ここが銭天堂だとしたら。
僕はぜひ買いたい駄菓子があったんだ。
それは……
食べるともてもてになれる餅……もてもてもち。
ではなく。
食べるとおおらかになる……おお落花生。
でもなく。
他人の物をとりあげる……とりあげもち。
これでもなく。
食べると日がわりで役割が入れかわる駄菓子。
かりんとうばん、だ。
これが欲しい。
アニメで見たときに考えていたんだ。
アニメでは、かりんとうばんの力で、その話の主人公は日替わりで家族の誰かの役回りを務めさせられる状態になっていた。
その中で。
日替わりで父親の務め、母親の務めを強制的に果たされなければならない状態になったんだ。
そこで思った。
父親のときは会社で働く。
母親のときは家事をする。
……夫婦生活はどうなんだろうか?
この主人公、父親になったときは母親と。
母親になったときは父親とセックスしなきゃならないんじゃないのか?
そう、ふと思った。
……やばいな。主人公。
その想像をしたとき。
そう思ったんだけど。
僕が使った場合……
義兄さんの役割と入れ替わったとき、僕の望みが叶うんじゃ無いのか?
妄想の中では無く、本物の姉さんとセックスできるんじゃ無いのか?
しかも夫として。
そんな妄想を……したんだ。
だから欲しい。
是非欲しい。
姉さんの役割になったとき、義兄さんに迫られるかもしれないが、姉さんと堂々と愛し合えるなら耐えられる……いや、耐えて見せる……!
だから僕は紅子に
かりんとうばんの袋を持って行って
「これください」
購入の意志を示して、お会計を頼んだんだ。
紅子は
「5円でございます」
……5円か。
安いな……!
まあ、原作からしてそうなんだけども。
財布を出し、僕は5円玉を差し出した。
紅子は満足そうにその5円玉を受け取り、見つめて。
「確かにお宝をいただきました……本日のお宝……平成10年の5円玉でございます」
そう呟いた紅子の声は本当に嬉しそうだった。
こうして。
僕はかりんとうばんを購入して家に帰って来た。
そしてその夜。
つまり今、僕は自分の部屋の勉強机に座り。
かりんとうばんの袋を前にして最後の覚悟を固めていた。
注意書きは5回は読んだ。
それはこういうものだった。
食べたら家族を1巡するまではキャンセルできない。
1巡するたびに、効果の継続を行うか意志を示す機会が巡って来る。
継続を望む場合は新しく食べ直す必要は無い。
役割交換については、かりんとうばんを食べていない家族はそれを異常と思わない。
役割交換が発生すると、役割を最低限果たすための知識と技術が一時的に身につく。
……まとめるとこんな感じだ。
銭天堂で破滅するタイプの主人公は、こういう説明をしっかり読まないから酷い目に遭うんだよ。
僕はそうはならない。
全て分かったうえで……
僕はかりんとうばんの袋を開封し。
1つ取り出し、口に入れてかみ砕く。
……甘い味だけど……
どこか、苦みがあるような気がする甘さだった。
かりんとうばんの味は……
かりんとうばんの取り扱い説明書に色々追加しました。
これはアニメの主人公の傷が少しは浅くなることを思って追加したところが