まだ12月が始まったばかりだというのにとっくに街はクリスマス一色だ。
「クリスマスイブとクリスマス、あとその前の土日は朝から晩までバイトで会えそうにないから、かなり早いけどこれ、クリスマスプレゼント」
いつもの〝二人の時間〟を愉しみ終えて服を着たみゆちゃんに、食器棚に隠しておいたクリスマス包装でリボンの付いた小さなショッパーを差し出した。
以前二人でショッピングモールをぶらついてた時みゆちゃんの目を強く惹いていたと思われるプチプラアクセサリーを、後日こっそり抑えておいたものだ。
「えっ、ありがと。これ開けていいの!?」
「もちろん。喜んでもらえると良いんだけど」
いくら俺が一人暮らしの貧乏学生といっても、大事な彼女へのプレゼントに小学生が頑張ってお小遣いを貯金すれば買えるようなアクセサリーが一つっきりじゃ格好がつかない。
みゆちゃんが気にしてたのはキラキラした蝶のチャームのペンダントだったが、同じシリーズものらしい数点にジュエリーポーチも一通りまとめて買っておいた。
「わっ、わっ、これ気になってたやつ……やば、シリーズでマグピもあったんだ、知らなかった!これすっごいカワイイ!」
早速みゆちゃんはプレゼントのアクセサリー一式をひとしきり光にかざしたり、ジュエリーポーチに並べたり、そしてもちろん取っ替え引っ替え着け替えて鏡に映った自分の姿を楽しんだりもした。
その間みゆちゃんは何度俺にありがとうを言ったことか。
でも俺は恋人の、みゆちゃんの、こんな嬉しそうな顔を見たかっただけなんだ。
俺のセンスで女の子にプレゼントなんて自信なかったから、ここまで喜んでくれると俺も嬉しくなる。
だが数分もすると急にしおらしくなって、俺に向き合った。
「あのね、私24日も25日もお兄ちゃんと会えないなんて思ってなかったんだよね。だから私もクリスマス当日プレゼントあげたいって思って用意してたけど……こんなすごいのもらったらつり合わなくて、どうしよう…」
「そんなの良いんだよ!俺にとっては大した金額じゃないし、何よりこれは俺がみゆちゃんに喜んで欲しくてやったことなんだから」
「ん~……じゃあプレゼントは予定通りに用意するけど……」
みゆちゃんはまた何か思いついたときのいたずらっぽいドヤ顔を見せた。
「その分の差はまた今度、いつもとちがうエッチでうめ合わせ、しちゃおうかな」
ことエッチなことに関しては、いつもみゆちゃんは思い切りが良いと思う。
「……今度だけ特別に、私のおしりの穴で遊ばせてあげる」
「良いの!?前触ったらみゆちゃんすっごく怒っちゃったじゃん」
「だってあれからもお兄ちゃん、いつもおしりの穴気にしてたでしょ。分かってたもん」
あちゃ、バレてたか。
まだ色素が沈着してない綺麗なピンクのアヌスが、イッた後ひくひく蠢いてる様のエロさに、俺の目はいつも釘付けなんだよな。
プレゼントの差額分でそのアヌスを使わせてくれるだなんて、お釣りの貰い過ぎで俺が大儲けだよ!
「今度来るまでおしりの穴の練習しとくから。でもエロマンガみたいにおちんぽは入らないかもしれないから、その時はがまんしてね」
「いや、それだって願ってもないことだよ!今から楽しみだなぁ~」
俺の欲望に応えようとしてくれるみゆちゃんのその気持ちが一番嬉しい。
ついさっき事を終えたばかりなのに、また勃起しちゃいそうだ。
それにしてもみゆちゃんには未だちょいちょい淫語を教えているが、アナルとアヌスの言葉の違いを説明するのが煩わしいのと、今の〝おしりの穴〟って言い方が可愛いので、敢えてそのままにしておこう。
クリスマス時期のバイトシフトの辛さは、特別手当とこのバイトが明けてからのみゆちゃんとのあれこれを妄想することで、頑張って乗り切ることができた。
だからその次の土曜の朝みゆちゃんが部屋を訪れた時、ドアの前で唇を噛んで佇んでいるみゆちゃんの姿に驚かざるを得なかった。
「みゆちゃん、どうしたの。何かあった!?」
俺のシャツの裾を掴んで部屋に上がると、みゆちゃんは声を絞り出した。
「うちね、もうすぐ遠くに引っこさなきゃいけないんだって……もうお兄ちゃんに会えなくなるんだって……」
「えっ、どういうこと!?」
予想もしてなかった一言に、一瞬で身体中から血の気が引いた。
そんな馬鹿な。みゆちゃんはふざけてもそんな嘘や冗談を言う子ではないのは知ってる。何かの間違いじゃないのか。
座ってコタツに固く握った拳を載せたみゆちゃんは続ける。
「元パパがね、だんだん養育費?っていうのをあんまり送ってくれなくなったんだって。それでお金がなくて、このごろママが仕事を増やしてがんばってたんだけど…」
そういえばここしばらくみゆちゃんママが土曜のお昼に帰れないことが増えてきてるとは思ってた。
単に年末で仕事が忙しいのだろうと思ってたが、まさかそういう事情があったとは。
途切れ途切れの語り口から、みゆちゃんが涙を堪えてることが容易に分かる。
「それでもだんだん大変になって、そしたらいなかのじぃじとばぁばがうちにおいでって、いっしょにくらそうって言ってくれたんだって」
お金の問題ばかりは……正直仕送りとバイトで生活してる学生の俺では力になれない。自分の無力さが歯痒かった。
エンジ色のジャンパースカート姿のみゆちゃんの胸元に光る、俺がプレゼントした蝶のペンダントチャーム……こんな時でなければみゆちゃんの愛らしさを引き立てるこの輝きを嬉しく思えただろうに。
辛うじて自分が最初に口から絞り出した悪あがきの言葉はこうだった。
「お爺ちゃんお婆ちゃんの田舎ってどこなんだい。そんなに、もう会えないくらいってどれくらい遠いんだい」
みゆちゃんの言う町を検索したら、ここからざっと……例え新幹線を利用したって在来線やバスを乗り継いで、移動時間にして半日近く掛かりそうな田舎町だ。交通費は往復で何万円かかるんだろう。
こんなのそうそう会いに通えるわけがない。みゆちゃんはスマホを持ってないし、もちろん郵便では秘密のやりとりなんて出来るわけ無いから、遠距離恋愛だってかなわない。
これが青春もののラノベやノベルゲームなら、彼女を行かせないようにするために主人公が奮闘したり、はたまた二人で駆け落ち同然に逃げ出したりするんだろう。
だが現実の俺達は経済力もなければ自立も出来てない、まして交際してることを表に出せない大学生と小学生の禁断カップルだ。
完全に繋がりが断たれてしまう……奈落に突き落とされたような、とはこういう気分か。
「急いで手続きして、3学期が始まる前に私だけ先にあっちに行って、ひと月かふた月くらいおくれてママが荷物といっしょに来るんだって」
そんな、急すぎる……
「ここ何日かママがその準備で忙しくしてるの。今日も帰りは夜になるっぽい」
テーブルに涙が一滴、二滴。
「だから、今日はゆっくりエッチできるよ」
「こんな時に何言ってんだよ、みゆちゃん?」
みゆちゃんの両肩を掴んで向かい合った俺に、みゆちゃんが
「だって多分これが最後だから。私がお兄ちゃんをわすれないように。お兄ちゃんが私をわすれないように。今悲しいのがなくなるくらい、いっぱい気持ち良くして」