転生したら寄生生物なんですけど!? というかち×ぽなんですけど! 作:真喜屋五木路
待ってる方がおられれば改めて申し訳ありません、お待たせしました。
今度は対策したので完結までノンストップ……なはずです。
「姫様、そいつが最後の一体ですッ!」
「はあぁぁぁっ!!」
リズに攻撃をしていた二足歩行のトカゲみたいな魔物の頭に、入れ替わりで前に出たシアが大上段から振り下ろした大剣が突き刺さる。
「グゲェェェッ――⁉」
カエルが轢かれたような悲鳴を上げて、頭蓋骨から尻尾の先まで真っ二つにされたトカゲの魔物は、そのまま半分に分かれて倒れていく。
先ほどから二人は、リズが最初に前面へ出て攻撃を誘い、敵の隙をついてシアに交代し一刀で切り捨てる、というヴァナルガンドの時と同じコンビネーションで迫りくる魔物を倒しまくっていた。
(……おぉぅ、相変わらずR-18光景だよな……グロ的な意味で)
地面に倒れ込む、人体模型ならぬ『生』トカゲ模型の断面を、シアに寄生して目の前で見ていたムサシはぼやく。シアとリズの周りには、ものの十分前までは三人を取り囲んでいた十数匹のトカゲ型魔物が、様々な方向で真っ二つにされた死体となってゴロゴロと転がっていた。
大狼の時もそうだったが、経験値とかある世界の癖に、倒した魔物が光になって消えるとかはないようだ。
(いや二人が強い分には、俺にもガンガン経験値が入ってくるから悪いわけではないんだが……)
ムサシがスキルツリーを意識すると、既にかなり多くのスキルが獲得可能の点滅を示している。
といっても、血みどろの争いごとなどとは無縁の現代日本出身者にとって、目の前の光景がインパクト抜群なのは間違いない。
今だけは体がなくてよかった、もしあったらそろそろ吐いていただろうと思うムサシであった。
「ふぅ……お見事です、姫様」
「いえ、これもリズが敵の攻撃を引き付けてくれるからです」
一方で、シアとリズは目の前に広がる凄惨な光景に対しても無反応である。
『……なあ、魔物の断面とか、血の匂いとか、平気なのか?』
「平気……というのは?」
『なんていうか……気持ち悪くなったりしないのかと思ってな』
首を傾げるシアに対してムサシが付け加えると、主の代わりに従者が小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「はっ……なんだムサシ、まさかこの程度で参ってるのか?」
『うるせーな。仕方ないだろ、こんなスプラッター見る機会なんて前の世界じゃなかったんだよ』
「へー、そうかそうか、それじゃあ頑張って慣れないとな」
恐らくセックスした時された諸々をまだ恨んでいるのだろう、リズはムサシを励ますような言葉を口にしながらも、その目元がニヤついている。
尤も、やられっぱなしで退くムサシではない。
『……ああそうだな。それじゃあリズは、そろそろシアの股間に視線をやらないよう頑張らないとな』
(⁉ な、なな……ぼ、ボクは別にそんな……っ!!)
『何だったら俺が代わりにシアへ言ってやろうか? もう一度犯してくださいって』
(っ、いや……それはっ……⁉)
ムサシがシアの身体を借り、リズと行為に及んでから既に一夜が過ぎていたが、未だにリズがシアを意識しているのは明らかだった。
「? どうしたんですかリズ、急に顔を赤くして」
「い、いえッ……なんでもありません!」
結局シア自身がリズを犯して終わったあの後、正気……もとい理性を取り戻したシアに謝り倒されたリズだが、実際には満更でなかったことは、行為中の反応を見ていれば丸わかりだった。初めての快感に陶然としていたシアは気付いていないだろうが。
主に対する従者の秘めた想いを知って、ムサシが利用しない訳がない。
『いやいや、遠慮するなよリズ。何だったら狼の時みたいにシアを発情させてもいいんだぞ? 丁度胸元が大きく開いてるんだし、パイズリもしやすいだろ』
狼に引き裂かれたリズのシャツは流石に細ぎれ過ぎて直せなかったのか、今の彼女は執事服の燕尾に無理矢理大きな胸を押し込めていた。なんだかいかがわしいカジノで働いていそうな格好である。
(そ、そんなこと……許さないからな!)
本気で許さないのなら、すぐさま否定すればいいのにとムサシはほくそ笑む。
『ほう、そうか? シアの方もムラムラしてるとしても?』
(それは…………って、適当なことを言うな! シアがそんなことある筈ないだろ!? それに――)
さっきより考える時間が増えたリズ。実に分かりやすい子である。
(リズは揶揄い甲斐があっていいなぁ……。ま、実は最後に言ったのは適当って訳じゃないんだけどな)
うだうだと言い訳を重ねる従者の思考を聞き流しながら、ムサシは意識を寄生している主の身体に向けた。
「んっ……」
丁度大剣に付いた血糊を振り落としたシアが潜めた声で小さく呻いた。
『お、どうしたシア?』
感覚を共有している故に本当は理由が分かっているムサシが素知らぬ振りをして訊ねると、少女はほんのりと頬を染めて答える。
(その……まだおち×ぽの感覚に慣れなくて)
『そうだったのか、悪いな……俺が寄生しているせいで……』
寄生蟲が努めて申し訳なさそうに応じると、シアは慌ててかぶりを振った。
(い、いえ! そういうことではないのです! ただ、今までなかったものが急に生えたので、違和感に慣れるのにも相応の時間がかかりそうだなと)
うん、こっちは実にいい子だ。
やっぱり揶揄い甲斐抜群だな、などという本心は伝わらないよう、ムサシは続ける。
『参考までになんだが……どんな違和感を感じるんだ? もしかしたらこっちでなんとかできることもあるかもしれない』
(その、剣を振った時とか、おち×ぽが擦れて、ぞくってした感覚がしたり……)
『なるほど、それで?』
(そのせいでちょっとでも大きくなってしまうと、そこからどんどん意識してしまって……一度そうなると、リズを見てると変な気分になってしまうんです)
ムサシに語っている間も既に意識してしまっているのだろう。頬を火照らせ、視線をそれとなくリズから逸らせるシア。
『そうか……聞いておいて悪いが、刺激で大きくなるのは慣れしかないかもしれない』
(やっぱりそうなんですか……)
謝っているムサシだが、言うまでもなく最初から対策など考える気はない。ただそれっぽい理由をつけて、ふたなり化したシアにセクハラ質問をしたかっただけである。
もし彼に体があったなら、AVのインタビューみたいな口調だったことだろう。
(うむうむ、二人ともいい反応を返してくれて実に弄り甲斐があるなぁ!)
従者と姫が真面目に戦っているというのに、経験値を吸うだけに飽き足らず、精神的にも足を引っ張る寄生蟲。
だが彼からしてみれば、あまりにやることがなくて暇なのだ。
薄暗い洞窟のようなダンジョンは行けども行けども風景が変わらず、ぼんやりと薄ら明るい岩肌が続くだけ。
敵とエンカウントしても二人が強すぎるのか出てきた端から一撃で倒され、今のように集団で襲われても、息の合ったコンビネーションで軽く蹴散らされる。
異世界と聞いて思い浮かべる、胸躍るような冒険とは無縁の、精肉工場のラインじみた解体作業が繰り返されるのだ。
(こんなのセクハラでもしないとやってられないって……うぷっ)
実は結構スプラッターな光景に精神を削られていたムサシは、吐きたくてもそもそも吐く器官も中身もないことに辟易としながら、現状を再確認する。
(まあ、どれだけこのダンジョンが続くのか知らんが、これだけ二人が強いなら問題はないだろ)
――――――
……などとと考えていたのだが。
それからまた暫く代わり映えのしない道程を進み、二人が休憩を入れようとしたところで問題は起こった。
岩に腰掛けようとしたリズが、腰に吊るしていた革袋を手にした瞬間顔色を変える。
「⁉ しまった、いつの間に……!」
「どうしましたか、リズ?」
「……申し訳ありません姫様。いつの間にか水袋が破れてしまっていたようで……」
リズが差し出す水筒代わりの革袋を見れば、戦闘中についたのだろう、底の方にごく小さな傷が入っており、その周りがうっすらと湿っていた。
「すぐに気付けず申し訳ありません!」
頭を地面に擦りつけそうなリズの肩をシアが押し留める。
「大きく破れたなら気付きようもあったでしょうが、これでは分からないのも仕方ありません。それに、リズが前に出て守ってくれていたおかげでここまで順調に来れているんですから」
寛大な言葉にうっすら瞳に涙を浮かべるリズ。
「うぅ、本当に申し訳ありません……。姫様は少し待っていてください、今すぐ水源を探して参ります!」
『おい、ちょっと待ったリズ!』
「……なんだ、ムサシ。ボクに嫌味の一つでもいうつもりか?」
主の言葉に立ち直り、水を探しに行こうと立ち上がった気勢を削ぐ様に割り込んだ寄生蟲へ、従者は不機嫌そうに応じた。
『なんだ? 言って欲しいなら言ってやろうか?』
「……いや、そんなことはないけど」
『そうじゃなくてだな、今ここで別行動をするのは危なくないか?』
予想外に真面目なことを言いだしたムサシに、リズは一瞬面食らって無言になる。
「…………お前、ちゃんとした事も考えられるんだな」
『おう馬鹿にしてんのか。それよりどうなんだよ、水源の位置は近いのか? というか、そもそも場所分かってるのか?』
「……いや、分かってない」
『お前の方がちゃんと考えてないじゃねぇか』
「う、うるさいな! ちょっと焦ってただけだ!」
痛いところを突かれて逆ギレ気味に抗議するリズに対し、ムサシはいつになく落ち着いた様子で真面目に続ける。
『ここで当てもなく水を探しに行くのは危険すぎるだろ。そもそも見つかるかも分からないし、時間を無駄にする可能性が高い。それに、二手に分かれたところでそれぞれ魔物に出くわしたらどうするんだ』
「うッ……!」
「確かに、リズだとまだこの辺の魔物は倒せないでしょうし、逆に私は倒せても倒される可能性がありますね……」
「うぅ……」
ムサシからだけでなく、シアからも悪気がなかったとはいえ正論を叩きつけられて、従者は再びしょぼんと肩を落とした。
使い物にならなくなった従者を放って、ムサシはシアに訊ねる。
『因みにだが、確実に水がある場所まであとどれくらいとか分かるか?』
「そうですね……今のペースだとあと二晩程はあるかと思います」
『流石にその間水がないのは厳しいよな?』
「ええ。正直なところ、私ももう結構喉が渇いてしまってますし」
そんな姫様の答えを待っていたというように、ムサシはニヤリと嗤った。
『だよなぁ。そこで俺に一つ考えがあるんだが――』
「……なんだろう、ボク、既に嫌な予感がするんだが」
『まあまあ、聞くだけならタダだぞ』
察しているリズを詐欺師よろしく宥めながら、ムサシは先ほど思いついたアイデアを二人へ伝える。
「――やっぱり碌な考えじゃないじゃないか!?」
先に反応したのはリズだった。
「む、ムサシお前……ヴァナルガンドの時もそうだったけど、どういう生き方してたらそんなえげつないことを思いつくんだ……」
完全にドン引きしたといわんばかりの――いや、実際物理的にも引き気味な従者。
そんなこと言われてもムサシだって思いついているというより、偉大なる先人(変態)達の知識を引用しているだけなのだが。
『えげつないは言いすぎだろ。緊急時なんだからあるものを使わなきゃ仕方ない』
「そりゃそうかも知れないけど! 姫様にそんなことする訳にも、させられる訳にもいかないだろ⁉」
引きながら前のめりに噛みつくという器用なことをしている従者は、そこで主へ「姫様だって嫌でしょう?」というように、援護を求めて視線を送る。
だが。
「……いえ、確かにムサシ様の言う通り今は緊急事です」
「ひ、姫様っ⁈」
驚く従者に対して、ムサシはシアの答えを想定通りだとみていた。
(くっくっく、甘いなリズ。シアは多分結構現実見てるタイプだから、否定はしないと思ってたよ)
「ムサシ様、本当に飲んでも問題ないようにできるのですよね?」
『ああ。スキルの説明が間違ってなければ、だけどな』
「分かりました、ではお願いします」
止める間もなく、あっという間に話が進んでいくのに、リズが遅れて追いついた。
「ちょ、ちょっと待った! 他に何か方法が……」
『や、そりゃちょっと遅かったな。もうスキル取ってしまったから、今から別の方法なんて言われても経験値が無駄になっちゃうなー、折角シア様が分けてくれた経験値なのになー……』
「ぐっ……ぐぐぐぐぐっ……!!」
遠回しな『シアの苦労を無駄にするのか?』という脅しに、従者は悔しそうに握りしめた両手を戦慄かせ、
「そ、それならせめて私が先に毒見いたします!」
「リズ、毒見などしなくてもムサシ様なら大丈夫だと思いますけど……」
「いえ、例えそうだとしても、水袋を駄目にしたのはボクです。せめてその程度の償いはさせてください」
「……分かりました、それならお願いしましょうか」
それで少しでも罪悪感が紛れるのなら、と従者の提案を受け入れるシア。
リズはそんな主に対して、安堵したような表情を浮かべて見せながら、密かにムサシへと毒づいた。
(……おいムサシ。確かにヴァナルガンド戦で命を救ってくれたことは感謝してる)
『お、なんだ? 早くもデレ期か?』
(けど! シアへの無茶なお願いとか、ボクはお前のことを完全に信用してる訳じゃない! 変なことを少しでもしたら絶対許さないからな!)
リズの一言一句を聞いたムサシはニチャァ……とした笑みでも浮かべてそうな口調で。
『ああ、勿論だろ。水も命に関わる大事な要素だからな。”俺は”絶対に変なことはしないから安心しろ』
一方、そんな風に二人が気付かない所で牽制し合っていると知らないシアは、早くも準備を終えていた。
「あの、ムサシ様……飲ませる時はこれでいいのでしょうか?」
そう訊くシアは、両手で大きくスカートをたくし上げ、パンツをずり降ろし、股を晒して腰を軽く突きだした――所謂男の立ちションポーズで首を傾げる。
絶対に美少女が、ましてや姫様がしてはいけない格好。
そのことはシアも分かっているのか若干頬が赤く、そんな主の姿をまじまじと見つめる従者の頬はもっと赤かった。
「ひ、姫様……座った方がよろしいのではないですか……?」
「それも考えましたけど、私が座るとリズが飲みづらいのではないかと思って」
『シアの言う通りだな。まあ止めはしないが、もしそうするとリズが仰向けになってその顔の上にシアがしゃがむ形に――』
「い、いえ!! そのままで大丈夫です姫様!! ……そ、それでは失礼します」
顔を赤くしたまま、リズは下半身を晒した主の前に立ち、おずおずと座り込む。丁度、口のあたりに肉棒がくるような高さで。
――そう、ムサシが提案したのはお互いのおしっこを浄化して飲むという、飲尿プレイもどきだった。