一度行ったことを二度行うのは簡単なことだ。
それが快感を伴うならなおのこと。
初めての痛みの収まった数日後からツクヨミは生理の間を除いて毎日通いに行っている。
といっても女の家に泊まることも多いため、空振りになることも多かったが、毎日のうちの半分は大輝の知らぬ間に抱かれていたと言えるだろう。
「……さて、神様直々のご挨拶よ」
回数を繰り返すうちにだいぶツクヨミもこなれ始めた。
もう戸惑うことなく流れるようにベッドに乗り、覆いかぶさるように顔を近づけると熱い吐息が大輝の頬を撫でる。
慣れれば求めるのは質の向上だ。
相手を考えない快楽を追い求め、相手を性具のように貪る経験を増やした。
ツクヨミは変な方向に尖り始めていた。
軽い触れ合いではなく、最初からぬるりと唇を割り開くような濃厚な接吻が始まった。
夢うつつの大輝の舌を吸い出し、唾液を啜る淫靡な水音が部屋に満ちていく。
女好きの性なのか、夢でも誰かを抱いているのか、うまくスイッチを入れてあげれば寝ていてもベロセックスができると気づいてからはツクヨミのお気に入りの前戯だ。
「んっ……ちゅ……おいしい……」
何度も角度を変えながら貪るうちに、大輝の体が僅かに反応を示し始めたのを感じ取り、ツクヨミは満足げに微笑んだ。
「君は犬かな? キスすれば簡単に立つようになっちゃったね」
その見た目の幼さに見合わない舌のまぐわいは生々しい交尾そのものだった。
「じゃあメインディッシュといこうか」
子どもがお風呂に急ぐようにぱっぱと脱ぎ捨てられるパジャマ。
ベッド脇に脱ぎ捨てられたパジャマの下を踏みしめながら全裸となると、その幼い肢体の中心には既に潤いが滲んでいる。
「はあ……なんど見ても興奮するな」
手を伸ばした先にあるのは、十分に凶器じみた質量を持つ陰茎だった。
足りないぬめりを与えるように自らの膣口と触れ合わせる。
ぬちゅぬちゅと表面を滑らせたら準備は完了だ。
「いただきます♪」
ずぷぷ……ッ
狭隘な秘裂が亀頭を呑み込んでいくたびに、ツクヨミの眉間に深い皺が刻まれる。
きつい。けれどそれが体に入っていく陰茎の存在をはっきりと伝えてくる。
「ッ……あはぁ♡」
しかしその圧迫感の中には奥底に潜む快楽の芽がある。
ツクヨミは頬を紅潮させながらさらに腰を落とす。
最奥まで到達すると同時に大きな喘ぎ声が漏れた。
「奥が一番きもちいい♡」
動かないでいると肉棒がビクビクと震えだす。
もっともっとと催促するようなそれに愛らしさを感じてしまっている。
「ほら動くよ……ちゃんと見ててね?」
騎乗位の体勢でゆっくり腰を持ち上げる。
こなれてきたおかげで小刻みの小さな動きでありながら最大の快感を得るための動きを身につけていた。
片手で大輝の体を押さえながら慎重にグラインドさせる。
最初は小さく、段々と自分本位に大きく。
「あっ……くぅん……擦れるところ全部気持ちい……いぃ♡」
浅く抜き差しする動きだけで小柄な身体全体が弾むように揺れる。
何度も腰を持ち上げては崩れ落ちるのを繰り返しながら、ツクヨミは気持ちよさを貪る。
ズブブッ……ぬぷぬぷ
根元まで落とした衝撃で結合部から白濁混じりの液体が飛び散る。
本気で感じた愛液だった。
「出してぇ……! 膣内にたくさんぶち撒けてぇぇっ!」
突然の大絶叫と共に膣壁が収縮し、締め上げられた怒張が限界を迎えた。
大輝を好きにし続けたおかげでそのタイミングも瞬間もすべてわかるようになっていた。
ならいっしょに行くことだってできる。
ビュルルッ!! ビュゥゥッ!!
灼熱の奔流が子宮口を叩きつけ爆ぜる。
「あ゛っ……くるぅっ♡ これが一番、きくう♡」
背中を弓なりに反らせて激しく痙攣するツクヨミ。
放たれたザーメンの量は尋常ではなく、入り切らない分が逆流して泡立ちながら隙間から垂れ落ちてきた。
「はぁ……はぁ……出しきった?」
肩で息をしながらも余韻を楽しむようにゆるゆると腰を回す。
「最高だったわね……ありがとう♡ でもそろそろ終わりかなあ?」
ぬぷりと肉棒を抜くと大量の精液が溢れ落ちた。
だれでも一発で妊娠させてしまいそうな濃厚な種だった。
だが、その種は芽吹くことはない。
なぜなら……
通いだして三ヶ月くらいだったが、目的はすでに果たしているのだから。
大輝の横に寝転びながら自分のお腹を撫でる。
ほんの少しだけ、言われればそうかも知れない程度に膨らんだお腹があった。
「ごちそうさま」
ツクヨミは妊娠していた。
**
姫川大輝は久しぶりに宮崎を訪れていた。
ドラマの撮影の遠征だったが、せっかくなので美味しいものでも食べようと思って食事処を探して歩いていた。
やはり宮崎牛だろうか? チキン南蛮もいいかもしれない。
昔ここに来たときは神社には行ったが食事はそんなにだったからなあ。
「久しぶりだね、姫川大輝」
目をつけた店に入って昼食を食べ終え、コーヒーをもらっていると声をかけられる。
振り向いた瞬間──目に飛び込んできたのは、まるで妊婦専用コートのように膨れ上がった腹部を抱えたツクヨミだった。
服は可愛らしいフリル付きのワンピースだったが、お腹の部分がわかるほど膨れている。
15年の嘘のときにアクアルビーを演じていた彼女ではあるが、人の身体であるはずなので、成長もするし子どももできてもおかしくはない。
だが、見た目の印象は多少育ってはいるが実際の年齢より相当若く見える。
そのせいでなんというか……そのお腹が膨れている様は犯罪的だ。
お店にいるお客さん達もちらりと彼女を見ているようだ。
「おまっ……え、妊娠したの? え、その年で……?」
「そうだよ。最近はだいぶ重くなってきてね。周りが一人で行動させてくれなくなってきてね。今日はこっそり抜けてきた」
「お、おう……。そりゃおめでとう」
ツクヨミは膨らんだ下腹部を撫でながら続ける。
指には指輪がないが、そもそも指輪をする文化自体ないのかもしれない。
いや、そもそも法的に結婚できる年齢ではない気がする。
「結婚はしてないけどね。……ところで、この子の名前に迷ってるんだ。参考にしたいんだけど、君はなにか好きな漢字はあるかな?」
「ええ……なんだよ、それ。いきなりだな。太陽の陽とか?」
「へえ、月詠の月じゃなかったか。……ふうん、陽ね。覚えておくよ」
なんの用事があったのか、特に何も用事がなかったのか。
何も注文をせずに出ていったツクヨミ。
本当に顔を見せただけのようだった。
彼女は軽やかな足取りで店から出ていく。
窓から柔らかい日差しが差し込んでいて明るくていい日だ。
「なんだったんだ……?」
首をかしげるが、疑問は解決することはなかった。
ツクヨミは厄介な相手ではあるが、子どもは元気に生まれてほしいものだなあ。
大輝はまったく子どもの父親に気づくことなくツクヨミを見送った。
産まれてくるツクヨミの子供の名前は……
イラスト自体は「095 ツクヨミさんはいただくつもりのようです」でできてたんですが、アイの「子供できちゃった!」を考えるに最初の子供はアイの子であることがこのましいですからね、だいぶ後回しになっちゃいました。
お腹大きくなってるのってなんかエロいよね……
「さて、今日もよろしく頼むよ」
【挿絵表示】
次はカナちゃんで考えてます。