異種族だらけの貞操観念逆転世界で剣を振る 作:付呂無権左衛門
百四十と六の齢を数える筋金入りの
ユウヤが魔術で灯した光が消され、アルジェンナが新たに用意し直した蝋燭の薄明かりの中。
ベッドの上で無防備に寝転んだニギレアの肌着に、彼女へ寄り添うように身を横たえたユウヤが手をかける。肩の部分から優しくずり下ろされ、まずは窮屈に収められていた乳房が弾けるように飛び出した。
一瞬だけ手が止まったユウヤの無表情を、ニギレアが不安そうに見やる。
「胸が大きいの……嫌い?」
彼が連れているアルジェンナもそれなりの大きさではある。だがニギレアの場合はまた少し事情が異なるし、一般的に世の男性はその弱々しさから、背丈にしろ乳房にしろ、とにかく女性の「強さ」を嫌でも連想させる体の「大きい」を忌避する傾向にある――それぐらいの知識は、流石の彼女も耳に入れる機会があった。
「いや」
ユウヤは端的にそう応えたあと、証明するように右の乳房の――その土壌の豊かさに反して小ぶりな、しかしそれゆえに新芽のように若々しい美しさを湛えた乳首を、軽く唇で挟む。
「んあっ♡」
乳首の先から脳へと神経を伝わって走った電流に、思わず声が漏れる。
若かりし頃、地元の森の沼地に生息していたフタアシオオイカズチナマズの全力の攻撃を受けてしまった時とはまるで違う、甘く切ない刺激だった。
「ぁ――」
けれど、それはたった一度だけ。ユウヤは口を離して、肌着を脱がせる作業を再開した。ゆったりとした、落ち着きのある動作でめくり下ろされていく、彼女が身に着けている最後の一枚。それが、男の手によって剥ぎ取られていく。
この何気ない営みが、この世の女性にとってどれほど羨ましいことなのか今のニギレアには知る由も無かったが、なにか胸の奥底が温まっていくような心地がした。
夢心地の中、足を上げさせられ、遂にその先を肌着が抜けていく。びちゃり、と、多分に水分を含んでいたそれがはしたない音を立てて、ユウヤの後ろに落とされた。
熱い。羞恥からではなく、違和感から思わず股間を手で覆ってしまう。だが、それだけ。ただ触れただけ。
誰にも教えられたことのない、本能的な動きだった。
「自分ではどれぐらいしてるんだ?」
「自分で……って?」
その様子を見て問いかけられた言葉の意味を、ニギレアは理解できなかった。
無論、冒険者が集う酒場にいればシモの話は無数に飛び交う。しかし、そもそもの知識が無い彼女は、具体的な行為と諸々の情報を結び付けられていなかった。これまで周りにいた冒険者たちも、一度はニギレアにそのような話を振っても「特に興味がない」などの回答しか返ってこなければ「まあ、エイルヴだしな」と納得して終わりで、懇切丁寧に知識を授けるような酔狂者が出てくるわけでもなく。
マジか、と、ユウヤが思わず呟いた。その言葉の意味も、ニギレアには分からなかった。
「なんか、いいのか、これ……。いやまあ、いいか……」
なにか一人で納得したようなユウヤは「よし」と気を取り直して、改めてニギレアに体を寄せてきた。
肌と肌が重なり合い、その温かさが直接に伝わってくる。それはこれからの行為のためのただの事前準備で、ユウヤとしても何か意図があったわけではない。
だが、その瞬間。
「……? あっ、あっ――♡」
先ほど乳首に受けたような軽微な刺激が、ニギレアの全身に走った。それが快感と呼ばれるものであることだけは、予想がついた。しかし、それだけだ。反射的に腰を跳ね上げたその時、もはや何か具体的な言葉などはとても浮かべられないほどに彼女の思考は白く瞬いていたから。
ゆえに「……マジか……」と先ほど同じく呟いたユウヤの言葉も、少し離れた場所で「うふっ♡ うふふ、ふふふ♡」とどこか誇らしげに妖しく笑うアルジェンナの声も、ただ状況に対する情報処理として耳から耳へと抜けていくだけだった。
「はーっ♡ はーっ♡」
「……ニギレア、音を消す力があるんだろう? それ、使ってるか?」
「う、うん……♡」
「それ、どれぐらいの範囲だ? あと、勝手に効果が消えたりするか?」
「ん……今は……この小屋の中と同じ。消そうと思わなければ、消えないよ。寝てても。消さないほうが……いいよね?」
「そうだな。つけたままにしておいてくれ……」
途端に色気のない会話であったが、やむを得ないことであった。
そしてそれはユウヤからのある種の予告ないしは宣告に近いものを示唆していたのだが、いずれにせよニギレアには理解できていない。
「触るぞ」
どこを? 何が? ニギレアの疑問は、幸いなことにすぐさま解消される。
ニギレアが覗き見て、知って、求めたことは、ユウヤの陰茎を口に含むこと。なぜそうするのかは知らなかったが、なぜかそれはとても素晴らしいことのように思えた。冒険者たちがよく酒に酔って口にしていた「しゃぶりてェ~」という言葉の意味を、ようやく遅まきながらも朧気に分かった気がした。
同時に、ユウヤとアルジェンナが何か心の深い部分を許し合う関係であることも、傍目から理解できた。
なるほど、私も
具体的なことは何も知らず、ひどく抽象的な感覚でしかない。あの森に駆け出した日のままに。けれど本能は求めていた。それは、先ほどのアルジェンナの言葉でようやく少しだけ形になったような気がした。
躾け。嬲る。およそ人に向けることが正しいとは思えない言葉。だがそれは、どうしようもないほどにニギレアの心をかき乱した。なにかを互いに許し合った先でだけ得られる、夢のように素敵なものである気がしたから。
その答えを与えるように。
ぐちゅ、と。ニギレアが覆っていた手の下に滑り込まされたユウヤの手が、指が、彼女の大切なところへと侵入してきた。
ニギレアは、体で、心で、それを許したのだ。
「あっ!?♡ いッ――♡」
再度、跳ねる腰。もはや放出のように、その膣からは愛液が溢れ出していき、瞬く間にユウヤの手を濡らしていく。
反射的に出た叫びにも等しい喘ぎ声を無意識に恥じて、両手で口を覆う。だが、彼はニギレアのそんな振る舞いを斟酌しなかった。
そのまま、ぴんっと親指の側面が女の最も弱い箇所を絶妙な加減で弾き、中指が膣の上部を押し上げる。
「あ゛ッ♡ あああッ♡ な゛っ♡ なに、これ゛ぇッ!?♡♡♡ ――ア゛ッ♡ アア゛っ♡ な、に♡ なにっ♡ これ、これぇ?♡ ――んひぃいっ♡♡♡♡♡」
「性的絶頂。イク、イッた、ってやつだな」
耳元に寄せられたユウヤの口が、その知識を注ぎ込む。
鼓膜を震わせられ、彼の指を包んでいる膣を反射的にきゅうきゅうと締めつけていることに、ニギレアは気付いていない。
「はーっ、はーっ……♡ はっ♡ ん……いっ……た……?」
「そう。気持ち良いだろ?」
「うん♡ うんっ♡ 気持ち、イイ……♡」
「気持ち良いのが一番強くなった最高の瞬間、とでも言えばいいのか。お前は……たぶん、特別にイキやすいな」
アルジェンナといい勝負か、それ以上かも。――流石にそのような言葉は口にしなかった。
「はぁ、はぁっ……♡ そう、なの……? 変?」
「――いや。可愛いぞ」
「ッ~~~♡」
ユウヤの首に腕を回し、精一杯に引き寄せる。彼はニギレアの胸元の辺りを軽く
「悪いが、ベッドのシーツでも掴んでてくれ。加減できないだろ、まだ」
そう言って、ユウヤは指の動きを再開させた。
「え――? んッ♡」
ぐちゅ、ぐちゅ。ぐに、ぐに。
「んんっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ンヒッ♡ い、っ、ク!♡」
縦横無尽な指の動きに応じて、ニギレアがその身体を踊らせる。踊らさせられる。
「イクッ♡ イクッ♡ イッた、イ゛ッた!♡ ア゛っ!♡ イ゛、イっだぁ!♡ ユウヤ♡ ユウヤぁ♡ イッたよぉ!♡ ユウヤぁあ!♡」
ニギレアの叫ぶような報告は、あるいは制止を求めてのものなのか。だが、彼女の膣内をぞりぞりと擦り上げ、体の奥底に快感を練り込もうとする動きはまったく休まらない。
それどころか、空いていた左手が彼女の乳房を揉みしだいていて、乳首にリズミカルな刺激を与え始める。また、ユウヤはいつの間にか体を起こしており、ニギレアを見下ろすようにして両手を広げながら快楽を与え続けているその様は、どこか施術的な様相を呈していた。
「あっ♡ あぁっ♡ あっ♡ あっ♡ ア゛ッ、ん♡ ア゛ア゛ッ♡ イ゛ッッッ♡ ま、たっ♡ いくっ♡ イ゛ッ、ぎゅ♡♡♡ んん~~~~~♡♡♡」
「――ご主人様」
大人しく見守っていたアルジェンナがそばに来て、ユウヤの耳元に口を寄せる。
「ニギレア様の想像以上の痴態、お気に召したご様子……♡
「ん……そうだな。ニギレアはこのあとは無理だろうし……頼めるか?」
「はい♡」
「ア゛ぁぁっ♡ んひっ♡ んあ゛っ♡ イ゛っ♡ いくっいくっイクッ!♡ またイクよぉ♡ ユウヤぁ♡ イクッ♡ イ゛ッ、あっ♡」
「ああ、いいぞ。お前も……
どこか慈しむようにそう告げながら手を動かし続ける一方、ユウヤは膝立ちになっていた足をベッドの下へ完全に下ろして、膝を支点に寄りかかるようにして立ち上がる。そして開かれた足の間に、アルジェンナがもはや慣れた様子で自身の体を滑り込ませた。
「どうぞ、お使いください♡ んえっ♡」
大きく口を開いたアルジェンナだったが、その口腔に入れるためには、いささか位置関係が悪い。なにせユウヤのペニスは腹に張り付かんとするほどに怒張しており、とても下側へ向けて挿し込めるような状態ではなかった。
しかし、そこは彼への奉仕を歓びとするアルジェンナ。当然ながらこれは狙ってやっていることである。
アルジェンナ自身が興奮しているということもあるだろう。だが、なし崩し的にとは言え、遥かに自身を上回る強者であるニギレアを手先のみで良いように扱い、正体を無くさせていることにユウヤが仄暗い嗜虐心を湧き上がらせていることを、彼女はしっかりと見抜いていた。そうなるように望んですらいたのだから。
ゆえに、それを高めるためにこそ、アルジェンナは動く。
「ン゛イ゛ッ♡ あ゛っ♡ あ゛あ゛ッ♡」
流石は金級冒険者ということだろうか。軽く二桁は絶頂しているだろうに、まだまだ元気一杯という様子でイキ狂い続けるニギレア。
――これは長丁場になりそうだ。まだまだ
アルジェンナが求めるもの、あるいは捧げようとしているものを正確に受け取り、ユウヤは軽く腰を落とした。そして、アルジェンナの顔付近を掬い上げるようにペニスを動かす。
「んっ♡ ん♡ んふ♡」
顎に引っかかり、その麗しい唇の上を惜しくも滑り、鼻を押し上げてしまう。ユウヤはニギレアから目を離していないが、ペニスの先でそれを感じ取る。
何度かそのような動きを繰り返し、逸物が湛えるもどかしさが苛立ちや怒りに代わりかけた瞬間――。
「あー、ぅ♡」
腰が再度引かれたタイミングに合わせ、アルジェンナがねっとりと口という穴を被せた。
「――ッ」
反射的に、前へと腰を突き出すユウヤ。その動きに合わせ、アルジェンナは彼のペニスを喉奥で受け止める。
「ア゛ッ♡ ア゛ッ♡ ア゛ッ♡ ア゛アアッ♡ イイッ♡ きも゛ち、いいッ♡ イイよぉ♡ ユウヤぁ♡ ユウヤぁ!♡ ――んひっ♡ イグッ♡ いぐぅ♡ ゆっ、やっ♡ ああああ゛♡♡♡♡♡」
「ぶぼっ♡ ぶぼっ♡ ん゛ッぼっ♡ ぶぼっ♡ ぶぼっ♡ ぶぼっ♡ ずろろろっ♡ ――んっ、ハァ~♡ はぁ、はぁっ♡ はっ、んんんっ♡ んっぼっ♡ ぶぼっ♡ ぶぼっ♡」
二人の女が奏でる歓喜にして淫蕩な音色。
それは山々にまで響き渡ろうかというほどの騒ぎであったが、その宴が催されている小屋の外では、消えかけた焚き火がパチリと弾ける音だけが空気を震わせていた。
引き続き、9/16(月)に1話投稿予定。