※この作品はR-18です。

大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく   作:柊咲

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5話 人妻をラブホへ誘導しよう

 

 彩さんと腕を組む男性は、おそらく二十代前半といったところだろう。

 茶色の髪に、無駄に派手な服装。見た目の雰囲気や恰好から、もしかしたら大学生なんじゃないかと思う。

 遠くから二人を見ているため会話までは聞こえないが、親しそうな関係なのは見てわかる。

 

 そんな二人は喫茶店を出ると、真っすぐ何処かへ向かって歩き出す。

 俺は気付かれないよう後を付いて行くと、二人はホテルへと足を運ばせた。

 

 

「買い物じゃなくてラブホか、彩さん……やっぱりこの時から浮気してたんだな」

 

 

 ラブホへと入っていった二人の姿を写真に収める。

 

 彩さんの家族が離婚したのは、旦那さんの浮気が発覚したからじゃない──彩さんの浮気がばれたからだ。

 だから今日、もしかしたら彩さんの浮気の証拠を手に入れられるかと思って太一の家に遊びに行ったのだが、まさかこんなに早く、それも浮気現場の写真を手に入れられるとはな。

 

 

「浮気相手との連絡のやり取りとかをネタにできればと思ったが……」

 

 

 これほどまで強力なネタはないだろう。

 ただまだ弱い。俺は彩さんがラブホから出て来るのを待った。

 

 ──そして二時間後。

 満足気な表情の彩さんと浮気男がラブホから出て来た。

 その姿を再び写真に収める。

 

 それから二人はすぐに別れた。

 デートとかをしないのは、ただの身体だけの関係なのか、それとも太一が家で待っているから早く帰らなければいけないからなのか、それはわからない。

 

 

「──彩さん」

 

 

 だが、ここで一人になってくれたのは俺にとっては好都合だ。

 

 

「えっ!? ゆ、祐輔、くん……?」

 

 

 ここは近所のスーパーから大きく離れた人通りの少ない道で、ラブホの前。

 

 俺に呼び止められた彩さんの表情は、さっきまでの幸せそうな感じから一変、真っ青だ。

 

 

「ど、どどど、どうして、ここに……? 家で太一と遊んでたんじゃ」

「……それより彩さんは、ここで何を?」

「そ、それは、その……いつもとは違うスーパーに行こうかなって思って、迷子になっちゃって」

 

 

 あはは、と笑って誤魔化そうとする彩さん。

 子供だから騙せると思ったのだろう。だが俺は違う。

 

 見た目は子供、中身はヤりたい盛りの35才。

 そんな言葉で誤魔化せるわけがない。

 

 

「彩さん、さっき男の人と一緒にそこから出てきましたよね……?」

 

 

 ラブホを指差して伝えると、彩さんの身体が震えているように見えた。

 

 

「そ、それは……」

「見間違いかと思ったんですけど、その……写真も、撮っちゃったんです」

 

 

 俺はラブホから出て来た二人の写真を彩さんに見せた。

 

 

「なんで写真なんか撮ってるの!?」

「すみません、人違いかどうか後で確認しようと思って……」

「確認なんて……祐輔くん、これは、その……」

 

 

 ゆっくりとした足取りで近付いてくる彩さんは、俺の持つ携帯に視線を向けている。

 

 

「ねえ、祐輔くん……その写真、消してくれないかな?」

「え、どうしてですか?」

「それは、その……」

「何か、この写真が残っていたらマズいことでもあるんですか?」

 

 

 無知な中学生、無垢な子供。

 そんな者からの純粋な問いかけに、彩さんは口ごもる。

 

 俺は話題を変えるようにラブホへ視線を向ける。

 

 

「それより彩さんが入っていったここって、ホテルですよね?」

「えっと、その……」

「なんだか俺が知ってるホテルと雰囲気が違うような……」

「そ、そう? そんなことは……」

「俺、ここに入ってみたいです!」

「え!?」

 

 

 子供のような笑顔で伝える。

 

 

「彩さん、ここに入ってみたいです!」

「いや、でも……」

「いつもお父さんが言ってるんです。知らないこと、気になったことは時間をかけて調べろって」

 

 

 性に無知な優等生が興味本位で言い出したことなんて、今の彩さんの耳には届かないだろう。

 それよりもどうやって俺の口を封じて、写真を消させるか、それしか頭にないはずだ。

 俺は独り言のように口にする。

 

 

「彩さんが教えてくれないなら……そうだ、太一に聞いたらこのホテルのこと教えてくれるかな。この写真も一緒に見せれば」

 

 

 俺の独り言を聞いた彩さんは食い気味で、

 

 

「それはダメ!」

「え?」

「それは……ダメよ」

 

 

 まあ、そうだろうな。

 太一は、というよりも普通の中学生はラブホについての知識を持っているはずだ。というより、当時の俺だって知ってる。まあ、知らないフリした方が誘導しやすいからこのまま話を進ませるけど。

 それに太一が知ったら旦那さんの耳にも入るだろうしな。

 

 

「じゃあ、彩さんが連れて行ってくれますか?」

 

 

 純粋な目で見つめながら伝えると、彩さんは周囲に視線を向ける。

 

 ラブホの前で男女が長い時間、話し合っていたらさすがに注目を受ける。

 俺は別に構わないが、人妻の彩さんからしたら何処で知り合いが見ているのか、噂が広まるんじゃないのか、それが不安で仕方ないだろう。

 考える時間を与えない方法としては最適だ。そして悩んだ結果。

 

 

「……わかったわ。だけどこの事は二人だけの秘密。それと写真も、中に入ったら消してね。約束してくれる?」

「はい、わかりました」

 

 

 なんとか上手く誘導できた。

 さっきの浮気男とラブホに入ったときとは違い周囲を警戒する彩さん。

 少しだけ足早に、彩さんに連れられて俺はラブホテル『ア・モーレ』に入っていく。

 

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