転生したら寄生生物なんですけど!? というかち×ぽなんですけど! 作:真喜屋五木路
読み飛ばしないようご注意ください。
「もう朝……というか昼になってますね」
「……そんなに長い間してしまってたんですね」
「うぅ、私、何であんなこと……」
漸く三人が催淫香から正気を取り戻したのは、翌日も昼過ぎであった。
結局あれだけやった後も躰の疼きは収まらず、空が白むまで攻守を入れ替え、突きつ突かれつやって漸く眠ったのだから当然といえば当然なのだが。
お陰で小屋の中は雄と雌のフェロモンが濃縮されたような臭いが壁にまで染み付き、ベッドのマット代わりだった藁は湿って潰れてしまっている。
唯一幸いだったのは小屋裏にすぐ井戸があり、片付けと水浴びには困らなかったことだろうか。
とはいえそれで昨晩の記憶も片づけれる訳ではなく、三人の間には気まずい空気が漂っていた。
『何今更そんな恥かしがってるんだよ、そもそもあれはオーク共の使った催淫香のせいなんだからそんな気にしてもしょうがないだろ』
そんな沈黙を破ったのは一人、いつも通りシアに寄生した状態の寄生蟲である。
『それに恥かしい所を見せあったのはお互い様なんだし、これ以上何を恥ずかしがることがあるんだよ』
「いや、ムサシお前な――」
あっけからんと言うムサシに思わず苦言を呈そうとしたリズだったが、確かに考えてみればこのままでいる訳にもいかない。
「――まあ、そうだな。今更気にしても仕方がないか」
一人が開き直ると他の二人の恥ずかしさも薄れたようで、俯いて小さくなっていたアミラがあの、と声をあげた。
「えっと、お二人……いえ三人はこれからどうするんですか?」
『そう言えば、それは俺も聞きたい。あのダンジョンを出るまでの予定しか知らないからな』
「それは……」
二人に答えようとしたシアはだが、ふいにそこで言葉を止めてアミラの方を見つめる。
「その、アミラさんは本当に私達についてくるつもりなんですか?」
「えっ……と、やっぱりお邪魔でしょうか……? 確かに魔物の一体も倒せないですし……」
気まずそうに再び俯きかけるアミラに、シアは慌てて続ける。
「いえ、そうではなくて! 昨日の回復スキルや補助スキルが受けられるならとても有難いですし、私達は人族の慣習にも疎いですから一緒に来てくれればすごく助かるのですけど。……ただ、人族と魔族を和解させるというのはそんな容易くできることではないでしょう。それに一緒に行くならばアミラさんも六魔族、魔族の中でも力を持った者たちに狙われることになりますから」
それは言外に自分たちがやろうとしていることは困難で、それに巻き込みたくないと言っているようなもので――けれど、それを聞いたアミラは逆に拳を握る。
「分かってます! 昨日のオークを見ればシアさんが戦おうとしてる相手が強いことも、人と魔族が友好関係になるのが難しいってことも」
「だったら――」
『なんだシア、自分はいいのに他人は駄目なのか?』
割り込んだ寄生蟲の声は若干呆れたような響きが混じっていて、シアは思わず言葉に詰まる。
『それに人族と魔族を和解させるって言ったって、ある日いきなり仲良しこよしって訳にはいかないだろ。遅かれ早かれどんどん他人は巻き込むんだ、アミラがその第一号ってだけで』
それは……そうだ。もし自分が魔王になって人族と和平を結ぼうとしたとして、人族もそれに同意してくれなければ意味がない。
今更ながら、シアはムサシが自分を止めようとした時、こうなることも考えて止めていたのではないかと思い至る。
自分だけが、困難な道を歩めばいい訳ではない。誰かを巻き込んで、それでも進まなければならない。
改めて自分がしようとしていることを自覚し、そしてシアはアミラに手を伸ばした。
「わかりました、よろしくお願いしますね、アミラさん」
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
アミラと握手を交わし、それからシアはリズの方を向く。
「リズ、これからもよろしくお願いします」
「勿論です、姫様」
従者はその言葉を待っていたというように一礼する。
「――それから、ムサシ様も改めてよろしくお願いします」
『……まあ六魔族とやらと敵対もしてしまったし、経験値も譲ってもらえるし、早く人の姿になりたいしな』
変わらず素直でないムサシだったが、その口調はどことなく嬉しそうで。
『よし、それじゃあまずはどこを目指すんだ?』
「そうですね、まずは――」
魔族二人と人族一人、それから元人間の寄生蟲。
この奇妙な四人組が本当に世界を変えてしまうのは、まだ少し先の話である。
これにて完結です。
大体文庫一冊分ぐらい? 中程度の期間、ご愛読ありがとうございました!
ふとした思い付きの一発ネタから生まれた作品なので、こんなひっどいタイトルにも関わらずアクセスして頂いてありがたい限りです。
その上で評価、お気に入り登録、感想を書いていただいた方には重ねて感謝を。一応この話は完結させてから投稿していましたが、それでも嬉しいことに変わりはなく、次回作の原動力になっております。
少しでも楽しめていただければ、そして実用に使って頂けていただけていれば幸いなことこの上ありません。
それから最後に、完結したので(?)辛口でいいので評価、あとはコメント頂ければ……!
特にコメントは良かったとかじゃなくて、ここが気になったとか悪かったでいいので……むしろ身近に書評してくれる人がいないのでそっちの方が助かるかもしれないです。まあ後は純粋に作者がニコ厨なのでコメントが好きというのもあるので、ぜひよろしくお願いします。
さてぐだぐだと後書きでお目汚ししましたが、それではまた次作で。
多分次は現代学校モノですかね、見かけたらよろしくお願いします!