大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
圧巻だ。
広々とした空間に、大きくて寝心地の良さそうなダブルベッドが二つ。
窓の外は絶景で、眩いほどの明かりが灯るビル街を一望できる。
東京というだけでもかなりの値段するだろうに、こんな高級ホテルの上の階。
「いくらすんだ、この部屋……」
玄関で困惑している俺を他所に、奈菜が部屋の扉を開けて俺たちを呼ぶ。
「ねえ、これ凄い、部屋にプールみたいなのある!」
呼ばれて見てみると、そこはお風呂場だった。
けれど普通の浴槽とは違って、温泉で見る広く丸い湯船。
足を伸ばせて、三人一緒に入れるほど広い。
「もしかしてこれ泡風呂? あっ!」
何かに気付いたらしく浴槽の近くを探す。
目的のボタンを見つけそれを押すと、暗かった脱衣所まで照らす眩い光。それも様々な色のライトが湯船を照らす。
「うわ、エッチなビデオで見たことあるやつだ……あはっ、いいねこれ!」
「奈菜、なんだか嬉しそうやね」
「だってさ、もう少ししたらここに三人で入るんだよ、興奮してこない?」
「三人!?」
奈菜の言葉に動揺する蘭華だが、奈菜は腕を組んで「当たり前でしょ」と逃がさないようにする。
「で、でも、三人はその……うちはちょっと、恥ずいというかその」
「じゃあ、私と祐輔がしてるとこ見てるだけでいいの?」
「それは……」
「嫌でしょ? だったら楽しまないと! あっ、部屋の方も何か面白そうなのないかなー!」
奈菜は子供みたいにはしゃぎながら広い部屋の方へ向かった。
いや、中学生だから子供なんだけど、それでも普段は大人というか考え方が大人というか。
だから不思議に感じる。
「奈菜って、なんか凄いね」
「そうだな」
「えっと、その……祐輔も、三人でする気?」
頬を赤くしながら聞かれ、俺は当たり前だと言わんばかりに蘭華を後ろから抱きしめる。
「俺はお前の幼馴染とは違うからな。奈菜としているのを見せるんじゃなくて、蘭華も一緒に抱きたい」
「あっ……♡」
「お前だって見ているだけなんて嫌だろ。それに初めて三人でするんだ、なんか楽しそうじゃないか?」
「興奮するだろ、って……? あはっ、祐輔ってほんと変態やね♡」
「お前もな。それで?」
そう問いかけると、蘭華は顔を後ろに向けてキスをせがむ。
「ええよ♡ 祐輔と一緒にいるのにエッチできないとか、拷問やもん♡」
「だな」
「それに、うちも人に見られながらするの興奮するかもしれんから、楽しみ……んちゅ、あむ、ちゅぱあ♡」
「……ねえ、お二人さん?」
すると、こちらを覗く奈菜が目を細めていた。
「あっ、奈菜、これはその……」
「抜け駆け禁止! ほら、こっち来て」
「ご、ごめんって!」
「許しません!」
奈菜に腕を組まれて蘭華が連れて行かれる。
俺も二人に付いて行くと、テーブルの上に大きな袋が置かれていた。
「っていうのは嘘で、これ見て!」
「なにこれ、ルームサービス?」
「私もそうかなって思ったんだけど、なんと……じゃじゃーん!」
袋を開けると、中にはコスプレ衣装が入っていた。
「えっ、これなに!? イヌの、コスプレ……?」
「こっちはネコちゃん。あっ、首輪もあるよ!」
「なんでこんな……もしかして!」
コスプレ衣装と一緒に入っていた手紙を読む蘭華。
「えっと『あたしなりに三人で楽しめるようなもの置いておいたから、思う存分三人で青春を謳歌してね』……てえ!」
「こっちのは、パーティーゲーム? みたいなの。でもこれ……」
奈菜が持っているのは、いわゆるエッチなゲームだ。
かなり攻めた命令が記された王様ゲームから、エッチな罰ゲームとか。
人を選ぶであろう合コンとかでするゲームだが、三人でするには人数が少ない気がする。
だが、
「へえ、面白そう!」
罰ゲームの内容を見ながら奈菜が言う。
「なになに『みんなの前でご主人様におねだりする』『みんなの前でペニスを咥える』かあ。他にも『みんなの前で顔射される』だって! 面白いね!」
「なんでこんな男に何かするのばっかなん……絶対これ、男に都合いいゲームやん!」
まあ、そうだろうな。
「でも罰ゲームにセックスするとかはないんだね」
「それはたぶん、合コンとかで盛り上がる系のゲームだからセックスはないんだろ。その先はお互いの了承を得てみたいな感じなんじゃないか?」
「ふぅん。タイプじゃない男のおちんぽしゃぶれとかいう命令は嫌だけど、百歩譲ってセックスまでならまあ許されるかなみたいな感じ?」
「この手のゲームは普通の合コンとかじゃなく、お互いに遊び慣れた相手同士でしか使わないものだから深く考えない方がいいぞ」
「そうだね。でも面白そう……もう着ちゃう?」
イヌとネコのコスプレ衣装を持った二人。
今すぐ着せたいが、まずは、
「風呂入ってからでいいんじゃないか?」
「それもそっか。いっぱい歩いて汗かいちゃったしね。じゃあお湯溜めてくるね」
「ああ」
お湯が溜まるまで少し時間がある。
たぶんだがこの先、そうお目にかかれないであろう高級ホテルの部屋を物色していく。
そうこうしているうちにお湯が溜まったらしい。
俺たち三人は一緒にお風呂場へ向かった。