大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「あれ、違った?」
「いやその、さすがに彼女のお母さんに聞かれると照れるというか」
「あー、それもそっか。ふふ、ごめんごめん。でも家《うち》、そういうのには寛容だから。いや、うちというか、あたしがだけど」
見た目からの偏見だが、おそらく秋葉さんは学生時代かなり遊んでいた女性なのだろう。雰囲気とか話し方とか、なんとなくそんな気がした。
そもそも楓を妊娠したのが16才で高一の時なんだから、今の俺たちと同じ歳。それで遊んでいないわけはないか。
「まあ、在学中に妊娠して中退するのは勘弁だけど。ちゃんと付けるモノは付けてるんでしょ?」
「え、あぁ……もちろん!」
満面の笑みで頷くが、秋葉さんは目を細める。
「もしかして、ゴムしてないとか言わないわよね……?」
冷や汗が止まらない。
秋葉さんは大きくため息をつき、テーブルを介して俺の正面に座る。
「高校在学中に妊娠して退学したあたしが言える立場じゃないけど、避妊はしないとダメよ? 本人たちも困るけど、一番に困るのはお金を出している親なんだから。わかった?」
「は、はい、すみません」
「わかったなら、よし! で、で、あの子とは何回ぐらいしたの?」
スイッチが入ったように、秋葉さんは前のめりになった。
テーブルに膝を突きながら、切れ長な目が俺をジッと捉える。
娘の彼氏相手だから聞いているのかもしれないが、さすがにそれを聞くのはどうなのか。
そもそも思春期真っ盛りの男子高校生に美人ママが聞くのは、性癖が歪みかねない。
「それは秘密で……」
「えー、いいじゃない別に。あの子には言わないから。娘の性事情は気になるタイプなの!」
そのタイプは全力で直した方がいいが。
まあ、気になるというのなら話すけども。
「回数は覚えてないです」
「つまり、数えきれないぐらいしたってこと?」
「まあ」
「あらあら、お盛んね。でも、恋人同士で両親のいない一人暮らしのご近所さんなら、しても当然か。あの子、エッチの時ってどんな感じ?」
「そこまで聞きます!?」
「ふふん、娘のというか、こういう下世話なことを話すのが好きなのよ、あたし。それに人とこうして話すのも久しぶりだから、楽しくって」
そういえば、旦那さんが入院しちゃって、楓も上京しちゃったから、秋葉さんはずっとここで一人なんだもんな。
ご近所さんも歩いて数分。
人と話すのが楽しいというのはわからないでもない。
「だからって、娘とその彼氏のこと聞きます?」
「んー、まあね。あれ、祐輔くんはこういう話するの嫌な方?」
「……いえ、嫌いではないです。むしろ好きです」
「じゃあいいじゃない」
いいけど、ウェルカムだけど。
と、そこで。
「あ、楓、お風呂から上がったみたい」
風呂場から物音が聞こえた。
「残念。もう少し、娘の彼氏くんから話を聞きたかったのに」
秋葉さんは楽し気に笑うと、エプロンを外した。
「楓、料理の支度はもう終わってるから。ママがお風呂から上がったら食べましょ」
「うん、わかったよ!」
入れ替わるように秋葉さんがお風呂場へ向かう。
あんな話をした後だからか、その後ろ姿はさっきまでより色気を感じた。
髪が濡れたままの風呂上りの楓。
扇風機の前に座り、ドライヤーを使って髪を乾かしていた。
「ママと何の話してたの?」
「別に。楓の向こうでのこととか」
「……変なこととか、言ってないよね?」
「変なことって?」
聞き返すと、楓は「ママに言ったらいけないこととか」と。
さすがにお母さんと娘とのエッチな話をしようとしていたとは言えないので、何も言っていないと答える。
それから、俺と楓は秋葉さんがお風呂から上がってくるのを待った。
もちろんのことだが、少しだけイタズラはさせてもらった。
楓は「もう、ママが来たらどうすんのさ、まったく……」と呆れていたが、乗り気な様子だ。
そんなお楽しみ後。
「それじゃ、乾杯!」
「乾杯じゃなくて、いただきますでしょ、ママ」
夜ご飯を堪能する。
秋葉さんの料理はどれも最高に美味しかった。
というより、高校入学と共に実家を離れて自炊ばっかりだったから、こうして母親の料理を味わうのが懐かしくて温かい気持ちになった。
「ほら祐輔くん、どんどん食べてね」
「あ、はい、ありがとうございます」
風呂上がりの秋葉さんは、まあ、かなり……色々と危なかった。
飾り気の無いシャツとショートパンツ。
風呂上がりだからブラはしておらず、豊満な胸と突起した乳首の膨らみがはっきりと見てわかる。
楓はそんな無防備な母親の格好を見て怒っていた。
おそらく、今まで旦那と娘だけだったから、自分の風呂上りの格好が変だと気付かなかったのだろう。
ごめんごめん、と謝っていたが他にいい感じの服が無いのでそのままだ。
俺の視線も、気付いたら秋葉さんの体へと向きそうになるが、隣でご飯を食べている楓のキツイ視線があるので見ないようにした。
それから数時間。
食事は終わり、空になったお酒の缶が並ぶ。
「……ママ、寝るならベッドで寝ないと。ママ、ママってばあ」
「んん……まだ、呑めるわよ、息子くん」
「祐輔はまだ息子じゃないってば、まったく」
テーブルにぐだっと体を預けて眠る秋葉さん。
「このまま寝かせておくのもアレだろ。俺がベッドまで運んでおくよ」
「ううん、あたしが運んでおくから大丈夫」
と、運ぼうとするが、非力な楓ではビクともしない。
「楓は先に部屋に戻っていてくれ。……でも、寝るなよ?」
「……わかってる。じゃあ、部屋で待ってるから」
楓は何かを察して部屋へ向かう。
頬を染め、やる気だ。
楓が階段で二階へ向かうのを見送り、俺は秋葉を背負って部屋へ。
背中に当てられた豊満な人妻おっぱいと、突起した乳首。
農作業で鍛えられた肉付きのいい脚と、耳にかかる漏れ出た寝息。
このままずっと背負っていたいと、そう思うほどだ。
「秋葉さん、下ろしますから──ん!?」
ベッドへ下ろそうとしたとこで、俺は体勢を崩してしまった。
お腹を見せた捲れたシャツに、半分以上を出した片乳。
すぐ側にある秋葉さんの顔、まるで押し倒すような体勢。
「ん……もしかして、あなた?」
秋葉さんはうっすらと目を開けた。
けれど瞳はぼんやりとしていた。
目が合い、二秒の間を空け、俺を旦那さんと勘違いした秋葉さんは不敵に笑った。
「あなた、が……自分から誘ってくるだなんて……珍しっ♡」