その日、わたくしはとある男子に呼び出されて告白を受けていた。
友梨香「……」
わたくしは、その名も知らぬ男子を冷たい目で見つめながらため息を付いた。
「好きだ」と言われた……、「付き合ってほしい」と言われた。
その時のわたくしの心には――、言いようのない嫌悪しか湧くことはなかった。
友梨香「うっとおしい……」
最近、何かとわたくしのことを見つめる視線を感じ始めていた。それはたいていの場合男子であり……、
友梨香(……進藤が、何かを男子にバラした? それは……ない)
何故かそれはわたくし自身自然と信じていた。
こうして、オトコ共に言い寄られるようになった原因、それは多分……、わたくしの雰囲気が少し変わったからなのだろう。
わたくしは――、あの日から、進藤司と何度も――、何度もその身を重ねていた。それによってわたくしの雰囲気は少しづつだが変えられていた。
それを敏感に感じたオス共が、わたくしに色目を向けているのだ。
友梨香(すべてはあのケダモノのせいですわね)
わたくしはそう思いながら、心の片隅に疑問を感じていた。
あのオトコ共に告白されても――、わたくしが断って、それで悲しげに去る彼らを見ても、わたくしは何も感じなかった。
だったらなぜ? ――進藤に対してだけは、あんなに心が痛くなったのだろうか?
考えても答えは出ない……。
わたくしは今でも女性が好きだし……、オトコは性欲の対象外だ。根本的にオトコに性欲を向けられると嫌悪しかわかないのだ。
進藤にだって……それは同じ――、であるはずだ。
わたくしは少し気分を暗くしながらいつもの場所へと向かう。
進藤司の家――、その寝室……。親の帰宅が遅く彼がいつも一人で過ごしているその場所が……、
友梨香「……はあ」
わたくしと進藤の――いわゆる【ヤリ部屋】になりつつあった。
◆◇◆
友梨香「ほんっとうに救いがたいケダモノですわね」
わたくしはそう言って悪態をつくしかなかった。
その日も、いつものように進藤に呼び出されて彼の家に向かったのだが……、わたくしはそこであるものを渡されて彼へ嫌悪を爆発させていた。
友梨香「……わたくしにこのような格好をしろと? オトコは……本当に救いがたい存在ですわね」
わたくしが手渡されたのはいわゆるビキニ水着である。ただ……少しばかり装飾のついた。
友梨香「こんな服を女に着せて……、結局は女をオモチャとしか見ていないのですわね?」
わたくしはそう彼を罵倒しながら――、渡されたものを身につける。
すべてを身に着け終えたわたくしは、少し呆れた様子で進藤に言った。
友梨香「……メイド服を模した水着――、それにヘッドドレス……、猫耳に猫尻尾――。貴方どこでこんなものを手に入れてきたのですか?」
司「はは……、ネットで調べて――、ちょっと遠かったけど、いくつか店を回って買ってきたんだ」
その笑顔を見てわたくしは心底呆れた様子でため息を付いた。
友梨香「その情熱を別に向けたらどうですの? 本当にくだらないコトを考えますわね」
オトコの汚い性欲の象徴とも言えるその衣装を身につけ、わたくしはただ彼を嫌悪するしかなかった。
しかし、当の進藤はそのわたくしの気持を知らず、うっとりとほおけた様子でわたくしを見つめている。
司「友梨香……、ああ、すげー可愛い……」
まるで大好きなものを見つけた子供のような、キラキラした瞳で吐き出すようにつぶやく進藤に、わたくしは「フン」と鼻を鳴らして目をそらすことしかできなかった。
司「友梨香……可愛い……、ごめん我慢できない」
進藤が静かに手を伸ばし、そして指がわたくしの頬に触れる。
熱に浮かされたようなつぶやきに、わたくしは彼の前に黙って跪いて、彼の大きく立ち上がっているオトコ自身に手を触れた。
それはいつも以上に固く大きくなっていて、わたくしの姿に激しく欲情している事が手に取るように理解できた。
友梨香「本当に……オトコは……」
どうしようもないケダモノ――。
わたくしは上気する頬を彼になるべく見せないようにしながら、彼の股間に顔を埋めていった。
友梨香「ん……んん」
わたくしは少し慣れた様子で彼のモノを舐めてゆく。
いつものように丁寧に優しく――、それでいて急所を刺激しつつ……、
友梨香(く……オトコの匂い……気持ち悪い)
少し涙目になりながらもわたくしは彼のモノに刺激を送り続けた。
司「友梨香……友梨香」
切ない声音でわたくしを呼ぶ進藤の声が次第に大きくなり始める。そして、進藤は――小さくうめいて、精を吐き出し始めた。
友梨香「最悪……、精液が――」
顔を精液まみれにされたわたくしは、顔を歪めつつ小さく喘いだ。
顔についた精液を拭うわたくしの顔に、不意に進藤の顔が寄せられる。しっかりと唇を奪われた。
友梨香「ん……進藤くん」
司「友梨香――、もっとしたい……」
進藤は熱にうなされたような瞳でわたくしを見つめて、そして、わたくしの手を取って立ち上がらせた。
司「友梨香……、こっちに――」
もはや欲望に突き動かされるだけの進藤は、わたくしの手を引いて自分のベッドへとわたくしを誘導する。
わたくしはそこで、更にいやらしい行為を強制されることになった。
司「俺の上に……」
ベッドに寝そべる進藤の上に、わたくしは進藤とは頭の位置を反対にして覆いかぶさる。
いわゆるシックスナインの体勢になったわたくしと進藤は――、お互いの性器を舌で刺激し始めた。
司「友梨香――友梨香……」
友梨香(そんなに呼ばなくても……わかっておりますわ)
わたくしはわたくしのアソコに熱い刺激を感じながら、進藤のモノを丁寧にしゃぶりあげていく。
あれから……何度もカラダを重ねるうちに、進藤はわたくしのカラダを上手に刺激する方法を勉強した様子だった。
進藤の絶妙な舌使いが幾度もわたくしの意識に波を引き起こした。そして、わたくしは声を上げかけるたびに、口を手で覆ってなんとか我慢をした。
司「友梨香のここは、本当にきれいだ……」
うっとりとつぶやく進藤に、わたくしはただ声を我慢をすることしかできない。
それでも――、意識を持っていかれることが多くなり……。
友梨香「ん、あ……」
わたくしが身を軽くはねさせると……、わたくしのアソコからはとめどなく愛液が流れ始めた。
友梨香「うう……」
わたくしは屈辱で頭がおかしくなりそうだった。でもそれと同時に言いようのない満足感がカラダを震えさせていた。
不意に進藤がわたくしのアソコを激しく刺激し始める――、その初めての行動にわたくしは一瞬で意識がトンだ。
◆◇◆
友梨香「はあ……はあ」
荒い息を吐きながらわたくしは意識を取り戻した。
その時、わたくしはいつの間にやら進藤に正面から抱えられていた。いわゆる対面座位でわたくしは進藤というオトコに好き放題されていた。
司「友梨香――」
友梨香「ん……」
進藤がわたくしの身をしっかりと抱きかかえ――、わたくしは身を捩って首を横に振った。
友梨香「いや……これ以上……、ゆる、して」
それは拒絶の意味で言ったわけではない。進藤がわたくしに与える快楽の波に、わたくしは抗えなくなっていたのだ。
これ以上されたら――、わたくしはもはや戻れなくなる……、そう感じて出た小さな悲鳴であった。
そのか細い言葉は進藤の耳には届いてはいない。彼の腰の動きが激しくなり息も荒くなり始める。
司「う……友梨香!」
それまでで一番大きな声でわたくしの名を呼んで――、そして自身の欲望を吐き出し始めた。
わたくしはソレをたしかに感じ取って少しだけうめき声を上げた。
友梨香「はあ……はあ」
進藤は止まらなかった。その一回だけでは止まらなかった。進藤はすぐにわたくしを可愛がり始めた。執拗に――、徹底的に――。
わたくしの名を何度も呼ぶ進藤の声――。それを聞きつつ少しづつ薄れる意識の中、わたくしの視界に進藤の勉強机が映り込む。
そこには写真立てがあって……、幼い頃の進藤とその家族が写っていた。その時、ソレを見て――、わたくしは何かを思い出しかけた。
しかし、次の瞬間には与えられる快楽に心まで飲まれて、意識を白く塗り替えられてしまった。
◆◇◆
あれから三時間後――、やっと進藤とのセックスから開放されたわたくしは、ため息を付きながら帰路についた。
友梨香「……はあ」
わたくしは今日も過ちを犯した。お姉様に秘密にして――オトコと何度も何度も……。
嫌悪感しかなかった行為はすでに快楽に塗り替わりつつある。
わたくしにとってオトコは性の対象外である。……その証拠に道を歩くオトコを見ても何も感じない。
ただ一人……彼を除いて。
いや……彼との行為も、心から好ましいわけではない。普通に気持ち悪いと感じることは確かにある。
でも――、何故かわたくしは受け入れてしまっている。
友梨香「……本格的におかしくなったのでしょうか?」
わたくしはそう考えながら空の月を眺める。
わたくしの疑問に答えるものは誰もいなかった。