※この作品はR-18です。

未来も希望もない戦場で必死に生き残ってたらモテモテになった件(ハーメルン版)   作:SIS

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ここからは特別短編です。


特別短編集
銀の魔女の信仰(シルバ)


 

 

注意:本編のネタバレが含まれます。最終話までご覧になってからの閲覧を推奨します。

 

 

 

 オペレーション・エクソシスト完了後。

 

 回収されたアレックス達は、病院船において厳重な監視下にあった。表向きは治療目的だが、その本心は経過観察にこそあるのは明白である。

 

 なにせ、非常識な現象の只中にいたのだ。その為に選ばれ送り込まれた人員であっても、何か変異や変心が無いか、念には念を入れるべき、というのはアレックスも同意ではある。それに監視といっても四六時中部屋を見張られているのではなく、一日に一時間ほど、心理テストのようなものに付き合えばよいだけだ。実際の所、本気で何かしらの変心を警戒しているのではなく、独立遊撃隊の面々の保護を言い換えた処置であるという事は、説明されるまでもなく明らかだ。

 

 幸いにして、監視の上であれば部下と会う事もできた。皆、不平を訴えながらも、大きな任務の達成感をひしひしと味わっているようだった。アレックス自身、あれほど大きな戦いで自分が生きて帰ってこれた幸運を噛みしめている。

 

 それだけ、過酷で異常な戦場だった。

 

 堕ちた星見。共に戦う異星生物。逆巻く血の神。いずれも、誰かに話したところで信じられないか、本当に精神病棟に隔離されて終わりである。

 

 だがそれも終わった。もう、あの奇怪な赤い宇宙を見る事もないはずだ。

 

 それに隔離されているのは不満だが、それも長くないだろうと予想できるのもある。

 

 あの作戦に参加した全ての人員をいつまでも隔離しておく余裕は今の西方人類軍には無い。いや、作戦に参加した西方人類軍兵士はそう多くは無いが、増援としてやってきた中央の近衛軍までいつまでも拘束はできないだろう。一応、皆が同じ扱いのようだが、彼らは彼らでやる事が山積みの筈だ。

 

 特に作戦の総指揮を執ったフォンブラウ少佐……いや、今は総司令代理と呼ぶべきか?……は、本人的には作戦終了後、ザラガ総司令を守れなかった責任を取って腹を切るつもりだったらしいがそんな贅沢は許されないと今も独房で書類の山と格闘しているはずだ。

 

 本人の意思がどうあれ、堕ちた星見の破壊工作でズタズタになった西方司令部の舵取りが出来るのはもはや彼だけである。いうなれば、恥を忍んで西方総司令の座に座るのが彼に望まれている贖罪という事になるのだろうか。

 

 他にも、丸ごと消し飛ばされた北方人類軍の旗艦艦隊の問題とかもある。あれについて上層部がどういうやりとりをしているのかはアレックスからはさっぱりわからないが、まあ喧々諤々とやっているのは違いない。

 

 それを思えば、特に干渉される事もなく悠々自適な生活を送っている今の状況に文句を言ったら罰が当たるというものである。

 

 それに、アレックス達はじきに軍籍が解かれ、一般市民になる事が決まっている。いや、一般市民とは少し違うか。

 

 彼らはあまりにも軍事機密に触れすぎたというか、今やアレックスとその妾達は異星生物との和平交渉、その第一人者だ。もはや軍事機密そのものである彼を、一兵士にしておく事はできないし、他の事情を知らない、あるいは利用しようとする者達に触れられるような場所に置いておく事も出来ない。結果、彼らは退役という形で軍から距離を置き、故郷の惑星ウィンザードに送られる事が決まっている。そしてウィンザードも、様々な特例を設けた上で、隔離惑星になる事になる。今後は、異星生物との交渉は惑星ウィンザードを通して行われる事になるのだろう。

 

 もともと、他の星との交流に乏しい辺境惑星だ。今更隔離された所でどうという事はないだろうが、事情を説明された両親はさぞ困惑するだろうな、とアレックスは思った。今も正直現実味がない。

 

 そんなこんなで、アレックスは作戦以降、あれだけ肌身離さず持っていた銃の引き金に指をかける事のない毎日を送っていた。

 

 

 

 

 

「それはそれとして。いいんです? こんな事して」

 

「?」

 

 深夜。与えられた自室のソファにゆったりと腰を落ち着けていたアレックスは、対面に座る美女をジト目で見つめた。

 

 視線を浴びた銀髪の美女は、どこか少女らしさを残したあどけない笑顔のまま首を傾げる。いつものような露出過多な黒いドレス姿……ではなく、黒色を基調にしたゆったりとした極力肌を出さない衣装だ。どういう心境の変化か、少し気になるが敢えてアレックスは聞いていない。藪蛇の気配がする。

 

 彼女は、机の上で上品なカップに何やら香りのどぎつい紅茶を注いでいる。その片目が微妙に視線が合っていない事に気が付き、アレックスは少しだけ眉を潜めた。

 

 シルバ。遊撃隊に助力してくれた星見の女性。そして、一連の戦いで間違いなく一番重症を負っていた。NEUROに遭遇した際のPSYエネルギーの逆流、逆巻く血の神の顕現による衝撃で、彼女の体はボロボロだった。眼球破裂に全身の毛細血管からの出血。内臓もいくつかミンチになっていたと聞く。その為、作戦終了後は集中治療室に担ぎ込まれて48時間ほど緊急処置を受けていた。幸いにして無事回復したという話を聞き、ほっとしていたのだが、それがどうしてアレックスの部屋をこんな時間にのうのうと訪れているのか。

 

 さらに言えば、部下と会うのは禁止されていないとはいえ監視付きが前提である。当然、専用の面会室での事になるわけで、こうして自室でゆっくりお茶、という訳にはいかないはずだ。

 

「? じゃないでしょ。監視はどうしたんです監視」

 

「私は別に軍の管轄じゃないので……」

 

「今回ばかりは関係ないですよね?!」

 

 お決まりのセリフで誤魔化そうとするシルバ。流石に今回ばかりはそれは通らない。

 

 困り果てるアレックスの様子を見て、満足そうに笑うシルバ。彼女は時折、こうやってアレックスを困惑させるのを楽しんでいる節がある。思えば本来の姿での初対面からして、ドッキリも良い所だった。

 

「冗談です。まあ、監視者よりも事象に詳しくて自分自身の事をよくわかっている私を、監視してもしょうがないでしょう? 私からすれば毎日受けている心理テストも時間の無駄も良い所です。なので、私にはもともと監視がついていません。仮に私が“堕ちて”いたら、それこそこの船の誰にもどうしようもありませんよ」

 

「まあ、それはそうですが……」

 

「ついでに言えば、堕ちる理由もありませんしね。彼らの積年の願いの結晶、ついに顕現した神がミサイル一発で粉微塵にされる無様な姿を見れば、流石に現実に返らざるをえないでしょう。まあ、あの連中の願い想像した神なのですから、しょうもない末路もさもありなん、ですが。それだったらまだ異星生物の方がましですね。いや、彼らの正体を考えると、この呼び方も適切ではありませんね」

 

「異星、っていうか、異界生物でしたからね……」

 

 長年人類が戦争していた相手は、別次元に存在する超情報生命体のコンセントとかケーブルでした、とか酷い話にも程がある。アンジャッシュも程があるだろう、というのがアレックスの正直な感想だ。

 

 おまけに物分かりが信じられないほど良いと来た。敵対していた時はただひたすらに脅威ではあったが、味方になったらなったで非常に頼もしい。結局、あの戦いのラストも彼らが全部もっていったようなものだ。もう全部彼らにまかせていいんじゃないかな、というのが偽らざる本音である。

 

 なお、肝心の異星生物側は、オペレーション・エクソシストの顛末(無量大数の怨念に取り込まれずロッククライミングで邪神の弱点までたどり着いて孤軍奮闘、角爆破まであと一歩だった)を知って「…………人間って、すごいな」という感想を改めて抱いた模様。後日それをストレートに伝えたフォンブラウ総司令代理には全力で否定されたが。

 

 曰く、「全人類を彼基準で考えたら通る話も通らなくなる! 勘弁してくれ!」である。幸いな事に、そのやりとりをアレックスは知らない。今の所。

 

 と、今は作戦の感想会をしていたのではない。シルバが監視も無しにうろついているのは不味い、という話だ。

 

「……いや、話を逸らさないでくれます?」

 

「あら」

 

 ばれちゃった、と笑うシルバ。年齢不詳のこの美女だが、時折幼いとすら言っても良い面を覗かせる事がある。ほぼ同い年か少し年上だと思っていたが、もしかすると思っているより若いんじゃないか、とアレックスは内心でチラリと考えた。あくまで一瞬の事だ。長々と考えていると、この魔女は人の心を読んできかねない。

 

「何か用事があったんでしょ? わざわざ監視の目を盗んでまで」

 

「ふふ……アレックスさんには敵いませんね。おっしゃる通り、いくつか用事がありまして」

 

 シルバはどうぞ、と紅茶が満たされたカップを押し出してきた。それを受け取り、軽く香りを嗅ぐ。……かぐわしいとは程遠い、薬草のようなエグ味のある匂い。紅茶というより薬である。顔をしかめながらも、アレックスは液体を口に運んだ。

 

 苦い。ものすごく苦い上に、香りと同じくエグ味がある。軍隊の乏しい食事に慣れていてもなおキツい。それでもアレックスは吐き出す事なく、最後までやせ我慢して飲み干した。つぅ、と汗が額を一滴たれていった。

 

「お見事。けっこうきついかと思ったんですが」

 

「まあ、これぐらいは、ね」

 

「ふふ。まあ用事といっても、大げさな事じゃありません。一つは回復のご挨拶を。随分と心配をかけてしまいましたので。もう大丈夫だと主治医からも太鼓判を貰っていますよ」

 

「それは良かった。……でも、どうして唯の義眼を? 今だったら視神経に接続して視力を持つタイプの義眼が主流でしょう? 再生治療という選択肢もある」

 

「星見の力と機械は相性が悪いのです、ご存知でしょう? それに、私達星見にとって、隻眼というのはそう忌避されるものでもないのです。我々の年長者には、少なかれ、片目であったり、片腕、片足の者がいます。人の形を外れる事で、より深く宇宙の流れを感じられると信じられているのです。実際、力の流れが滞った事でこの目は失われましたが、逆に言えばほかの所には影響がなかった訳ですので」

 

「はあ……」

 

 でもそれだと日常生活に困らなくない? という疑問をアレックスはあえて飲み込んだ。本人が納得しているのならもうこれ以上他人があれこれ言う者でもない。

 

「しかし、その義眼、よくできていますね」

 

「ええ。長老が送ってくださったものです。私の目に合わせて、宝石で作ったとか。どうやらこうなる事をある程度予期していたようですね」

 

「ふぅーん……」

 

 言われてマジマジと彼女の目を観察する。確かに、青く透き通った輝きは宝石のそれかもしれない。だが、その隣に輝く、彼女生来の青く澄んだ瞳に勝るものではない。

 

「義眼より本来の目の方がきれいだと思いますけどね、俺は」

 

「………え」

 

 何気なくつぶやいたアレックスの言葉に、シルバがぴしりと固まった。ややあってはっと我に返った彼女は、白い頬を赤く染めて目を伏せて顔を逸らした。明らかに照れ照れとしている彼女に、アレックスも自分の失言を悟る。いや、失言ではないのだが……。

 

「あ、いや。その。今のは言葉の綾……いやそういう訳じゃないんですけど。特に他意は無くて、ですね……」

 

「……そ、そうですか……」

 

 二人して照れ照れと視線を逸らしながら恥ずかしがる。

 

 すでに体を重ねた中……どころか生娘がドン引きするようなハードセックスをした仲であるにもかかわらず、初心な反応でお互いに様子を伺い合う。ある意味非常に歪な関係ではある。

 

 と、そこでアレックスはふと思い当たる事があった。

 

 シルバと関係をもったのは、あの一夜だけだ。もしかして、彼女は。

 

 少しばかりの期待を込めて視線を向けると、まだ頬に照れを残しながらも、シルバはもう一つの本題を切り出した。

 

「それで。その。もう一つ……こちらが本題なのですが」

 

「はい」

 

「…………夜這いに来た、と言ったら。どうします?」

 

 目を伏せながら、恥ずかしそうに白状するシルバ。アレックスはテーブルの上のカップに視線を落とす。なんとなく予想してたが、もしかしなくてもこの紅茶。

 

「なるほど。それで当たり前みたいな顔して一服盛った、と」

 

「盛った、と言われるとそれはそうなんですけど……だましたみたいな言い方は……」

 

「説明せずに有無を言わせず差し出してきたじゃないですか。というか別にそんな事しなくても、俺の方から声をかけたかったんですが……」

 

「だ、だって……」

 

 唇を尖らせて、童女のような仕草でシルバは淫蕩な不満を口にする。

 

「他の皆さんは何度も何度も抱いていただいているのに……私だけあの晩だけで……。そこからも、夜に呼びつけてくださらなかったし……。私、ずっと待っていましたのに……」

 

「あのねえ……」

 

 状況的にはそもそもシルバを呼びようがなかったというのが事実だ。シルバを抱いた直ぐ直後にミリシアが攫われてオペレーションリヴァイアサンが発動されたし、その作戦でシルバは眼球破裂という重症を負った。その後確かに何度か呼び出す機会はあったが、いくらなんでも顔に包帯を巻いている女をベッドに呼ぶわけにはいかない。常識的に考えて、だ。

 

 だがシルバは納得していないようだ。

 

「ミリシアさんはお呼びしてたじゃないですか……。他にも知らないところで、イオリさんあたりを抱いていたんじゃないです?」

 

「ミリシアを呼んだのはそりゃあそうなんですが。シルバさん大怪我してるのに呼ぶ訳にもいかないでしょ?」

 

「私は呼んでほしかったです……」

 

「それは……まあ。すいませんでした……」

 

 まあ理屈ではないのはアレックスもわかってる。シルバだって基本的には理性の人だ、そのあたりはちゃんと弁えている、だから作戦中とかに強請ってくる事もなかった。が、色々落ち着いて、平和な時間が続いた事で色々辛抱たまらなくなってしまったのだろう。普段、色々抑え込んでいるようだし。

 

「……それはそれとして、シルバさん。今、自分が滅茶苦茶な事言ってるの、自覚あります?」

 

「……………うぅ」

 

 顔を真っ赤にしながらも、コクン、と頷くシルバ。言動が完全に色ボケしている事に、自覚はあるようだ。

 

 重症である。ここまでほっといたアレックスが悪いとも言えるが。

 

 ならば責任を取らないとな、と彼は嗜虐的に笑った。

 

「わかりました。ところで、この紅茶の中身、教えて欲しいんですけど」

 

「その……滋養強壮と、精力増強と、疲労回復と、あとオマケに一つ加えた特性ブレンドです」

 

「そのオマケが怖いんですが。ってかなんか心臓バクバクしてきたんですけど。汗もなんか出てきた……え、大丈夫なんですよねこれ? 合法ですよね!? ヤバイ薬入ってませんよね?!」

 

「…………大丈夫です、合法です。単品なら」

 

「それ遠回しに組み合わせちゃ駄目な奴っていってますよね!?」

 

 これは気をつけないと薬漬けにされるな、とアレックスは内心トホホと肩を落とした。

 

 

 

 

 ベッドに腰かけて見守るアレックスの前で、シルバがドレスに手をかけた。

 

 突き刺すような視線を感じながら、ゆっくりと薄布を剥いでいく。足元にくしゃり、とドレスが積み上がり、下着姿になったシルバは恥じらうように顔を背けながらも、アレックスの前に己の肌を晒した。

 

 相変わらず、肌理の細かい白い肌。ただ、そのところどころに細かな傷がはしっている。医者の話では、全身の毛細血管の破裂といっても内出血のようなものではなく文字通り弾けたような傷、とい話だったから恐らく全身が細かく切り刻まれたような有様だったのだろう。そこから見た目異常を感じないぐらいまで治療できたのだから、今の治療技術は大したものだ。しかし女性からすれば、結局傷が残ってしまっては何の慰めにもならないだろう。

 

 だがシルバが恥じらっているのは、文字通り傷ものになった肌を晒す事に対してはなさそうだ。

 

「なるほど、そんな下着つけてちゃ、いつもの露出過多なドレスは着れないな」

 

 記憶の限りだと、シルバが付けていたのは下着の機能を果たさないエロティックなものではあるが、下品ではなかった。最低限の場所だけ隠す、殿方を盛り上げるためのもの。

 

 それがどうだ。今シルバが身に着けているのは、上品さやお淑やかさとは無縁の、ただ性を強調するだけの代物だった。ブラジャーは縦に切れ目が入り乳首が露出しており、ショーツも股間部がくり抜かれ、丁寧に処理がされツルツルの恥丘が露になっていた。

 

 到底、下着とは言い難いそれは、女が男に媚びるため、あるいは男が女の所有権を再確認するためだけの代物だった。

 

 揶揄するようなアレックスの言葉に、シルバは恥じるように顔を伏せた。だが内心まんざらでもない事を、ぷっくらと起ってきた乳首の有様が物語っている。この様子だと、秘唇もうっすらと蜜をたたえている事だろう。

 

「そんなに俺に抱いてほしかったんだ?」

 

「は……はい……っ。どうしたら次に呼んでもらえるか、そればかり考えてました……っ」

 

「それなのに、我慢できずに結局自分から押しかけちゃったんだ? エッチだね」

 

「……っ、辛抱できない子は、お嫌い、ですか……?」

 

 心底哀しそうに、怯えるように上目遣いに視線を向けてくるシルバに、思わずアレックスは苦笑する。この女は、自分の価値が相変わらずよくわかっていないらしい。

 

「そうだったら、こうなってないと思うけど」

 

 足を開いて、逸物がズボンを今にも内側から突き破らんと屹立する様を見せつける。ごくり、と唾を飲んで注目してくる彼女をアレックスは手招きした。

 

「おいで」

 

「は、はい……」

 

 ぽんぽんとベッドを手でたたいて隣に誘導する。下着姿のシルバが腰を下ろしても、アレックスの半分ほどしかマットは沈みこまなかった。細い腰に手を回して抱き寄せ、顔を近づけるとシルバは迎え入れるように唇を重ね、目を閉じた。

 

 最初は優しく。唇を触れ合わせるだけのフレンチキスを数度繰り返していると、少しずつ、緊張に強張っていたシルバの体がリラックスしてくる。

 

 慣れるのが早い。シルバは星見の中でも特に優秀な人材であるらしいが、秀才というのは色事にも発揮されるらしい。まだ二度目の交わりであるというのに、歯をぶつけるような事もなく、気持ちいい事、に没頭しているようだ。

 

 これなら先に進んでもいいだろう。

 

 つ、と唇を舌先で割って潜り込ませる。びくりと肩が跳ねたが、それも一瞬の事。すぐに落ち着きを取り戻し、シルバもまた舌を伸ばしてくる。互いの唇の間でくちゅくちゅと舌が絡み合い、二人の唾液の混合液がつぅと垂れたが、彼女は忌避する事無く舌悪戯に夢中になっていた。

 

「んふぅ、ん……っ、ふっ、あ……っ、んん……、んあっ! ふっ、あっ、んんっ!」

 

 舌を絡めながら、シルバをきゅと抱きしめる。アレックスの着る生地の荒いシャツに豊かな双丘が押し付けられ、剥き出しの勃起乳首が押しつぶされてくぐもった声があがる。が、それで抵抗してくるという事はなく、むしろシルバはしなだれかかるように体を押し付けてきて、自ら男の躰に自分の柔肌をこすりつけてきた。勃起した硬い乳首がぐりぐりとこすりつけられてくるのをシャツ越しに感じ、アレックスは目を細めてその浅ましさと貪欲さを嗤う。

 

「ん……っ、ふぅ……ん……んんっ!」

 

 ビクッ、とシルバの肩が強く跳ねた。軽く逝ったらしい。

 

 はあはあと息を荒げる彼女から唇を離し、肩も押して互いの距離を軽く上げる。見れば乳首は大きく勃起し、下着のスリットから異物のように飛び出していた。あからさまに虐めてください、と主張しているそれに、あえて目を向けず、アレックスは惚けているシルバの手を取ると、己の股間に押し当てた。

 

「あっ……」

 

 はっとして青い瞳が怒張に向けられる。心臓を内蔵しているかのようにドクドクと血流に合わせて脈動するそれを、さも愛おしそうにシルバの繊手が撫でさすった。

 

 と、不意にシルバが屈みこんだ。アレックスの股間に頭をさげて、ズボンの金具に手をかける。

 

「御奉仕、させていただきます……」

 

 ジジジ、とチャックが下ろされる。続けてトランクスをずり下げると、その奥からボロン、と逸物が飛び出してきた。

 

 これまで何人もの女を貫いて狂わせてきた女殺しの逸物は、使い込まれて黒く変色している。表面には幾筋もの太い血管がビキビキと浮き上がり、先端の亀頭はエラが張り出してパンパンにはち切れそうなほど膨張していた。

 

 シルバの目が驚愕に瞬く。明らかに、彼女の記憶よりも太く長い気がする。

 

「……な、なんか、大きいですね」

 

「誰かさんが一服盛ったからでしょうが」

 

「そ、それはそうなんですが、それを踏まえても……」

 

「……ご無沙汰だったからな。それに加えて前の作戦で散々生死の境を踏み越えた、っていうか、一度あの世っぽい所にもいったからな。それでだと思う」

 

「あ、ああ……。命の危機に晒されると子孫を残す為云々、という奴ですね……」

 

「俗説だけどな。ただ体感的にそんな感じはする」

 

 というか、死地を乗り越える度になんか精力が増している、というのが当の本人ことアレックスの感想だ。誰かにこっそり肉体を改造されてないかと思うぐらいで、多分、徴兵された時と比較すると3割増しぐらいになっているのではないだろうか。

 

 ちなみにちょっと改造してそうな奴に心当たりがある。アレックスの子供をサンプルに欲しがってた透け透けの誰かさんとか(注:濡れ衣です)。

 

「それじゃあ、失礼します、ね……」

 

 一言断ってから、シルバは逸物に顔を寄せた。流石に口に含むにははしたなく大口を開く必要があったのでしばし躊躇われるし、上手くやれる気がしない。少し悩んだ彼女は、鈴口に先走りが浮いているのを認めると、それをキスをするようにして吸った。そのまま小さく舌を伸ばして逸物を舐めるように、その表面を唾液で彩っていく。左手は添えられるだけ、右手は優しくその幹を撫でさすり、確かめるように玉袋に触れて揉みしだいた。おっかなびっくり、という手先だったのが、形を把握するにつれて少しずつ大胆になっていく。

 

 話に聞くような男臭さ、あるいは汗臭さは感じなかった。女を抱く抱かないを問わず、常に可能であれば身綺麗にしているのはアレックスらしくもある。戦場暮らしが長いと、男女問わず衛生に無頓着になりがちなので少し心配していたが、その必要はなかったようだ。だから、安心してシルバは奉仕に集中した。

 

 それを見下ろすアレックスは、実の所あまり余裕が無かった。遊撃隊の女性相手の交合はカウンセリングを兼ねた慰撫なので、奉仕はあまり命じていない。皆無ではないが、他のプレイに比べれば経験が少なめだ。

 

 何より、あのシルバが自ら膝をつき、愛おしそうに逸物に奉仕する様は彼の支配欲を存分に刺激していた。

 

「ん……」

 

 擽ったい快楽に、思わず声が出る。それを聞いて、シルバは目を輝かせて一層奉仕に熱を入れた。彼女の漏らす吐息に、じっとりと熱が籠っている。

 

 そういえば、記憶の限りだとシルバは爪を伸ばしていたような気がする。だが今見ると、アレックスを傷つけないようにか、爪は短く切りそろえられていた。随分前からそうするつもりだったらしい。

 

 熱心に、繰り返しシルバの舌が逸物を舐る。かと思えば、時折愛しさを抑えきれなくなったかのようにチュ、チュと口づけを行う。グロテスクな逸物に息を荒くして奉仕を続ける美女の図はアレックスを十分に満足させていたが、一方であまりに刺激に乏しかった。

 

 勿論、このまま続けていればアレックスを果てさせる事は可能だろう。そもそも、シルバを従えて奉仕させているというシチュエーションだけで、股座が熱くなる。が、どうせなら出す物は全て彼女の胎に注ぎ込みたい。孕ませてほしい、という彼女との契約はまだ有効なはずである、もっとも奉仕に夢中になっている当の本人がその事を覚えているかは大分怪しいが。一向に飽きる様子の無い彼女の頭に軽く手を置いて、その動きを掣肘する。

 

「ふぁい……?」

 

「もう十分だ、シルバ。ここらで終わりにしよう」

 

「っ、その、すいません……。お気に召しませんでした……?」

 

「いや、十分気持ちよかったよ。けどそろそろ我慢できなくなってきたし……それはそっちも同じじゃない? ほら」

 

 言って、床を指さす。

 

 シルバの股下。そこは、滴る愛液で水たまりができていた。奉仕をしながら自らを慰めていたとかではなく、単純に奉仕をする事で昂り満たされた結果だ。もしかすると途中で何度も逝っていたのかもしれない。

 

 指摘されたシルバが恥ずかしそうに顔を伏せる。自分でも、あまりに夢中になっていた事に自覚が沸いてきたのかもしれない。

 

「ベッドにおいで。どれぐらい良かったか、お返しで教えてあげる」

 

「は、はい……」

 

 大人しくベッドに戻ってきた彼女を、優しく押し倒す。なされるがままの彼女の秘所に、ビキビキに張り詰めた怒張を乗せるように押し当てた。ぴく、とシルバの腰が引き攣るように動いた。

 

 彼女の視線は、臍の下まで届いている逸物に釘付けになっている。どこまで届くか、を再度示すようにぺちん、と腹に一物を乗せた後、それを秘所の入口に宛がった。

 

「あ……は……あ……っ!」

 

「少しずつ入れていくよ」

 

「はい……っ!」

 

 切っ先で秘唇を割り開き、ゆっくりと逸物を沈めていく。

 

 まだ二度目の女陰は小さく閉じていて、一見すると処女と変わらぬ苦痛を彼女に強いてしまうかのように思われる。だが、初体験から薬物を用いた徹底的な蹂躙を受けた女性器は、久方ぶりの来訪に戸惑っていただけで、すぐに本来の主を思い出した。

 

「はっ、いっ、あっ! あああっ!!」

 

 ぐぶぐぶと逸物が沈んでいく。専用の形に拡張された洞は柔らかく広がり、徹底的に打ちのめされた最奥は記憶よりも大きい亀頭を、ミチミチになりながらも受け入れる。やがて女体を串刺しにするように太い肉杭がシルバの胎に収められ、動きを止めた。

 

「大丈夫? ……じゃないよな」

 

「ふっ、はっ、ひぅ、あ……っ! んぅ……っ」

 

 収めきった所で動きを止めるが、シルバの方はすでに息も絶え絶えだ。繊手はシーツを破けんばかりに握りしめ、仰け反った胸は過呼吸気味に上下している。いれただけで何度か絶頂したのか、膣全体が小刻みに痙攣していた。

 

「はぁ、ふぅ……相変わらず、凄い、です……。全部、支配されてる、みたい……」

 

「落ち着いてきた?」

 

「はい……。また、アレックスさんに、物にしていただけました……」

 

 夢見る乙女のように、はにかんで笑うシルバ。その笑顔と、現状のギャップにアレックスの心に嗜虐的な興奮が燃え上がるが、それを抑えて彼はちゅ、とシルバの額にキスを落とした。くすぐったそうにシルバが首を竦める。

 

「ふふ……優しくて、素敵……。でも、荒々しいのも、好き、ですよ」

 

「シルバは……どういうプレイが好き?」

 

「その……あまり私はこういうの、詳しく無くて。何が好き、って言えるほど知識が無いんですけど……」

 

 ちらり、と目を逸らすシルバ。嘘だな、とアレックスは断じた。このむっつりスケベめ、と思いつつ、敢えて指摘はしない。

 

「以前は、ですね。星見として特別な相手との間に子をなすのが幸せ、というか、目的で……男の人を興奮させるようなプレイであれば、それでよかったんですけど……今は少し違うっていうか……」

 

「どんな風に?」

 

「私も、その。結局、雌だったみたいです。誰より優れた雄に、所有されたい、孕ませられたい……それこそ、単身で宇宙を救ってしまうような英雄に、俺の女だって執着されたい……。ああ、アレックスさんに、焼けるような欲情を叩きつけられたい……っ。して、滅茶滅茶にして欲しい、心臓が止まってもいい、頭がおかしくなってもいい……っ。欲望の限りをつくされたい……」

 

「シルバ……ッ」

 

「して、ねえ、無茶苦茶に……ねぇ? お願いしますぅ、旦那様ぁ……っ」

 

 誘うような渾身の媚び声。それを受けて、アレックスも自制の緒が切れた。

 

 ずるり、と逸物が引かれ、そして。

 

「んぃいっ!?」

 

 ごちゅん、と打ち付けられる。ごっ、と胎の裏から突き上げられて、シルバの腰が浮き上がる。

 

 悶える柳腰を両手で乱舞に押さえ込んで、アレックスはその最奥をすりこぎでゴマでも潰すみたいににぐりぐりと押しつぶすと、再びどちゅん、と最奥から入口まで、入口から最奥までのピストンを繰り返す。単純な前後運動ではなく、8の字を描くような女殺しの腰使い。

 

「ひぃっ!? んあっ!? あっ、それ、ひど……んいっ!!」

 

 何が酷いかというと、男が射精に繋がるような刺激を受けるのは抜き差しの時だけ。最奥を磨り潰す動きは亀頭が刺激されるが、抽送ほどの刺激は得られない。それに対し、女性の方は最大の性感帯であるとされるポルチオをゴリゴリと刺激されるのだ。結果、男の方は余裕が保てるのに対し、女の方は耐えず繰り返される絶頂に咽び泣く事になる。

 

「んいっ! ぁああっ! あ゛っ! お゛っ、あぁっ!」

 

 ただ、シルバはまだ二度目の交合で、本来ポルチオで感じるのは難しい。性感帯というのは慣れるにはそれなりの場数が必要で、いくら天才的に淫乱な彼女でも、最奥の子宮口を磨り潰されるのはまだ痛みが快楽に勝るようだった。

 

 しかし、それすら今の彼女には大いなる悦びだった。自分の認めた、これ以上は望めない最高の雄に、望んだ通りに獣欲を叩きつけられて無茶苦茶にされる。

 

「いい……っ! いいのぉ……あっ! ああっ! アレックスさん、お願い! もっと……っ!」

 

 異様なサイズの逸物が、息が止まるほどの快楽と共にシルバの膣を変形させていく。アレックスからすればまだ狭いが、平均的な男性のそれからするともうガバガバもいいところだろう。もちろん、今後彼以外の男性と関係を持つくらいなら自ら命を絶つが、それはそれとして愛しい雄の専用に作り替えられるというのは、破滅的な悦びがあった。

 

 実際の所ポルチオに限らない話で、シルバが感じているのは、快楽もあるがそれと同じぐらい苦痛の色合いもある。いくら一度目で拡張されているからといって、まだ二度目ともなれば生娘とそう変わらない。性感帯も開発されていないし、ミリシアが味わっているそれに比べれば児戯もいいところだろう。だが、心の持ちようにおいては別だった。今この瞬間、シルバは自分が宇宙一幸せな女だと本気で思っていたし、アレックスの獣欲の餌食になっているという事実が何よりの喜びだった。

 

 言うなれば、自分で自分に催淫をかけている状態。だが、まぐわう当の二人にとって、そんな冷静な評価は何の意味も持たないのは言うまでもない。

 

 アレックスからすると、悶えるシルバの様子は凶暴な雄の本性をよく満足させた。部隊の女性を寝床で、ある意味において破滅させてきた手管を持つ彼から見れば、シルバがあくまで気持ちだけで逝っているのを分かっていた。が、それはつまりまだまだ先があるという事だ。今は気分が先行しているこの雌が、本当の快楽地獄に足を踏み入れた時にどういう反応を返すのか想像するだけで股座がいきり立つし、逆に肉体的快楽が伴わないのに自分に抱かれているというだけでこれほど感じる女を愛おしく思わないはずがない。

 

 抽送に合わせてシルバがシーツをかきむしり、銀髪が乱れ、豊かな胸が目の前で跳ねる。これだけ大きい胸を激しく揺さぶると靭帯がちょっと心配になるが、形だけのエロ下着をつけているのでその心配はないだろう。不意にこういう意味で需要があるのか、と場違いな感想が頭をよぎった。

 

 であるならば、シルバには今後何かしらを着用させて事に及ぶのがいいだろう。……そういえば、世の中には女性を辱める事だけが目的としか思えない、皮製の下着のような何か、があったりもする。確か実家の倉の中で見た覚えがある、あれはさぞシルバに似合う事だろう。

 

 と、そこでアレックスも強い射精感を覚えた。普段の彼からすればあまりにも早いが、アレックスからしてもシルバは極上の女だ。それを望まれたとはいえ言いように蹂躙している事で肉欲以上に満足を覚えているのは彼も同じである。

 

「……っ! 出すぞっ!」

 

「あっ! ひぃあっ! お願い、しますぅっ! なか、中にぃ……ああっ!」

 

 懇願の声と共に、力なく投げ出されていたシルバの足がアレックスの腰に絡みついてくる。本能的に受精を望むかのような仕草に笑みを浮かべながら、逸物でシルバの最奥をゴリュリ、と押しつぶした。同時に、昂りを解き放つ。

 

「ぐぅ……っ!」

 

「あ、あつ……いっ! んぁああああっ!?」

 

 監視下での禁欲生活で濃縮された、ゼリー状の白濁液がびゅるびゅると女の胎にためらいもなく注ぎ込まれる。久方ぶりの解放にアレックスは呻いた。一方、シルバは胎の奥に灼熱の塊を感じた事で、激しい絶頂に全身を戦慄かせた。実際の所ずっと小さな絶頂を繰り返していたのだが、気分があまりに高まりすぎていたので逝き損ねていたのだ。それがアレックスの動きが最奥で止まった事、胎に射精の灼熱を感じて一区切りついた事で認識や感覚が合致し、一際大きいエクスタシーに至った。ガクガクと体が震えるが、ギチギチと閉まる膣はそれでも一滴も精液を逃さんとしているかのようだった。

 

 そして脱力。くたり、と全ての力を失ったかのように横たわる女体から萎びた逸物をゆっくりと引き抜き、アレックスは胡坐をかいてベッドの上に横たわるシルバを見下ろした。

 

 彼女は完全に気を失っているようだ。初体験の時は大分タフだったから、あれはやはり変な薬を決めていたからかもしれない。

 

 流石に気絶している相手に無理やり続けるわけにはいかない。だいたい、回復したとはいえもと重傷者である。加減というものが必要だった。例の紅茶に興奮剤とか混じってたな……とアレックスは自身の行いを省みて頭を抱えた。

 

 とにかく今日はこれでおしまいだ。彼は出したばかりにも拘わらず萎える事を知らない分身をどうにか宥めながら、シルバの身なりを整えてやると、共にシーツを被って目を閉じた。

 

「…………」

 

 なかなか眠れない。それでも意識を閉ざそうと無駄な努力をあれこれ試してみる。犬を数えたり、猟兵級の数を数えたり、サムズアップするLORDの顔を思い浮かべたりしてみる。なんだったら不愉快な政治将校モドキの顔を思い出したりもしてみた。

 

 結局そのどれも眠気には繋がらない上にムラムラも収まらず、1時間後ぐらいに意識を取り戻したシルバを即座に再び押し倒すアレックスだった。

 

 

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