転生したら寄生生物なんですけど!? というかち×ぽなんですけど! 作:真喜屋五木路
ある朝――
(……ん?)
始めに感じたのは違和感。
いつものように寝すぎて寝違えていないかを確かめるように、ぐいっとのびをしようとした時だった。
身体が伸びている感覚があるのに、腕が伸びない。
いや、伸ばすための腕がないのだ。
ぎょっとしてあわてて布団から飛び起きようとしたところで第二の違和感。
立ち上がろうにも足がない。
頭の中を混乱の嵐が吹きすさぶ中、とうとう先ほどからどうやっても視界が真っ暗なことにも気づいてしまった。
おかしい、おかしすぎる。
ドクドクと全身が脈打ち汗ばむなか、可能な限り落ち着いて昨日のことを思い出す。
起きて、食って、ゲームして、寝て…何をするでもなく只無為に一日を過ごして、寝て――
うん、いつもと変わらず怠惰に何をするでもない引きこもり生活を送っていた筈だと確認する。
(まさか、寝ているうちに何かの事故か事件にでも巻き込まれて四肢から視覚から全部失ってしまった――?)
最悪の予想に武蔵は全身をぶるりと震わせて――そこで体は存在するということに漸く気がついた。
自分という存在が完全に失くなってしまったわけではないことに、僅ながらの安堵を感じて。だが明らかに異常な現状を確認するため怖々ながら、全身に意識を巡らせる。
体幹はぶよぶよとした浅黒い皮と太い血管が浮いていて、足元(といっても足はないのだが)から上に向かうにかけて徐々に中太り、また細くなっていっている。
この時点で絶望的なまでに醜い姿なのはもう分かったが、問題はその先だった。
切れ込みを入れたように突然狭まった首と、その先につく返しのついた弾丸のような頭。
目や耳といったものはまるでなく、妙に艶々とした薄い皮におおわれたその先端に、唯一の構造物である小さな唇がついていて、そこからとぷとぷと唾液が流れ出て……。
(……待った。この形どこかで見たような……?)
気づくな、馬鹿、止めろ! というように拒否感を鳴らしまくる脳を無視して、考え、気付いた。
気付いてしまった。
――あ、これ、俺のち×ぽだと。それも臨戦態勢の姿だと。
(って……な、なんじゃこりゃあああああぁっ!?)
全身全霊の叫びも声にはならず、代わりに我慢汁が鈴口からぴゅぴゅっと飛び散る。
粘液が放たれる度、うっすらと快感があるのがまた腹立たしい。
(うッ……起きたらち×ぽになってるとかマジでどういう状況だよ……)
快感と、それ以上に言いようのない嫌悪感に全身(ち×ぽ)を身震いさせたところで、肝心なことに気づいた。
(というか、俺がち×ぽになったってことは俺の体の方はどうなったんだ?)
当然ち×ぽがあるということは、順当に考えればそれが付いている身体があってしかるべきだ。ち×ぽ単体がそこら辺をぴょこぴょこ飛び回っているなんて、控えめに言って十八禁ものの悪夢である。Gがつく意味でもつかない意味でも、モザイク必至だ。
恐る恐る意識を自分の根本に向けると、案の定体とおぼしき物体の感覚があった。
一先ずエログロホラー状況は避けられたことに安堵する武蔵だが、そうなると今度は本体の様子が気になる。
(まさかとは思うが、やっぱり体の方に何かあって動かなくて、意識だけち×ぽに残ってるとかないよな……?)
仮にそうだとすれば、完全に詰んでいる。
意識だけあって動けないとか拷問などというレベルではない。……いや、ち×ぽとしては生殺しというべきか?
既に自分がち×ぽであることを若干受け入れ始めていることに、ゾッとしないものを感じる武蔵。
ともかく、これからどうすればいいのか考えるためにも、恐ろしくはあれど体の状況を確かめなければならない。
ち×ぽが体の方を認識できるんだろうか、という疑問はあるが、兎にも角にも根本の奥、おそらく腰があると思われる場所へ意識を集中してみる。
(――んぐぐぐぐぐぐッ! ……お?)
武蔵が暫くあれこれ意識を捻ったり伸ばしたりしているうち、なんとなく膜をつぷん、と越えたような感覚と共に、視界が一気に開けた。
薄暗い視界の中央には、隆々とそびえ立つマイ・サン。その下にはちゃんと足が続いているし、鈴口から溢れた先走りを受け止める手もちゃんと二本ある。
(おおおっ、良し! なんか知らんが戻れたぞ!)
生き返った歓喜に思わず武蔵が大声で叫んだ瞬間だった。
「だ、誰ですかっ!?」
鈴の鳴るような可愛らしさの中にもどこか芯を感じさせる声。まだ年若い少女とおぼしき響きが、鼓膜と声帯を震わせる。
そんな明らかに男性のものではない声が自分の体から発されたことに武蔵はぎょっとして。
よく見てみればおかしなのは声だけではない。手指もほっそりとした少女のものに見えるし、すっと流麗なカーブを描いた足は動きやすそうながら可愛らしい白い靴が履かれていて――極めつけは、見下ろす体が着ているひらひらとしたスカートに、胸元が大きく開いたドレス。その間にはなだらかだが女性を象徴する起伏がはっきりと存在していた。
自分の体だと思ったものが少女の物であることに、ますます状況が分からなくなった武蔵だが、更にその混乱を加速させるように前方から別の声が割って入った。
「姫様、大丈夫ですか!?」
若い、だが先ほどの声より少し年齢は上だろうか。慌てていても凛とハリのある声の方へ視界が勝手に上へ動くと、黒く薄暗い岩肌の陰から古風なランプを手にした女性が飛び出てくる。
そして飛び出すと同時に、彼女の視線が一点へと、目下武蔵の本体らしきち×ぽへと吸い寄せられた。
執事服のようなパンツスーツ姿に大きな胸を押し込めた、スポーツでもやってそうなボーイッシュ美少女の口が、ぽかんと間抜けに開く。
「っ?! し、シア様……? それ……は……」
「こ、これは……」
それが何かは分かっていなかったものの、驚愕の視線から反射的に隠そうとしたのだろう。『シア様』と呼ばれた体の主が、両手でち×ぽを握りしめ――その瞬間、武蔵へと痺れるような快感が走った。
(くぉ……ッ!?)
敏感な亀頭の粘膜を締め上げるのは、少女の細く白い指。初めて経験する異性とのスキンシップに、指と触れているところを中心として熱が広がる。
そしてその刺激は、身体の主であるシアにも伝わった。
「んぁぁ、っ……?」
少女の腰裏を、ぞわぞわ、ぞくぞくするような未知の感覚が襲う。
「なに……これぇ……っ」
自らの股に生えているコレが、異性の性器であることすらまだ知らない初心な少女にはそれが快感だと、ましてや彼女が一生経験するはずなどなかった男の快感だなどと分かる訳もない。
理解不能な刺激へ、内股気味に膝を崩してただ耐えるだけ。
そんな裏で、快感の発生源である武蔵も少女と同じように悶絶する。
(おい、お前! いきなりそんな強く掴む……っおぅ!?)
自身の扱いへ抗議しようとするも、逆に驚いたシアの手に力が入ったことで、それどころではなくなる武蔵。
何せ、今の彼は文字通り全身がち×ぽなのだ。体があった頃の快感とは比べ物にならない刺激に、残った意識を総動員して耐えねばならなかった。
碌に言葉も発せず悶える一人と一本。そんな彼らに代わって状況を解決できうるのは自分だけだと、呆然としていたパンツスーツの少女は漸く自分を取り戻す。
「……姫様! 大丈夫です! ぼ、ボクがすぐ、なんとか致しますから!」
と言っても、ボクっ娘執事服ボーイッシュ少女にとっても仕えるべき、そして敬愛する主にいきなりグロテスクな男性器が突然生えたのだ。冷静でいられる訳がない。
「り、リズぅ……おねがい……っします……」
それでも涙目で懇願する主の為に、何とかしようとビクつく男性器に恐々手を伸ばし、シアに代わってち×ぽを掴んだ。
「あぅッ……!」
「す、すみません姫様! い、痛かったでしょうか……?」
「そうじゃなくて……んッ、コレに触ると、何か変な感じが……さっきからずっと……んぅッ!」
自らの股に付いた物の名前すら知らない程、性知識が碌にないシア。それでも本能的に、体が火照ったような感覚と、衝動じみた切なさを抑え込もうと身を捩り、図らずともリズの手にち×ぽを擦りつける状況となる。
「んあぁっ♡」
(――うくおぉぉッ)
彼女の口から自分でも聞いたことのないような甘い声が漏れると同時、再び頭の中に男の声が響いた。
目の前のリズは、知識としてではなく初めて生で見る男性器に顔を赤らめながら、びくびくと戦慄くグロテスクな肉の棒をおっかなびっくり押さえつける事しかできない。
やり場のない熱に悶えるシアは、溺れる者が藁へと縋るように、正体不明の声へと救いを求めてしまった。
(っ、あのっ……この、ぞくぞくするの、やっ……どうすれば、おさまりますか……っ?)
(どうするも何も、オナニーでもして、射精させれば少しはましになるだろ!)
(お、『おなにー』? 『しゃせい』?)
(何カマトトぶってんだ! こっちもさっきから中途半端な刺激ばっかでヤバいんだって――くッ、ああくそっ、なんだこの寸止め的な状況は!?)
怒ったように肉の棒が先ほどより強くビクン! ビクン! と上下に揺れる。
だが、急かされた所で分からないものは分からない。むしろ切羽詰まった分神経を焼く雷のような衝動を強く感じるばかりだ。
(そ、そうは言われても本当にどうすればいいのか……! 他に何かないんですか?!)
(なら目の前の奴に手コキでもしてもらえ! 一回出せば少しは落ち着く……んほおぉぉっ、もう無理なのおぉぉぉぉっ!?)
そこでプツンと男の声が途切れる。
偉そうに指示していた武蔵だったが、実の所彼自身も初めて接触する柔らかな女の子の手に理性を磨り減らされており、とうとう限界を超えてショートしてしまったのだ。
再び頼れるものがなくなったシアは意味を理解しないまま、ただ楽になる為、残された言葉を従者へ繰り返した。
「リズっ、出せば楽になるみたいだから……っ、お願い、『てこき』? してっ」
「――っ、そ、そうですよね、やっぱり出さないとダメ、ですよね。分かりました姫様。そ、それでは失礼します……っ」
目を白黒させながらも、従者は覚悟を決めた目で小さく頷く。
伝わった。シアは漸く楽になることができるのだと安堵し、小さくため息をつく。
しかし僅かとはいえそうして心の余裕が戻ると、実際にされる前に自分が命じた『てこき』とは何なのか疑問が湧いてきた。
やっぱりされるまえにリズになんなのか訊いた方が――そう思い直しかけた瞬間、シアの肉茎が中ほどからきゅっ、と締め付けられた。
「ひやあぁっ!?」
今まで軽く触れる程度だったリズの手が肉の棒を搾り取るように握りしめている。なのに、脊髄を駆け上がるのは痛みでなく、先ほどの数倍はある衝動じみたむず痒さ。
楽になると気を緩めた状態から一転、理解を超えた快楽地獄に落とされたシア。
しかもリズは彼女が静止することもできず、ただ耐えるしかない間に、握りしめた手を前後へとゆっくり動かし始めた。
「……姫様、お加減はいかがでしょうか? ボクも、実際にするのは初めてなので……」
(そんなコト、言われてもぉ……っ)
加減も何もあったものではない。彼女が手を前後に動かすたび、どんどん腰裏ではむずむずが強くなり、苦しいような、それでいてどこか甘美で鮮烈すぎる刺激が脳を容赦なく突き上げてくるのだ。
「はッ、はぁッ、あッ――り、リズ……リズぅ……」
「姫様……いいんですね? 腰、動いて……」
従者に指摘されてはじめて、シアは自分の腰がぎこちなく前後に動いているのに気付いた。まるで醜い肉の棒をリズの手に押し付けようとするかのような浅ましい動き。
止めなくては――そう思うのに、腰はそんな意思を無視して動いてしまう。
「ご、ごめんなさいリズ……! 勝手に腰が動いてしまって……リズの手にこんな醜いものを……」
「謝られる必要はありません。ボクは姫様の従者ですし……それに、姫様のモノなら……」
そこで言葉を区切って視線を逸らす従者の姿に、シアの中で燻っていた快感が燃え上がる。
どうしてかは分からない。けれど胸が締め付けられるような、頭が湯立つような感覚。
(何か、来ちゃう……! 何か……出ちゃいそうっ……!?)
シアの滑べやかな膝小僧が戦慄いて軽くぶつかる。
もう立っているのがやっとの状態な中、頭の中の声が言っていた「出せば落ち着く」という言葉が頭を過り、シアはそれに縋りついた。
「はぁっ……! リズ、あと少し……あと少しでッ、はっ、出ちゃいそうだから……んっ、もっと、もっと早くぅ……っおねがいぃ……!」
「っ、分かりました……痛かったら、言ってくださいね?」
「んッ……! あぁッ、もっと……もっとぉ……っ!」
リズが顔を赤らめながら手の動きを早くすると、吐出感がどんどんシアの腰裏で膨らんでいく。
それに合わせて肉棒の先端から、先走り汁が珠となって零れ落ち、嗅ぎなれない生臭い匂いが広がった。
当然それは肉の棒を掴むリズの手にも纏わり付き、手を動かすたび、にちゅっぬぢゅっ、と粘着質な音が響く。
過剰な箱入り育ちのシアと違い、従者として経験は伴わずとも知識だけはあるリズには、それが絶頂へと主が近づいている証拠だと分かった。
「姫様、我慢は不要です。いつ出して頂いても、ちゃんと受け止めますから……!」
「は、はいぃ……っ!」
早く出したいのに出てこず、ただ膨らみ続ける吐出感に、シアは最早礼を言う余裕もない。緑の瞳に涙を溜めて首を縦に、腰をへこへこと前後に振る。
幸いというべきか、知識も経験も碌にないシアの快感へのキャパシティはまだ少なく、不慣れな手淫でもあっという間に臨界へ達した。
「あ……っ、出るっ!? 何か、なにか――来ちゃうぅ!」
シアが切なさに耐えられず膝を折りそうになった寸前、彼女の腰がぶるぶるっと戦慄く。
それを聞いたリズは知識を頼りに、手の前後動へとスパートをかけた。
ぢゅっ、ぢゅこっ、ぢゅずっ、ずぢゅっ――!
淫らな水音と自らの荒い呼吸音が洞窟の中で反響し、シアの鼓膜を叩き――瞬間、薄暗い視界がぱっ、と白一色に染まった。
「ぁ――――ッ♡」
「わっ!? ぁ……」
どぷっ、どぴゅぷっ!!
粘着質な噴射音と共に、歓喜極まった嗚咽と、驚いたような声が重なる。
(なに、これぇ……きもち、いい……?)
初めて経験する絶頂と、知る筈のなかった射精の快感の混ざりあった法悦。
シアはただただ、陶然としながら少女らしい白いお腹に似合わぬ赤黒い剛直を震わせ、白濁を噴き出し続けた。
一方の従者も、未だ目の前の現実をしっかりと理解はできず、ただ自分の手を汚していく白濁液の熱さに呆然とする。
「これが、シアの……」
自らの手に吐き出される主の精液、その熱と匂いに、従者はどこか感じ入るような表情を浮かべながら動けずにいた。
――こうして全員が全員、何が起こったか理解できないまま、目の前の状況に振り回されて三者は出会ったのだった。
誰にとは言明しないけど色々ごめんなさい。