無意識になった黒川あかねはだからこそ状況に合わせた動きをしていた。
すなわちバレないように動いていた。
足音は近くにいても
状況や役柄に合わせて動くのが癖になっていて無意識だからこそ舞台に上がらないと入らないはずのスイッチが入っていた。
状況の変化は人気のない公園に彼らが入っていってからだ。
向こうから見えづらい壁から顔を出して観察しているとどうやら公園で休憩するつもりなのかもしれない。
何を話すんだろう。
二人の様子を凝視して耳を済ませている。
彼らはキスをし始めたのだ。
(えええ──ーっ!!)
まだカナちゃん中学生なのに!! 私と同じ中学生なのに!
有馬かなと同じく子役をしており、大人と接することの多かった黒川あかねであったが、同時に所属していた芸能事務所によって教育や空気はそれなりに違いがあり、その事務所は塾のような”お子様をしっかりお預かりして芸事を学ばせる”場所でもあり、いうなれば結構お行儀が良かった。
ララライ所属に合わせて移った芸能事務所も先輩は役者に全力タイプであり、色恋してる暇があるなら練習しようという質実剛健なタイプが多かった。
潰しが効くように学生には勉学もしっかりやらせる事務所ではあったので逆に言うと遊びの隙間が小さかった。
さらに言えば色恋に目覚めだす中学生の友人とは空気の違いでうまく付き合いができず、学校ではやや孤立気味になっていることもあり、その手のことにはものすごい疎い状態になってしまっていた。
「き、キスなんて高校生になってからすることだよっ……!」
有馬かなはアイドルではないので、助けてくれたお礼! と言ってヒーロー役の頬にキスをするシーンくらいならあったが、今目の前で二人がしているのはどう見ても恋人のキスだ。漫画の世界といってもいい。
ネットリしている!
キスを見ただけだが、あれは妊娠してしまうだろうとあかねは確信した。
「今日は激しいね、カナちゃん」
「だって今日の私ヒロインだったし」
「あー、役すると気持ち高まるよね」
「しかも宣伝用のイケメン顔だけ大根だったからストレス溜まっちゃったわけ」
「それじゃあしょうがないかな」
会話の間もねっとり舌同士がまぐわっており、会話のたびに離れた瞬間が恋しいとばかりに再開される。
カナちゃんは姫川さんの腰をぐっと掴んでキスしていたが、姫川さんの手はカナちゃんのスカートの中に入り込んでいるように見える。
段々とキスからの音とは別のところから水音のようなものが聞こえてくる。
(あわわわわ)
無意識だった動作モードはもはや出歯亀。
一瞬すら見逃すまいと二人をじっと見つめていた。
カナちゃんを理解したいあかねの性がここで邪魔をしてしまう。
カナちゃんの理解を深めたせいで自分がされているように感じだしたのだ。
人の思い込みの力は結構強い。
タバコの火を押し付けると言ったあとに目隠しをして火のついていないものを押し付けたのにやけどをしてしまうくらいに。
カナちゃんになりきってしまった黒川あかねはすなわち、異性に触れられたこともないファーストキスすらまだの身でありながら女に慣れた技と人並み外れた精力がある恋人を持つ女になりきってしまったのだ。
簡単に体はとろけだし、女性器からはこんこんと愛液が湧き出した。
興奮にゆだってしまい、その場で"一人遊び"を始めてしまっていた。
視線だけは二人に釘付けのまま、手が勝手に彼らの性欲にあぶられ、カナちゃんがされていることを再現するように自分を慰め始めてしまったのだ。
「あんたなにしてんの?」
自慰で一人絶頂した黒川あかねは自分を貫く快感に視界が真っ白になり、地面に経たり落ちてしまい……当然虫の声くらいしか響いていなかった公園で二人はあかねに気づいた。逃げるのではなく確認を優先したのは彼らが有名人だからだろうか。
なんにせよ正体はバレた。
それどころか三人の中で一番最初に我に返った有馬かなはポケットからスマホを取り出すと黒川あかねを撮りだした。
「あっ、あ! やっ! やめてカナちゃん!」
「こっちは後をつけて覗きまでされてるんだからね」
スマホをポケットにしまい込むと有馬かなに手を伸ばすあかねをさっと避けると一人遊びのために脱ぎ捨てられたスカートを奪ってしまった。
そう、いじるのに夢中で煩わしかったスカートをあかねは無意識に脱ぎ捨てていたのだ。
外であることすら意識から消えるほどにあかねはカナに魅入っていたし、その快感に同調してもいたのだ。
次第に行為の方に集中してしまっていたせいでバレてしまっていた。
しかし、人気のない公園とはいえあかねのような少女が一人遊びに興じ続けてでもいて、その様子を見た男がいればその後どうなるかはお察しである。
「おーおー、めっちゃ濡れてるじゃないの」
「か、かえして……」
「ふふーん、返してほしいでしょ?」
「う、うん」
「じゃ、スキャンダル探すマスコミみたいなつきまといは辞めることね!」
「や、やめるから……」
「ふーん。でも、信じられないなー」
「そ、そんな! ほ、ほんとにカナちゃんのこと誰にも言わないから……!」
「だったら脱ぎなさい! 全裸よ! そしたらこれ返してあげるわ」
怒涛である。早口なのにしっかり頭に残るのは役者力のおかげだろうか。
あかねとはいえば人にあられもない姿を見られていることを意識してしまったのか全身の肌が赤く染まっている。
「うーん、カナちゃんイジワルじゃない?」
「大くんはだーっときなさい! ほら、あかね! 脱ぐの! 脱がないの!? いいの? 私このままスカートもって帰ってもいいんだけど!?」
あかねの全身から汗が吹き出す。
いまスカートを履いていない下着だけの自分。こんな姿で電車になんて乗れないし、暗いところを歩いたって家に帰れない。
ああ、カナちゃんを見るのに必死だったとは言え、私はなんてことをしてしまったんだろう。
血の気が引いていく。今にもこの場で倒れてしまいそうだ。
「は、裸……?」
「そうよ! 誠意を見せたら信じてあげるわ!」
「え、え、でも、え?」
「ほら! それともやっぱり嘘だったの!?」
「う、嘘じゃないから……」
「じゃあ脱ぎなさいよ! ほら! ……やっぱり嘘なんだ。じゃあ帰ろうかしら」
「わ、わかった! わかったからカナちゃん!!」
**
これはひどい。
勢いで押し切ったカナちゃんの言葉に従って黒川あかねがゆっくりと上着を脱ぎ捨てる。
あまり明るいとは言えない場所、人のいない公園ではあるが、見知った少女が一枚一枚ゆっくりと脱ぎ捨てていく様子はどこか官能的だ。
自分の手で引き下ろされる下着とその動きはどこか艶めかしい。
カナちゃんのやっていることはめちゃくちゃであるが、冷静になればこちらはカナちゃんと外で深いキスをしていたのだ。
というか前戯もしていた。
撮られているかはわからないが、撮られていないと判断するのは無謀である。
そして撮られていたのであれば実際のところ分が悪いのはこちらと言えるかも知れない。
確かにあかねは今スカートを履いていない姿ではあるが、無理やり脱がされたのだとも言える姿だ。
逆にこちらは売れている役者同士なのだから、お互いのカードで言えば向うはパーでこちらはグー。
なのに殴りかかって私のほうが強いわといい出すようなパワープレイである。
多分カナちゃんも冷静ではないんだろう。
言っていること無茶苦茶だし。
本編ではスキャンダル編があったが、今後はもうちょっと外は気をつけたほうがいいかも知れない。
「ぬっ、脱いだよ?」
「そうね。じゃあ話をしたいからあっち行きましょう」
「え、え、あっ、か、返して……」
無常にもカナちゃんは衣服全部を抱えるとトイレを指差しスタスタ歩いていってしまう。
あかねもまたよたよたとゾンビのようにカナちゃんを追いかけてゆく。
てっきり裸にしてマウント取ったうえで写真でも撮って口止めするのかと思えばまだしたいことがあるらしい。
行き先は公園の多目的トイレである。
中に三人入るとカナちゃんはささっと鍵を閉めてしまう。
……密室が出来上がった。
「ねえ、あんた私達を見て興奮してたんでしょ?」
カナちゃんの細くしなやかな指があかねの胸をやわやわと揉みしだきく。
正直興奮してきたのは俺もである。
「あっ、やめっ」
「でも、こっちはしてほしいって言ってみるみたいよ?」
めちゃくちゃエロ漫画みたいなことを言いながらカナちゃんはあかねのクリをシコシコ優しくこすり出した。
「あっ、あっ、あ!」
か細く漏れる声はしかし艶をもっている。
興が乗ったのか演技モードがオンになったのか、カナちゃんはあかねを責め立て始めた。
にゅぷりとたっぷり濡れたメス穴に膜を破かないようにかそっと指を差し込んでいくとクリだけではなく膣も責め始めたのである。
がっしり逃げないように拘束されたままの行為にあかねは快感から逃げることができずせめてと言わんばかりに口をポカリと開いてあえいでいる。
快感の逃がし方すら知らない彼女を襲う快感は暴力めいていた。
変に手をだして我に返られても困るのでカナちゃんの目でのサインを受けてそっと口封じとして携帯で二人の行為を撮影する。
あかねの喘ぐ顔は映っているが、カナちゃんがカナちゃんとわからないように慎重に映す。
しかし、愛しい女と美人になりかけの少女のそういった行為は見ているだけでバンバン興奮を脳に叩き込んでくる。
女の子同士ってエロいな。
興奮が高まっているのは全裸のせいでもろわかりである。
ピンとたった主張の強い乳首にびしょびしょに濡れて両足にたれてゆく愛液。
「ねえ、どっち見てしてたわけ?」
「え?」
カナちゃんにされるままのあかねだったが、小さく笑みを浮かべながらも嗜虐的な色をもったカナちゃんに責め立てられろくに働いてないようだ。
「どっち、どっちって……あっ、くっう♡」
「手を汚さないでよね。袖まで濡れるじゃない。発情期のメス猫じゃないんだから。ほら、答えなさいよ」
「あっ、ダメッ、早くしないでっ♡ カナちゃんっ!」
「だから、私を見てたの? 大くん見てたの?」
「やっ、その。あの……」
「簡単な質問でしょ~? ほらっ、ほら早くっ」
口以上に責め方が激しくなっている。そのくせ今まではバンバンいかせていたくせに高まろうとするとその表情や体の反応からペースをゆっくりに落として刺激を抑えて快感の波が高まりすぎないように責め立てていた。
ろくに性感に触れてないだろう少女にすることではない。
きっとあかねの脳内は白かピンクにでも染まって何も考えられていないだろう。
「あっ、カナちゃん! カナちゃんを見てました! 責められてるカナちゃんがエッチだから!」
「ほーん。私の方なわけだ。ふーん。ま、答えたしイカセてあげるわ」
あかねのコツを掴みきったらしいカナちゃんはあっという間にイカせてみせた。
愛液が勢いよく服出す。その細い指にはあかねのものでだらだらと濡れている。
カナちゃんも一人でしたりするんだろうか。
あかねの膣内からそっと指が引き抜かれる際に声が漏れた。
「も、もっとお……」
かすれた小さな声だったが、確かに催促の声だった。
「へえ。いいわよ。なら、あんたも手伝いなさいよ」
ちゅっちゅと今度は胸を攻めながらもカナちゃんの手があかねの膣口を指で大きく開く。
くぱあと言い表すのが実に正しいその様子につばを飲みこんでしまう。
「ほら。早く」
カナちゃんの細い指があかねの膣内をゆっくりとかき混ぜる。
あかねはそれに合わせるように腰をくねらせて、また愛液を溢れさせた。
「あっ……あっ……いいっ、いいっ」
「ね? あんた、あかねのここ、埋めてあげなさいよ」
あかねはかなちゃんの方を一心に見つめ続けている。カナちゃんはあかねの前に立って責め立てている。
そうなれば。
俺はあかねの後ろに回ると腰を掴む。
言われるままにあかねの膣穴に亀頭を押し当てた。
くちゅりと粘度の高い粘液の触れ合う音が響く。
もう十分以上に濡れている。
あかねの顔を見ればカナちゃんの方をじっと見つめており空気に酔っているのか表情に拒否感は見えなかった。
逆に言うと俺は全く彼女の目に写っていない気がする。
竿役になった気持ちでぐっと押し付けると最初は強い抵抗があったがそれを超えて押し入れるとズルっと飲み込まれていく。
「ひやぁっ!」
あかねの中は狭く、それでいて肉厚の膣肉が竿を包み込んでいた。
半ばまでが奥に収まったところでまた押しとどまる。
「うっわ、あっつ……ドロドロしてて気持ちいいな……」
「ああっ! カナちゃん! きもち、いいよお!」
トイレの寒々しい空気との対比でより暖かく感じる。
ぐっと引き寄せられて、最後まで押し入れた。
あかねの子宮口と俺のが触れ合うのがわかる。
「んひっ♡」
「初めてなのに気持ちよさそうじゃない」
「あっ! あっ! ああっ♡」
あかねはカナちゃんを目で捉えて離さない。
カナちゃんはもう十分だと思ったのかあかねから一歩離れて見守っているが、その行為自体が目で責められ続けているように受け取っているのか、動いていなくても中はじっとりと濡れていく。
「んっ、んっ、んっ、んううっ!」
「はっ、はっ、はっ、はっ」
あかねが絶頂して膣内が強く締まるとそれに合わせるように俺も射精した。
あかねの中にどくどくとたっぷりと精液が放たれる。
それは抜いた肉棒を追いかけるようにドロリと精液がタイルに落ちたことが証明している。
「カナちゃん……カナちゃん……♡」
うっとりとした瞳をカナちゃんに向けるあかねの表情を見て、とりあえず口止めは成功した気がするなと思った。
なにか別の爆弾を抱えてしまったような気がしないでもなかったが。
**
「さて、わかってるわね?」
「はひ」
最後まで隙なくしっかりとカナちゃんはあかねを脅しつけていたが、あかねはと言えば妙に嬉しそうだった。
主人にお留守番を命じられている柴犬みたいと言えばいいだろうか。
今にも知ったことかと抱きついてきそうなあかねがいた。
俺はカナちゃんのあくどい顔もかわいいなあとホンヤリ考えていた。
そして、なぜかあかねが舞台でいい役を演じたり会心のできだったり……いわゆるご褒美としてカナちゃんと二人であかねを時々抱いてやることになった。
覚醒前のあかねちゃんは強引にされるのが似合うし、覚醒後のあかねちゃんは襲うのが似合う感じする。