大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
年齢はたぶん20代前半。
いや、かなり若く見えるから大学生かもしれない。
肌は日焼けあともなくかなり白い。全体的に細身だが、黒のブラに包まれた乳房は大きく画面からでも柔らかそうなのが伝わってくる。
目元以外を広く隠すマスクをしているから、美人っぽいけど目元だけじゃあ、あんまりわからない。
「うわ、エッチ!」
「こ、こんな、指……指、すごっ!」
二人は同性のオナニー姿を見て興奮している。
とはいえ、俺も勃起していた。
画面の女性のМ字開脚は美しく、肉付きのいい太股がめちゃくちゃエロい。
細く長い指の先で割れ目をなぞり、クリトリスに指先を当てながらくるっと回す。
『んっ、は、あ……っ♡』
静かな部屋に、画面の向こうの彼女の喘ぎ声が微かに漏れ出る。
微かに、なのが余計にエロい。
自分が気持ちよくなるオナニーというよりも、魅せるオナニーなんじゃないかってぐらい視聴者を興奮させる。
二人も画面に釘付けだ。
「すっごくエロくていいね……でも、ウィッグは似合ってない」
奈菜が頬を赤らめながら苦言を呈す。
「え、ウィッグ? これウィッグなのか?」
「うん。これウィッグでしょ、たぶん」
「あたしもそう思う。ちょっと違和感あるもん」
楓も奈菜と同じことを言う。
ウィッグ、ウィッグか。
俺にはわからないけど、同性だからわかるのか。
「まあ、身バレしないためだろうな」
「もったいないなあ。ウィッグじゃなかったらすっごく可愛いはずなのに!」
「奈菜ちゃんの感想、もろおっさんなのよ……。でも確かにそうかも。それにこの感じ、黒髪にして清楚感出したら良さそう」
「いいね! 清楚系なのに脱いだらエロい、最高だ!」
「奈菜ちゃん……」
黒髪に清楚系か。
声も高くて可愛いし、感じたときの顔も──。
「ん?」
ふと、脳裏にとある人物が浮かんだ。
「んん!?」
よく見て、その浮かんだ顔はより鮮明になった。
「どうしたの祐輔?」
「いや、この子……いや、違うか」
「なに、もしかして知り合いとか? あんたこういう子好きそうだもんね」
「いや」
奈菜と楓に言われて、迷いながら伝える。
「これ、うちのクラスの長尾優子じゃないか?」
「「え!?」」
楓が目を見開き、奈菜が首を傾げる。
「え、いや、いやいや、そんなわけ……でも、確かにこの目の感じ、言われてみたら……で、でも」
「ねえ、誰それ?」
「うちのクラスの女子。めっちゃ雰囲気似てる気がすんだけど……」
「いやいや、優子ちゃんって学級委員長だよ? 成績は学年一位で、真面目で、エロいこととは無縁でしょ、たぶん」
「あー、あの子か! 黒髪に黒の眼鏡の。んー、確かに言われてみれば似てるかもだけど」
ありえない、とは思う。
だが少しでも同一人物な気がしたら、オナニーして喘いでる彼女が優子にしか見えなくなった。
「やっば、言われたら、そうにしか見えなくなった。どうしよ」
「声も、普段より高くしてるけどところどころ似てるんだよ。それに胸が大きいのも一緒だし」
「「……」」
細目で見られる。
「楓は体育の時間で見たことあるだろ?」
「ま、まあ、あるけど……。確かに優子ちゃん、胸めっちゃ大きいってみんなに言われてたかも」
「そうだって! 絶対にそうだ!」
そう思うと、めっちゃ興奮してきた。
真面目で学級委員長で、誰にでも優しいクラスメイトが、アダルト動画サイトにオナニーの動画を投稿してる。
これを知って興奮しない男いないだろ。
「他の動画ないのか!?」
「残念ながら、会員登録しないと他のは見れないよ」
「くそ!」
「うわ、祐輔の顔マジじゃん」
「当たり前だろ!」
楓に引かれたが関係ない。
奈菜がスマホを操作する。
「そもそも、彼女の他の動画ってオナニーだけっぽいよ。コメントとかで『フェラ顔が見たい!』とか言われてるけど断ってるっぽい」
「まあ、マスク有りだしな。マスクの紐を伸ばしながらフェラするやり方もあるけど、それだと顔バレするリスク上がるからな」
「それが理由でランキングとか上がらないのかな?」
「さあ」
他の動画も全てオナニー動画だけ。
しかもそこまで数も多くなくて、初投稿は四カ月前、これで六回目だ。
「……よし、見なかったことにしよう。うん、そうしよう」
楓が体を起こす。
クラスメイトと友達のままでいたいなら、そうするべきだろう。
「まあ、本人にこの動画を突き出して「これ君だろ!」とか言えないしね。それに本人だったとしても、同級生に秘密を知られるのってすっごく嫌だろうし」
奈菜もここで見たことを忘れる気らしい。
「……」
だが、俺は違う。
♦
昼休み。
ご飯を食べ終わった頃。
学級委員長──長尾優子がクラス全員のノートを持って教室を出たのが見えた。
俺は追いかけてノートを半分持つ。
科学準備室にノートを置くと、優子は俺に向かって笑顔を浮かべた。
「楠木くん、ごめんね。雑用、手伝ってもらっちゃって」
「いや、暇だったから気にしないでいいよ」
そのまま教室を出てもいいのに、優子は律儀に課題のノートを出席番号順に並べる。
俺も手伝うと、また「ありがとう」と言われた。
「委員長って真面目だよな」
「そうかな。まあ、真面目だけが取り柄だから」
「学校から帰ったらいつも何してるんだ?」
「うーん、宿題とか? あと、親の手伝いかな」
「部活入ってないもんな。バイトもしてないのか?」
「こら、楠木くん! うちの高校、バイトは校則で禁止だよ?」
「あれ、そうだっけ?」
「もう、今のは聞かなかったことにしてあげるから、私以外に言っちゃダメだよ?」
「ありがとう」
優子は楽し気に笑った。
「これでよしっと。じゃあ、戻ろっか」
「あっ、ちょっと待って」
「ん?」
明るい空気に包まれたところで、俺は彼女にスマホを見せる。
もしも人違いだったら最悪な展開だ。
アダルトサイトをクラスメイトの、それも真面目で優等生の女子に見せる。
変態だと軽蔑されるかもしれない。
それでも、俺は止まれない。
「これさ、もしかして……委員長?」
「ん、どれどれ──ッ!?」
女性がオナニーしている映像を見て、はっきりと驚いているのがわかる。
学校でエロ動画を見たからか、それとも、自分のエロ動画を見られたことにか。
さあ、どっちだ!?