大人の知識を持ったまま中学生に戻った俺は好き勝手に生きていく 作:柊咲
それからも四人で食事を楽しんだ。
元の俺が蘭華と最初に話したのは、確か勉強合宿の三日目のことだったはずだ。
まさか初日に関わることになるとはな。奈菜と一緒に勉強合宿に参加したから、こうして出会いが早まったのだろう。
三日目のあの出来事──ゲームでいうところのイベントが消滅していなければいいが。
「なあなあ、そういえば屋上にナイトプールがあるらしいんよ」
「ナイトプール?」
貸し切りのホテルに元々あるナイトプール。
使える時間は決まっているが、俺たち学生でも遊べる娯楽施設だ。
他にもボーリングやダーツ、ゲームセンターにカラオケなんかも常設されているらしい。
勉強合宿なのにそんなとこで遊んでいいのかとも思うが、過去に一週間ひたすら勉強だけをさせていたら学生たちの不満が爆発して、脱走者が出たのだとか。
それからは、ムチばかりではなくアメも与えるようになったのだとか。
「これから四人で行ってみいひん? めっちゃ綺麗なんやて」
「ナイトプールかあ、どうしよっか……?」
奈菜に聞かれる。
「ごめん、僕はちょっと。これから友達と遊ぶ予定があって」
「友達? 北海道から一緒に来てる奴はいなかったんじゃないのか?」
「そうなんだけど、ネトゲで知り合った友達が来てるらしくって」
そう言って、悠斗は足早に去って行ってしまった。
「あらら、どうしよっか」
「じゃあ、三人で行ってみるか?」
「やったー! 水着も貸してもらえるんやって、楽しみやなあ」
食事を終えて、二人に連れられてナイトプールに向かうことに。
エレベーターに乗って屋上へ。
すると、既に多くの学生たちが華やかな施設で楽しんでいた。
「うわあ、めっちゃ人おるんやなあ!」
「凄い人……。これじゃあ泳げないよね」
「せやなあ、でもでも、せっかく来たんやし──」
「──あれ、蘭華?」
興奮気味の蘭華だったが、ふと名前を呼ばれた。
振り返ると水着姿の男女のカップルが。
蘭華は彼氏の男の顔を見て、気まずさを隠すように苦笑いを浮かべる。
「あっ、
「まあな。そっちの二人は友達?」
「あ、うん……」
蘭華に紹介されて、慶谷と呼ばれた少年とアカネと呼ばれた少女に自己紹介をする。
「ふうん、そうなんだ。じゃあ俺たちもう少しここで遊んでるから、じゃ」
手を上げて去っていく慶谷。
腕を組んでいた派手な見た目のアカネは、蘭華を見て小さく鼻で笑った。
「……友達?」
声のトーンを下げて奈菜が蘭華に聞く。
奈菜はおそらく、あの二人の態度にいい気がしなかったのだろう。
俯いて悲しそうな表情をしていた蘭華だったが、空元気のような笑顔を奈菜に向ける。
「う、うん、慶谷はうちの幼馴染なんよ。で、アカネは慶谷の彼女! まったく、勉強合宿はデートする場所じゃないのになあ、ほんま困っちゃう困っちゃう!」
「……」
「人もぎょうさんおるし、ナイトプールは別の日にしよっか」
そう言って足早に去っていく蘭華。
まるであの二人から逃げるかのようなその反応を見て、奈菜は心配そうに、何か言いたげな視線を俺に送る。
それから俺たちは予定を変えてカラオケへ。
「うち、ちょっとお手洗い行ってくるね」
部屋を出て行く蘭華。
「……蘭華、大丈夫かな?」
「大丈夫って?」
「なんか変だったから。もしかしてあの二人と仲悪いんじゃないのかな?」
「さあ、どうかな。まあ、幼馴染が彼女と一緒にいたら気まずい感じはあるんじゃないのか?」
「それだけで、あんな……」
「もしくは、蘭華があの幼馴染のことを好きだったから、彼女といるときに会いたくなかったとかな?」
「……あるかも」
小さく頷く奈菜。
俺は操作していたデンモクを置く。
「まあ、俺たちが気にしてても仕方ないだろ。それより、せっかく二人っきりの個室なんだぞ?」
「あ……っ♡ 祐輔、ちょっと……蘭華が帰ってきたら、どうするのさ」
肩を抱き寄せ頬を撫でる。
嫌がる素振りは見せたが、はっきりと拒む様子はない。
「前に部屋でして以来してないから、こうして二人になると興奮してきて」
「だ、だからって……ほんと、誰かに見られたら大変だから、離してって」
「じゃあ何処だったらいいんだよ」
「何処って……誰にも見られないとこ、とか?」
「だから何処だよ」
「も、もう、だから知らないって! ねえ……帰るまで、我慢できないの?」
「できると思うか?」
「……ううん。祐輔はムラムラしたら我慢できないって知ってる。じゃ、じゃあ」
奈菜は頬を赤らめながら、上目遣いで俺を見つめる。
「消灯前に、する……? もし時間無かったら、その……口で抜いてあげよっか?」
「いいのか?」
「だって、我慢できないんでしょ? そんな状態で我慢させておくわけにはいかないし、それに……」
奈菜は小さな声で「他の子としちゃったら嫌だし」と。
そんな可愛い反応を見て、俺は奈菜にキスをする。
「ん、ちゅ……っ♡ 祐輔、ちょっと……蘭華、帰ってきちゃうからぁ……♡」
「少しだけいいだろ」
「ちゅ、ああ、む……っ♡ ちょっと、だけ……っ♡ ほんと、ちょっとだけだからね……もうっ♡」
ちょっとだけと言いながらも、しっかり舌を絡めて俺を求めてくる奈菜。
乳房を服の上から揉むと「もう♡」と怒って見せたが嫌がる様子はなく、むしろ奈菜は俺の股間を触って「もうこんなに大きくして♡ まだ気持ちよくしてあげられないからね♡」と俺を刺激していく。
そしてふと、窓ガラスの扉の奥からこちらを見つめる彼女の姿が目に入った。