大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
──どうやら俺の人生は、中学三年生の四月まで戻ったようだ。
学校の授業を受けながら俺は考えていた。
この頃はまだ、奈菜とは付き合っていなかった。
そもそも奈菜──朝田奈菜とは家族同士が昔から仲良くて、自然と俺たちも遊ぶようになっていた。
付き合ったのは確か……九月頃で、今から五カ月後のことだったはずだ。
お互いに別々の高校に通うことがわかって、奈菜から告白されて付き合うことになった。
ただ中学生の恋愛だ。何かするわけでもなく、関係は友達の延長線と変わらない。
そして高校進学と共に俺は家を出て遠くの進学校に通うことになり、離れ離れになった結果、自然消滅となった。
まあ、勉強ばかりしていた中学、高校時代の俺が、初めてできた彼女とちゃんと恋愛できるわけなかったんだ。
「バカだな、この頃の俺……」
大人になってから、本当にもったいないと感じる。
だが、やり直せるんだ。
中学時代に俺は戻ってきた。
どうして戻れたのか、その理由は深く考えない。考えたってわからないんだから。
それに考えるのに無駄な時間を使って元の時代に戻ってしまったら最悪だ。それこそ俺は生きていけないほど絶望するだろう。
だったらいつ終わるかわからないこのチャンス、最大限使うべきだろう。
「祐輔、そろそろ帰ろっか」
過去のことを思い出したりしていたら、あっという間に一日が終わった。
俺はいつも通り、奈菜と一緒に家へ帰ることに。
「やっぱ今日の祐輔、変……」
「変?」
隣を歩く奈菜は下を向きながらボソッと呟く。
「なんか大人しいというか、急に大人っぽくなった感じ。それに勉強だって、前よりできてるし」
それはまあ、35才の俺が中学生の姿をしているんだから当然だ。
周りからは「頭良くなった?」とか「話しやすくなったね」とか言われたが、それも大人として培った人生経験の賜物だろう。
当時の俺は勉強ばっかで、いわゆるがり勉の優等生キャラだったから友達なんて奈菜以外にいなかった。
「別にいつもと変わらないよ」
「……」
「奈菜は今の俺、嫌いか?」
どこか不満そうにしている奈菜に問いかけると、彼女は首を左右に振る。
「そういうわけじゃないけど……なんか」
何か言いたげな感じの奈菜。
「何かあるなら話してくれ」
そんな彼女の肩を抱き寄せると、全身がビクッと大きく震えた。
「ちょ、ちょっと!?」
「ん?」
「ん? じゃないって……近い、から……」
「ああ、ごめん。奈菜が落ち込んでいたから、つい」
「……やっぱり、変」
中学の頃、奈菜とどんな距離感で接していたか覚えていないから、つい。
ごめんごめん、と笑いながら伝えると、奈菜は「いいから離れてって。誰かに見られたら変な噂立っちゃう」と弱々しく抵抗してみせる。
──今日一日で決意したことがある。
それは欲望に忠実に、好き勝手にこの時代を生きるということ。
俺がいつ元の時代に戻るかわからない。
我慢していれば、行きつく先は元の時代の俺と変わらない地獄のような人生。
「奈菜、これから家に来るか?」
「え、いいなら……でも、いっつも学校から帰ったら勉強するって言うのにどうしたの?」
「少し相談したいことがあって」
「相談……?」
頷くと、奈菜は何の疑いもなく俺に付いて来る。
──俺は今日、奈菜とセックスをする。
まさか35才のおっさんが中学生とセックスするなんて想像もしなかった。
これは犯罪だ、完全に捕まる。だが今の俺は同じ中学生。合法、合法ならヤっていいだろう。
両親は仕事で夜にならないと帰ってこなかったはず。
階段を上りながら部屋に到着すると、俺はベッドに座り、奈菜は椅子に座った。
「祐輔が相談したいなんて言うの初めて、かな……なんか嬉しい」
「そうだったか?」
「うん。だって祐輔って私よりも頭いいから、相談する前に自分で解決しちゃうんだもん」
子供っぽい笑顔に素直にかわいいと思った。
いや、中学生だから子供っぽくて当然だけど。
「それで相談って何?」
真っ直ぐな瞳で見つめられて、考えていた言葉を飲み込もうとした。
だが俺は心の中で何度も念じる。俺は”性に興味津々な中学生だ”と。
「そ、その……最近ここが硬く、大きくなるんだ」
「そこ、って……」
股間を指差すと、奈菜は顔を真っ赤にさせた。
「な、ななな、なに言ってんの祐輔!?」
当然の反応だ。恥ずかしくて死にそうだ。
だけど俺は演じ続ける。
「だって、こんなの初めてで……相談できるの、奈菜しかいないんだ」
「だ、だけど……」
「それに奈菜のことを考えたら、いつもそうなるんだ……。だから奈菜なら理由を知っているんじゃないかって思って」
朝田奈菜という女性についておさらいだ。
奈菜は明るい性格で、クラスの人気者的な存在だ。
そして何より面倒見が良く、頼み事は断れない性格で押しにめちゃくちゃ弱い。
それに加えて当時の奈菜は、ずっと前から俺のことが好きだった。
それが幼馴染としてなのか、男女としてなのか、それは当時わからないって言っていたけどおそらく恋愛感情としてだろう。
であれば俺の頼みは断らない。それがどんなお願いでも。
「私も、その……知らない、から」
顔を真っ赤にしながら首を左右に振る奈菜。
だがここで諦めるわけにはいかない。なにせこんな恥ずかしいことを口にしてるんだ、後に引けるわけがない!
「じゃあ、一度その……見てくれないか?」
「見る!? 見る、って……その」
「それに変な汁が先っぽから出るんだ……病気、なのかも」
「それは!」
奈菜は意味を理解しているのだろう。
ずっと昔の記憶を呼び起こすと、彼女が愛読していた少女漫画にそういう過激なシーンがあったはず。
当時の性に疎い俺は知らないことを、おそらくこの頃の奈菜は知っているのだろう。
押せ押せモードの俺は顔を両手で隠す奈菜を無視してズボンのチャックを開ける。
「ちょっと、祐輔!? ダ、ダメ……ダメだって!」
「だって怖いんだ。もしかしたら死ぬのかも」
死ぬわけないだろ、と自分に突っ込みをいれる。
そして彼女の目前で、勃起したペニスを突き出す。
「ほら、見て……。こんな大きくなってる」
「……あ、それは」
エロいのは男だけじゃない。
女だって同じか、それ以上にエロいんだ。
そう思うほどに今の奈菜は、頬を赤らめ、瞳をトロンと蕩けさせ──牝の顔をしていた。