大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「こっちは何の連絡もなかったわ」
「わたしも、ない」
「──ッ!?」
二人が戻ってくると、純玲は慌ててベッドの陰に隠れる。
ただ隠れられるわけないので、その真っ赤に染まった顔をはっきりと見られてしまった。
「純玲、どうしたの?」
「え、ななな、なにが?」
「さっきより顔真っ赤じゃん」
「そんなこと、ない、よ……?」
「……もしかして、相手見つかったの?」
「──ッ!?」
わかりやすい反応。
純玲は二人にタブレットを渡す。
どこかドキドキと楽しそうな表情を浮かべる汐音と凛子は、その相手を見て少しだけ目を細めた。
「これ、フェリー乗り場にいた」
「すごい、年下の子だよね……」
「年上がいいか年下がいいかって選択肢あったけど、なんで21才の純玲が年下紹介されてんの?」
「え、なんでかな……あはは」
「この〇印が選択通りってことだよね、えっと……」
「あっ、待って見ないで見ないで!」
「「……」」
年上と年下の選択肢は、しっかりと年下に〇が付けられていた。
「……一目惚れ?」
「な、なにが!?」
「だって21才の私たちの選択肢なんて年上一択でしょ。なのに年下って、あの子を狙ってた以外ないでしょ」
「……」
「純玲ちゃん、年下好きだったんだね……」
「ち、ちがっ!」
「で、どうすんの?」
そう聞かれ、純玲は少し迷いつつ。
「会ってみる」
一目惚れとかではない、と思う。
ただ目が合ったときの彼の優しそうな笑顔が頭から離れない。
それにあんな幼そうな見た目の少年が、もし本当にえっちが上手かったら凄く興奮すると思う。
何より。
「あたしが求めてた相手に、ぴったりらしいから……」
プロフィールカードの希望欄がほとんど〇だった。
ここに来た理由は心も身体も満たされるため。
それなのに、ここで躊躇う理由はない。
「そう。じゃあ、はい」
汐音からタブレットを渡された。
「私たちは部屋でくつろいでるから、まっ、楽しんでおいで」
「え、二人は一緒にいてくれないの?」
「いるわけないでしょ。二人がしてるのを見てろって?」
「それは……」
汐音と凛子は「明日の朝にでも感想聞かせてね」と言って部屋を出る。
あの感じ、おそらくは『どうせ子供とのえっちでしょ』と思ってるのだろう。
純玲は鏡の前に立ち、身だしなみを整える。
「これ、今すぐなのかな? どうしよ、あたし、めっちゃお酒呑んじゃったよ……」
まずシャワーを浴び、それから歯磨きを入念に済ますと──純玲は覚悟を決めてメッセージの返事を送る。
♦
あれからも柑奈さんからの呼び出しは続いた。
来る日も来る日もコンドームを着けられ、オナホで射精させられる毎日。
──そしてついにやってきた夏休み。
学校の友達がゲーム三昧だと浮かれていたり。
じいちゃんばあちゃんに会いに里帰りしていたり。
夏休みということもあって海や大型プール施設に遊びに行ったり。
そんな中、俺は一人、淫夢島という島に送り込まれた。
「結局、雇い主は柑奈さんじゃなかったし……。まあ、エッチしまくりながらお金貰えるならいいけど」
島内にあるホテルにて。
俺に与えられた部屋のベットに寝転がり、大きく伸びをする。
雇い主は彼女の母親、神帝麗美だった。
要するに柑奈さんは俺の性欲が強いかどうか、それとペニスが一級品かどうかを、コンドーム開発の実験台にしながら確かめていたのだとか。
で、柑奈さんからの推薦もあり、晴れて俺はこの淫夢島に連れて来られた。
ここで一、二週間ほど過ごし、欲求不満な女性たちのお相手をするってことだが、まさか『おいでよ! 水龍〇ランド』みたいな世界が実在するとはな。
いや『抜きたし』か? ここは『性〇島』か?
もしかしたら案内役の『ハメ〇リくん』がいるのかもしれない。
「なんてな……っと」
そんなことを考えていると、与えられたタブレットが音を鳴らす。
「なになに、マッチング完了……? この女性の部屋に行って、エッチすればいいのか?」
今は無き懐かしのプロフィールカードと共に女性の写真が送られてきた。
いわゆる黒ギャルといった褐色肌の女性。
キャバ嬢っぽい髪型に見た目だけど、笑ったときに見せる八重歯が少し子供っぽく見えた。
めちゃくちゃ綺麗な女性。しかも若い。
「あれ、この人たしかフェリー乗り場で会ったな」
三人組で、会釈したら返してくれた気がする。
「よくわからんけど、行ってみるか。美人だし、ご褒美だな」
プロフィールカードを隅々まで確認してから俺は部屋を出る。
島内でもホテルでも、海水浴場でもそうだが、どうやら俺はこの島ではかなりの場違いらしい。
すれ違った女性参加者に「かわいい♡」とか「僕くん、お姉さんが食べてあげよっか?」とか誘われた。
まあ、こんなやるだけの島にあきらかに学生が紛れ込んでるんだから、そういう風に見られて当然か。
「っと、ここか」
運営から送られてきたメッセージに書いてあった部屋に到着した。
チャイムを鳴らすと、がちゃ、と扉が開く。
「……こ、こんにちは」
「こんにちは。すみれさん……ですか?」
「あっ、はい。すみれです」
見た目とは正反対に大人しい女性、緊張しているのだろうか。
結婚しているらしいけど、結婚してからあんまり遊んでないのかもしれない。
「えっと、入っても大丈夫ですか?」
「あ、はい、どうぞ……」
「失礼します」
彼女の後ろを歩くと、ボディーソープのいい匂いがした。