大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「いやいや、そんなの祐輔くんに悪いから。うん、大丈夫!」
秋葉さんは瞳をキョロキョロと不審な動きをさせながらも、弱みを見せまいと拒んだ。
まあ、お酒というのは人の理性を奪う魔法の飲み物だ。
前の俺の人生でも、何度もお酒で失敗した。記憶を無くして変なことをしたこともあった。
だからわかるよ、秋葉さん。
だけど、
「ママ、なんか変……」
お酒の怖さを知らない楓が、母親の様子を不審がっていた。
「変って、何が……?」
「あのお酒大好きなママが飲まないなんて……もしかして、体調とか悪いの?」
「そういうわけじゃ」
「じゃあ、なんで?」
「うぅ……」
秋葉さんの表情は葛藤しているのがはっきりと見えた。
「やっぱり少しだけ……飲んじゃおっかな?」
秋葉さんはキンキンに冷えたビールの蓋を開けた。
いい音が響き、コップに注がれ、喉を鳴らしながら飲む。
一缶だけ。
けれどその数秒後には、新しい缶の蓋が開けられていた。
そしてビールの缶だったお酒が、日本酒に、ワインにと、顔と度数を変えていく。
次第に赤く染まっていく秋葉さんの頬。
自制心は消え、秋葉さんの俺への遠慮というか、昨夜のことでの生まれたぎこちなさは完全に無くなった。
「そういえば、楓。祐輔くんに札幌案内はしてあげたの?」
「ん、まあ。ていっても、札幌市内で道外の人にオススメできるとことかあんまないけど」
「男の子ならあれは? バニーガールのお店」
「……すすきのにあるお店でしょ。まあ、見せた。というか、あった」
「祐輔くん、釘付けだったんじゃないの?」
「……釘付けだった」
二人からの視線を受ける。
「あれは不可抗力だろ。横を通ったらお店があるんだから」
「で、楓が隣にいるのに食い入るように見ちゃったわけね。ダメよ、余所見なんてしちゃ」
テーブルに肘を突いて前屈みになった秋葉さん。
胸元が緩くないシャツを着ていても大きい胸だから、谷間なんて簡単に見える。
「こら」
「……ん?」
楓は気付いていないが、秋葉さんは俺の視線を受けて楽しそうに笑った。
「そういえばなんかないの? 向こうで撮った動画とか、この旅行で撮った動画とか」
「学生生活中のは無いですけど、こっちに来てから動画とかは撮り──」
「──こら、祐輔。ううん、撮ってない撮ってない……!」
「ん、何よその反応。撮ったのとかあるなら、お母さん見たいんだけど!」
飛行機で新千歳空港に降り立ってからカメラを構えて動画は撮った。
前半は彼氏彼女の仲睦まじいデート映像だが、その中にはホテルでのハメ撮りなんかも残っているのを思い出した。
慌てて楓が止めたが、酔っぱらった秋葉さんの好奇心を余計に刺激してしまったようだ。
「えー、いいでしょ、お母さんに見せて!」
「ダメ! というか、なんも撮ってないから!」
「絶対に嘘よ。なになに、お母さんに見られたらいけないモノとか映ってるわけ?」
「そういうわけじゃ……はい、この話は終わり! さっ、そろそろ寝よっかな! ね、祐輔!」
強引に話を切り上げた楓が歯磨きへ向かう。
「ねえ、祐輔くん。あの子、何を隠しているの?」
「さあ」
楓の為にも話を合わせてあげたが、秋葉さんは納得してくれそうになかった。
子供がだだをこねるようにしつこく聞いてくる。
「楓には内緒で、こっそり持ってきてくれない?」
旦那も入院して独りぼっちになって寂しい気持ちを娘の成長を見て埋めたいのか、もしくは、単純に娘が彼氏の前だとどんな顔をしているのか見たいのか。
まあ、酒のつまみにしたいだけかもだけど。
「俺が見せたこと、楓に言ったりしませんか……?」
「言わない言わない! 一人で楽しんだら、あの子にはバレないようにこっそり返すから!」
秋葉さんとこうして話してみてわかったけど、彼女は娘やその彼氏とは親しくしたいタイプの母親だ。
子供の交友関係なんかに口出しするようなめんどくさい親ではない。
なので別に、あの映像を見てしまったからといって、俺と楓を呼んで説教するとかはないだろう。
想定していなかった映像だから、マンネリ化した人妻には刺激が強すぎるかもしれないが……。
どちらにしろ、こっちの方が楽しそうなので俺としてはウェルカムだ。
「わかりました。じゃあ、後で……」
「うん、楽しみにしてる!」
まだ時間としては23時。
楓が歯磨きしている間にカメラを秋葉さんに渡すと、俺と楓は二階の部屋へ行く。
秋葉さんはリビングでまだお酒を呑むと言っていたので、楓は俺の夜の誘いを断ったが、やんわりだ。
声を我慢する、という条件の中、俺と楓は母親が一階にいる中でねっとりとした交尾を楽しんだ。
一回、二回。
時間にしては一時間半ぐらい経った。
楓は疲れて眠ってしまい、俺は足音を出さず一階へ。
音は聞こえない。
いや、微かにリビングから聞こえた。
『あんっ、あ、はあっ、んん、ああぁん……っ♡ 祐輔、待って、ダメ……おマンコ、気持ちよすぎて、おかしくなる……っ♡』
「……ん、あっ、あ……はあ、ん、あん♡」
はっきりと聞こえてくる楓の喘ぎ声よりも控え目な、熟した女の色気のある喘ぎ声。
音を出さずリビングの扉を開けると、明かりを消した暗い部屋に輝くテレビには俺と楓の情事が。
その光で照らされた秋葉さん。
テーブルに置かれたお酒、それと彼女が食事中に座っていた座布団。その位置よりもずっとテレビに近付いた彼女。
シャツもショートパンツも脱ぎ捨て、下着姿のまま、秋葉さんは甘い香りを発しながら自慰を楽しんでいた。