転生したら寄生生物なんですけど!? というかち×ぽなんですけど! 作:真喜屋五木路
「やっ……た?」
真っ二つになったランドレースがぴくりとも動かないのを見て、シアの一撃を伏せて躱していたリズはその場にへたり込んだ。
「大丈夫ですか、リズ!」
と、すぐに後ろからシアが駆け寄るや否や抱き着いて無事を確認してきて、そこで漸くランドレースを倒したという実感が安堵と共に広がっていく。
「っ、だ、大丈夫です! ですからそんなにくっつかれては……!」
「良かった……伏せていたのは見えたのですが、万一巻き込んでしまっていたらどうしようかと心配で……」
シアも安堵の溜息をつくと、口ではいろいろと言いつつも名残惜しそうなリズから離れ、倒れた木の向こうに呼びかける。
「あなたも大丈夫ですか、えっと……アミラ、さん?」
「は、はひっ、大丈夫です!」
神官の少女アミラは、無事だった木の陰からおっかなびっくりといった感じで顔を出した。
「良かったです、思ったより加減が利かなかったので……」
「そ、その! 私は全然大丈夫なんですけど、む、ムサシさんが……」
ほっとしたようなシアに対してアミラはあわあわと、半分に斬り飛ばされたオーク達とシアを交互に見る。
オーク達は一匹残らずランドレースに巻き込まれて両断され、指先一つ動かす様子はない。
だがその光景を見てなお、シアは落ち着いた様子のまま少し自慢げな笑みを浮かべた。
「それなら大丈夫です。ムサシ様があれくらいでやられるはずがありませんから」
「で、でも流石にあの攻撃に巻き込まれたら……!」
思っていたのとは違うシアの反応に不安になったアミラは、続いてリズに目をやるも。
「……まあ、あのムサシがあれくらいで死んでくれるわけないからな」
リズも鬱陶しそうに――だがうっすらと口角を持ち上げて、ふんと鼻を鳴らしただけでやっぱり心配しているようには見えない。
二人の様子に、アミラがまるで心配している自分の方が何かおかしいのでは、と疑心暗鬼になり始めた時だった。
アミラの股間にむずりとした違和感が生じた次の瞬間。
「んひぃいぃぃぃッ!?」
吐出感の混じった快感が股から背筋を一気に駆け上がり、アミラは膝をがくがくと震わせながら両手で快感の出所を押さえる。
「あひッ、はッ――これ……っ!?」
「大丈夫ですアミラさん、ゆっくり息を吐いて落ち着いて……!」
「おいムサシ、お前もう少し出てくるときくらいなんとかならないのか」
慣れたような二人の反応にアミラもその正体を察する。
「うぅ……これってムサシさん? 二度目でもこの感覚は気持ち悪いぃ……」
『あー、そりゃ悪い。まあシアとかリズとかみたいに何度か経験したら慣れるんじゃないか?』
「……そんなに経験したくないんですけれど」
『まあそりゃそうか』
言われてムサシも、状況的に仕方ないところもあったとはいえシアとリズの反応の方がずれてるのではと納得する。
『――というか、シアとリズはもう少し心配してくれてもいいんじゃないか?』
全く自分を心配した風な感じもない二人に少し嫌味っぽく言うムサシだったが、それに対してシアは満面の笑みを浮かべる。
「ムサシ様なら大丈夫と思ってましたから」
シアは本当に思ってそうだからそれ以上何も言えない。
一方のリズは不敵な感じにニッと口の端を持ち上げた。
「さっきは本当に裏切ったのかと思わされたからな、その意趣返しだ」
『おいおい酷いな、ここまで色んなことを一緒に乗り越えてきた仲じゃねーか』
「その方法を考えたら信じられなくても仕方ないだろ」
『けど結局は協力してきただろ? だからシアは信じてくれてたじゃないか』
と、シアに話を振ったムサシだったがシアは眉を困ったようなハの字にする。
「それは……ムサシ様はその場で有利な方につくかな、と」
『うっ……シアからもそんな認識か……』
とはいえ、いままでの行動を思い返してみたら仕方ないとも思ってしまうムサシ。
『まあ、どちらにしろあの豚野郎みたいな奴が約束を守るわけがないことは嫌というほど知ってたし、裏切るなんて選択肢はなかったけどな。それに――』
そこでムサシは覚悟を決めるように一呼吸置く。
『――シアとリズにはそんなのに負けてほしくはなかったからな』
彼にしては珍しい少し照れたような本音に、リズは一瞬ぽかんとして。
「おいムサシ、本当にお前大丈夫か? やっぱり本当は死んで別人になってるんじゃないか?」
『違うわ! しっかり本人だよ、なんだそんなに俺は外道に見えるか!』
「違うのか?」
『即答かよ!』
そんな風にムサシがリズと言い合っているとシアが仲裁に割って入った。
「リズ、落ち着いてください。ムサシ様は元々人間だと言ってましたし、その時にきっと色々あったんでしょう」
『……まあ、そんな感じだ』
「良ければ、その時のことを聞かせてくれませんか?」
そう言ってムサシの方に優しい微笑みを向ける。
元の世界のことでなど、もう終わったことだからと話すつもりなどなかったムサシだが、どんなことでも受け入れてくれるようなその笑みに思わず口が動いていた。
以前働いていた組織での大規模な不正を発見したこと、それを告発しようとしたが逆に姦計に嵌められその責任を負わされたこと、そして口止め金代わりの退職金で追い払われ――
『――ま、たかだか会社なんて一組織の下っ端社員と一国の姫様じゃ話の規模は違うけどな』
話している内に段々と冷静さが戻ってきて自虐的に話を締めたムサシに対し、シアは首を横に振った。
「そんなことありません! 私の方こそ、魔族と人間の和解を進めたいのだって、本当はそうすれば人間であるお母様と一緒にいられたかもしれないなんていう自分勝手な理由で……」
『それは自分勝手じゃなくて自然な理由だろ。それに、以前シアが言ったみたいにその方が魔族のためにも人間のためにもなるだろうしな』
「……ありがとうございます、そう言って貰えるだけで嬉しいです」
シアはそれを聞いて少し自信を取り戻したように微笑む。
『……ま、それに俺も今回ので六魔族とやらと明確に敵対してしまったからな。最後まで付き合うさ』
「ムサシ、お前……」
少し気恥ずかしそうにこれからも協力することを伝えたムサシに、リズも珍しく嬉しそうに口元を綻ばせかけて。
「――うわあぁぁん!」
突然聞こえた盛大な泣き声の主は蚊帳の外だったはずのアミラだった。
「あ、アミラさん? 大丈夫ですか?」
「うぅぅ……大丈夫じゃないですよ、ただの魔族同士の内輪もめだと思ってたのに、人間と魔族の和解のためだなんて……しかもそれがお母さんと会うためだなんて……! こんなの私も協力するしかないじゃないですかぁ……!」
滝のように落涙しながら、アミラは鼻水をずびずびと啜った。
あまりの感極まり様に少し引き気味ながら、リズがおずおずと尋ねる。
「いや……それは人間側の協力者がいるならば力強いと思うが、君は聖職者なんだろ? 本当に魔族であるボクたちに協力してもいいのか?」
「当然です! 今まで魔族は人間と戦う気しかないと、人間と和平を結ぶ気すらないと思ってましたからこちらも戦うしかないと思っていただけです! それにそうじゃないともう少し早く知っていればパーティーの皆も……だから私みたいな人をこれ以上出さない為にも協力させてください!」
「……名前はアミラ、でいいんだよな! ありがとう、人間側にもこんな風に考えてくれる人がいるなんて!」
リズとアミラが古くからの親友みたいに堅く手を握りしめる。
些か早計な気もするが……まあ今まで魔族内でも少数派だったのだから仕方がないのかもしれない。それに寄生しているムサシから見ても、そう言って拳を握りしめるアミラの様子からは、少なくとも彼女が嘘をついているようには見えなかった。
『よし、それなら話もまとまったみたいだし、一先ずこれからどうするか目の前のことを考えないか? 俺はこのダンジョンを抜けるっていうところまでしか聞いてなかったけど、これから先どうするとかはもう決まってるのか、シア?』
シアはそういえば、という風に真面目な表情で考え込んで口を開きかけたものの、思い出したように少し気まずげに目線を泳がせた。
『どうしたんだシア? ……もしかしてこれからのことは全然決まってないとか?』
「い、いえ、そんなことはないんですけれども、そうではなくて……その、まだランドレースのお香の効果が残っているみたいで……」
よく見ればそう口にするシアの頬は艶めかしい朱に染まっていて、腹の奥でわだかまる熱をなんとかなだめようと手が下腹へと伸びてしまっている。
『あー、そういえば……』
ムサシも言われるまで意識していなかったが、アミラの股間に寄生してからガチガチに勃起したままで、鈴口から絶えず先走りがあふれ続けていた。
『というかリズやアミラは……いや、大丈夫そうではないな』
リズも執事服のズボンが外から見て濡れているのが分かるほどだし、一番距離が離れていてマシであろうアミラも無意識に内ももを擦り合わせている。
これからどうするにしろこの惨状を収めないとろくに動けないだろうし、万一他人に見つかったら発情した痴女三人、何が起きても文句は言えない。
『……それじゃあ、少し場所を移動してからヤるか』
「はい、お願いします……♡」
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