大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「追い出されちゃったね」
電灯の付いた廊下を歩きながら、奈菜があははと笑う。
既に夜の18時過ぎ。
少し前まで騒がしかった部活道の生徒はいつの間にか帰って、校内は不気味なほど静かだった。
「でも良かったな、親には内緒にしてくれて」
「うん、良かった!」
氷室先生は結局、俺と奈菜の関係──というか、学校で生ハメセックスをしまくっていることを秘密にしてくれるそうだ。
というより、友達の娘が学校で生ハメセックスしてたとか、保健室で目の前でセックスさせたとか、そんなこと言えないよな普通は。
「というか、まさか佳香さんがあんな人だとは思わなかったよ」
「まあ、あれはびっくりしたな。中学生相手に目の前でセックスさせるって、めっちゃ変わり者だもんな」
「そうそう。でも祐輔、いつもより興奮してたでしょ」
靴箱から外靴を取った奈菜は口角を上げて笑う。
「まあな。奈菜だって興奮してただろ。それに普段より積極的だった」
「そう? いつもと変わらなかったと思うけど」
「いつもと違ったよ。氷室先生に対抗意識を燃やしてた感じ」
「あー、まあ、そうかも。だって祐輔、いきなり佳香さんにフェラさせるんだもん」
校門を出ると、奈菜は珍しく俺の手を繋いで隣を歩く。
「たまにはそういうのもいいかなと思ってな」
「とか言って、蘭華とも隠れてセックスしてたくせに。そういえば蘭華と最近いつしたの?」
「いつって……」
「隠し事はなし、ね?」
絡めた指に力が込められる。
普段は学校でも学校の外でも手を繋いで歩くことなんかしないのに。
もしかして、嫉妬しているのか?
「勉強合宿以降は会えてないからな」
「ふーん、ほんと?」
「本当だって。奈菜は俺以外とは──」
ジッと目を細めて睨まれる。
しかも足を止めて、繋いだ手をぶらんと伸ばして、謝るまで動くつもりはなさそうだ。
「ごめん、なんでもない」
「だよね。というかそもそも私って、祐輔みたいに誰とでもエッチしたいような変態じゃないから。祐輔とこうして手を繋いで歩いて、抱き合ったりキスしたり、いっぱいエッチできるだけで満足なの」
「ほお」
「ほおって、もう。だから私は他の男とはエッチしないの。納得した?」
「納得っていうか、まあ……ってか、奈菜って俺が他の女とするのは怒らないよな」
聞いても良さそうな雰囲気だから聞いてみると、奈菜は頬に指先を当て少し考える。
「別に私たち付き合ってないもん。だから私に祐輔を縛る権利はないよ」
「そういうもん?」
「そういうもんなの。だから今はご自由にどうぞ。ただ……」
手を繋いだまま、俺の腕を組んで体を寄せられる。
「もし結婚したら、浮気禁止だからね……?」
にっこりと微笑みながら言われ、なぜか全身がゾクッと震えた。
「結婚って、まだ俺たち中学生だけど?」
「うん、そうだよ。でも私さ、祐輔が初恋なんだよね。それで今まで他の人を好きになったこともないの。これからも他の人を好きになる予定も付き合う予定もないから……たぶんさ、このまま祐輔と結婚するのかなって思うんだよね」
「そうか」
中学生だからこその単純な発想なのか。
「だから今は楽しんでいいよ。どう、できる女っぽいでしょ?」
大人っぽい考え方をしたかと思えば、子供っぽい表情で覗き込んでくる。
そんな奈菜に俺は完敗とばかりに大きくため息をつく。
「ちょっと、なんでため息つくのさ」
「いや、なんかいろいろと凄いなって。でもまあ、未来のことはよくわからないけど、もしかしたらそうなるかもな」
「でしょ? そんな気するんだよね、なんとなく」
嬉しそうな笑顔を浮かべる奈菜を見て、俺も笑顔を返す。
35才だったときの俺の結婚生活は最悪だった。
結婚に対しては今も良くは思ってない。氷室先生の考えと同じだ。
だから奈菜と結婚したら幸せになれるかもわからない。それでもなんとなく、前よりも幸せになれる気はした。
──まあ、結婚したら人が変わるかもしれないけど。
どちらにしろ、奈菜が今は他の女とセックスしていいって言うなら、今のままこの中学生の体を楽しもうと思う。
それに保健室から出るとき、氷室先生から連絡先を渡されたしな。次の標的も決まってる。
その前にだ。
「奈菜、まだ帰らなくていいよな?」
「え、うん、大丈夫だけど」
「まだ一回しかしてないからな。いいだろ?」
それだけで理解したのか、奈菜は周囲をキョロキョロと警戒する。
「……何処でするの?」
「向こうに公園あるから」
「え、もしかして外でするつもり?」
「たまにはいいだろ、野外プレイ」
「……はあ、呆れた。ほんと少し前まではエッチなことに興味ない感じだったの、祐輔ってなんでこんな変態になっちゃったんだろ」
と、言いつつまんざらでもない顔してるな、こいつ。
「前の俺の方が好きだったか?」
「え、うーん。いや今の方が好き。祐輔とのエッチ気持ちいいもん」
「じゃあいいだろ。奈菜だってまだしたいだろ?」
「したい」
さっきよりもぎゅーっと組んだ腕に力を込める奈菜。
豊満な胸を当てられ、俺たちは人気のない薄暗い公園へと向かった。