大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
それから俺たちは北海道旅行を楽しんだ。
といっても、北海道旅行というよりは札幌旅行だけど、北海道なんて札幌に行っておけば完結する場合がほとんどだ。
そこからニッチなお目当てのモノがあったら東西南北に散らばる……それが北海道旅行だ。
「はあ、すっごく楽しかった。ねえねえ、北海道って最高でしょ?」
「まあな」
「えー、なんか反応薄くない?」
「そんなことない。楽しかったよ、楓のはしゃぎっぷりとかとくに」
「もう!」
終始上機嫌な楓に言われて頷く。
北海道なんて元の人生でも何回か行ったぐらいだ。
その頃は仕事でだから、こうして自由に散策することはなかった。
……妻と子供と来たときも、そこまで。
っと、過去のことを思い出してナイーブな気持ちになってしまった。
「あっ!」
空もすっかり暗くなった頃。
楓は上を見上げながら指差す。
「観覧車?」
ススキノの街中にある煌びやかな電飾が付いた観覧車。
遊園地にあるモノと大きさは同じで、こんな街中に、それもビルの屋上にあるというのは少し違和感があるが、頂上からの景色は絶景だろう。
「ノルベサの観覧車!」
「有名なの?」
「うん! 中学のとき宿泊研修で行ったことあるの。あの時はまだ明るかったけど、すっごく高くて楽しかったよ!」
目を輝かせる楓。
だが、何かを思い出して「うっ」と小さな声を漏らす。
「……でもあれに乗ったカップル、別れるんだって」
「ああ、よくある迷信か」
「迷信……宿泊研修のとき、俊太とあれに乗ったんだよね」
俊太? 誰だっけ?
ふと考えて、楓が中学のときに付き合っていた元カレがそんな名前だったのを思い出した。
「一緒に乗るか?」
「え、でも……まあ、うちら付き合ってないからいいか」
「それもあるが、どうせ迷信は迷信だろ。せっかく来たんだから乗ってみたいしな」
楓の手を握って観覧車のあるノルベサのビルへ。
「それに、元カレの話題を出されてムカつくしな。上書きしてやるよ、その思い出」
そう笑って伝えると、悲し気に俯いていた楓は吹き出すように笑った。
「なにそれ。もしかして、妬いてるの?」
「さあな。ほら、行こう」
「……うん、行く♡」
ほんと、こいつ可愛いな。
そんなことを考えながらエレベーターで屋上へ。
屋上ではビアガーデンを楽しむ大人や、夏休みであろう学生たちが観覧車の順番待ちする人で溢れていた。
そして観覧車は、すぐ目の前に着くとより大きく見えた。
「はい、次の方どうぞ~」
順番になり観覧車へ。
揺れる部屋の中、楓は正面ではなく隣に座った。
「やっぱお昼に見るよりも夜に見た景色の方が綺麗だね」
「それはな。どうだ、元カレと見る景色よりずっといいだろ?」
「うわ、またでた。祐輔の大好きな元カレ比較」
「なんだそのよくあるみたいな」
「だってそうでしょ。祐輔、エッチ中とかも事あるごとに元カレと比較してきたじゃん」
「そんなわけ……あるか」
「もう」
そんな軽い雑談をしながら観覧車はゆっくりと高くなっていく。
楓は俺の両手を握ったまま、体をこちらに寄りかかって景色を眺める。
「……綺麗」
「ああ」
楓の言葉に頷く。
だけどこの綺麗という言葉は景色ではなく瞳を輝かせる楓に向けたものだ。
気付くと顔を近付ける。
楓も意図を理解したのか、顎を上げ、唇を突き出す。
「ん……ちゅ♡」
「……もっと」
「こぉら、景色見えないでしょ……ん、ちゅ……あむっ、ちゅ、れろっ、ちゅぱあ♡」
そう言うが、楓も乗り気に俺の唇を求めて舌を絡めてくる。
ただ、まだ俺たちの乗る観覧車の位置は21時の場所。
地上から見られることはないが、他の観覧車に乗る客からは目を凝らせば見れる。
「こら、もう終わり……。誰かに見られちゃう」
「いいだろ、別に」
「ダメ……ダメ……だってばあ♡」
終わりと言わんばかりに軽いキスをされた。
「そんなにしたかったの、あたしとキス」
「まあ、観覧車で恋人同士がいちゃつくのって定番だろ」
「恋人……ま、まあ、旅行中はそういう設定だもんね、うん」
楓は恋人というワードを出すと弱い。
強く否定することはせず、むしろ何をしても許されることは今日一日でわかった。
だから、
「じゃあ、ここを触るのはいいだろ?」
「ここ……って」
楓の右手を誘導して股間を触らせる。
勃起した肉棒を触らせると、楓は暗くてもわかるぐらいに頬を赤く染める。
「な、なんでこんなとこで」
「お前が可愛いのが悪い」
「そんなこと言われてもさあ……」
「駄目か? 彼女に観覧車で気持ち良くしてもらうのも、定番だと思うんだが」
「そんなの定番なわけないでしょ、もう……」
そう言うが、楓の手が俺の意志とは関係なく股間を擦る。
「誰かに見られたらどうすんの?」
「大丈夫だって」
「ってか、観覧車が地上に着くまでに射精できなくない?」
「それは楓の頑張り次第」
「もう、ああ言えばこう言う……はあ、あたしはただ夜景を見に来ただけなのになあ」
不貞腐れてみせたが、楓はチャックを下げる。
「射精できないまま終わりになっても、知らないからね♡」
ズボンから取り出した肉棒を握ると、楓は文句を言いながらも嬉しそうにそれを扱いていく。