「ほわっ!?」
目を開けた瞬間に異質なものが見えてしまうと人は驚きの声を簡単に上げてしまうらしい。
MEMの配信でホラーゲーを一緒にプレーしても(そんなに)声を上げなかったが、そんなもの全く比較にならないと驚きと恐怖が体を襲った。
ベッドの向こうからこちらを無表情に見つめ続ける不知火フリルがいたからだ。
またかよ。
もう一度言おう、またかよ。
「おはよう」
「おっ、おはよう。いや、今度こそなんでいるんだ」
かつてフリルが部屋にいたあの日の後、知らない人を家に上げてはいけませんとMEMには言い聞かせたので今度こそこいつを入れるはずがないのだが。
「もってる鍵で開けて入ったよ?」
「なんでもってるんだよ!」
ぐっと握りしめていた手のひらをパーに開くとそこには鈍色に光る一本の鍵である。
刺す側も持つ側も記憶にあるものと一緒だったが、特に鍵がなくなった覚えはなく、あの日以降も普通に鍵を締めたりしていた。
「ふ、複製? いや、いつだよ」
MEMに家にあげられ、MEMがいなくなった後に鍵を見つけてから近場のカギ屋にいって複製して戻って来る、程の時間は流石になかったはずだ。
「自作した」
「──」
「自作した」
「いや、聞こえてたけども」
えー! 怖い!!
今まで複数人付き合ってきたがストーカー系になる女性はいなかったので初めての恐怖である。
安住のはずの住宅に勝手に入ってこられているのは正直こわい。
鍵の複製とかどうやるんだよ、やばすぎるだろ。
しかも偶然カナちゃんも家にいないひとりきりの時間だ。
偶然だと思いたいが、必然いない時間を狙ってきたように思える。
才能無駄遣いも甚だしい女だな、こいつ。
「な、何をしにきた?」
「携帯見て」
枕元に置かれたスマホを手に取ると、フリルは奪うように俺からスマホを取るとすっすと横にスクロールし、見覚えのないアプリを起動する。
そこには日々の体温を入力する画面とカレンダーが表示されており、本日のところには──
「今日安全日だから」
「いや、いや、……いや!?」
ツッコミどころが多すぎてもう何を言っていいかわからない。
これ、俺のスマホだよね。
「だ、だから?」
「しよ?」
ぴらっとスカートを捲って下着をめくってくる。
表情には全く現れていないが期待からなのか下着はじっとりと濡れていて色が変わっている。
どうすればいいのだろうか。
断ったときにこれ以上恐ろしい面を見るのが怖くて、ついさっさと要求を満たして返ってもらおうという気持ちで返事をしてしまった。
「わ、わかった」
しかし、それすらもフリルの想定とおりだったのかベッド脇に置かれていた彼女が持ってきただろうスポーツバックから怪しげなグッズがいくつもとりだされてくる。
「にゃーん」
彼女は自分の頭に黒猫の猫耳カチューシャ、首に黒の首輪、両腕に怪しげな腕輪をはめていた。
ただの猫コスじゃない、どこかSMっぽさを漂わせている。
(まじで性欲解消しに来てる……)
自分の趣味ゴリ押しでだ。
付き合った女の子の中には彼氏ができたからと別れる女性はいる。
だが、大輝とするの気持ちいいからという理由で別れた後に戻って来る彼女がいないわけではないので、前回の俺とのセックスを喜んでくれた証拠だとは思うが、こうも性欲の対象として使われるとしょっぱい気持ちにならないでもなかった。
しかし、かぶる・つけるにとどまらず、フリルは尻尾の付け根にゴム製の玉のようなものが団子のように続いているアダルトな黒猫尻尾を己の尻穴に突き刺そうとして苦労しているようだった。
「うーん、入らない」
「そりゃ、普通はローションとかで滑るようにしていれるもんじゃないか? そうそう指より太い大きさのものって入らないだろ」
素直に貼り付けるか服で挟んで固定するようなものにすればいいのに、プレイ用の物を選ぶからである。
出す場所に入れようとすればそれなりに道具や準備が必要になる。
「ふーん、じゃああとで入れて」
ハイと黒猫尻尾を渡される。
ゴム系のしっかりした硬さと黒猫の毛のしなやかさを感じる。
ジョークグッツの安い作りではなく金のかかったしっかりした品質を肌で感じる。
それだけの気持ちを彼女から感じる。
「ハイ……」
そういうことになった。
返事ににゃーんと膝の上に乗ってくるフリル。女の子らしい軽いけれど確かに感じる重さは柔らかさも同時に伝えてくる。
髪の動きに合わせてふわりと部屋に香る匂いが芳しく、この女の中身はともかく外側はだいぶ破壊力がある。
しかしいつまでも好きにされる俺だと思うなよ。
会いに行けば気持ちよくしてくれる性道具扱いなんて続けられてたまるものか。
かといって下手に振る舞って下手くそだからもういいと思われるなんて嫌だ。
彼女が求めるのであるから尻穴を責めてやろうか。
事前にしっかり拡張したのでもなければ一日でズッポリはいるようになるものでもない。
無理やりとなればそれなりに懲らしめることができるかもしれない。
しかし、コレまでの段取りの良さが『いや、あいつ準備してね?』という感覚を与えた。
前に入れたのだから次は後ろだと来たのだとしても全く疑問がわかない猛者なのである。
得意げにアナルを攻め立てたのに、満足そうな顔をして帰る不知火フリルの顔が浮かぶのだ。
尻尾差し込みにオタオタしていたところがちょっと怪しい。
何だあいつ無敵かよ。
であれば刺激が強いから怖い、その領域を狙うしかないだろう。
「まあ、今回はしっかり前戯するか」
不知火フリルを後ろから抱きしめる。
時々振り返ってはちゅーを求めてくるが、それ以外はされるがままの態度なのでチャンスだ。
片手で全身をゆっくりと愛撫しながら、空いた片手はお腹に手を当てる。
「きもちいい」
快感というよりは心地よいと言った感じの気持ちよさを口に出すフリル。
まだなでているだけなのだからそうだろう。
ちょっと低めの体温を温めるようにして触れ続ける。
と同時にお腹を温めるだけだった片手でお腹をトントンと一定のリズム感で軽く押し続ける。
やろうとしていることは外部からの体外式ポルチオあるいは腹イキと言われる方法である。
膣内ではなく子宮口を責める方法で、膣内に相棒をツッコミ奥をつく方法もあるが、抜かずに小刻みに奥を突くことになるのでだいぶ好みが分かれる。
大抵の女性はGスポットを責めることに快感を感じやすいし、そこを刺激しようと思えば浅いところで動かすか出し入れが必要になる。
中の具合のいいフリル相手に奥と兼任してGスポットを責めているとこちらのほうが先に出てしまう可能性が高い。
前回入れているので彼女の中の感じは大体つかめている。
腹イキもしくは奥イキは通常の絶頂より長めで深いらしい。
恋人の一人に試してみたいと言われてやってみた時はいつまでもイキ続けるものだから、快感を与えたというより壊してしまった、という感じでやばいんじゃないかと不安になるくらいである。
出すと終わりの男の絶頂とはだいぶ趣が違うのだ。
深すぎて怖かったと言われて封印指定を受けたくらいである。
今はマッサージを受けているといった感じで体をゆったり伸ばしているが、場所は探り当てた。
棒で責めたときと同じようなタイミング強さを与えるようにトントンとお腹を責め続ける。
不審に思われないよう小さめな胸をゆっくりねっとり責めていると、
「あっ、くっ」
と軽くイッたようだった。
小さいと敏感なのだろうか。
胸でイケるのは才能を感じる。
とろりと流れ出し始めた愛液を指に絡めながら今度はクリトリス周辺を同じようにヤワヤワと愛撫し始める。
「あっ……うん……気持ちいい」
「そうか」
クリトリスは表に出た芽のようなもので実際は根っこのように体に広く広がっているらしい。
おかげか膣内からクリを刺激するGスポットがあるようだが、クリ以外にもその周りを刺激していくこともそれなりに気持ちいいらしく、焦らしていくのは快感を高めるのにちょうどいい行為である。
今度はイッてしまわない程度に緩やかにしかししっかりと体に熱が残るように愛撫を続ける。
その裏でお腹を責め続けているとある時反応があった。
「お゛っ♡」
可愛らしい子猫のような彼女からオットセイのような声が漏れたのだった。
こちらを向いたフリルの顔はぎょっと大きく目を開き、『え、誰がこの声をだしたの?』と言わんばかりである。
笑いをこらえながらも動きを止めずそのまま責め続ける。
二度目が訪れるのはすぐだった。
「むっぐっ~~♡」
表情が歪み、両手で口を塞ぐようにして声を防いでいる。
なんというか
「うーん、達成感あるかも」
クールな黒猫少女をアヘアヘにしている感じ。
言葉にすると悪い男だが。
「さて、もう前戯は十分だろ? 後ろだと顔がよく見えないし。今日は安全日だもんな?」
フリルの体は蛇口を捻ったようにだくだくと愛液を垂らしており、もはやおもらしに近い有り様だった。
前回まで処女だったのが嘘のようにちんこを当てればちょっと力をいれるだけで待ち望んでいたかのようにズブズブと奥深くに入り込んでいく。
「だめ、あっ♡」
「こっちはそうじゃないみたいだぜ」
……なんか竿役感あって嫌だなこのセリフ。
しかしズルっと飲み込まれた肉棒は簡単に奥まで入り込み、お腹から刺激していた子宮口に直接キスする羽目になる。
「あ゛ひっい♡ ま、まって」
「待たない」
膣内もそう言っている。
もっと感じさせてみろと応援するようにギューッと締め付けてくる。
多くのひだがそのせいでグニュグニュ絡みついてきてそれ自体が強い刺激になる。
イソギンチャクに捕獲された魚のように逃がすまいと押さえつけていた。
そうすれば小さく揺するように動かすことしかできないわけで。
奥をトントントンとお腹を責めたのと同じリズムで責め続ければ当然……
「イぐっ♡ イぐぅ」
痙攣するように震えて小さな体が跳ね上がる。
数回目の経験ではあったがなにかの発作のようでちょっとビビる。
「いきっ、いきっ!」
「ほら、スーハースーハー息しろ」
「ん、ん゛~~♡ いきっ、しぬう゛」
しがみついてくる。
過ぎ去らない快感をどうにかこらえるように我慢しているようだったが、膣内は強く締め付けられる。
暴れまわるように締め付けながらぐにゃぐにゃ動いて亀頭やカリに刺激を与えられるものだからこちらも限界が近い。
「あ゛──♡、あ゛っ♡」
「うおっ」
「あ~……あ~♡」
イッったのかまた痙攣して膣内がギューと締まった。
何度もイッているのかイキ続けているのかわからない有り様だ。
壊したような恐ろしさは端正な彼女相手であるせいかどこか耽美な快感を与えてくれる。
「はぁー、はぁー……」
「……大丈夫?」
「うん……」
まだ余韻が残っているのかトロンとしたままだった。
「死ぬかと思った」
「怖かった?」
「怖かった。セックス怖い」
し返すことには成功したらしい。
「じゃ、あとは俺が出すまでよろしくな」
「まっ」
今度はホントにやめて欲しがっていたように見えたが、なにせこちらは怖さのせいかイキそびれてしまったのだ。
軽いフリルの体を抱き上げ、後ろから差し入れる。
今度は奥を刺激しないように浅く出し入れしながら、いつの間にかぷっくりと主張するように大きく勃起した乳首を指でシコシコしながら腰を降る。
自分の性欲のための中を楽しむだけの荒い動きは、けれども深くイッたばかりでイキやすい状態になっている彼女にとっては十分な刺激になったようである。
「あ、あっ♡ いぐっ!」
「俺もだっ」
「あっ、あ゛っ、あ゛──♡」
たっぷり中に出したつもりだったが、引き抜くと出しきらなかった分が未だあるとばかりに小さく肉棒が痙攣して入口周りにビュクっと精液をぶちまけた。
二度目の射精はだらりと性器周りの形に沿うようにゆっくり流れ落ちる。
精液を追うように膣内に出された分も大量の愛液とまじりながらとろりと流れ出す。
「待ってっていった」
「すまんすまん聞こえなかった」
「嘘」
不機嫌になった黒猫が「もうかまってくれるな」と丸まるように、フリルもベッドの毛布を身にまとって丸まる。
ミノムシになってしまった。
こうしていると一度わからせたからかなんだかかわいい気がしてくる不思議である。
背や頭を撫でていると毛布から顔を出すフリル。
「まあ、なんだ。悪かったよ」
「……もうしない?」
「ああ」
「絶対?」
「……ああ」
「じゃあ許す」
ミノムシがもぞりと動いて隙間から手が出てくる。
その手が何かを求めるようにゆらゆら揺れるので、その手を取って握ってやった。
するとフリルは満足そうに笑って、そのまますやすやと眠りに旅立ってしまった。
……これはこれでかわいいな。
まあ、うん。たまにはこういう日があってもいいのかもしれないな。
──いや、いいかもしれないじゃないよ。
フリルを家から返すときに鍵を返してもらったが、すでに複数個複製しており、なんでもない顔をして他に女がいないか出かけるときを狙って家に遊びに来るようになってしまった。
結局全く懲りないどころか、やりたいときにだけ来ているのだから困ったやつである。
たちの悪いおねだり上手な黒猫に居座られてしまったような感じといえばいいだろうか。
フリルはなにをしてもいいし何ができてもいい、そんな感じします。