「な、何が不満なんだい!? オマエは義理の兄の立場になりたいんだろう!?」
よどみは僕の言葉が理解できないらしい。
なんとも呆れる。
全く、何にも分かってない。
そうじゃないんだよ……!
「不満に決まってるだろ。あのな、義兄が今の地位を築くのにどれだけ努力を重ねてると思ってるんだ?」
僕は本当にイライラしていた。
たたりめ堂のよどみさんともあろうものが、こんなに幼稚だなんて。
ちょっと酷いかもしれないけど、頭の上で指をくるくる回した。
……よどみはそれがかなりムカついたようだ。
そのせいか
「努力の量を考慮したら、罪深すぎて奪えないとでも言うつもりかい!? 何を今更……」
声を荒げてそんなことを。
ホラみろ。全く分かってない。
「あのねぇ、そうじゃないんだよ」
ため息が止まらない。
だから、ハッキリ言ってやる。
「努力の量が凄まじい。それはつまり、地位の維持にも同じくらい努力が要るってことなんだよ! この声だけBBAのクソ餓鬼!」
……よどみの顔色が変わる。
とても悔しそうに引き歪む。
……そこにやっと気が付いて、ぐうの音も出なかったみたいだ。
そう。
高い給料を取ってる男は、それ相応の努力を日々重ねてるんだ。
僕は義兄に成り代わって、その地位と日常を体験させてもらって、それを思い知った。
そして同時に
僕には義兄の地位を得るための努力という実力が残念ながら備わっていない。
そこも理解したんだよ!
だからまあ、断言するね。
その飴玉を使って、僕が義兄の地位と才能を奪い取っても、維持できずにいつか必ず転落する。
そうしたら、秋穂が困る!
僕の子供も困る!
それぐらい、分かれや!
だから呆れているんだ。
……よどみはギリギリと歯噛みしてる。
悔しいのか。
でも、事実だからな! 僕の考えていることに間違いない!
だから
「おい、名誉挽回のチャンスをあげるよ……僕に別の駄菓子を寄越してくれよ。後の勉強のためにさ」
そう、提案したんだ。
よどみは僕の言葉に、明らかに興味を示した。
自分の駄菓子のチョイスを完全否定した相手が、何を要求してくるのか。
そこを知りたいんだな。
……なかなか向上心が高いよな。
そこにちょっとだけ、僕はよどみに敬意を持ってしまう。
よどみは……
「……面白いじゃないか。何が欲しいんだい? 言ってみるがいいさね……」
ニヤア、と悪意塗れの笑顔で、そう返して来る。
僕は……
「つまみぐいサブレ」
そう、一言。
つまみぐいサブレ……
それは、食べると抓った相手の能力を1つ、奪い取ることが可能になるサブレ。
奪い取れる人数に、制限は無い……
原作アニメだと、後々まで問題を起こしてる駄菓子だけど……?