大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
──楠木さん、今から会ってお話できないでしょうか。
順平さんから寝取らせのお願いをロビーでされてすぐ、別れた彼からメッセージが送られてきた。
彩さんは眠っていて、愛華さんには飲み物を買ってくると言って部屋を出て、再びロビーに向かった。
そこにいたのは順平さん一人だけだった。
そこで言われたのは「今夜、彼女を抱いていただけないでしょうか」という、早速の寝取らせのお願いだった。
「で、でも、どうしてセ、セセセ、セックスは、しなかったんですか……?」
隠し撮りして昨日の夜のうちに送った動画を見て、はあはあ、と声を荒くする順平さん。
「焦らすのも必要かなって。それに初めてするのは、ちゃんと順平さんの許可を頂いてからにしようかなと。萌香さんも、そっちの方が受け入れやすいでしょうからね」
「あ、そう、なんですね……。でも、セックスしていないのに、こ、こんな、興奮するとは思わなかったです……あっ、ははは」
「ということは、寝取らせは継続ってことでいいですか?」
そう聞くと、順平さんは大きく頷いた。
「もちろん! 正直、お願いするまでは自分も半信半疑だったんです……本当に自分は寝取られ癖があるのかって。でも、やっぱりそうでした」
「まあ、寝取るこっちも最高の体験なので有難いですが。で、あの後、彼女が帰ってから抱いたんですか?」
「えっと、いえ……実は僕、あまり萌香の前で勃たなくて」
「えっ、その歳でインポですか?」
「いやいや、違いますから!」
慌てて否定する順平さんだったが、膝を抱き、すぐに悲しそうな表情をする。
「前は、ちゃんと萌香の前でも勃起できてたんです……。でも、早漏で。一回射精したら何時間も勃たなくなって」
「だいたいの人はそうだと思いますよ。俺以外は」
「あはは……。それでも、初めの頃は良かったんです。萌香も、気持ちいいって喜んでくれてたんです。──だけどある日、見ちゃったんです」
彼は目を伏せた。
「すぐに射精した僕に顔を隠しながら、物足りなそうにする萌香の顔を……」
「……」
「最初は気のせいかなって思ったんです。だけど次も、またその次も、彼女は僕に顔を隠しながら物足りなそうな顔をしていたんです。それで気づきました。……ああ、僕とのセックスじゃ満足できてないんだって。それを知ったら、彼女とセックスするのが怖いというか、なんていうか。次第に彼女の前では勃たたなくなっちゃって」
ただの寝取らせ癖を拗らせた彼氏だと思ったら、そうなるまでの理由があったのか。それも意外と重い理由だ。
「だからあんな乱れた姿も、イキ狂って蕩けた顔も、見るの、初めてで……。相手が僕じゃなくて見ていて苦しかったですけど、それ以上に、興奮しちゃって。動画を見て、何度も手でしちゃいましたよ」
「ははっ、そう言ってもらえて、頑張って良かったです」
「なのでこれからも、萌香とするときは動画の撮影よろしくお願いします」
「ええ、もちろん」
まるで信じ切った仲間に向けるような眼差しを俺に送る順平さん。
まあ、彼からしたらそうか。
望み通りの上質な寝取り動画を提供したんだから。
だけど俺はそこまでお人好しじゃない。
彼が望んだように、萌香を満足させる為だけに寝取り役を演じるわけじゃない。
俺自身が満たされる為に、この訳ありカップルを利用する。
「──お待たせ!」
「おかえりなさい」
順平さんには悪いけど、気付いたらあなたから身も心も離れてしまう……なんてこともあるかもしれませんね。
まあ、そんなこと言わないけど。
そして、俺は水着に着替えた女性陣たちに目を向ける。
「おお、綺麗ですね」
胸元がフリルになっていて、ハイウエストの純白水着の愛華さん。
黒の生地にピンクの花柄の刺繍で落ち着いた感じの水着の彩さん。
二人とも昨日セックスしたときにしていたエロエロな水着とは違い、海水浴場で着ていても問題ない落ち着いた感じになっていた。
まあ、元から容姿が完璧だから、周りの男たちの視線は感じるけど。
「……」
二人を褒めていると、順平さんは萌香の水着を遠目で見つめていた。
白と水色の水玉模様。
二人の水着を見た後だから地味な感じもするけど、大きな胸とお尻、肉付きのいい太股は男を興奮させる。
二人とはタイプが違うけど、元からいい女だったからな。地味な印象に大人しい性格だから隠れちゃっているけど。
ここで褒めたいけど、さすがにこの場で褒めるわけにはいかない。
何も言わない順平さんと、感想待ちであろう萌香を遠目で見ていると、愛華さんが、
「こら、順平くん! ちゃんと褒めてあげないと!」
「えっ、ああ、そうですね……。えっと、萌香、綺麗だよ」
そう言われて、萌香は頬を赤らめながら頷いた。
「あ、ありがと、順平くん……」
「えっと、うん……」
初心なカップルを眺めていると、俺たちは和やかな空気に包まれた。
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「彼氏にはなんて嘘を付いて抜けて来たんだ?」
「……砂と海水を、落としたいから、シャワー浴びてくるって」
「へえ、じゃあそんなに時間かけられないな……萌香」