大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「──やっば、二人とも二人とも! 見えてきたよ!」
無人島。
というよりはディズニーランドみたいなレジャー施設が建てられた島。
島の中央には大きなホテルがあり、海沿いのビーチでは水着の女性たちが楽しそうに遊んでいるのが見えた。
そんな島を見て、ぴょんぴょん跳ねる純玲は特徴的な八重歯を出して喜ぶ。
綺麗な褐色に日焼けした肌。
夜の街で輝く女性のような金色の髪を頭上でまとめた気合の入った髪型。
露出度の高い服装で、デカ胸とデカ尻しか隠せていない服装の純玲は、今回一緒に旅行へ来た二人──
「本当にあったのね、例の島……」
落ち着いた雰囲気のある汐音はサングラスを外すと、胸ポケットにかける。
身長は165と高く、全体的に細身な体型。
白のブラウスの胸元を大きく開け、黒色の派手なブラに持ち上げられた巨乳をお持ちの彼女。
ジーパン越しにわかる張りのいいお尻に、海風に舞う黒色の長髪。
「あ、あれが、純玲ちゃんの言っていた島……なんだね」
黒ギャル純玲と、美人系の汐音とは違い、いたって普通な──二人と並ぶと少し地味に映る見た目の凛子。
丸顔の輪郭に沿ったボブカット。
色気ある身体を純白のワンピースで隠し、全体的にあどけなさが残り大人しい印象を与える黒縁の眼鏡。
今から図書館へ向かい勉強しに行くような雰囲気だった。
3人ともまだ21才。
純玲は専業主婦をやっているが、汐音と凛子は大学生だ。
そんな三人は一週間の旅行に、あの島へ来ていた。
「じゃじゃーん、あれがあたしたちの目的地──淫夢島でーす!」
キャーキャーとテンションの上がっている純玲が、淫夢島をバックに自撮りを始める。
凛子はもじもじと恥じらい、汐音は一枚だけ写真を撮る。
「日本の中にあって日本じゃない島。神帝グループが所有する夢の島。純玲の妄想じゃなかったのね」
「ちょっと汐音! もしかしてまだあたしのこと信じてなかったわけ!?」
「はあ……。話を聞いただけで信じられるわけないでしょ、こんな無法島」
汐音はパンフレット──というより、招待状を眺めながらため息をつく。
「完全紹介制の島。男性三割、女性七割で、島内では好きに、好きな場所で性行為をして構わない……こんな意味不明な島、聞いただけじゃ誰だって信じるわけないでしょ。ねえ、凛子」
「う、うん……。ごめんね、純玲ちゃん」
「がーん! あたしが、どんだけ苦労してあの島への紹介状を手に入れたか……。いいもん、信じてもらえなくてもいいもん! でもあるの、ねっ、実際にあったでしょ」
「まあ」
「うん……」
純玲はテンション高いが、汐音と凛子は目配せしてあまり乗り気ではなさそうだった。
「ねえ、本当にいいの……?」
「いいのって何が?」
「だってその、あの島に行く目的って不倫でしょ? あんた、旦那さんにバレたら……」
「だ、か、ら! あそこは淫夢の世界、夢の世界なの!」
──淫夢島。
神帝グループが所有する島であり、島内のどこででも性行為していい、むしろ推奨している島。
この島の魅力は”島の中での出来事は決して外に持ち込まない、持ち込ませない”というところだろう。
自分がどんだけエロい女だということも、浮気や不倫していることも、知人にバレることは決してない。
なにせこれから起きるここでのことは、全て夢なのだから。
「淫夢島での性行為は不倫じゃないの。夢でイケメン俳優とエッチしても浮気でも不倫でもないでしょ? それと一緒!」
「だけど……」
島で知り合った相手との個人情報の交換は一切禁止。
後腐れのないワンナイトラブ──もとい、一週間限りの夢の恋愛ができる島だ。
「もう我慢の限界なの! 18で結婚して、今まで専業主婦としてずっと旦那さんを支えてきた。今まで一度も不倫なんてしたことない、だけどだけど……」
高校時代の担任であった40代の旦那と卒業と同時に結婚した。
周りからは、心無い言葉を散々投げられた。
「絶対に続かない」「年の差ありすぎて絶対に不満が出る」「どうせ外で遊びまくるんでしょ?」
そんなことを言われるのが嫌で、ずっといい奥さんでいた。
どんだけ旦那に不満を抱えても我慢して、専業主婦を完璧にこなした。
だが、そんな純玲の努力を微塵も知らない旦那は、純玲に黙って外で女遊びを楽しんでいた。
「あたしだって遊びたいもん! もう3年もセックスしてないんだよ! おマンコにカビ生えちゃう!」
「いや、カビは生えないと思うけど……」
「とにかく! あたしは淫夢島で一週間たっぷりセックスして、家に帰ったら元のいい専業主婦に戻るの! 一週間だけの夢。それぐらいいいじゃん、頑張ったもん!」
若くして主婦になった彼女の抱える苦労を知っているから、二人は何も言えず黙ってしまった。
「二人だって、彼氏とのセックスに満足してないんでしょ!?」
「それは……」
「汐音は幼馴染の彼氏。凛子は高校時代の後輩。二人ともまだ、セックスでイったことないって言ってたじゃん」
「「……」」
「ここでセックスが上手い人にイカせてもらって、イクのに慣れたら彼氏としたとき満足できるから。ねっ、マンネリ防止の為にも一週間だけ、夢の世界で経験値上げよっ!」
二人とも大切な彼氏がいる。
ただパートナーとの性行為で一度として満足したことはない。そのことをずっと悩んでいた。
向こうで浮気や不倫をする気はない。好きだから、それが原因で別れるのが嫌だ。
それでもパートナーへの不満は募る。
欲求不満になっても、男みたいに風俗にいって抜いてもらうみたいなことができない。
そんな時、純玲が二人をこの淫夢島に誘った。
「夢の世界、ここでは浮気にならない……」
「ここで経験詰んだら……たっくんとの、えっち……満足できるかな?」
「大丈夫! それに嫌だったら拒めばいいんだもん! ここの男性はみんな、神帝グループが推薦した人たち──いわばAV男優さんみたいなものなんだって! だからね、ねっ!」
半ば強引にではあるものの、二人は、
「嫌だったら、何もしないからね……?」
「うんうん! 凛子もオッケー?」
「怖いけど、二人と一緒なら、大丈夫……」
「やった! じゃあじゃあ、楽しもうね!」
そして三人は、夢の一週間を過ごす淫夢島へ足を踏み入れた。