大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「これから温泉に行こうと思っていたんですけど?」
「で、でもさ、このままは……ねえ」
「あんなの見せる祐輔くんが悪いのよ……?」
まあ、確かに俺が悪いか。
あんなハメ撮り映像を見せて、二人が我慢できるわけない。
「それじゃあ、少しだけですよ?」
「ほんと? やったー!」
「うふふ、楽しみね」
食後の運動とばかりに俺は、上機嫌な二人をそれぞれイかせることになった。
♦
「さすがにやりすぎで腰が疲れたな……」
それぞれ一回ずつ中出ししてから温泉へ。
中学生の体とはいえ腰が痛い。そんな体に、熱々の温泉の湯は心地良かった。
ただずっと前から長湯をするタイプじゃない。
三十分ほどしてから温泉を出ると、ロビーのところで愛華さんの姿を見つけた。
「あれ、愛華さんどうしたんですか?」
近くまで行ってから、愛華さんが誰かと話していたのに気付いた。
「あっ、ゆうくん!」
白の生地にピンクの刺繍のされた浴衣を着た愛華さんがこちらへ駆け寄ってくる。
彼女が座って話していたのは、どうやら同い年っぽいカップルだった。
「えっと紹介するね。二人は高校の同級生で、順平くんと萌香ちゃん」
「ど、どうも……桜井順平と申します」
「はじめまして、飯野萌香、です……」
愛華さんの高校の同級生という話だが、二人の見た目は愛華さんとは正反対で、めちゃくちゃ大人しい感じだった。
男子の方は適度に伸ばした黒髪に眼鏡。
背丈は160ほどで、俺と大して差はない。
筋肉は一切ない細身な体型で、いかにも大人しい真面目なタイプって感じだ。
女子の方も胸元まで伸ばした黒髪に赤いふちの眼鏡。
背丈は同じく160ないかぐらいで、浴衣からでもわかるほど高校生らしからぬ発育された胸を持っている。
日焼けのない純白の肌で、化粧も一切していない。
俺と視線を合わせてくれない感じから、図書室で本を読むのが好きそうな、そんな勝手なイメージを持ってしまうほど大人しい真面目な雰囲気だ。
彩さんや愛華さんとか正反対の、庇護欲をそそるタイプの印象を受けた。
おそらくは高校生カップルが旅行に来た、といった感じだろう。
俺は愛想よく笑顔を浮かべながら二人に挨拶をする。
「はじめまして、楠木祐輔って言います」
俺のことを愛華さんがなんて紹介しているかわからないから、あくまで名前だけの挨拶をする。
すると、愛華さんが俺のことを見て「えっと、さっき話したうちのセフレさん……」と紹介した。
間違ってはいないけど、その紹介はどうなんだ?
というより、さっき話したって、なんの話をしたんだ?
「えっと、愛華さん。これどういう状況ですか?」
「ま、まあ……えっとゆうくん、ちょっと向こうでお話しいい?」
ロビーの奥を指差す愛華さん。
人のいない方だけど、何の話をするんだろう。
拒むことはせず人のいない端の席へと移動してきた。
「えっと、順平くんも萌香ちゃんも学校の友達なんだけど、二人も旅行でこの旅館に来たんだって。それでね、萌香ちゃんと偶然そこの温泉で会ってね、話してるうちに、ついゆうくんのこと話しちゃって」
「はあ……」
「ごめん、怒ってる?」
「いや、怒ってはいないですけど」
目の前に座る二人は下を向いたまま、何も話さない。だから、ただただ気まずいだけだ。
「それで?」
「えっと、二人がね……ゆうくんのこと、紹介してほしいって言うから」
「俺を、ですか?」
紹介って。
まあ、どこまで俺のことを話したのかわからないけど、同級生のギャルビッチが、新しくセフレになった中学生男子がどんな人か気になってもおかしくないか。
でもこの二人って、あんまそういうのに興味示すような感じじゃないよな。どちらかというと、愛華さんとは関わりたがらないようなタイプだし。
「えっと……」
愛華さんが二人に視線を送る。
自分から話せ、っていう訴えだろう。
そして順平さんが、ぷるぷると震えながら口を開いた。
「そ、その……寿さんは、学校でも有名な……あ、あの」
寿さん?
ああ、愛華さんのことか。
「経験人数豊富で、彼氏がいながら、年上のセ、セフレも、一杯いるって有名で……」
「あはは、順平くん、それは元ね、元」
「そ、そんな寿さんが」
「スルーかあ」
「今は他のセフレと縁を切って……彼氏にも、身体を触らせてないって、学校で……噂を、聞いて」
「ふふん」
愛華さんが俺を見てドヤ顔をする。
おそらく、俺一筋だって言いたいのだろう。
「そ、それで、さっき萌香が温泉で寿さんから聞いたら、相手は中学生だって……それで、会って、話をしてみたくなって、その」
「はあ」
んー、何が言いたいのかよくわからない。
「あ、あの!」
「え、はい」
急に大きな声を出されて、つい身構えてしまった。
「初対面の人に、こ、こんなお願いするのも、どうかと思うのですが……」
順平さんは口をもごもごさせ、目を血走らせながら、俺へと勢いよく頭を下げた。
「──萌香を、彼女を寝取ってもらえないでしょうか!?」
「は?」
俺は間抜けな声を漏らした。
愛華さんはドン引きした笑いを浮かべ、萌香さんは顔を真っ赤にさせ俯いた。