美少女TSおやじは異世界帰還者 帰還後イチャイチャエロエロ生活【後半からはVRファンタジー世界編】 作:えぴっくにごつ
寿有亜とヨロズが早速、建前として用意された冒険劇をそっちのけにして。
欲望のままに事に及んでいた一方。
星図とモカにあっては、まずは素直に序盤のクエスト攻略を進めて行く流れとしていた。
スタート地点より確認できていた最初の街(補足すると、今も寿有亜とヨロズがドスケベに励んでいる街と同一)。
そこでスタート時の所持金から揃えられる限りの装備を整えた後。星図とモカは街のギルドにて、序盤に受けられる低難易度のクエストを受注。
それは街より少し離れた場所に在る、打ち捨てられた炭鉱に。。
そこに根付いた、小さな山賊崩れの一団を討伐するというものであった。
「――ふむ、あれか」
そして星図とモカは、その山賊の根城とする炭鉱に到着していた。
今はその炭鉱の表周りの光景を、そこを見渡せる小高い崖の上から観察している。
「お手本みたいなRPGの悪者の根城だな」
「だねー」
その眼下の光景を観察しながら、星図とモカの二人は零す。
「序盤の低難易度クエストだけど……油断は禁物。気を引き締めて行くよ、モカっ」
「オッケーっ」
それから二人はそう、気を引き締める言葉を交わし。
これより山賊の根城へと乗り込む運びとなった。
「――ふっ!」
「――やっ!」
無駄の美麗な動きで、剣を振るい薙ぐ星図に。
キレのある動きでクナイを投げ放つモカ。
「ぐぁ!?」
「な!クソ!侵入……が!?」
「一人!」
「させないよっ!」
そして遭遇した山賊たちを、剣で切り倒し。クナイを打ち込み倒す。
そんな様子で。廃鉱山に籠り待ち受けていた山賊たちを倒しながら、星図とモカは廃鉱山内の通路を進めていた。
「はっ!」
「そいやっ!」
「クソ……ぐぅっ!?」
「小娘ども……ぎゃっ!」
序盤の低難易度ダンジョンという事もあってか。そして設定上、相手は山賊崩れの木っ端賊ということもあってか。
敵たちは、以前の冒険から戦いに慣れている星図とモカの、その繰り出す攻撃の前に面白いように倒れて行く。
「攻撃エフェクトはリアルだけど……敵は割と簡単な演出でやられていくなぁ……」
「R-18Gにはセーフティが掛かってるってカンジかなっ?」
ある程度は気構え。真剣な色で戦い、敵を討ち倒しながら鉱山内を進んでいく星図とモカであったが。
しかし同時に二人はそれぞれそんな、少し拍子抜けしたような言葉を零す。
星図やモカの繰り出す攻撃は、そのたびにゲーム的なエフェクトによる演出を。しかしゲーム的とはいえ侮れない、使用者に心地の良い凝った演出を見せていたが。
反してそれにやられる山賊たちは、血飛沫を散らすこともグロテスクな傷を作り見せる事も無く。
劇の悪役のように倒された姿を見せると。次にはその姿をまさにこの世界がゲーム、シュミレーションと証明するように消えて行った。
どうにもそれが、このシュミレーションの敵の在り方。演出にシステムのようだ。
「少し拍子抜けだけど……これなら気兼ねなく戦えるかなっ?」
「だねっ。悪い山賊たちは、みんなやっつけちゃおうっ!」
それを察して理解し。星図とモカはそれぞれ不敵な笑みを作って、そんな言葉を交わす。
以前は。電子のそれとはいえ、そこに住まう人々は確かに意志と心を宿す、一つの形として存在する世界で。
生き残りを賭けた苛烈な戦いに身を投じ、時に残酷な場面にすら遭遇し、乗り越えて来た二人。
そんな二人からすれば、今のこの世界は文字道理シュミレーション。
「――おかげで、星ちゃんのバトル中のスケベ姿を存分に楽しめるってモノですなぁっ♡むひゅひゅっ♡」
「モカ……っ」
そしてその最中で。駆けながら戦うと言うアグレッシブな動作上、どうしても無防備なアングルの増えるビキニインナー姿の星図の身を。
これ幸いと戦闘を行いながらも、器用にやらしい眼で視姦するモカ。
そしてそれに顔を赤らめつつ、咎める圧の込めた声色を向ける星図。
そんなように二人は、遊戯として戦いを、冒険を。
ついでにバトル中のラッキースケベを。存分に楽しむ余裕を見せつつ進むのであった。
「――っ!」
「おっとぉ?」
行く手を阻む山賊たちを倒し退け、そこまで複雑では無かった鉱山ダンジョン内を手早く攻略してゆき。
程なくして星図とモカは、鉱山の最奥にあった広めの部屋空間へと出た。
そこは、元は鉱山で働く者のための、休憩施設と食堂を兼ねていたと思しき空間。
そしてしかし内部は荒れ、何よりその奥に居る存在が二人の目を引いた。
空間内に元あった物品に、さらにはおそらく強奪略奪品であろう物品が積まれ組まれ、まるで玉座のように作られている奥の一角。さらには周りに散らばる金目の物。
そしてそこに座すは、一人の男であった。
「――ふん、侵入者かと思えば小娘共か。これに伸されるたぁ、役に立たない手下共だ」
お手本のような、悪役頭目のような台詞を零したその男。
かなりの高身長であり、その肉体には筋肉を蓄え、顔立ちに眼孔は尖りすごみのあるもの。格好もまた質の悪い軽防具衣装を、不釣り合いな貴金属などで飾っている。
この鉱山を根城とする、山賊崩れの頭と見て間違いなかった。
「貴様がここの山賊崩れの頭目かっ!」
「あァ、その通り」
その頭目の男を目に留め、星図は己の得物の剣を堂々と突き出して。問い詰める台詞を発する。
正直言うと、星図の普段のキャラでは無いそれであったが。それは今の「勇者王女」の役職を少し意識してのもの。
それに頭目より返されたのは、隠そうともしない肯定の回答。
「悪い事は言わない、悪事を止めて投降するんだ!そうすれば命までは取らないっ!」
「大人しくお縄についてくれたほうが、お互いのためだよっ!」
続け、星図は宣告の言葉を頭目に向けて発し。モカもそれに同調、不敵な笑みに少し揶揄うまでの色で言葉を続ける。
「嫌だと――そう答えたら?」
それに、しかし頭目の男が返したのは。不敵な笑みを浮かべての嘲るような回答。
「ッ――ならば……容赦はしないッ!」
「そのお命、頂戴するっ!」
その回答、拒絶と一種の戦闘の意思である言葉を受け。
星図は剣を構え直し、臨戦態勢の姿勢を取り。モカも役職であるシノビを意識した前口上を口にして、クナイを構えての臨戦態勢を取る。
「クク、おもしれぇ――ちょいと遊んでやるかぁッ!」
そんな二人の言葉を受けた頭目の男は。次には雑造りの玉座の手元に置いていた、巨大な剣を掴み。
そして倦怠感を露わに、その巨体の腰を上げて立ち上がった。
「その余裕、すぐに崩してやるっ――モカ、援護をっ!」
「おっけーっ!」
そんな余裕しゃくしゃくといった様相の頭目を前に、星図は少し不敵な色で零して返し。
次にはモカに援護を託す言葉を発し。
モカからの返答を聞くが早いか――直後には地面を踏んで飛び出していた。
(初っ端――一撃を刻んで有利を取る!)
相手、頭目は見るからにパワー型。硬さやHPには優れるが、瞬発性や技量には引けを取ると予想された。
それを見て、素早さに任せて先制攻撃を決め。先手を取り、相手の態勢を崩し有利な戦闘のスタートを切る算段であった。
見れば、頭目の男は倦怠な様子で立ち上がったばかりで、まだ戦闘態勢も整っていないように見える。
隙を、先手を突く絶好のチャンス。
(行けるっ!)
それを見止め、そして次には星図は頭目の間近懐へ踏み込み。その手の剣を恐るべき素早さで突き出した――
カキン、と。
何か虚しいまでの、控えめな金属音が響いたのは直後。
「――え?」
「はぇ?」
想定していなかった思わぬそれに、星図は。背後で援護位置に着いて居たモカも、呆けた声を上げてしまう。
「――ハハァ」
星図が見上げれば、見えたのは星図を見下ろして、下卑た笑みを浮かべ見せる頭目の顔。
同時に見えるのは、頭目の手によって盾代わりに構えられた巨大剣が。星図の突き出した剣の剣先を受け止め、その刺突を阻んでいる様子。
星図はそこで理解が及ぶ――「防がれた」のだと。
(!?――この男……見かけよりも速い……――!?)
そして星図は。頭目が見かけに反した俊敏性を持つ事に気づき、それを脳裏に浮かべかけたが。
それは、直後に襲った衝撃に掻き消される。
「――……えっ?」
気づけば星図は、とてつもない打撃衝撃をその身に受け――吹っ飛ばされていた。
「――……え?」
気づけば、吹っ飛ばされていた星図。
明かせばそれは、初撃を防がれ意識を持っていかれ、隙を作ってしまった星図の。
その身を襲った、頭目の男からの拳の打撃によるもの。
「――!?……ぐぁっ!?」
少なくとも、自分が吹っ飛んでいる事に理解が及んだしかし直後には。
星図はその身を、床に落とされ叩きつけられていた。
「!?――星ちゃんっ!?」
本人よりも早く。
星図が隙を狙われ、頭目の男の繰り出した拳の打撃に吹っ飛ばされ。少しの距離を飛び抜けて叩きつけられた事実を理解したのは、傍よりそれを目撃したモカ。
「星ちゃ――えっ!?」
それに衝撃を受けつつも。モカもまたその身に沁みついた戦闘の基礎から、まずは星図の身を庇い、防護態勢を取り直すべく。
クナイを構え、仇敵たる頭目の男へ意識を向けようとした。
しかし。その頭目の男は、その巨体から信じられぬほどの速さで。気付けばモカの懐へと踏み込んでいた。
「――うぎゃっ!?」
そして、それをモカが認識した次には。
その強靭な拳の打撃が今度はモカに叩き込まれ。モカは今の星図を倣うように、今の空間を思いっきり吹っ飛ばされ、次には星図の隣へと叩きつけられていた。
「モカっ!?」
やはり染みついた戦闘の本能で。痛みに悶えるよりも早く身を起こしていた星図は、同じ事態に陥った相棒を目に声を上げる。
「くっ!まさかこんなっ!」
序盤の、それもここまでの容易な難易度からは想定していなかった、まさかの強敵の出現。
今一度意識を自身の身に巡らせば。
これがテストが目的のシュミレーションという事からか、痛みは有るもののぼんやりとした物で、行動に差して支障は無い。
それを確認すると、星図は改めての策を脳裏に巡らせながら。ともかくその身を起こそうとした。
「――……え?」
しかし、妙な事に気づいたのはその直後だ。
身体が、ほとんど動かないのだ。
まるで鈍重な重しで地面に留められたかのように。星図の身は這うようにしか動いてくれない。
「なん、で……?」
「星ちゃん!」
疑問を口に漏らしたのも束の間。次には、見れば同じ様子のモカから、しかし何かを示す動きが見せて寄越される。
見ればモカの手元には、投影表示されたステータスウィンドウ。目を引くは、その内の赤く囲われた「空ゲージ」。
「!」
慌て、星図もそれに倣い、自身の手元に投影されたステータスウィンドウに視線を落とす。
そこにある、体力、HP数値を表示するゲージが――空に、0になっていたのだ。
「う、そ……戦闘不能……!?今の、一撃で……!?」
そう、星図とモカは。今の頭目の男より喰らった一撃によって。たったそれだけでHP0に、戦闘不能状態に陥ってしまったのだ。
あまりの想定外の事態に、目を剥き驚愕する星図。
「序盤にこんなこと……っ!?」
序盤の序盤であるダンジョンで、遭遇したまさかの強敵に状況。それに最初、信じ難いといった表情を浮かべる星図だが。
「――あ」
しかし、直後に星図はそれが示すある事に――ある一つのゲームの「イベント」に思い当たった。
「これ……まさか、「負けバトル」……?」
「……え、えぇ~~……?」
そして、言葉にされた星図の推察。
それに、それを隣で聞いたモカは。そして発した星図当人すらも、その顔に困惑の色を浮かべた。