大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
里音さんはきっと”看護師”として”患者”を助けたいと思っているはずだ。
誰も男子高校生が邪な考えを持って、お風呂の手助けをお願いしたいって言ったとは思っていない。
「それじゃあ、ここに座ってくださいね」
裸にタオルをかけただけの姿。
そんな男子高校生を前にしても、里音さんは表情を一切変えず対応する。
泡の付いたスポンジで背中を洗っていく。
誰かに身体を洗って貰うというのはやっぱり気持ちいい。もちろん性的なのではなく、落ち着く気持ち良さだ。
「痛くないですか?」
「はい、大丈夫です」
「利き手が使えないと、体を洗うのも髪を洗うのも大変ですよね」
「そうなんですよ」
首、背中、腰。
優しい手付きでありながら手慣れた感じで身体を洗われると「左腕を洗いますね」と、伸ばした左腕を洗われていく。
ああ、最高だ。
こんな気持ちいいの、反応しない男なんているわけない。
気付くとタオルを大きく押し上げて肉棒が怒張する。
俺はそれを隠すことなく、むしろ見せつけるように両脚を広げた。
「そ……それじゃあ、流しますね」
里音さんは一瞬だけ言葉を詰まらせた。
後ろにいるから表情は見えないけど、たぶん勃起しているのに気付いているはずだ。
ただそれには触れず、里音さんは左腕に泡にお湯をかけて丁寧に流してくれた。
「えっと、脚は……どうしましょうか」
髪とか身体は利き手が使えないと洗いにくいけど、脚は別に問題ない。
正直なところ自分でもできる。だから里音さんも俺に聞いたのだろう。それに勃起してるし。
「すみません、お願いできますか?」
だけどこんな最高の機会を逃すわけない。
優しくて面倒見のいい里音さんなら、きっと拒んだり突き放したりしないだろうと思った。
「わかりました」
そして、里音さんは目前でしゃがむ。
勃起して突き上げたタオルを横目で見ながらも、彼女は仕事に徹して脚を洗う。
男がイスに座り脚を開き、女が立ち膝で身体を洗う。
しかも勃起させてだ。第三者が見たら間違いなく、そういうお店と思うだろう。
そもそも病院だと、怪我した患者にここまで尽くしたりしないからな。
「痛く、ないですか……?」
「はい、大丈夫です。すみません、こんなことまでお願いして」
「いえいえ、気にしないでください! 骨折して体を洗うのが少しでも不自由になると、段々ストレスが溜まっていっちゃいますから」
そう言って両脚を洗いながらも、里音さんはチラッチラッと勃起したままの肉棒に熱い視線を送る。
旦那さんとは5年前に離婚したと言っていた。
再婚もしていないらしく、付き合っている相手がいるかは不明だ。
けど視線はいやらしく「溜まってるのか?」と思ってしまった。
たぶん中学生に戻ってから色々ありすぎて、脳がそういう感覚になってしまっているのだろう。
だから勃起したペニスをビクンビクンと反応させ、器用にタオルを下げていく。
「……あ」
気付いたときにはもう、里音さんからも亀頭が見えるほどタオルを下げていた。
「すみません」
申し訳なさそうに小さな声で謝ると、里音さんはぶんぶん首を左右に振る。
「い、いえいえ、気にしないでください! 患者さんでも、こう……なってしまう方いますから」
「そうなんですね。なんか、久しぶりに誰かに優しくされて……実家を離れて一人暮らしだと、あはは」
──母親の温もりが足りてねえんだ、甘えさせろ!
みたいなことを濁しながら伝える。
里音さんはたぶん、男らしい人よりも甘えられる方がいい気がした。
なにせ母性が凄いんだ。看護師だからだけではなく、もう、全身からママのオーラが滲み出てる。
「そう、ですよね……。ご両親と離れて一人で暮らすの、辛いですよね」
「えっと……。まあ、はい」
「じゃ、じゃあ!」
里音さんは頬を赤らめながら、
「短い期間ですけど、私のこと、その……お母さんみたいに、甘えてもいいですよ?」
「え!?」
「あっ、えっと、その……何言ってるんでしょう、私……こ、こんなおばさんに甘えるなんて、イヤですよね……ごめんなさい」
つい言ってしまったみたいな反応をする里音さん。
おそらく言うつもりはなかったのだろう。純粋な里音さんの優しさから、言葉が出て来たのか。
慌てて言葉を引っ込めようとする里音さん。
だが、飲み込ませない、その魅力的な言葉。
「いいんですか?」
「え……」
まさか乗ってこられるとは思ってなかったのだろう。
目を丸くさせた里音さんに畳みかける。
「お母さんって甘えるの、恥ずかしいですけど……里音さんが嫌がらないなら、その……」
中学と高校三年ぐらいまでの頃の俺って、自分で言うのもあれだけど結構かわいい感じの顔だから。
だからこういうのって、意外と母性をくすぐれるんじゃないかな。
「じゃあ、えっと……祐輔くんがそうしたいなら、甘えてもいいですよ?」
「本当ですか? じゃあ──」
恥ずかしい。
だけど男は、いくつになっても時には女性のことをこう呼んで甘えたくなる生き物だ。
「ママ……?」
「あっ」
自分の母親にも呼んだことがない呼び方をすると、里音さんは顔を真っ赤にしながら瞳を潤ませる。
「マ、ママ!? ママ、ですか」
「やっぱり、嫌でしたよね」
「いえ、違うんです! その、娘にはママって呼ばれてた頃はあったんですが、その……息子はいないので、なんか嬉しくて」
里音さんはまんざらでもなさそうに微笑んでくれた。