大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
それからも色々と聞かれた。
あの蘭華をどうやって堕としたの?
蘭華との初体験はどんな感じだったの?
セフレって二人だけ? 他にもいるんじゃないのー?
とかとかとか。
かなりぶっこんだ内容の質問が連続で投げられた。
蘭華はずっと「もう、やめて、やめてって、おねえ!」と悶絶して、奈菜は「あはは、蘭華ちゃん面白い!」と楽しそうだった。
そして聞かれた質問に隠し事なく答えても、やっぱり華怜さんは怒ったり呆れたりせず、ただ楽し気に聞いていた。
いやさ、感覚が麻痺してるけど、奈菜も蘭華もセフレで満足してるし俺に他の女いても平気なのって、俺の思っている中学生では普通じゃないよな?
というか、中学生で複数人のセフレいること自体が普通じゃないけど。
と、そんな風に我に帰ってあれれーってやってたら、いつの間にか目的地に到着した。
「よし、到着! はい下りて下りて!」
一般的に人口の多い街中から外れた場所にある不動産会社。
取り扱っている物件は進学予定の高校と離れてるが、それでも東京の中では比較的に住みやすい場所を取り扱っている不動産会社だ。
学校から離れているが交通機関もあって、何より人もそう多くなくていい場所だから、この周辺で住むのは大賛成だ。
鼻歌を口ずさむ華怜さんを先頭に颯爽と店内へ入ると、まるで珍客が来たかのように店の人たちが固まる。
ジャージ姿の女性に明らかにまだ学生である三人だから、そう見られても仕方ない。
「えっと、今日はどのようなご用件で……?」
「不動産会社に来る要件なんて一つしかないじゃん。この子たち、来年からこっちの方で進学するから家を探してるの」
「は、はあ……えっと、学生さんということは中学から高校に進学? ですよね。えっと、ご両親の方は……」
「いない。あたしは付き添い」
「えっと……」
困り顔を浮かべる店の人。
奈菜としては別に下見できたらいいなって感じだっただろうけど、まあ、不動産会社に子供だけで来たらこういう反応されるよな。
普通は親と来るべきだから。
けれど一人暮らしの経験が無い中学生にそんな考えは無い。
俺も店先に貼ってある物件の写真を見る感じで、あわよくば優しい店の人が声をかけてくれたらいいな感覚だった。
「あー、そういうこと」
華怜さんは少し考え、バッグから大量の名刺を取り出し何かを探す。
「あった」
そして一枚の名刺を渡す。
「あたし、ここの社長さんの知り合い。もし何か困ったことがあったらなんでも相談してって言われてるの」
「え、あの、え、ええ!?」
「信じられないなら電話して確認する? いいよ、別に」
華怜さんは店員の話を聞かず、電話をかけはじめた。
「あっ、田邉社長! 先日はどうもありがとうございました」
軽い挨拶から始まり、
「実は今──」
状況の説明を始めた。
それを俺たち、それに店の人は黙って見守る。
すると華怜さんはスマホを店の人に渡す。
「社長さんが代わってって」
「え、私に? はあ……」
状況が掴めていない店の人がスマホを受け取る。
何度か話していると、次第に「はい、はい!」という返事ばかりになり、電話が終わると、店の人が低姿勢で引きつった笑顔を浮かべた。
「も、申し訳ありませんでした……さ、ささ、こちらへどうぞ。今お飲み物をご用意しますね!」
店の人の態度が一変した。
それは他の人にも伝染して、気付くと子供相手だというのにめちゃくちゃ好待遇を受けていた。
「おねえ、なにしたん……?」
「ん、ただここの社長さんとお知り合いだから、よろしく言っただけ」
「……脅したん?」
「人聞きが悪いなあ、持ってるコネは存分に使わないと、東京じゃ生きてけないよ。ほら、いいからあんたたちは家探しなさい」
それから家探しは始まった。
華怜さんのお陰で子供だけだからと思わずにちゃんと接客してくれて、見学もできたからからめちゃくちゃ充実した時間だったといえた。
だいたい二、三時間ぐらいか。
「いい部屋が見つかって良かったね」
「ああ、そうだな」
契約はしていないが、住みたいと思える部屋は見つかった。
店の人も1月以降でまだ空いていたら取り置きしてくれると言ってくれた。
そんな有意義な時間を過ごしていたら、いつの間にか夕方になっていた。
「あたしはこれから仕事だから、この辺で降ろすね」
賑わいをみせる街中で車を停める。
まだお昼ご飯も食べてないから、店を探してご飯を食べることに。
「ありがとうございました、華怜さん!」
「ありがと、おねえ!」
「どういたしまして。何か困ったこととか、問題に巻き込まれたとかなったらすぐ連絡してね。あっ、祐輔は待って。二人はほら、しっしっ!」
蘭華が何か言いたげな感じだったが、奈菜に連れられて離れていく。
そして二人になると、華怜さんは俺にカードを手渡す。
「これは?」
「ホテルのカードキーよ。中学生にここら辺のホテル代は高いでしょ、いい部屋取っておいたから三人でよろしくしなさい」
「えっ、いいんですか?」
「いいって、こういう時の為に稼いでるんだもん」
それに、と華怜さんは微笑む。
「これはあたしからの祐輔くんへのお礼の気持ちだから」
「お礼、何のです?」
「あの子とよろしくやってくれて」
「怒られるならまだしも、お礼を貰えるとは思ってませんでした」
「まあ、祐輔くんのしてることは一般的に見て良くないかもだけど、学生なんて好きに遊んでなんぼでしょ。大人になってから正せばね。それに……前までのあの子の恋愛に比べれば雲泥の差よ」
華怜さんは優しい顔付きで、蘭華が去った方を見つめた。