大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
「えっ、お邪魔していいんですか!?」
「ええ、別に問題ないですよ」
彩さんと愛華さんに目配せすると二人も頷いてくれた。
それに意外と順平さんも乗り気なようだ。彼女と二人っきりでいたいんじゃないかと思っていたんだけど。
「それじゃあ、行きますか」
小動物のように震えている萌香はまだ目を合わせてくれない。
少し悲しいな。だから俺は、立ち上がった順平さんに笑みを浮かべながら伝えた。
「あっ、順平さんそこ……昨日、”彼女”が吹いちゃったので床が濡れてますよ」
「え!?」
そう告げると、順平さんは足をバタバタさせた。
そして萌香は顔を真っ赤にさせながら、順平さんに見られないように俺に向かって首を左右に振る。
「えっと、吹いたって、その……」
「もちろん、潮吹きのことですよ」
「あ、あはは、そ、そう、ですか……えっと、彼女っていうのは?」
萌香の唾を飲む音が聞こえてきそうだった。
俺は笑顔で答える。
「それはさすがに恥ずかしくて言えないですよ。”本人”の目の前ですから……」
順平さんは「そ、そう、ですよね!」と下手くそに笑った。
そして部屋を出る。
順平さんは足早に廊下へ出て、彩さんと愛華さんはチェックアウトの為にロビーへ向かう。
そして部屋を出ず、俺を弱々しく睨む萌香に伝える。
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
「……な、なんで、あんなこと言ったんですか!?」
「あんなこと? ああ、だって本当のことでしょ? ”彼女”が潮吹いたって、俺に犯されて」
「──ッ!?」
俺は他の人に見えないように、萌香を後ろから抱きしめる。
「は、離して、ください……ッ!」
「眠れたのかって質問しただろ、ちゃんと答えろ」
「……眠れ、ました──んんッ!?」
乳房を揉みしだきながら、秘部を指先で弄る。
「久しぶりに、いや……初めて男にイカされたから、疲れて寝ちゃったのか?」
「触ら、ないっ、で……ッ! あ、いや……やめてっ!」
「何度も潮吹きして、彼氏じゃない男のペニス咥えて、精液ごっくんして……足ふらふらにしながら、彼氏の寝てる部屋に帰っていったもんな」
彼女は嫌がってみせたが抵抗する力はなく、まるで昨夜の快感が思い出されたかのように全身を熱くさせた。
そうなった理由は、触られているだけでなく言葉責めされているからだろう。
「これから一緒に海へ行くんだ。よろしくな、萌香?」
「……やめ、て」
「やめてほしいのか? じゃあそうだな、約束しろ。今日一日、俺が呼び出したらすぐに来い。いいな?」
「なっ、それって……」
命令の意味を察したのか、萌香はぶんぶんと首を左右に振る。
「い、いや、です……っ!」
「どうして?」
「どうせ、変なこと……するんですよね!? だから──」
「──あれ、ゆうくんは?」
「まだ部屋かしら。ちょっと見てくるね」
「あれ、彼女も……萌香もいないです」
廊下の先から三人の声がした。
「離して、ください……っ! 順平くんが来ちゃう!」
「そうだな、このままだと彼氏に見られるな。で、約束の答えは?」
「そ、そんな……でも、でもっ!」
「じゃあ今の俺たちの姿を見せて、彼氏に報告しようか。昨日の夜、順平くんが寝てる間にここで──」
「──わ、わかり、ました……っ! わかりましたから、従いますから! だから離してくださいっ!」
萌香の体を離すと、彼女はカバンを持って廊下へ逃げていく。
廊下で順平さんから「どうかしたの?」と聞かれていたが、彼女は「ううん、なんでもない」と答えていた。
「ゆ・う・く・ん~!」
俺も廊下に出ると、仁王立ちする愛華さんと苦笑い浮かべる彩さんに出迎えられた。
「どうかしました?」
「どうかしました、じゃない! 萌香ちゃんにちょっかいかけたでしょ!」
「そんなわけないじゃないですか」
「祐輔くんって嘘下手よね。あの子の顔を見たらすぐにわかったわよ」
「ですよねっ、彩さん、同じ女だから気付きますよね? 気付いていないのは彼氏だけ。というより順平くん、鈍すぎじゃない?」
二人と話しながら廊下へ。
順平さんと萌香は既に外へいた。
どこか互いにぎこちない雰囲気にも見えた。
「もしかして順平さん、気付いていてわざと知らないフリしてたりして」
「えっ!? いや、さすがにそれは……あはは」
「もしそうなら、祐輔くん以上の変態さんね」
「まあ、ありえないですよね」
笑いながら、俺たちは宿を出た。
♦
海水浴場は多くの人で溢れていた。
家族連れが海ではしゃぎ、若いカップルがシートを敷いていちゃつき、派手な見た目の男たちが暇そうな女をナンパしていた。
俺たちも砂場にシートを敷いた。
荷物はそこまでなかったけど、荷物を置く場所は必要だからだ。
女性陣が着替えに向かったのを見送ると、俺は順平さんと二人で待つことに。
「楠木くん、あ、あの……」
女性陣がいなくなってすぐ、苦しそうな声を絞り出した順平さん。
額から大量の汗を流しているのは、決して具合が悪いわけではないだろう。
なにせ口端を吊り上げながら、顔を青ざめさせながら彼は笑っているのだから。
「──見ました、動画。僕、萌香のあんな乱れた姿、初めて見ました」
手にしていたスマホに映っていたのは、昨夜、俺にイカされた萌香の隠し撮り映像だった。