘の好きにさせてあげちゃくれないかい?
ああ、構いやしないよ。あんたさんも知っての通り、お客さんを相手にするなんてこれっぽちも向かない奴だからね。
そりゃ何度か取った事はあるけど、お客さんを実験材料扱いしたり小難しい言葉を並べて萎えさせたりとろくでもない奴さ。
その娘の相手を出来るのは、その娘を満足させられるのは、あんたさんぐらいなものだよ。
だーかーらー! 決めるのはあんたじゃないっての! 本当に自分勝手な奴だね!
……そういうわけだから、あんたさんが良いっていうなら、連れて行っておくれ。
ただ、研究成果はきっちり回収させてもらうよ。
……ん、なら問題ないね。
だそうだよ、ダリア。あんたみたいなのを貰ってくれるなんて、お客さんに感謝する事だ。
いつまでもそんな偉そうな調子じゃ愛想尽かされちまうよ。
……驚いた。あんた、うちの名前を覚えてたのかい?
ははっ、たしかに古い付き合いではあるけどね。研究以外に興味なんてないと思ってたよ。
まあ、達者でね。
お客さん、その天才だけどバカな娘をよろしく頼むよ。
─CLOSE─
小噺⑤
魔女は魔界でも行方知れずで各々が好き勝手な研究の日々を送っているが、ダリアの場合は古い付き合いの受付嬢の紹介で魔族の雄の精力を回復させる為に魔王軍に召し抱えられた。
小噺⑥
魔女たちは基本的に感情が希薄だ。永い時を生きるにはまだ精神が魔族に染まり切っていないからだ。
時を重ねるにつれ、感情を取り戻したようにふるまう術を身に着ける者もいるが、それはあくまで演技にすぎない。
けれど完全に消失したわけではない。何かを感じるものがなければ、初対面の人間の男を自らの部屋に招き入れる真似など絶対にしないだろう。