大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
学校はいつも通り何も変わらない。
奈菜が「家に遊びに行っていい?」と言われたが「今週は無理っぽい」って言ったら、何か察したようにわかったと納得していた。
相変わらず昼休みとかに学校の屋上へと続く階段でセックスはしているから、それで我慢してくれたらしい。
それと佳香さんとも話した。
というよりも質問攻めにあったというのが正しいか。
桃花さんとは上手くいっているのか。
桃花さんを困らせていないか。
主に彼女とのことだ。
問題ない、めちゃくちゃいい子ですよと伝えると、佳香さんは短く「だろうな」と答えた。
前に同じ女として桃花さんのことを心配していると言っていたが、ただそれだけなのだろうか。
詳しく聞いてみようと思ったが丁度良くチャイムが鳴り、保健室から追い出された。
今度また聞いてみるか。
そうして無事に学校を終えると、真っ直ぐ俺は桃花さんと暮らす家へ帰った。
桃花さんの仕事が終わるのは17時頃らしく、俺は帰りを待つ間に部屋とか風呂場の掃除をした。
勝手に人の家を掃除しないでと怒られるかとも思ったが、よくしてもらっている彼女への小さな恩返しがしたくて。
「……ただいま」
そして18時ごろ。
桃花さんはスーパーの袋を持って帰ってきた。
「おかえり」
「あっ、うん……ただいま」
俺がいたことに驚くというよりも、おかえりって言われたことに少しだけ微笑む。だが表情も声のトーンも暗い。
「何かあったんですか?」
スーパーの袋を受け取るとそれをキッチンへ運ぶ。
桃花さんは苦笑いで「なんでもないよ」と言うが、すぐに諦めて漏らす。
「……トモくんから、メッセージ返ってこないの」
「え?」
食材を一つ一つ冷蔵庫に入れながら、桃花さんは今にも泣きそう表情で言う。
「お仕事ちゃんと行けた? とか、ご飯ちゃんと食べてる? とか、心配でメッセージ送っても返事がこないの。それに、既読も付かなくって……」
「……」
「忙しいのかな。もしくは、ほら、お楽しみ中だったり……? 邪魔したら悪かったよね。反省反省」
ほんと、不憫だ。
という言葉が何の考えも無く出てきてしまった。
「会いに行ったりはしないんですか?」
「え? それはだって、ルール違反というか。スワッピング? っていうの受け入れたのに会いに行くなんて、そんな我が儘な彼女じゃダメでしょ?」
「……」
「だから我慢! ごめんね、帰ってきて早々に暗い話ししちゃって」
「いえ」
なんだろうな、本気で二人を別れさせたいと思った。
別に彼女を自分の女にしたいっていう気持ちではない。中学生の姿に戻って、好き勝手やる俺に彼女みたいないい子は相応しくないから。
だから寝取りたいわけじゃない。
ただ、桃花さんにはもっといい人がいると思う。だから別れさせたい、そう思った。
「桃花さんってお酒吞めるんですか?」
「え、うん、少しだけ。一人だとあんま呑まないかな」
「じゃあ、今日は吞んでみませんか? 嫌なこと忘れるにはお酒っていいんでしょ?」
そう伝えると、悲しそうにしていた桃花さんはクスッと笑う。
「中学生なのにそんなことわかるの?」
「なんとなく。俺も嫌なことあったらセックスしたら忘れられるんで。それと一緒ですよね?」
「ちがーう! お酒とセックスはぜんっぜん違う! たぶん!」
「そうですかね。でも、いいんじゃないですか? 付き合いますよ、愚痴聞くの」
「祐輔くん……」
桃花さんは少し考え、
「じゃあ、ちょっとだけお言葉に甘えよっかな」
「はい」
それから、少しだけ明るくなった桃花さんの手料理をご馳走になり、別々にお風呂に入って、お酒を楽しんだ。
隣で一緒に呑んであげたかったけど「子供はダメ!」と怒られたので、仕方なくおつまみとジュースの子供セットを堪能する。
「──それでねそれでね、モモがそのお客さんの服を選んであげてね」
頬を赤らめ、ボディータッチが多くなった桃花さん。
既に缶チューハイを四缶ほど吞んでいて、かなり酔っぱらっているように見えた。
視点も定まらず、ぐでーっと溶けるみたいに俺の肩に寄りかかってくる。
「桃花さん、この辺にしておきますか。だいぶ吞みましたから」
「ええ、まだイケるって。もっともっと、祐輔くんにお話聞いてほしいの!」
「だけど」
「お願いお願い! モモの話聞いて? ねっ、ねっ、ねえー?」
明日は仕事ないって言ってたけど、だいぶ酔ってるからな。そろそろ寝かせた方がいいと思うんだけど。
まあ、溜まっていたストレスを発散できて楽しそうだし、もう少し付き合うか。
「じゃあ、もうちょっとだけ」
「やったー! あっ、祐輔くんも呑む? お酒」
「駄目だって自分で言ったんじゃないですか」
「あれ、そうだっけ。忘れちゃった。でねでね」
それから一時間。
桃花さんの愚痴を付き合うことに。
その間もお酒を呑むペースは止まらなかった。
「……モモね、頑張ってるんだよ。お料理も、お洗濯も、お掃除も……いーっぱい、勉強したの」
「はい、わかってますよ」
「だけど、トモくん……トモくんは、わかってくれない。モモ、寂しいんだって、わかってくれないの」
一時間前はあえてなのか、暗くなるから彼氏の話しは出さなかったのに今のブレーキが利かないぐらい酔った彼女は口にする。
その多くは愚痴だ。
溜まって、吐けなかった彼氏への不満をぶちまけている。
「ねえ、祐輔くん……モモは、どうしたらいい? このまま我慢してたら、幸せ?」
「それは……」
はっきり言いたかった。
だが、
「……なーんちゃって! 我慢なんて、してないもん!」
桃花さんは大きく伸びをすると椅子から立ち上がる。
ふらつく体を抱き寄せると、桃花さんの全身は異常なぐらい熱かった。
「これ、もしかしたら明日の朝……起きれないかも」
「明日ぐらいはゆっくり寝てください。勝手に起きて学校行くんで」
「でも、おはようフェラ……しなくていいの?」
「それはしてほしいですけど、また今度でいいですよ」
ふらつく彼女を支えてベッドへ。
このまま寝かせた方がいいだろう、そう思ってベッドに横にさせると、彼女はパジャマのボタンを外す。
「祐輔くん、今日も生でする……?」
「え?」
「もしかして寝るつもりだった? 自分で言ったんでしょ、嫌なことあったらセックスしたら忘れるって!」
「でも、もう眠たいんじゃ?」
「まだ大丈夫。それに、その……」
俺の手を取って乳房へと誘導すると、桃花さんは頬を赤く染めながら甘い吐息を漏らす。
「……んっ、あ♡ モモ、今ね……すっごく、エッチしたいの♡ トモくんとじゃなくて、祐輔くんと……エッチしたい♡ ダメ、かな……?」
酔っているからだとしても、見つめられながらそう言われて拒む男なんているわけない。