大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「……祐輔」
眠りから覚めると、耳元で彼女の声がした。
「……祐輔、起きてって」
薄く目を開けると、窓から差し込む太陽の光を背に受けた奈菜は困り顔を浮かべていた。
「遅刻するよ? ほら、起きて」
「ん……」
──昨夜。
両親がいないことをいいことに、俺と奈菜は夜遅くまで身体を重ねた。
何回戦したか、覚えていないぐらいした。
「おはよ、奈菜」
「おはよう。ほら、起きて」
まだまだ寝ていたいが学校がある。
二日酔いの翌日に出勤、よりはマシだがこれはこれでめんどくさいな。
「祐輔のお父さんとお母さん帰ってきてなかったから、キッチン借りて朝ご飯作ったから」
「え、奈菜が?」
初めてなんじゃないか、奈菜が朝ご飯作ってくれたの。
すると、階段を下りてリビングに向かう彼女は頬を赤らめる。
「……まあ、うん。だって私たち、その……」
もしかしてこれは、アレか。
言葉にしてはいないけど、付き合っている感じなのか?
そんなことを思って嬉しく思う一方、申し訳ない気持ちにもなる。
「奈菜」
「うん……んッ!? あっ、んちゅ♡」
呼び止めてキスをすると、彼女はすんなり受け入れてくれた。
「……も、もう! ほら、早く食べないと」
一回だけで今は我慢するか。
リビングに着くと、彼女の作ってくれた手料理が並べられていた。
トーストで焼いた食パンに目玉焼き。それにサラダやヨーグルト。
めちゃくちゃ手の込んだ料理とかではないが、それでもこうして人の家に来て朝早くから作ってくれたのは嬉しい。
「そういえば、あの後そのまま寝ちゃったけど、奈菜は一回家に帰ったのか?」
「うん、朝早くにだけど。今日の授業の教科書とかノートとか準備しにね」
「そうなのか」
「それに……えっと、祐輔もシャワーとか浴びた方がいいんじゃない?」
「え?」
そういえば、あれからすぐに寝てしまった。
汗も精液も体に付いたまま、さすがにこのまま登校は止めておいた方がいいだろう。
「そうだな、時間までまだあるしな」
「そう思って少し早く起こしたの。ふふん、褒めてよね」
ドヤ顔しながら食パンにかぶりつく奈菜。
なるほど、そこまで考えてくれていたのか。
「ありがとうな、奈菜」
「どういたしまして」
「じゃあ、後で一緒にシャワー浴びるか」
「……え?」
「ん?」
「えっと、一緒にって……」
私とあなたが?と奈菜が指を使って表すので、俺は大きく頷く。
「いや、そんな真顔で頷かれても……」
「今さら一緒にシャワーぐらいいいだろ、別に」
「いや、でも……」
「それに、朝から誰かさんのせいでこんなになっちゃったしな」
俺は朝立ちしたペニスを指差すと、奈菜は頬を赤らめる。
「な、なんで、そんな……それ私は関係ないよね!? 生理現象というか」
「でも、こうなっちゃったし……いいよな?」
「いや、でも朝からなんて……というか、夜あんなにしたばっかじゃない」
「まあ、それとこれとは」
「とにかく、朝から疲れるのは嫌だから。我慢して? ねっ?」
とは言うが、
「──あ、あ、あんッ♡ 祐輔、気持ちいい……ッ♡ ああ、そこ好き、もっと突いてッ♡」
シャワーの音よりも大きな喘ぎ声が浴室に響く。
結局、嫌だ嫌だと言う奈菜は朝からセックスさせてくれた。
というよりもまあ、彼女自身も期待していたんじゃないのかなと思う。
なにせシャワーを浴びる時間なんてそんなにかからないのに、俺を起こした時間はシャワー+αなことができるだけの余裕があったからだ。
まあ、奈菜との関係が大きく進んで良かったなと思いながら、幼馴染との学校前濃厚セックスの夢を果たせて大満足だった。
♦
──で、放課後。
俺は当初の予定通り、太一の家へ泊りに来た。
目的はもちろん──。
「えっと、いらっしゃい……祐輔くん」
「おじゃまします、彩さん」
家に来るなり彩さんが出迎えてくれた。
格好はいつも通りTシャツにジーパン、だけど、
「あれ、母さんどっか出掛けんのか?」
「え、なんで」
「いや、いつも付けてない香水の匂いすっからよ」
「え!?」
太一は「臭え臭え」と鼻を抑えて足早に部屋へ向かう。
「えっと、祐輔くん……」
「香水だけじゃなくて、化粧の感じもいつもと違いますよね」
「──ッ!?」
太一からしたら母親の香水の匂いなんて臭いだけかもしれないけど、俺にとっては甘い香りで好きだ。それに息子は気付かないけど、化粧の雰囲気とかもいつもと違う気がした。
「……彩さんも俺と一緒で、楽しみにしてくれていたんですか?」
驚く彩さんの表情を見て図星だと確信する。俺も太一の部屋に向かいながら、
「今日は、よろしくお願いします」
そう伝えた。
それだけ伝えれば、俺が今日、彩さんに何をするかなんて理解してくれるだろう。
そして背中越しに、
「……ええ♡」
男を求めているような女の声がした。
──それから。
太一と二人、遊ぶことなんてゲームぐらいだ。
それについては正直どうでもよかった。
俺は立ち上がり、
「あっ、そういえば母さんから彩さんに渡してって言われていたお土産、持ってくるの忘れてた」
「は? んな大事なもん忘れんなよ」
「ごめんごめん、ちょっと取りに行ってくるから、太一は俺が帰ってくるまでにそのステージクリアしといてくれ」
「ったく、しょうがねえな。早く帰ってこないと、俺が全部クリアしちまうかんな!」
俺は太一の部屋を出る。
これで一時間ぐらいは誤魔化せるだろう。
そして向かった先は、
「彩さん」
「祐輔、くん……」
寝室にいた彩さんのもとだった。