異種族だらけの貞操観念逆転世界で剣を振る 作:付呂無権左衛門
男が大変に貴重なこの世界で、その子種の無駄撃ちなどはもはや禁忌に等しい。
フェラだのイラマだのでもそうだが、しかしアナルセックスはまた一線を画すものではないだろうか。
前戯としてのオーラルセックスは、そのまま射精までさせなければ言い訳が立たないこともないだろうが、アナルセックスってもうこの世界的には完全に意味が分からん行為だと思う。男から求めたとしても意味不明だし、女からしても変態中の変態行為、というかまあ事と次第によっては何らかの罪に問われるとしても俺は疑問に思わない。それが選択肢として出てきた師匠ってなんなんだ? それだけ俺のことを考えてくれてたってことかな!
俺とアルジェンナの間においても、その行為の非生産性について論じるのはやはり今さらの話でしかないのだが、それでも彼女のほうはこれまでとはまた違った背徳的な行為を目前にして、ある種の期待の高まりから異様な興奮を覚えているように見えた。
「清めて、まいりました……」
部屋に入ってきたあと、そう言いながら服を脱いだアルジェンナ。蝋燭の頼り無い明かりに照らされていても――基礎的な肉体性能が高いので、そもそも視認に十分な光量だが――その股間からはすでに雫が垂れ、太ももを伝っていることが見て取れた。
まあ、言葉通り全裸待機していた俺のほうもすでに先走りが溢れているため、言いっこなしだ。これから始める行為ではその愛液の源泉に栓をしてやれないのが少々申し訳なくもあるが。
ところで、俺たちが利用しているこの宿は上等なものではない。扉こそあるものの、床は木材の板張りですらなく、固められた土の上に敷布だけという有り様。当然、ベッドも安物である。この上で力任せにセックスなどしようものなら、音を立てて壊れるだろうと確信できるほどの頼りなさ。
じゃあどうするか? 今日のところは、アナルとは言え女体にペニスを叩きつける行為を諦めるか?
否である。悲しくなるほどに原始的だが、一つの冴えた解決方法がある。まさに、原始時代に戻ればいいのだ。
アルジェンナが宿共用の身洗い場で汗を流したあと、トイレでアナルを綺麗にしている間、俺もまた体を水拭きし、虫除けの香を焚き――宿の至るところからこの匂いがする――、セルンに戻ってきてから新たに買い込んだ大きめの布を部屋の中央に何枚も重ねて、セックス用のスペースを生み出しておいた。こうなると床がただの地面で却って良かった気もする。軋んだりしないし。
なんか巣作りみたいだなぁ……と一瞬だけ気が遠くなりかけたが、今の俺にとってはそれすらも性欲を高めるスパイスであった。それに洞窟の中で剥き出しの地べたでやるのと比べたらこれでも天と地の差があるさ。ああもうファッキンサイコーだね。
夜も更け、誰もが寝静まった時間――のはずだが、どこからともなく、くぐもった声が聞こえてきている。冒険者辺りが一人寂しい夜を乗り越えるため、自分の相棒の柄でも激しく突っ込んでいるのだろう。この世界の女は、こんな世界だからか、オナニーすら静かにできない奴も多い。
「……」
「……」
無言でアルジェンナを抱き寄せ、座り込む。
あったけ……やわらけ……。
女体を堪能するのもほんの刹那。
早速ではあるが、これまた事前に買っておいたローション――この世界では割と本番用にも必需品らしい。理由はあまり想像したくない――を注いだ器に指を漬けたあと、ぬるりとアルジェンナのアナルに侵入させた。
「ん゛ッ……♡ ぁふっ……♡」
俺自身アナルでやった経験はないし、知識としてもうろ覚えだが、まあ挿入の前によくほぐさなきゃならんことぐらいは流石に分かる。
「ん゛っ♡ ん゛っ♡ う゛ッ、ふぁ……♡」
ぬぽ、ぬぽ、と指を出し入れする度に腕の中のアルジェンナが小さく声を漏らす。
ぶっちゃけどうにか黙っててほしい。今すぐぶち込みたくなるから。今の俺、多分お前が想像してるより大分頑張ってるよ? 十回は余裕で連続射精できるチンポを付けてみてからそういう真似してくれる?
「ん゛っふっ♡ ふっ♡ ぉ゛、ふぉ、あ゛♡ あ♡」
まー、マゾ気質っぽいから、もしかするとこいつにはそれぐらい雑でちょうどいいのかもしれんが。
じゃあいいかなもう。いやでも切れちゃったりしたら萎えるしな……どっちにしろサイズ的にそれは想定してたし、その場合は魔術で治すけど。
とは言っても実際に起きてから「ちゃんと準備しときゃよかったー」と後悔するのも嫌だしな。とりあえず指二本目。
「ぉ、あ♡ ――あ゛?♡ ぅひっ♡」
続いて三本目――いや、いいや。
誘ってんだろ? お前さぁ。
耳元でこれみよがしに俺に聞かせるだけの音量で喘ぎやがって。
「あ、ん――♡」
きゅうぅと吸い付くアナルから指を引き抜き、そのまま押し倒す。
潤んだ瞳はいかにも「私、身の程を弁えています」といわんばかりに弱々しく、しかしその奥には期待に染まった情欲の火があり、またどこか挑戦的ですらあった。
自然に蕩けるようにわずかに開いた唇も、まるで身を守るように寄せた腕で、むしろ美味しく頂いてもらおうと差し出したようにただただ強調されているだけの豊満な乳房も。あえてこちらから手で開かせるために緩く閉じられた脚も。
その全てが、俺という主人に自身を捧げる所作であった。俺の獣欲をこれでもかと刺激し、一方でまた彼女の被虐の願望どおり、ただ己を乱暴に消費させることを目的とした、もはやどちらが主なのかが曖昧模糊と化す、天与にして魔性の仕草。
あれ? と、心のどこかでふと冷静に思った。アルジェンナ。こいつの顔、こんなに綺麗だったかな。
唇に魅力を感じていたのは確かだったが、それ以外はまあ普通に美人ではあっても、こんなに目を奪われるほどの。
「――ユウヤ様ぁ♡」
その魅力的な唇が妖艶に動き、俺の名を呼ぶ。――まあ、あばたもえくぼというやつかもな。
というか、調子に乗りやがって。ご主人様、だろうが。
奴隷が主人を急かす、な!
「お゛ぉ♡ っほ、ふぉ……♡」
お望み通り両脚を開かせ、腰を近づける。亀頭をアナルに吸い付かせ、そのまま突き入れた。
膣とは違い、能動的に締めつけてくるのは肛門部分のみ。そこを過ぎ去れば、つるりとしたどこか不思議な感覚だった。
その初めて味わう刺激に日中から高まり続けていたこちらも呆気なく限界を迎え、根本まで押し込んだところでそのまま精液を吐き出してしまう。
「あぁ……♡ あひ、お腹ぁ……♡」
は~、チョ~きもちえ~。
しかし、なんなんだろうなこれ。オナニーと何が違うんだろう。
俺の中の「超健康」くんが子孫を残したがってるのか? 今まで上からも下からも膣じゃなくて腹の中にしか子種送ってないが。それでいいのか、判定ガバガバじゃねーか。
ほんの一瞬の賢者タイムが過ぎ去り。
自分の体の震えが収まっても、ペニスは依然として最硬のままだった。困ったもんだ。
さっさと次を出したいので、一応は気を遣ってゆっくりとピストンを開始する。
「ん゛お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ あ゛っ♡ ユ、ユウヤっ、さっ――ま゛ぁ゛っ?♡♡♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ ン゛っ♡ お゛っ♡ ん゛ぉっ♡ お゛っ、ふぉ♡ お゛ぉ~~~♡♡♡」
豚みたいな喘ぎ声ではあっても、音量自体は決して大きくなく、まるで口の端から溢すように。
突かれるままにガクガクと身を揺すらせながらも、するりとアルジェンナの両腕が俺の首に回された。
「ぁ゛はぁっ♡ はっ♡ ん゛っ♡ き、きいてっ♡ くだ、さっ♡ あ゛っあ゛っあ゛っ♡ わだ、しのっお゛っ♡ 声っ♡ あなだっ♡ さま、の、ぉお゛♡ オ゛ッ♡ あっ♡ あ゛あ゛ぁっ♡ ア♡ っる、じぇんなっのお゛ひっ♡♡♡」
こちらも左腕をアルジェンナの頭の裏に回して、交差するように顔を寄せてやってから、右腕でその細い腰を鷲掴みにしつつ二度目の射精。
「ん゛ふっ♡ ふっ♡ ふっ♡ ぁ、ああ……♡ お゛っ、ぉお゛お~……♡♡♡」
迸った精液に誘発されてか、あるいは自らタイミングを合わせでもしたというのか。アルジェンナも絶頂を迎えたようで身を震わせる。
まったく最高の女、大した性奴隷だ。
「んあ゛っ♡」
一度ペニスを引き抜き、アルジェンナの脱力している身体を裏返す。
上半身を横たえさせたまま突き出させた尻の穴に向けて、未だ萎えることを知らない剛直を再び突き入れた。
「オ゛ッ♡♡♡♡♡」
俺の興奮を煽るために、売女さながらの声を聞かせようというアルジェンナの心がけには感心する。
お陰様でと言うべきか、もう少し激しくしたくなった。だが同時に流石にうるさくなりそうなので、その頭を掴んで枕代わりの布の山に口元を押しつける。これでお前も多少は好きに喘げるだろ。
「ん゛ふ゛っ♡ ン゛ッ♡ ン゛ォ゛ッ♡ ォ゛、オ゛♡ ォ゛♡ ン゛ッ♡ ン゛ッ♡ ン゛フッ♡ フッ♡ ン゛ン゛ッ~♡」
ぬっぽぬっぽ、ぬっぽぬっぽ。
…………。
……。
三度目。
「オ゛オオぉっ♡ オ゛ッ♡ オ゛ッ♡ ン゛ン゛オ゛オ゛ッ♡♡♡ オ゛ッ♡ オ゛ッ♡ お゛お゛お゛ッ!!♡♡♡ ォッぶ!?♡ ンンン゛ッ♡ ン゛~♡ ン゛んんん~~~♡♡♡ ン゛ッ♡ ン゛ッ♡ ンンッ♡ ンッ、ん♡ ん、ん……んん……♡ ――――ンはっ♡ ハァ~♡ ハッ♡ ハッ♡ ハッ♡ はひっ♡ お゛ぉぉッほッ♡ ぉぉお……♡♡♡」
ずっぷずっぷ、ずっぷずっぷ。
…………。
……。
四度目。
「んぐっ♡ う゛ぅ゛……♡ んおぉ、ぐっ……♡ お、ひ♡ お゛ぉ……お……♡」
……。
五度目。
「お゛……♡ あ、ぁ……♡」
……。
ふーう。残弾ナシには程遠いが、とりあえず十分かな。
なんか最後は無性に抱きしめながら出したくなったが、上から覆い被さるのはちょっと嫌だ。布越しでもあんまり地面に近くなるのはちょっとね……頭のほうは涎が染みてて臭そうだし……。
……立つか。
「んぇっ♡」
アルジェンナを抱き起こしながら、その場に立ち上がる。もちろんそのケツの穴には俺のペニスが刺さったままだ。
乳肉の下に左腕を通しながら脇の下を掴み、右腕で鎖骨の辺りを押さえながら反対側の肩を――掴もうと思ったが、アルジェンナの意識が薄く、頭がガクンガクン揺れそうなのが少し怖かったので、喉に手のひらを合わせながら顎を掴み上げることにする。
ん、なかなかの密着具合だ。そのまま何度か腰を揺すって突き上げ、六度目の精を放つ。
「んぁ……♡ お……♡」
まるで条件反射のようにアルジェンナの体が震え、また絶頂したことが伝わってきた。うーん、すごいね。女体の神秘。
流石に勃起が収まり始める。栓にならなくなって溢れてきたら嫌だな~と今さらながらに頭が回り出したので、射精が終わってからゆっくりとアルジェンナを下ろして、まずはバックの時と同じ体勢にさせた。
そろっとアナルを確認したが、意外なことに体液による多少の汚れはあるものの、ピッタリとその穴は閉じていた。当然、傷ついたりしている様子もない。
俺のペニスって自分で言うのもなんだが結構な太さなんだが……なんつーか、数十分もそれが出入りし続けて、こんなに無事で済むものなのか?
「……」
まあ、何事も無いなら、それでいいか。
とりあえず清める用の布で自分の体も含めた諸々を手早く水拭きしてからアルジェンナを抱き上げ、そのままベッドに二人して沈み込む。
「あ――ユウヤ、さま……」
俺の胸板の上で、半覚醒な様子のアルジェンナがもにょもにょと口を動かす。
その首周り、奴隷の証明である首輪の紋をなんとはなしに軽く指でなぞった。……ふー。安心するわ。
「んっ……」
「寝る。片付けは起きてからでいい」
それだけ言って、俺は意識のスイッチを切る。
じゃないと半身に感じる柔らかさや温かさのせいで、折角消費した性欲が急速回復しちまいそうだからね。
だが、今はなんとなく、こうして眠りたい気分だった。
○○○
――私はなんと幸運なのだろう。
我が身が過ごしたこの僅か2日ほどの日々を振り返り、アルジェンナはそう恍惚とせずにはいられなかった。
「ユウヤさま……」
つい先刻の情事を、アルジェンナが望むがままに、性処理道具のように扱われた蜜月を反芻する。
この女余りの世にあって、これほどに特別な男に求められ、その所有を余すことなく主張され。
そして今、こうして腕の中にあることを望まれている事実に震える。
これを至福と呼ばず、なんとしようか。
自分は今、許されている――。
「ぁ、ああっ――♡」
己が身の幸福を噛み締め、今度こそ、ただ想いのみによってアルジェンナは絶頂した。
そして情欲の余韻を焼き尽くすような熱い吐息を漏らしながら、静かに眠り続ける己の主人の右頬に手を這わせ、その左頬に唇を触れさせる。
「ああ、ああ……ユウヤさま……なんとお可愛らしい……なんと、お労しい……」
分かる。
アルジェンナには、分かるのだ。
彼は、憎み、恐れている。女を。そして女を憎ませ、恐れさせた、その運命を歩ませる元凶、
もはや当事者はこの世に無く、逆恨みの八つ当たりと無意識に自覚していても、奥底に芽生えた憎悪を消すことができない。
けれど、きっと根本的には人が好きなのだろう。だからこそ、彼にとっては呪いですらある
女に
あなたは憎み、そして愛する。
どうしてそんなことができるのか、きっとご自分でも理解してはおられないでしょう。
ただ、そういう気持ちになるのを感じ、苦しんでいらっしゃるのです。
そして、そんな自分の心を誤魔化すために、あるいは守るために。それがまた苦しみを増す一因になると心のどこかでは分かっていても尚、虚勢を張り続けるしかないのだと。
だからその苦しみを思うがままにぶつけ、紛らわし、和らげる、そのために身を捧げられるのであれば、それは彼女にとっても至高の悦楽に他ならないのだ。
「ユウヤさま……」
首を、胸を撫でて。頬に、耳に、目元にと唇を落としていきながら――唇は避ける。彼は口づけを許したことも求めたことも無く、つまりそれは侵すべきではない
我が主は、なんと窮屈な思いをなされているのだろう。今日だって、本当なら何か美味しいものを味わい、ほんの少しだけでも心の休息を得るはずだったのに。
ニギレア、あの金級の三位が現れなければ……。
半ば言いがかりのように、もはや
あれはきっと、使える。主の身と心を守り、そして慰めるために。
金級ともなれば護衛としての優秀さは語るまでもなく。更には、そんな己よりも強き女、己の心身を脅かした女を、屈服させ、隷属させ、尽くさせたなら、それはどれほど主の心を安んじるだろう。
――だから、あの女を主の手中に献上する。
簡単なことだ。とても簡単なこと。ただ、主の心をほんの少し溶かし、指向するだけでよい。ただそれだけで、あの女は主を求めて自ずから股を開き、その情けのために全てを捧げるだろう。所詮は浅ましき獣、この世に生まれ落ちた女の一人でしかないのだから。
……そしてそれは、ニギレアに限った話ではない。
「お守りいたします」
昼間にも告げた言葉を繰り返して、鎖骨を唇で食む。
その言葉は嘘ではない。だが、自らがその結果を引き寄せるにしても、実行力までを自身で完結する必要はない。
「楽しみですね、ご主人様……」
ちゅ、と、誓いのように、アルジェンナはその首筋に音を立てた。
ああ、その御髪にかけて。感謝いたします、マンズールよ。我が主ならざる、人の神よ。
私になんの恩寵も与えないでくれて。
私にほんの少しの水を操る力を与えてくれて。
私に、己が運命を呪う主と巡り合う運命を定めてくれて。
だから、私は主のものとなり、主も私のものなのです。
主様、私は貴方にお仕えします。
誰であろうと、貴方の幸福を妨げさせはしません。
だから、どうか
けれど、どうか、ああどうか、世界を。
貴方が生まれてきたことを、呪うことだけはしないで。どうか、共に祝える日を。
その想いをこそ糧にして、私が貴方を高き誉れへと導いてみせます。
心中にて、人の神への
その腹の中では、注がれ続けた主からの想いの発露が、すでに溶け尽くしていた。
○○○
【
ある出会いを契機に肉体と精神が少しずつ変容し始めた女などは、その一例と言えるだろう。
その本質は、もはや歪められた。だがそれは、ある種の回帰でもあった。
かつて邪なるものとして貶められた者たちへの。
銀花の個体は、主と定めた男の精を取り込むことで力が高まっていくようだ。
そしてそれを容易にするため、自身と主、互いに無意識の内に心を許し合うことに長ける。
高まった力はまた、主人を高めるために還元される。
ただしそれが、必ずしも当の主が望む方向であるとは限らない。
だとしても、全ては、見初めた主のために。
愛し、愛され、冒し、冒され続けるために。