転生したら寄生生物なんですけど!? というかち×ぽなんですけど! 作:真喜屋五木路
(ふん、主が主なら従者も従者だな)
調子を取り戻したリズが岩肌の角からヴァナルガンドを睨め付け、どう動くかを考えている裏で、ムサシは密かに悪態をつく。
少しずつ寄生に慣れてきたようで、比較的自由に相手と思考を共有せず考えごとができるようになっていた。
(あんなあっさり人のことを信じるなんて、お人よしが過ぎる……まあ、こっちとしてはやり易くていいんだが……っと)
そこまで考えたところでリズが「よし」と呟き、壁から体を離した。
『準備はもうできたか?』
「うん。……姫様、ボクの方は大丈夫です」
「分かりました。では、いきましょうか」
振り返った先にいたシアが真剣な顔で頷く。
それに頷き返して答えたリズは、両手を握り、息を肺一杯に吸って身を屈め、
「――うおおおおぉぉぉぉッ!」
獣のように吼えながらヴァナルガンドのいる空間へと駆けだした。
「アオオオオォォォォオォォン!」
奥で丸くなっていた狼はその声に顔を上げて一瞥すると、威嚇し返すように吠え、すぐさま強靭な後ろ脚で地面を蹴る。
瞬間、薄暗闇を切り裂く光の帯と化した魔物は、右へ左へ残像を残しながらリズへと急接近してきた。
(うぉ、速っ?! つーかデカっ!?)
瞬く間に近づいてくる狼は、ムサシが予想していたより二回りは大きい。
同じような岩肌が続く、対象物が存在しないダンジョン内だから目測を測りかねたというのもあが、地球基準で狼のサイズを予想していたことも原因だろう。
迫ってくる狼はヒグマとかサイだとか、一目で人間の手に負えないと分かる大きさだった。車とぶつかっても車の方が弾き飛ばされそうな体躯、それに比して巨大な口からは剣の如く巨大な牙が鋭く輝いている。
『お、おい!? 本当に大丈夫なんだろうな?! お前が一撃で喰われたら作戦も何もあったもんじゃないんだが!』
「おい、何で今更お前の方がビビってるんだよ!?」
『そりゃビビるに決まってんだろ! お前が感じた感覚はこっちにも来るんだぞ!』
「オマエ……あーもう! 『石肌の鎧』ッ!」
さっきまでの自信満々な様子は何だったのかと呆れつつ、大きく開かれた口を目の前に、リズはスキルを発動して左手を突き出す。
広い空間に、金属が岩を舐める甲高い耳障りな音が響いた。
「ガッ、グガッ――グルルルルル……!」
『……っ!? お、おおっ……?!』
襲い来る痛みを予想して意識を強張らせたムサシ。
だが、痛みの代わりに大狼の恨めしそうな声が聞こえるのに違和感を覚えて状況を直視すると、眼前では狼の牙がギラギラと煌めき執事服の袖を引き裂きいているものの、その中にあるリズの腕は無傷だった。
狼はそのことが気に入らないのか、何度も細腕を噛み切ろうと牙を擦り合わせているが、リズは平気そうだし、ムサシにも痛みはなく血圧を測る時に感じる程度の圧力しか伝わってこない。
『すごいな、これがスキルか……』
「だから言ったろ、暫く時間を稼ぐくらいはできるって」
少し自慢げな口ぶりのリズには余裕すら感じる。
『……というか、これなら暫くなんて言わずにお前一人で十分時間を稼げたんじゃ?』
「流石にそれは――っ!」
ムサシの軽口に応じようとした従者だったが、大狼が動きを止めた瞬間その顔に緊張が走り、口を閉じた。
「グルルルアアァァッ!」
次いで、視界の中でぐるんと天地が入れ替わる。
それが、細腕を噛み切れないことに業を煮やした狼によって投げられた為だとムサシが理解した時には、地面に打ち付けられた鈍い衝撃がリズの頭を揺らしていた。
「ぐっ――!」
『大丈夫か、リズ!?』
「ああっ、けど……!」
リズが答えようとした所で、鉈のように大きな爪が振りかぶられる。
再び響く、硬い物同士が削れ合う音。
従者の胸元に振り下ろされた爪が、執事服の胸元を引き裂きながらも、やはりまた彼女の身までは裂けずに表面を滑った。
再び不満そうに大狼が唸る。
「グルルルル……ッ」
(ヴァナルガンドは爪や牙で傷付けられないと分かったら、今度は獲物を叩きつけて弱らせる! ボクの『石肌の鎧』だと斬撃は防げても、叩きつけの衝撃は無理だ! だから、頼む――!)
『なるほどな……そんじゃ任せとけ』
ムサシの言葉を合図に、リズが噛まれる前から握りしめていた左手を開く。
その中に握りしめられていたものが口内へと広がり、大狼が変な声で鳴いた。
「ウグッ!? グッ、ガッ……?」
握られていた手の中にあったのは、先ほどシアを手コキをした時に出た精液の残り。
狼は口の中に広がる奇妙な味に口を離そうと――だが本能的に獲物から口を離すわけにもいかず――それを飲み込んでしまった。
その瞬間、ヴァナルガンドの下腹を奇妙な感覚が襲い――
『――よっと、大分慣れたな……いや、こんなもん慣れたくなかったけど』
三回目ということもあって、ムサシはあっさりと意識を狼へと移した。
「グルルァッ!?」
『やっぱ流石に、獣でも違和感は感じるか』
唐突に聞こえ始めた謎の声に、狼は新手を警戒し、リズの手を噛んだまま目をぎょろぎょろと左右に動かす。
そんな狼の様子に、組み敷かれていた従者が声を上げた。
「っ! おい、上手くいったのか!?」
『おう……ってそうだ、聞こえないんだって。やっぱ『念話』は必要経費だな』
ムサシは意図が伝えられないもどかしさにぼやいて、それならさっさと始めるかと意識を集中する。
『スキル『繁殖・発情化』……っと』
「グァッ!?」
ビクン、と大狼の体が跳ねて、
「!? ちょ、ちょっと待て! な、な……っ、なんだソレは!?」
狼の変化に気づいたリズが、組み敷かれたまま悲鳴じみた叫びをあげた。
『何って、そりゃあち×ぽでしょうよ』
どうやら人型以外の感覚もちゃんとムサシに届くらしい。彼は大狼の鼓動が早くなり、下半身が急速に硬くなっていくのを感じながら、ニタァ……といやらしく笑む。
先ほどリズに寄生した時、ちゃんと機能するか確かめたスキルは『寄生』だけでない。彼女のせいだとシラを切り通したが、今使っている『発情化』も試していたのだ。
理性の効いた人間でもたちどころに発情させれるのだから、より本能へ忠実に生きる獣に対して効果抜群なのはいうまでもない。
「グルル……ハァ、ハァ、ハァッ――!」
「ま、待て! あッ、やめろっ! そんなものを擦りつけるなッ!?」
発情しきったヴァナルガンドはもう辛抱たまらないらしく、犬がマウンティングするみたいに、腰をへこへこと動かしている。勿論、陰茎を硬く腫れ上がらせて。
事ここに至って、今更ながらムサシの考えた策の意図を理解したリズが顔を真っ赤にして叫んだ。
「くッ、ふざけるなよお前! おいムサシ! こ、こんなもの突っ込まれたらボクの……っ裂けちゃうだろ!!」
その赤さの半分は羞恥と性的興奮によるものだったが……残り半分は貞操というより命の危機を感じた必至さによるものであった。
それも無理はない、ヴァナルガンドがヒグマ並みにデカいということは、その生殖器も当然デカい訳で。リズのズボンにぬめついた先走りを塗り広げている大狼のペニスは、彼女の太腿よりも太く、腹を突き破りそうなほど長い。
足止めの為に発情させるという事自体はおおよそムサシの予想通りだったが、この点だけは想定外であった。
雄に寄生した場合どうなるんだと思っていたが、どうやらその場合陰茎はその個体のままらしい。
『……うん。やっぱこれは無理っていうか、マズいよな』
シアやリズに寄生した時はサイズが変わらなかったし、彼の予定では寄生した上で発情させて、獣姦を楽しみながら時間を稼がせて頂くつもりだったのだが、このサイズ差ではリズが本当に死にかねない。
変態的性癖には理解のあるムサシであるが、流石にネクロフィリアとグロは守備範囲外である。
「ヘッ、ヘッ、ヘッ――!」
「くぅ、くそっ、顔を舐めるな! ドロドロしたのを擦りつけるなっ!」
幸いにもリズの執事服がズボンの為、未だ狼は無暗に入り口を探して擦りつけているだけだが、いつ痺れを切らしてズボンを引き裂いて本番に望んでもおかしくはない状態だ。
さりとて、発情化を解除すればリズが言ったように今度は叩きつけられる可能性がある――と、考え込むムサシの意識がリズの胸元で止まった。
先ほど、爪の一撃でスーツのボタンを引きちぎられ、引き裂かれたシャツの間から、柔らかそうな二つの双丘がこぼれ出て、狼が腰を振る度にたぷたぷと揺れている。
『……こっちも想像以上にデカいな』
シアの視点から見ていた時もデカいと思っていたが、シャツの残骸に混じって白いサラシの切れ端も散っているのから見て、おさえつけてあのサイズだったということだろう。
一般的なサイズのモノなら容易に縦パイズリできそうだなとムサシが、思わず状況を忘れかけて感心していると、狼に変化が起こった。
「な? おい、こいつ何して……っ!?」
先ほどまで雌の肉穴を探してペニスを擦りつけていた魔物が、その位置をずらして狙いを変える。
亀頭が向かったのはたぷんと震える二つの柔毬の間。
大狼は巨大な肉棒を胸の間へと挟み込み、へこへこと胸肉の柔らかさを愉しむように腰を振り始めた。
「ヘッ、ヘッ、ヘッヘッへッ――!」
「くっ、おい! こいつ何が楽しいんだっ……そんなモノ、ボクのおっぱいに押し付けやがって……ッ」
リズもすぐに狼が自分の胸を慰みものにしているのは分かったようだ。
改めて身を捩って逃れようとするが、重量のある大狼の両脚で肩を押さえつけられ、僅かに上半身を捻る事しかできていない。
「この……っ、んあっ――!?」
むしろ、その抵抗のせいで柔肉がたぷたぷと横へ揺れ、狼のち×ぽに縦揺れだけでなく横の刺激までを与えてしまっていた。
勿論、ムサシにもその感覚はダイレクトに伝わる。
『おっ……くぅ……いいぞ、リズっ……』
ケモ耳娘のデカぱいを、人間ではあり得ないサイズの巨根で掘削しているのだ。相手に聞こえないと分かっていても、呻かずにはいられなかった。
重たい水風船のように跳ねて暴れるおっぱいの間を、赤黒くて人間のモノとは比べならない獣臭さの肉棒が掻き分ける。そんな興奮堪らない光景に加えて、野生剥き出しで擦りつけられる肉棒には、すべやかな肌に包まれた蕩けるような柔肉の感触が伝わってくる。
獣ゆえにおっぱいをち×ぽに押し付けるなんて細かな動きはできない。だが、その代わりに獣だからこその激しさから生じる肉の快感には、本能が満たされるような快感があった。
ムサシの興奮に合わせて狼も興奮しているようで、腰の動きは先ほどよりも早く、溢れ出る先走りからはツンとするような匂いが立ち込めている。
「うぅ、臭ぃ……こんなに擦りつけられたら、匂い、取れなくなるだろぉ……っ」
リズが眉根を寄せて、顔を背ける。
獣の先走りだけで、彼女の谷間は余すことなくぬちゅぬちゅの粘液まみれにされていた。摩擦熱で赤く火照った乳皮も相まって、ひどく淫靡な光景だ。
「っ、苦っ! ……ぺっ、やめろっ、汚い汁飛ばすなっ! 口に入って――ッ!?」
口に入った我慢汁を吐き出しながら、少しでも雄の象徴から距離を取ろうとするリズ。
だが、そもそも野生における交尾は同意だけでなく、力の差による無理矢理というのも少なくはない。
故に彼女のそんなささやかな抵抗も、大狼を余計に興奮させるだけだった。
狼が、腰を振り続けたまま顔を彼女の頭へと寄せ、
「ちょっと……おい、何のつもり――ひぅっ!?」
ボブカットの中からぴょこんと跳ね出た彼女の耳へと噛みついた。
一瞬ぎょっとしたムサシだったが、そういえばそもそもリズはスキルで噛まれても平気な状態だったし、狼の方も喰い殺そうというより甘噛みのような感じである。
「あっ……やめろぉっ……!! みみっ、耳は……っ、はぁんっ!? やめろ……っ、そこは、敏感だからぁ……っ!」
しかし、当のリズは今まで嫌悪感一色だった声に若干の甘さを滲ませ、ビクビクと全身を戦慄かせながら悲鳴を上げた。
「舌っ、舐めるなぁ……っ、あッ、息が入って……っ?! やめろっ、やめ――んぅっ!!」
従者の茶色い瞳には涙が浮かび、息もはぁはぁと荒くなっていく。
どうやら耳は彼女にとって、かなり敏感な性感帯だったらしい。望まない快感に理性を焼かれながらも、それでも気丈にリズは狼を睨みつける。だが、その表情は恐ろしいというより発情した雌のそれで。
「む、ムサシぃ……お前、後で……ひんっ! 覚えてろぉ……っ!」
『……いや、これに関してはマジで俺は関係ないんだが』
そう突っ込みつつも、自分の中の嗜虐心が刺激されるムサシ。
その興奮は寄生した大狼にも伝わり、とうとう腰の動きがラストスパートに向けて急加速した。
「あっ……まだ、激しくっ……うぅっ、匂いも、強くなって……っ」
肉竿を柔肉に擦りつけるというより、削り取ろうとするような勢い。強制的な性感を抑え込むのに必至なリズも、狼がもうすぐ何をしようとしているのか分かってしまう。
「やっ、やめっ……射精すなぁっ……! おち×ぽ、ビクビクさせるなぁっ……!」
尤も雄が、否、雄ではなく男だったとしても、今の状態でやめるという選択肢などある筈がなく。
狼が全身をびくん、と震わせた次の瞬間、
『射精るッ――!』
どびゅぱっ、びゅぷっ、びゅるるるるぅっ!
獣の雄竿から勢いよく白濁が噴き放たれた。
「あっ――わぷっ!? むぅっ、んぐっ……!」
双丘の谷間を精液の濁流が一気に満たし、あっという間に溢れてリズの顔を雄液の氾濫が襲う。
従者は口に闖入してきた白濁液を何とか吐き出そうと、顔を顰めてもごもごと口を動かす。だが、本来なら年に一度の発情期に向けて溜められてきた精液の圧倒的な量はそれを許さず、リズは仕方なくそれを喉で受け止めた。
「んっ、ごくっごくっ、ごきゅっ……けふっ、ぺっ」
何とか溺れない程度に雄の欲望液を呑み込んだ従者は、涙目になりながらも、尚気丈に大狼を、そして大狼に寄生しているであろう寄生蟲を睨みつける。
本人からすればそれは抗議を込めた、或いは抵抗する覚悟を示す為の行為だったのだろう。だが野生の視点から見れば、それは未だ抵抗できる気力を残している生命力の強い雌という意味にしかならない。
狼の股ぐらが一度射精した後にも拘わらず興奮にずくん、と疼いた。
『おいおい、ちょっと待てリズ! くそッ、これ以上はこいつの性欲を制御しきれないぞ!?』
ムサシは狼が再び興奮してるのを、そして今度こそ本来射精すべき場所へと彼の視線が向かっているのに気付いて慌てる。
それに狼の嗅覚は、リズのそこが雌の香りを漂わせているのに気付いていた。
本人が例え望んでいなくとも、雄そのものを文字通り味わわされたのだ。本能が反応してしまったとしても無理はない。
どうやって狼の興味を交尾から逸らさせるかとムサシが慌てていると、リズの視線がこちらから僅かにずれた。
同時に、背後から鈴の響くように明瞭な、それでいて力強い声が聞こえる。
「集え、光」
目の前の雌に執心していた大狼もその声に気付いて振り向く。
立っていたのは自らの体長程もある大剣を横に大きく振りかぶった一人の少女。
「一迅の刃と成して、立ちはだかりし闇を裂け」
発情して思考能力が落ちていた狼には、最初彼女を警戒するべき相手とは判断できなかった。
あれより大きな獲物をことごとく自分は狩ってきたのだと。自らの前脚に押し留められた少女よりも更に小さな体躯、あれならば一噛みで容易に引きちぎれるだろうと。
――故に、大狼は躱すことができた最後のチャンスを逃してしまった。
「ストレート・フラッシュ!」
振り抜かれた大剣と共に、文字通りの光速で放たれる白く輝く光の刃。
それが狼の視界を満たした瞬間、既に魔物は頭から尾まで真っ二つに切り裂かれていた。