転生したら寄生生物なんですけど!? というかち×ぽなんですけど! 作:真喜屋五木路
――熟れた果実が弾けるような音と共に、聞きなれた従者の叫びが耳に届いた。
「シア様ああぁぁぁぁああぁぁッ!」
途端、蕩け落ちそうだった意識が何とか形を取り戻す。
「り、ず……? っ! リズ!」
目を開くと先ほどまで獲物を弄ぶようにゆったりと蠢いていた触手たちは、苦しげに中空をのたうち回っていた。手足を捕らえていた拘束も緩み、そのままシアの身体は小部屋の柔らかな底部へ落下し。
「――痛っ」
そのまま底を突き破って、破れた底をクッション代わりに、ダンジョンへの地面へと転がり落ちた。
上を見上げると、先ほどまでシアがいたのは小部屋でなく、ダンジョンの天井に張り付いた袋状の物体だったらしい。
リズによって大きく引き裂かれた緑の袋の周囲にはびっしりと根が張っており、その中からは先ほどまで襲って来ていた触手が苦しそうにのたうっている。
「シア様ッ! 大丈夫ですか!?」
呆然とその様を眺めていたシアの顔を、リズの心配そうな表情と声が覗き込んできて、漸くシアは自分が間一髪のところで救出されたのだと理解した。
――
「ムサシ、お前肝心な時に限って全然役にたってないじゃないか!」
『うるせぇな、相性ってもんがあるだろ相性が! そもそも言われた通りシアの貞操は守ったんだから感謝されこそすれ恨み言を言われる筋合いはないだろ!?』
「ボクは”姫様と”姫様の純潔を守れと言ったぞ!? お前はこんな状態の姫様を見て、それでも守れたと言いはるつもりか?!」
『くっ、それは……』
ムサシは媚薬から逃れるため寄生しなおしたリズの視界に映る、目の前で横たわったシアの様子に口ごもる。
「はぁ、はぁっ……♡ リズ……私は、大丈夫です……から」
マット代わりの外套の上に横たわったシアは、苦し気に身を捩りながらもリズとムサシに笑みを見せる。
リズによって近場の水場まで運ばれ媚薬を洗い流しはしたものの、未だその吐息は抑えきれない熱に揺蕩い、瞳の焦点はぼんやりと夢見心地だ。
何より、スカート越しに股を押さえる右手が、半ば無意識に秘所を擦っている。
マンイーターの媚毒が抜けていないのは誰が見ても明らかだった。
「姫様……。おいムサシ、お前みたいに媚薬を何とかできないのか?」
『そうは言われても、俺だってただ単に寄生先を変えただけで、特に何かやった訳じゃないからな……』
つい先ほどまでムサシも媚薬の影響に苦しんでいたのだが、まともに話せないシアに代わって状況を伝えるため、リズに寄生しなおしたのだ。媚薬の影響がなくなったのはそのついでで、寄生蟲でないシアへ同じようにできるはずもない。
『とはいえ確かにこのままっていうのはマズいよな』
ムサシも喰らったからこそ分かるが、あれだけ強力な媚薬なのだ。自然に抜けるまでどれだけの時間がかかるか分かったものではない。
その間、荒い吐息を間断的に吐き出しながら背筋を戦慄かせるシアをこのままただ見ているだけ、という訳にもいかないのもまた事実で。
『というかリズ、お前シアを助ける時あれに触れて大丈夫だったのか?』
「いや、ボクだって触れたら無事じゃすまない。相手がマンイーターだと既に分かっていたから、触れないように外套と手袋を付けただけだ」
なるほど近場の岩に干されている外套と手袋はその後洗ったものなのだろう。
『というか、植物のくせに人の精を喰うとか本当にヤバいやつだった……』
否、考えてみれば元の世界にも食虫植物なんてものがあったし、魔力のような物がある世界では動物の精力を栄養源とする植物がいてもおかしくないのだろうか。
そんなことを考えていると、リズが不機嫌そうに吐き捨てる。
「おい、一人で助かった感慨に浸るな。そんな暇があったら姫様を助ける方法を考えろ」
寄生蟲に対する不満と共に、主が苦しんでいるのに何もできない自分を責めるような響きも混じった声音。それを聞いたムサシも申し訳なさに、改めて対応策を考える。
『……だけど、もう出来ることといえばリズがシアを慰めることしかないんじゃないか?』
「……ッ!? な、なな、なぁっ……ば、馬鹿なことを言うなよムサシ! ボクがそんなシア様のことを……慰める、なんて……」
飛び上がりそうになりながら顔を真っ赤にするリズだが、その耳は無意識なのか期待にぴょこぴょこと跳ねて、ち×ぽもむくりと目覚めかけてしまっている。
と、今まで媚熱に唇を噛んで耐えていたシアが口を開いた。
「私からも……お願い、します……」
「姫さま!?」
「お願いします……リズ、ムサシ様……どうか、ここの疼きを、止めて下さい……っ」
そう言ってシアはよろめきながらも立ち上がると、両足をはしたないほど大きくがばっと開き、スカートを臍が見えるくらいまで大胆に捲り上げる。
その下から現れるのはじっとりと濡れそぼったパンツ。蒸れた甘いような香りからも、濡らしているのが水や媚薬の残りによるものだけでないと分かった。
思わずリズの喉が、こくりと唾液を嚥下する。
勿論、それを見逃すムサシではない。シアには聞こえないようひっそりと、だが口の端を持ち上げた笑みを浮かべるようにリズへと語りかける。
『なあリズ、これは不可抗力だって。シアを救うために今できることはこれしかないんだ、だろ?』
(そ、そんなこと言われてもだな……ボクなんかがシア様の操を頂く訳には……)
『そうか……じゃあ仮にだぞ、またシアが今回みたいに貞操の危機にあって、そして今度はリズの助けが間に合わなかったらどうするんだ』
(それは……そうならないように全力を尽くすしか……)
『それで? 守れなかったことを後からシアに謝りでもするのか?』
(うぐ……)
あわやそうなりかけた直後なだけに、リズは大した反論もできず、ムサシの口車に押されてしまう。
『――なあシア。今後どうなるか分からないんだ。化け物に無理矢理犯されるくらいなら、信頼できるリズに優しく初めてを貰われた方がいいんじゃないか?』
「はぁっ……んっ♡ そう、ですね……今後も無事であるとは限らないのは事実ですし……それなら、リズに……」
「姫様……」
シアのもっともらしいご指名に、リズの心の天秤がカタリと傾く音がした。
といっても。若干感極まったリズは気付いていないようだが、シアの言葉は凡そムサシが言ったことの反復である。
忙しなく細い内腿を擦り合わせる仕草に、熱っぽい瞳。
ムサシの予想通りに、シアの脳内はほとんど満たされない快楽に占められていて、どうやって下腹を焦がすじれったさを鎮めるか、ということしか考えられていなかった。
「……分かりました姫様。このルイズ、謹んで姫様のお相手を務めさせて頂きます」
それを聞いた瞬間、シアは悩まし気に寄せていた眉根を溶かして甘ったるい表情を浮かべると、リズへとしなだれかかった。
「ありがとう……リズっ♡」
「っ……い、いえ! こちらこそありがとうございます……?」
柔らかな矮躯を抱きとめ、敬愛する主の発情した体臭に包まれた従者は、若干混乱気味に礼を言う。
そのまま暫く主の熱を腕の中に感じながら、あーうーと視線を彷徨わせるばかりのリズ。痺れを切らした寄生虫が、彼女をせっつかせる。
『……ほらリズ、腹が決まったんならさっさと始めようぜ。いつまた魔物に襲われるかも分からないんだ』
(う、や……それはそうなんだが……)
『なんだ今更、煮え切らないな。……もしかしてシアのこと嫌いなのか?』
寄生虫がわざとらしくシアにも伝わるようにそう言うと、艶を帯びた緑の瞳がリズを不安げに見上げる。
「そう……なのですか? でしたら無理に、とは……」
「そ、そんなことないですから!」
(くそッ、ムサシお前……っ)
『俺に文句言う暇あるなら、さっさと愛しの姫様を言葉だけじゃなくて行動でも安心させてやるんだな。それとも何か? リズができないっていうなら、身体を預けてくれれば俺が”支配”で代わりに――』
(そんなこと恐ろしくて出来るか! 分かった、分かったよ!)
顔を真っ赤にしながらも吹っ切れたのだろう。リズはしかとシアと瞳を見つめ合わせて、震える唇を開いた。
「……その、姫様。ボクも経験と呼べるものは昨日の姫様と、ぐらいなので……もし、何か嫌だったり痛かったりしたらすぐに言って下さい」
「分かりました、お願いしますね……リズ♡」
止まない性の渇きがやっと満たされることに、シアの心臓が一際高く跳ねる。それは薄い胸越しにリズへも伝わり、彼女の身体が熱を帯びた。
――シアさまとセックスする――妄想したことはあれど、決して叶う筈がない。そう思っていた事態が突如間近に迫り、リズは頭が沸騰しかけているのを感じた。それでも何とか冷静であろうと逸る衝動を抑え、ゆっくりと唇を開く。
「で、では……いきなり挿入すると痛むかもしれませんから、先ずは愛撫からさせて頂きます」
「あい、ぶ……?」
マンイーターの媚薬により、本能的に雌としてどうすれば疼きが抑えられるか理解してしまったシアだが、そういった知識が十分でないことに変わりはない。小首を傾げる主に、リズは恥かしそうに困ったように眉をぐにゃらせる。
「ええっと……そうですね、姫様はご自分でお股を触られて気持ちよくなったりという経験は……?」
「いえ、無暗に触るものではないと言われてましたから……」
『おう良かったなリズ、挿入れるのだけじゃなく、触るのもお前が初めてなんだってよ』
(う、うるさいっ! 心を乱すようなことを言うな!)
寄生蟲の横槍にますます顔を赤くしながら噛みつく従者だったが、それは自分の心臓が痛いほどに脈動しているのが分かっているからだった。
「あー……お股には触ると気持ちよくなるツボのようなものがいくつかあって、それをマッサージのように刺激することで、ペニスを入れる準備をすることを愛撫と言うのです」
「分かりました、つまり……リズは入れる前に私のお股を触りたい、と」
「……触りたい、というか触らせていただくというか……」
今から愛撫しようという主の口からそう言明されて、再びこんなことをしていいのか、他に何か方法が――と躊躇しかけたリズだったが。
『あー、違う違う。前も言ったろ? そこはちゃんとま×こって正式名称があるんだから、きちんとそう呼ばないと』
「あ……そうでした♡ リズには今からおま×こ触ってもらうんですから、ちゃんとした呼び方で呼ばないと失礼ですよね?」
『そうそう、シアも段々分かってきたじゃないか』
「おいムサシ! 余計なことをさも常識のように姫様へと吹き込むな!」
このままでは自分がしてしまう以上に碌なことにならないと、覚悟を決めざるを得なかった。
「それでは……おま×こ触りやすいように、スカート、捲りますね?」
シアは立ったままスカートの裾を持ち上げ、まるでカーテシーのように優雅に、だがそうにしてはあまりにもはしたない程大胆に、ドレスのスカートを捲り上げる。
「っ……これが、姫様の……」
媚薬と快感にいたぶられ、純白のレース下着は、べっとりとシアの白い肌へと吸い付いていた。期待に緩んだ花弁と、その上端でふっくらと熟れかけている突端が、うっすらとした肌色と共に浮かんでいる。
最早下着としての用を成さない、透けて秘所の形を強調させる誘惑アイテムと化したパンツに、リズは花に誘われる蝶みたく、腰をかがめてふらふらと顔を近づけた。
「……下着を脱がせてもよろしいでしょうか? その、間違ったところを触らないように」
そうだ、決して自分が直接見たいからではない。自分にもそう言い聞かせながら尋ねるリズに、シアはこくっと小さく頷く。
「それでは、失礼します……」
「――んッ!」
震える指でリズがパンツの両サイドに指をかけると、それだけでシアの太腿がぶるりと共鳴し、汗が浮かんで内腿を伝った。
「だ! 大丈夫ですか姫様⁈ 爪が当たってしまったでしょうか」
「ん、だいじょうぶ……だから……」
爪で引っ掻いてしまったのではと心配そうに主を見上げるリズは、より慎重に、丁寧にと慎重な手つきでパンツを下ろし、
むわぁ――と秘裂に張り付いていた薄布が剥がれた瞬間、堰き止められていた濃密な香りが白い細腿の渓谷に充満する。
(凄い、割れ目もお綺麗で……それに、すごく濃いシア様の香りが……っ)
シアの乳母姉妹として、幼いころからずっと傍に仕えてきたリズ。従者として浴室で背中を流したことも、姉妹として共に寝たこともあった。
だが、過去それらの経験全てをひっくり返しても、こんなに濃密な香りを嗅いだことはない。
「……あの、リズ? か、嗅がれるのはちょっと恥かしいのですが……」
「っは⁉ す、すいません……」
指摘されて初めて自分が音の立つほど深く、シアの香りを堪能していたと気付いてリズは慌てて顔を離した。
『おいおいシア、そんな匂いを嗅がれたくらいで恥かしがってたら、これから先もたないぞ? 今から触ったり舐められたりするんだから』
「あ、そうで――な、舐めるんですか!?」
「おいコラ、ムサシ! 余計なことを言って姫様を混乱させるな!」
驚く主と取り乱して八つ当たる従者に対し、寄生蟲は落ち着いたもので。
『余計なこと? リズはそこそこの知識あるみたいなんだし、舐めるのも愛撫の一部だって知ってるだろ?』
「そう……なんですか?」
「う……まぁ、そういう方法も確かにありますが……。ボクはそんな不敬なことは、普通に触るだけのつもりで……」
無知が故に純粋な眼差しでシアに尋ねられ、リズは暫し葛藤したのちにそう誤魔化そうとする。
だがシアは媚毒に顔を火照らせながらも、それすら受け入れるように優し気な笑みを浮かべた。
「不敬だなんて、リズは私の為にやってくれているのですから、そんなこと思ったりしません」
「姫様……」
『それに、シアだって驚いただけで本当は舐めて欲しいんだろ?』
「な! おい今度こそ適当なことを――!」
『適当だと思うんなら、シアのこと、もっとちゃんと見てやれよ』
ムサシに喰ってかかろうとしたリズだったが、確かに不必要なほど興奮しないよう、できる限り主を見ないようにしていたことに気付く。
今度は目を逸らさぬよう、寄生蟲を睨みつけていた視線をゆっくりと上へ持ちあげて主へと向け――膝に引っ掛けたままになっている下着と秘裂の間に長い銀の糸橋がかかっているのが目に入った。
明らかな興奮の印。
その光景に止まってしまったリズの視線が更にもう少し上へと向かっていたなら、自らの蜜穴から唾液が垂れる感覚を自覚し、恥かしさに唇を噛んで眉根を寄せるシアの顔が見えただろう。つい先ほど数多の触手によって、肌を這い回られる快感を教え込まれてしまったシアは、舐めるという言葉でその感覚を思い出し、期待してしまっていた。
『ほらシア、どうやら直接言わないとこのままじゃリズは舐めてくれないぞ?』
主の痴態に、ムサシの言葉を止めるのも忘れてリズが顔を上げると、シアはびくりと視線を逸らして、伏し目がちに小さな唇を開いた。
「え、えっと……リズに私のちっちゃいおま×こ、たっぷり唾液を絡めた舌で、いっぱいぺろぺろ舐めて欲しい……です」
「っ!?」
リズの股間でどす黒い衝動が弾け、一瞬全てを投げうってしまいそうになる。が、なんとか主の言葉にしてはあまりに下品すぎると思い留まった。
(おいムサシだろ、姫様にこれ以上変な言葉を教えるな!)
『何言ってるんだ、その変なことを今から実際にするんだ。言葉ぐらい可愛いもんだろ?』
(うっ……それは……)
『それにリズだって興奮してたみたいだしぃ?』
「…………姫様、それでは失礼します」
『あっ、おいリズお前!』
図星で何も言い返せなかったリズは、寄生蟲の言葉を無視するように目の前へ集中することにした。
雪原のようになだらかな腹部の下で、うっすらと開きかけた淡い秘華。そこを舐めやすいように従者は主の太腿を掴んで軽く押し開く。
「んッ……」
それだけで、シアの口からは甘い呻きが、秘所からは新たな蜜が溢れ――その蜜が零れないよう、リズは緊張に震える舌先を割れ目へと這わせた。
「はぁんッ……♡」
触れたか触れないかというほどのソフトタッチ。しかし、狂おしい程に刺激を求めていたシアの身体にはそんなささやかな刺激でも、小さな頂きに達するには十分で。
シアはふるふるふるっ、と太腿を震わせて背を丸める。
『お、なんだシア。もしかして触られただけで軽くイったのか?』
「イ……く?」
『そうだ。今、すっごく気持ち良かったんじゃないか?』
「はい……すごく気持ち良くて、頭がふわって白くなって……今もまだ、ちょっとふわふわします……♡」
夢見心地な表情で、それでも可能な限り詳細に自分の状態を伝えようとするシア。
そんなつたない絶頂報告に、リズの顔も熱を帯びる。
(ボクが、姫様をイかせた……?)
達成感と充実感が快感へと変わって身体の奥から湧き上がるような感覚。上目遣いに見上げると、主の幼さの残る顔には艶が混じった表情が浮かんでいる。触っている訳でもないのに、自分の秘所が自慰行為後のように潤んでいるのが分かった。
しかしそこで、シアの表情が僅かに曇る。
「――でも、折角リズに”あいぶ”してもらったのに、まだ奥が疼いて、切なくて……」
否、曇ったのではなくより淫靡に歪んだといった方が正しかった。
本日はキリのいいところまでもう一話、18~19時くらいにもう一話投稿するので、よければそちらの方もよろしくお願いします。