※この作品はR-18です。

異種族だらけの貞操観念逆転世界で剣を振る   作:付呂無権左衛門

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本日の投稿 2/2


010_アルジェンナを鍛えよう。一歩目

 

「治癒と、光……なんともまあ」

 

 俺の魔術適性を知った師匠が、濁した言葉通りになんとも言いにくそうな表情を浮かべていたのを、よく覚えている。

 後に知った名ではあったが――孤狼のアイリーン。その異名が示すとおり本質的にはずっと一人で生きてきたのだろう女は、目の前のクソガキを相手にしてかける言葉に迷っていたのだ。初めて出会った時と同じように。

 

 晩年、師匠が漏らしたことがある。

 子供が欲しかった、と。けれどその生業への思い入れも確かであり、だから()()()()辞めようと思っていた、と。

 金級へ上がるだけの力こそ得られなかったものの、銀級・三位という名実共に安定した能力を存分に振るって稼いだ金を冒険者でも利用できる高級娼館で使い込み、か細い可能性に賭けていたそうだ。

 だが彼女は隠居する日まで冒険者であり続けたというのが、その結果の全て。一人の女の顛末としてはただそれだけの、ありふれた話。

 

 そんな老女が、人生のいわば最終章において、こんなどうしようもない子供と巡り合い、あまつさえ自ら育てることになったなら。

 治癒、あるいは光。殊にマンズール神の寵愛を受けているとされる魔術適性。それを持って平民に生まれれば間違いなく、貴族であっても大概は神職への道を進むのが当たり前で。ゆえにあくまで政治の道具として扱うために秘され、流れ、流れて。何の因果かこうして戦いの作法しかろくに知らない、子を望みながら持てなかった女のもとに掬い上げられることになった男児を前に。

 思し召し、だと。そんな考えが脳裏を過ったのだろうことは、想像に難くない。

 けれど、当の見窄らしいガキはその境遇が生んだ結果として自らを取り巻く世界の全てを、そして世界の生みの親たる神をも呪うかのような目つきをしていた。

 言えないだろう、そりゃあ。優しい人だったから。

 

 アイリーン。我が師。

 いつか向こう側であんたと再会して色々と報告する時、がっかりさせないだけの人生は送りたい。

 とりあえず、本当のところ、今の俺にあるのはそれだけなのだ。

 

 

○○○

 

 

「ん……」

 

 意識が覚醒する。あー、えーと……ああ……オーケー。昨日の整理完了。

 上体を起こして部屋を確認すると、昨夜のはっちゃけの跡はすっかり片されていた。今は部屋の中に姿が見えないアルジェンナがやってくれたのだろう。

 ……その間、俺はずっと寝てたのか? 一昨日、あいつを買った夜には相手の身(じろ)ぎ一つ、物音一つに反応して目が覚めてたのに?

 …………それだけ疲れていたとでも? いや、しかし……。

 

 我が身のことながらいささか以上に不可解な事態に直面して思わず考え込んでいると、宿屋の扉が開いた。

 

「おはようございます、ご主人様」

「……ああ」

 

 ……あ?

 今、入ってくるのがアルジェンナだと俺は……分かっていたか? 昨日までは、そうだった。扉の向こうの気配で判断していた。部屋を間違えた他の利用者か、あるいは何か理由があって従業員が、つまり見知らぬ奴が入ってくる可能性はゼロではないからだ。

 だが、今のは……。

 

「ご主人様? どうかなさいましたか?」

「……いや……」

 

 アルジェンナが小走りでベッドの脇へ身を寄せてきた。すると当然、彼女の猥褻な普段着である服(ゲンソウディアンドルモドキ)の構造上これでもかと強調された胸の谷間がこちらの眼前に躍り出ることになる。

 結果、寝起きということもあってググーンと盛り上がる、マイバッドボーイとそれを覆った掛け布。

 

「あ……♡ 失礼いたします♡」

 

 目敏く気付いたアルジェンナがその掛け布を恭しく取り去り、口を近づけようとして――いや、それ昨日お前のケツ穴に入ってたやつ……寝る前に軽く拭きはしたけどさ……。

 

「先に身を清めたい」

「あ、し、失礼いたしましたっ」

 

 先ほどと同じ言葉で、その実はまったく違う意味。アルジェンナが慌てて水桶を魔術で満たしたり数枚の布と石鹸を用意しているのを横目に、俺は軽く身体を伸ばしたあとにベッドの縁へ腰掛けて準備が整うのを待つ。

 ……風呂、入りてぇ……。ここセルンは水資源が豊富なこともあってか公衆浴場が存在するが、利用できない俺にとっては無いも同然。

 温泉……誰も知らない秘湯とか探してみようかな。温泉はまあ普通に存在しているようだが、観光地、保養地とほぼイコールだからな。自宅……まあいずれはどこかに腰を落ち着けるかもしれねぇけど……。旅を続けている間は行く先々で家ごと借りるわけにもいかねぇし。今は師匠が遺してくれた金があるから多少の余裕があるが、冒険者として本格的に稼働できないうちは常に支出がマイナスだ。金、金、金。当たり前だが、結局はこの世界でも金なんだよな。やんなるね。

 

 そんなことを考えている内に準備を終えたアルジェンナがやってきて、こちらの体を丁寧に拭き始める。

 彼女の表情はどこか恍惚としており、俺の体を自身の目と手先、そしてもしやすると鼻で堪能して、性的興奮を覚えているのがよく分かった。昨日……はこれもしてないな。買った日、一昨日の夜に同じことをさせた時はここまで露骨ではなかったと思うが。

 ここ数年は身近に感じていなかったし、そうでなくても体が出来上がってからは初めての体験だが……やっぱこの世界の女ってこうだよなぁ。……いや、アルジェンナのこれはむしろマシなほうなのかもしれん。

 マシなほう――だから、なのだろうか。その視線や仕草は否応無しにあの暗く湿った闇の中でのことを想起させるはずなのに、不思議と心は凪いでいた。

 

「……」

 

 朝の喧騒が遠くに聞こえる中、静かな時間が流れていく。

 悪くない気分だった。本当に、不思議と。

 やがて、全身が綺麗に拭き終わる。ピクピクと反り立ったままだったペニスも含めて。

 

「手でしごけ。出す時には言う」

「はい♡」

 

 満を持して、アルジェンナには手コキさせる。

 何かにつけて覚えが早いし、放っておいても勝手にできるようになる気もしたが、一応はヌキ作業のバリエーションを増やすため。それと単純に少し話すことがあったので、口を塞がせるのは効率が悪かった。

 

「昨日使った布はどうした?」

「洗って清め、今しがた外に干してきたところです。場所代も、宿の主人にお支払いしております」

 

 そういう金は必要に応じて勝手に使っていいと伝えてある。

 寝てる間のことだったので一応は確認したが、まあ予想通りの運び。

 

「そうか」

「ぁ……♡」

 

 ごく自然に、あえてペニスと手の他は互いの身体が接触しない位置取りをしていたアルジェンナの頭を抱き寄せ、その蒼銀の髪を指で梳いていた。

 ――何やってんだ、お前?

 どこか俯瞰的にこの場を観測している心の中の理性的な自分が、問いかけてきた気がした。知らんが。俺が聞きたいが。

 

 ……まあ、近いほうが手コキもしやすかろうし。声も小さくできるし。

 

「今日はお前の防具を買う。予想以上に早く戦力になりそうだからな」

「ああ……♡ 光栄です……♡」

 

 むにゅりと俺の脇に押し当てられてたわむアルジェンナの胸。でけぇなぁ。前世の基準で言えば、Iぐらい? モーラはK以上確実。

 乳の大きさや柔らかさが醸し出す魅力というもの、こればかりはもう本能が抗えないな。理性的な部分は「汚くなけりゃなんでもいいぞ」と言っている感もあるが。

 

「それと……昨日の、デインガグ。どうだ、魔物とはああいうものだ。――やれそうか?」

 

 ちゅこちゅこしゅっしゅっと、手コキ真っ最中の頬を上気させた女に聞いたところで、どれほど参考になるのかという気もするが。昨日は聞きそびれたからな。

 それに、見た目の恐ろしさこそあったろうが、結局は俺があっさり殺したからどう映ってるのかも微妙なところだなぁ。

 

「はい。問題ありません」

 

 意外にも、と言うべきか。その一言に込められた感情には情欲や媚びなど欠片も含まれておらず、それこそ命を賭した覚悟があると感じとれた。そしてそこには誤認や侮りといった不純物が存在しないことも、()()()()()()()()()

 まあ真面目な雰囲気を纏っていても、手コキは熱心に続けられているが。しかし決して上手とは言えない拙い手コキだが、俺の体の元の頑丈さもあって却って効果的――いや、それでも普通にそれを踏まえて上手いほうが気持ちいいか。

 

「そうか。なら、相応に鍛えることにする」

「はい。幸甚の至りです」

 

 つってもなー。俺も戦闘に耐えるだけの魔術は使えるが、専門ってわけでもないし。

 ん、そろそろだな。

 

「出すぞ」

「はいっ♡」

 

 言うが早いか、ペニスの先端を口に含むアルジェンナ。俺も遠慮せずその中に放出することにする。

 

「ん、ん♡ んくっ……♡」

 

 水か何かのようにスルスルと飲み込んでいくアルジェンナ。これもう絶技だろ。

 よし、じゃーその調子で最低でもあと2回、よろしくな!

 

 

○○○

 

 昼前。

 

 21……22……23……。

 

「ふぅっー……ふぅっー……」

 

 24……25……。

 

「止め」

「――はぁっ……はぁ……」

 

 室内でも手軽にできる筋トレ、なーんだ。そうだね、幾つかあるね。

 アルジェンナにチャレンジさせていたのは、スクワットだ。25回1セット、現在4セットが終了。

 これは純粋な肉体作りであると同時に、俺式強化魔術鍛錬法でもある。強化魔術の鍛錬法はいわゆるテンプレートが存在しないというか、個々人の感覚に依るところが大きい。少なくとも師匠の認識ではそうだった。

 だから「こう、バッて剣を振るだろう? その時に、ギュッと力を入れると、カーッとなんだよ」と感覚派のそれこそテンプレートな発言が飛び出してきた時には流石に遠くを見つめざるを得ないユウヤくん11ちゃいだったよ。いやあの時はまだアレキサンダーだったか。まあいい、とにかくそんな師匠の教え(笑)をもとに独自にあれこれ試した結果、俺の至った結論は「筋トレだと効率がいい」だった。

 果たしてこれが俺だけなのか、他の誰にでも有用なのか。それはこれからのアルジェンナが証明してくれるだろう。

 

「次」

「はいっ。――ふっ……ふっ……」

 

 1……2……とスクワットを再開させるアルジェンナ。息が相応に上がっているが、動き自体にはまだ余裕が見られる。

 無意識だろうが……やっぱり発動してるな、強化魔術。いくら冒険者クラスの加護で多少は身体能力が向上しているとは言え、素体がつい数日前まで筋力とは無縁だった女にこなせる回数ではない。

 あとは強度を上げるのと並行して意識的にできるようにして……。

 ぷるっ……ぷるっ……。

 起句を設定してスムーズに引き出せるようにして……。

 ぷるっ……ぷるっ……。

 流石にフォームが崩れてきたのもあってか、特に体を伸ばしきった時の勢いに合わせて乳が揺れる。

 

「……」

 

 今のアルジェンナが身に纏っているのは、ヌき終わったあとに朝イチで購入してきた防具。それを着用した上でのトレーニングである。

 いわゆる……まあ、ビキニアーマーの類。灰被り熊と呼ばれる銀級相当の魔物の骨を主な素材として使用している。ビキニアーマーではあるが、比較的露出度は控えめだ。あくまで同じ系統の中で比較的、だが。

 乳の部分は縦長の装甲が前面を覆う形になっているのが、ビキニとしては最大の特徴になるだろうか。また、蛇腹状の腹甲を備えていて、正面から見ると意外と肌が隠れているように錯覚する。

 その他にも、デコルテを含む首周り、肩、前腕、腰周りの左右、脚……と、防護している部位自体は「ブラとパンツのみ」なストロングスタイルと比べれば多い。逆に肌がそのまま見えているのは主に谷間と横乳、脇、二の腕、脇腹、鼠径部、太もも……と。あと背中か。全体的に脇が甘すぎねぇか?

 なんつーかホント、馬鹿だよなぁ……それを見て楽しめちゃう俺も含めてね……いや、たのし、楽しいか? エロいな~クソボケが~とは常々思っていたが、別に楽しいとかは……いやでも、こうしてこれを着てアルジェンナが運動してるところ見るのは実際楽しいんだが……。

 

「くっ……う、ふぅっ……!」

 

 ……25。

 

「止め」

「――はぁっ! はぁっ」

 

 最後の数回は随分と時間をかけての、合計125回。今のところはこの辺りが限界か。防具もしっかり着けて行なっていることを考えれば上々と言ってよい。

 アルジェンナが汗を拭い、水差しを口につけて傾ける様を見やる。

 

「時間も頃合いだろう」

「はい。それでは受け取ってきます」

 

 アルジェンナが外套を纏いながら部屋を出ていった。

 買い物から帰ってきた際、宿屋に昼飯の用意を頼んでおいたのだ。追加で金と食材を渡して。

 不用意に周りとの関係値を増やさない方針ではあったが、それよりはアルジェンナの適切な体作りが優先されるだけのこと……なんかあいつが絡むと前言を翻す結果になることが多い気がするな。いや、単に俺が無計画すぎる、行き当たりばったりすぎるだけか。

 

 何度目かの反省。まあどうせすぐに性的興奮が高まってきて思考は流されていくのだろうが。頑張って完全な賢者タイムになっても、それはそれでちょっと精神状態がよろしくないことになるから仕方ねーの。

 まー、楽しむつったってどうすりゃええのよと、この街(セルン)に来るまで半ば途方に暮れていた部分があったのも今となっては否定できない。

 けどまあ、行き当たりばったりでもなんでも、やってみるもんだな。とりあえず一個は見つけた。

 アルジェンナ。あいつを鍛えるのは楽しいわ。

 ちなみに、想定顧客層と価格設定がミスマッチだったとかで不良在庫になりかけていた灰被り熊防具一式を購入したことで、手持ちの資金の半分が飛んだ。その代わり都度の調整はサービスしてもらうことになったが。さてさて、この投資分の回収はいつになることやらだが……それもまた楽し、だな。まずは強化魔術を実感しただろうアルジェンナに、飯を食いながら俺なりの強化魔術論を伝授していくとしよう。

 食ってからじゃないとお行儀が悪い? 食い終わったらすぐヌいてもらう予定だから……。

 

 ――なあ師匠、あんたはどうだったんだ?

 あんたも楽しんでくれてたなら、それは……嬉しいな。

 

 

○○○

 

 

【魔術師が纏う装備について】

 学徒や研究者の側面を持つヴァイヴリア魔術協会の魔術師たちは、各国の貴族であることも多く、野卑な装いを好まない。

 高位魔物の素材を贅沢に用いて仕立てた、優美な刺繍や装飾が施された上等なローブこそが彼女たちに相応しい装束であると信じて疑わず、剣を振るう野蛮人とそう変わらない見てくれであることも多い市井の魔術師たちを、大いに見下している。

 

 その思想は時に当の冒険者たちの間にも伝播することがあり、ある種の憧れに取り憑かれた「協会派」や、現実的な「冒険者派」とで意見が割れることもある。

 なお、装備を選り好みできるだけの実力と資金力を身に着けた高位冒険者が協会派であることは少ない。

 

 

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