未来も希望もない戦場で必死に生き残ってたらモテモテになった件(ハーメルン版) 作:SIS
独立遊撃隊のリクリエーションルーム。
普段は事務方のスタッフも出入りしている自由なエリアだが、今は誰も近づこうとはしない。何も知らない隊員が入ろうとしてドアをくぐり、広げられている光景にぎょっとして引き返す、まるで無人の結界が張られているかのような有様である。
理由は簡単。
遊撃隊の創立メンバーと、一番新しい仲間であるシルバがテーブルを囲んでいたからだ。テーブルの上にはシルバが持ち込んだのであろうティーセットが並べられ、一見すると華やかではあるが、そこに立ち込める不穏な空気を読めないやつは戦場で三日も生きられないだろう。そしてこの部隊にいる隊員は、事務方であっても三日以上生き延びてきた。つまりそういう事だ。
表向き穏やかな表情で、ネルスがカップを傾ける。リング状の取っ手を指で摘む正しい仕草で紅茶を一口した彼女は、音を立てずにカップを皿の上に戻した。
「いい紅茶ね。軍でこんなのを飲めるとは思わなかったわ」
「まあ、私は正確には軍の指揮系統とは独立していますので。こういうのも仕入れられます」
「普段の雑貨みたいに?」
「ええ、はい。皆さまにはご贔屓にしていただきました」
「そうね。ご贔屓にしていた、わね」
無言でバチバチとした空気が立ち込める。が、シルバの方にそのつもりはないのか、困ったように眉を潜めて他のメンバーに眼を動かした。
沈黙するイオリ、ニーナ。こちらも同じつもりらしい、と理解して、シルバは困ったなあ、と愛想笑いを浮かべた。
「それで。私達に声をかけた理由は、何?」
「ええっと……その……」
問い詰めるようなネルス、いや真実詰問なのだろうが、答えあぐねてシルバは言葉を濁した。正直、あっさり話が通ると思っていた彼女からすれば、予想外にも程がある展開である。
膠着状態の沈黙が続く。
それを破ったのは、一通りクッキーを平らげたニーナの一言だった。
「そのあたりにしたら、ネルス」
「テジレアさん。まさかこの人の肩を持つつもりですか?」
「そうじゃなくて。なんでこの中で一番関係が新しい貴方が。この場をしきっているのか」
「そ、それは……。すいません、流れで……」
冷静なようでどこかすっとぼけたニーナの指摘に、しかし否定できなくてネルスが頭を下げる。
うむ、とニーナは鷹揚に頷き、そのままイオリにキラーパスした。
「じゃあ、あとはクズノハさんよろしく」
「なんでですか!?」
「だってこの中だと一番隊長との仲が長いし。名誉当番のヴァディスさん自ら引き込んだんだから、事実上の名誉当番代理だし」
「名誉当番ってなんです……?」
困惑しながらも、しぶしぶイオリはシルバに目を向けた。人を糾弾したり批判したりするのは得意ではないので、あのままネルスに任せておきたかったのだが、仕方ない。
「しょうがありませんね……シルバさん。単刀直入に確認します。お話、というのは、隊長との関係についてですね?」
「えと、まあ、その……当たらずとも遠からずといいますか」
「つまり愛人同盟に入りたいと。ふざけてるんですか?」
「あ、いや、その確かに世間一般の常識に照らし合わせればそう罵倒されても仕方ないのかもしれませんが……いや貴方がたも大概ですよね? 四人全員愛妾とか普通じゃないですからね?」
「そこを言われると否定できない」
「ニーナさん。茶々入れないでくれます?」
「はい。ごめんなさい」
ニーナを黙らせて、イオリはゴホン、と一つ場を仕切りなおす。
「まあ普通じゃないのは認めますが、いいんです。隊長は許容してくれてるし、私達も特に誰かが抜け駆けしようとは考えていない、基本的に対等な関係なんです。それに、その、あ、あ、あ……愛、愛しているから、いいんです。肉欲だけの関係じゃないといいますか……」
「あ、愛、ですか……」
いわゆるLOVEである。何故か顔を赤らめてもじもじしだすシルバに、イオリも急激に顔に血が上ってくるのを感じる。大真面目に自分が何を言っているのか認識してしまうとなかなか厳しい。
「と、ともかく! 私達はそういう関係なんですけど、それをわかって声をかけてきたって事は狙いは隊長ですよね。一体どういうつもりです? 貴方の星見という立場と、その見目ならば、他にも相手はいるでしょう? なんでわざわざ人のコミュニティに首を突っ込むような真似をするんです?」
「それは……その、たしかにおっしゃる通りなんですが、私にも事情が、というか、一族の掟みたいなのがありまして……」
「掟ぇ?」
なんか話が変な方向になってきたぞ、とイオリ。
「はい。私達星見は、一般の方でいう結婚とか、家族という集まりに希薄でして。男女問わず特定の相手を作らず、気に入った相手と関係を持つのみ。子供に関しては、あくまで才能があれば引き取って星見としての技能を教え込む、といった塩梅なんです。それで、ですね、私の一族には、特別な運を持った者と子を作れ、という言い伝えがあってですね……」
「ん。それで隊長を選んだ、と」
「……そういう事になります」
「うーん。それだと理由については納得いきすぎて否定できませんね。アレックス隊長が特別な運を持ってないなら誰が持っているんだ、って話ですし……」
ネルスが納得したようにうなずく。それに関してはイオリも全く持って同意見である。
幸運、ではない所がキモだ。確かにアレックスは際どい所で命を拾うラッキーを持ち合わせているようでいて、そもそも際どい所に追い込まれる時点で幸運ではない。
一人で絶大なマイナスを背負った上で壮絶なプラスで帳消しにする、といった感じだ。なるほど確かに特別である。
「なるほど……。それなら確かに納得ね……。否定できない、悔しいけど」
「全くもって同意見」
ニーナも頷き、たちまち許可ムードが立ち込める。
これに困惑したのは当のシルバである。さっきまでの険悪な空気はどこへ。そもそも、和解に繋がるような事を言った覚えがない。
「あ、あの? すいません、ちょっとわからないのですが……理由がどうあれ、私が皆さんの関係に割り込もうとしているのは事実では? 何故急に納得ムードになっているのです?」
「ん? ああ、その事ね。別にいいわ」
「だからその、何故ですか?」
「だって、貴女、隊長の子を産むつもりなんでしょ?」
端的なイオリの返事に、ますますシルバは理解し損ねて困惑した。
一体、この人たちは何を言っているのだ?
普通に考えて、淑女協定まで結んで愛人関係を結んでいる相手に、横から割り込んできて揚げ句子供が欲しいだなんて言い出す女は排除対象になって当然なのではなかろうか。
「クズノハさん、クズノハさん、シルバさん余計に困惑してますよ。もうちょっと言葉を尽くした方が……」
「それもそうか。まあつまりね、私達は隊長の子を産めないから、貴女が生んでくれるなら別にいいかな、って」
「え……?」
「貴女達星見は軍の管轄にないんでしょ? だったら私達みたいに、妊娠しちゃいけない、って訳じゃないんだろうし。だったらむしろ歓迎するわよ」
あくまでイオリ達は、人類軍の兵士だ。戦って死ぬのが仕事であり、求められている事である。
妊娠して戦えない兵士など、軍からすれば不要だ。堕胎させられるか、あるいは軍に取り上げられて管轄の孤児院に入れられる事になるだろう。一般から徴兵した兵士にさえ人権がないのだから、軍の孤児院に入れられた子供がどういう人生を送る事になるかなんて説明するまでもないだろう。まともな人生を送れない事は想像に難くない。
だから、イオリ達は軍から支給されたピルを呑んでいる。軍からすればあくまで月のものの悪影響で戦闘力を落とさないために配布しているものだが、そのおかげで妊娠しないからこそ男女関係にお目こぼしをもらっているのだ。その大前提は忘れてはならない。
それでも。
「どうせ軍にいて長生きできる訳ないしね。アレックス隊長はそこそこ長生き、退役するまで生きれるかもしれないからわかんないけど、私達は来年生きてるかどうかも怪しいしね」
「だからこそ、隊長に子を残せるっていうなら、私達は言う事無い訳。私達には許されない事だもの」
「口には出さないけど、隊長。長男の身で子供を残せない事、結構気にしてる。流石に体を重ねてればわかる」
三人とも、口をそろえて言う。
それを前にして、シルバはしばし口ごもった。
別に肉欲だけの関係だと思っていたわけではない。少し付き合ってみれば、彼女らとアレックスに愛情の交感がある事ぐらいは分かる。
だが思っていたよりも、彼女らの気持ちは真摯かつ、重かった。決してお遊びや慰めで躰を重ねていないという重みがあった。
愛しているのだ。
この戦場という歪な環境で、それでも彼女らなりに。
「ま、そういう訳だから。私達は構わないけど、隊長はどうか知らないので。口説き落とすのはそちらでやってくださいね。……まあ、問題はないと思うけど」
「えと、はい。ありがとうございます……?」
礼を言いながらも首を傾げるシルバ。おかしい。目的は達したのに釈然としない。
「とりあえず。今は私達の番だから。最低でも一巡してからに。してほしい」
「今日はミリシアの番だからねー」
「ああ、それでさっきからミリシアさんの姿が……。アレックス中尉さんも大変ですねえ」
何の気もなしに、ただあくまで一般論として、ぽつりとシルバがつぶやいた。特に深い意味はない、本当に思った事を口にしただけだ。
だが。その言葉に、ピシリと三人が固まった。ぎぎぎぎ、とさび付いたブリキ人形のような動きで視線を向けてくる。シルバは怯えた。
「あ、あの……?」
「本当? ねえ本当に本気でそう思ってる? 正気?」
「え? で、でも毎日お一人ずつ相手にするのって、男性からすると結構な負担では……?」
「そっかー。そこからか。そっかぁーー」
深ーくため息をつくイオリ。となりでは同調するようにニーナとネルスがうんうん、と頷いている。
「ねえシルバさん。貴方の認識で、隊長って何連戦までいけると思う?」
「え?」
突然猥談を振られて困惑するシルバ。だがイオリの表情を見るに、猥談、という訳でもないようだ。彼女の視線は真剣だ。
少し考えるシルバ。彼女自身は経験の無い生娘だが、一般的な保健体育の知識以上のものは持ち合わせている。
「そうですね。平均的な男性の精力ですと、軍から回春剤等を投与されている事を顧みても、2~3回戦という所でしょうか。毎日ですとそれでも追いつかなさそうですので、二日目からは1~2回でしょうかね。この間、秘伝の精力剤をお裾分けしましたので、あれをきっちり食べていただいてるならもう少し……」
「「「あんたかぁーー!!」」」
話の途中でドン! とテーブルを叩いて三人が激昂する。訳も分からずシルバは竦み上がった。
「? ?! ? ?」
「どうりで! 少し前から! 隊長の持久力やばいと思ってたら!!」
「思わぬ伏兵……」
「アレックス隊長の身内のキルスコアが増えるところでしたよ……全く」
「????」
「いいよ、シルバ。教えたげる。隊長が戦場でもベッドでもどんだけ人間離れしてるか、経験者の口からきっちりかっちり詳細にね!」
「なあ」
「ん? どした?」
「いや、さっきリクリエーションルームからシルバ星見が出てきたのを見たんだが……あそこでどんな会話が行われてたんだ?」
「いや、知らないけど……空気やばかったんで覗き込まなかった。なんだ? シルバ星見がどうかしたのか?」
「その……よくわかんねえんだけどさ……自分から死刑執行の書類にサインしちまった冤罪犯みたいな顔してたんだよ……」
「なんだそりゃ? わっけわかんねえな」
「俺もわっけわかんねえけど、そうとしか言いようが無かったんだよ。うーん、もしかして初期の四人に虐められてるとか……?」
「ないない。あの四人がどれだけアレックス中尉命かお前も知ってるだろ。普通に嫉妬とかはあるかもだけどさ、中尉の不興を買うような事は死んでもしねえよ、あの四人。あー、うらやましいなー。俺もあんなべっぴんさんに入れ込まれてぇ。やっぱあれかな、吊り橋効果ってやつなのかな。危機でこそ愛情が芽生える、みたいな」
「俺はそうは思わないけど……。あの人、吊り橋をダイナマイトで爆破してロープでターザンして崖下に脱出するみてーな目にあうじゃん……」
「……前言撤回。身の程を弁えない発言だった」
「だな」
気が付けば、イオリは暖かい闇の中にいた。
ひんやり肌寒い空気と、少し湿ったシーツの感触。そして傍らにある、熱い人肌のぬくもり。心地よいそれに、イオリは意識が曖昧なまま身を寄せた。
(あれ? 私、何してたんだっけ……)
ぼんやりと目を閉じたまま考えるが、いまいち意識が定まらない。体中に甘い疲労感が残っていて、指一本動かすのも億劫だ。
このまま寝てしまおう……そうイオリが考えていると、不意に、ぞわり、と言語に尽くしがたい違和感が躰に響いた。
それは胎の奥から響いていて、次の瞬間には腰が浮くような、歯が鳴るような感覚に。ややあってそれが快楽だと気が付いた時にはもう歯止めが効かなくなっていて、完全に無防備な状態で送り込まれる悦楽に容易くイオリの意識は明滅した。
「あっ! んあっ! ああっ! え、何ぃ、あっ! ぁああっ!」
イオリ視点だとリラックスしている状態でいきなりプロボクサーのボディーブローを叩き込まれたようなものだ。状況や何が起きているのか理解する前に意識を飛ばされ、眼を見開いても何も見えない。そんな彼女を、リズムよく快楽が蹂躙する。
混乱する意識の中で、誰かが自分をベッドの上に抑え込み、腰を力強く掴んで、挿入を繰り返していると、ようやくイオリが理解する。
「んっ! あ゛っ! は、んぁあっ!?」
記憶の前後が繋がらない。自分がどこで、誰に抱かれているのかわからない。しかし混乱するイオリの意識とは裏腹に、彼女の躰は自分を貫く逸物に喜んで奉仕を始めた。きゅうきゅうと膣肉が吸い付くように絡みつき、教え込まれたように腰を浮かせる。結果挿入がスムーズになった逸物がゴリゴリとイオリの弱い所を激しく攻めながら最奥を叩く。奥を突かれるとまだ僅かに痛みが残っていて、思わず嬌声が濁った。
「んぎっ! あがぁっ! ひぃあっ! ん、あ、あぁっう!」
痛みに引き攣った声が上がると、挿入の動きが切り替わった。激しく攻め立てる前後運動から、馴染ませるような回転運動に。ゆっくりと前後しながらも、その存在を主張するように逸物が螺旋運動を繰り返す。最奥の子宮をノックで叩かないようにしつつも、ゆっくり、やさしく、しかし容赦なく押しつぶすような動き。まだ開発されきっていなくとも、敏感すぎる故の痛みを少しずつ快楽として学びつつある子宮口のKスポットには強烈な責めだった。
胎奥から電流のような衝撃が駆けあがり、背筋を通って脳を痺れさせるようだった。手足の統制はとうに失い、イオリはベッドの上で黒髪を振り乱しながら悦楽に悶え啼いた。
「ひぃ、あっ! あぁんっ! あっ! お、くぅ……ぐりぐり、しないで、ぇ……あっ!」
涙交じりに訴える声に、イオリを組み伏せる者がくすりと笑う気配がある。
再び動きが変わる。奥をごりごり摩り下ろす動きから、浅い所を出入りする動きへ。反り返ったエラがGスポットを的確に抉ってきて声が跳ねるが、それでも奥を集中して責められるよりは余裕をもって受け入れる事ができる。
優しくはないが意識を漂白するほどではない強い快楽に、イオリは力を抜いてされるがままに交合を貪った。
「あ……んっ、あぁ……はぁ、んぁあ、あんっ。ん……あ……んんっ……あひぃあっ!?」
適量の快楽に酔いしれていた嬌声が不意に跳ねあがる。浅い所ばかりを責めていると思っていたら、時折深くまで突き入れてきたからだ。子宮口への責めは長くは続かず、再び浅い位置での前後運動に戻るが、その後も不意を突いて深く責め立ててくる。予想のつかない責めにイオリは完全に快楽の手綱を取り落としてしまって、相手の思うがままに喘がされるばかりだ。
「ひぃあっ! あっ! ああ、あぁああああ~~~~っ!」
高まった興奮が喫水線を越える。それを抑える事もできずに、イオリは絶頂に達した。
「~~~~~~~っ」
背を弓のように逸らせて痙攣する女体。堪えきれず流す涙、赤く色づいた肌に浮かぶ玉のような汗、逸物を食いちぎらんばかりに締め付けられる膣肉、全てがイオリの深い絶頂を示していた。やがて数秒の漂白の末に意識を取り戻した彼女は、力も入らずぐしゃりとベッドの上に沈んだ。荒く途切れがちの息だけが、少し肌寒い部屋に響く。
「……っ、……。あ……う……っ」
「悪い。気分はどうだ?」
「あ……」
覗き込んでくる、黒髪の青年の顔。とりたてて美男子という訳ではないが、厳しい経験と戦場で磨かれた静観な顔立ちに、黒真珠のような漆黒の瞳。
ようやくそこで敬愛する隊長に組み敷かれていたという状況を理解し、続けてここに至るまでの事を思い出す。
「……あ。そっか、私、途中で失神して……」
「すまん。自然に起きるのを待つべきだったんだが、こう、ちょっとムラムラっとして……やりすぎたかもしれん。大丈夫か?」
「いえ……。大丈夫じゃないですけど、まあ……」
息を整えて苦笑を返す。正直、気絶している所を責めるのは鬼畜にも程がある所業だと思うが、しかし相手を満足させる事ができずにオチたこちらにも責があるといえばあるのであまり強く出られない。
「……んっ」
胎の奥で今も存在感を示す剛直が震えて、思わずつられて声が出る。誤魔化すように、汗の浮いた額を拭い、乱れた髪をすいた。……実はこの仕草をアレックスが好きだと理解して意識してやってるのはナイショだ。本人は隠しているつもりらしいが、長い黒髪が割と好きらしい、というのは分かっている。それが何故なのか、話に聞いた義妹兼婚約者も長い髪だったからなのか、についてはあまり深く考えるつもりはないが。
至近距離で舐めるような視線を浴びて、女としての自尊心が満たされる気がする。有象無象は別として、躰をささげた相手にそういう視線を向けられるのは悦びである。
「ん……。それで、その、なんだ。……まだ大丈夫か?」
「大丈夫も何も、隊長、まだ一回も出してないじゃないですか」
繋がっている部分に指を這わせる。一見すると大量に出された後のように白く濁った粘液に塗れている交合部だが、それは泡立った愛液だ。膣の分泌液と、子宮から零れた本気汁を剛直が角に泡立てた結果。
膣内の感触からしてもアレックスはまだ一度も射精してない。
「ミリシアには二回戦まで持ち込んだんでしょ? 最低一度ぐらいは出してもらわないと、女として敗北感を感じちゃいますよ」
「いや、そうだけど……結構無茶苦茶したし、身体の方、痛かったりしないか?」
「今更それを言うんです? だいたい、隊長、口ではなんだかんだいって逃す気なんかないくせに……」
つぅ、とお腹に指を……正しくは、胎内に深々と打ち込まれた肉楔の形をなぞる。奥の奥、子宮口を持ち上げるように最奥まで突き刺さったままなのに、まだ全部入りきっていない。太さもカリのエグさも申し分なく、アレックスが動かなければイオリ自身では到底引き抜けそうにない。
「わかります? こんな、へその下まで届くような太いのねじ込まれて……これでどうやって逃げろっていうんです? へにゃちん相手だったらビンタの一発でも叩き込んで部屋を後にすればいいですけど、こんなの無理ですよ、無理。隊長が一発だして萎えてくれないと、私、そもそもこの部屋から出られませんよ……ね?」
「こらこら。……あんまり挑発すると本気にしちゃうぞ?」
「本気も何も、いったじゃないですか。……無茶苦茶に、壊して、くださいって……ね?」
「……っ!」
挑発にのってアレックスが目を細めた。その視線に、イオリはぞくりと背筋が震える。
獣の視線だ。これから欲望のままに蹂躙するという態度。もしかしたらタブーワードを言っても止まってくれないかもしれない。挑発したのは自分なので、文句も言えない。そんな風に考えてしまうあたり、イオリの頭も完全に色欲に狂っていた。
アレックスの腕がイオリの太ももに回され、繋がったまま半身を引き起こす。そのままベッドから足を下ろし、いわゆる駅弁のようなスタイルを取らされる。ただ容赦がないのが、イオリの両足はアレックスの肩にかつがれ、膝の間で頭を挟めるぐらい躰を曲げたイオリの躰を、がっちりと男の両腕でホールドされた姿勢になっているとこだ。
この姿勢では、足を間にいれたりして挿入に抵抗する事が出来ない。完全に無防備な、生贄の姿勢だ。
「あ、これ、まず……うぁっ!?」
流石に危機感を覚えたイオリが何かする前に、ドチュン、と音を立てて逸物がピストンを開始した。突き出すようにされる膣口に、ごちゅ、どちゅ、と力強く逸物が打ち込まれる。これまでと違い、姿勢のせいでイオリ自身の全体重が乗ったストロークは、あまりにも容赦なく彼女を攻め立てた。
(ま、ず……っ! これ、ヤバ、い……っ!)
かすれたような嬌声を漏らし、必死にアレックスにしがみつくが、彼は全く躊躇せずに責めを続行する。身体を抱えられて突き上げられる逸物を秘所で受けていると、自分がまるで女性器と脳だけの生き物になったような気がしてくる。
そんな呑気な事を考えられていたのは最初の数十秒で、すぐに快楽で思考を吹き飛ばされたイオリは叩き込まれる剛直に媚びるだけの生き物になった。
ごんごん突き上げてくる剛直に、胎の中で子宮がバウンドしているよう。いくら開発された躰とはいえ平常時では間違いなく痛みを感じるほどの乱暴な責めだが、焦らしに焦らした前戯から、立て続けに失神するほどイカされた躰は完全にとろとろに惚けており、そんな暴力じみた責めでも快感を得てしまっていた。
「あ゛ぉおっ! いぎっ! あ゛ぁあ゛っ!」
女体への負担を顧みない責めで、攪拌された愛液の混合物が、張り出した剛直のエラで容赦なくかきだされて幹を伝う。床にボタボタと白濁した粘液が滴り落ちた。極太の逸物で掘削された膣肉はとっくに限界を迎え、健気にも逸物に抱き着こうとするも力尽きており、今や粘液を際限なく垂れ流す柔らかな肉の洞と化している。それでもイオリ自身の体重が乗っているせいか、最低限の締め付けは残っており、子宮口を亀頭が突き上げる度に敏感な鈴口がしゃぶられて、射精欲は高まっていく。
普通ならリズムを取り、責めつつも相手が快感を処理したり、息をつくための隙をつくる。が、今のアレックスはもう自分の性欲を満たす為だけにイオリを”使う”姿勢だ。
勿論プレイの一環であり、イオリが望んだからそうしているというのが大前提だ。それでも、獣欲のままに愛人の中に吐き捨てようとしている側面は間違いなくあった。
そしてそれを悦びに感じてしまうあたり、大概自分もぶっ壊れてるなあ、とイオリも自嘲するのだがそれはあくまで後々振り返っての事。今の彼女の頭には、叩きつけられる遠慮のない快楽という暴力と、自分を蹂躙する雄への媚びしか存在していない。
「あ゛っ! ああ゛っ! あおぁっ! ああんっ! ぎぃっ!」
「……出るっ!」
射精欲を覚えて奥へと突き入れ、ごりごりと亀頭を子宮口にこすりつける。膣肉が打ちのめされて剛直を満足に締め付ける事もできないからこその自分勝手で暴力的なその動きに、イオリも最後の絶頂を迎えた。これまでにない、まともなセックスでは到底踏み込めない領域での絶頂に、力尽きていた膣肉が断末魔のように締め付けを取り戻す。思わぬ反撃にアレックスもついにその時を迎え、逸物がイオリの最奥でついに弾けた。
ゼリー状の精液が、びゅるびゅると導管を通って吐き出される。痙攣じみた子宮運動がそれを吸い上げて子袋に蓄えていくが、到底全て受けきれるものではない。ゆるくなった膣から精液があふれ出し、積もり上がった白濁液の上にびちゃびちゃと降り注いだ。
「ん……ふぅ。……イオリ? ちょっとやりすぎたよな、生きてる?」
「……………」
射精直前か直後か、イオリは口から泡を吹いて完全に失神していた。完全にヤりすぎである。アレックスは彼女をベッドに降ろして後始末をしながら、後で目覚めたイオリに何て謝るか、何で機嫌を取るべきか頭を悩ませた。
ちなみに、イオリは途中からの事を何も覚えていなかった。失神どころか記憶喪失である。
念のため診断をしたシルバは話を聞いて震え上がった。