「守、起きろ」
朝。
寝ていた僕を揺り動かして起こす人。
あれ……?
「……姉さん?」
何で?
姉が僕の部屋に来て、ベッドで寝ている僕を揺り動かしている。
青いパジャマ姿の姉が。
姉の豊かな胸が布地を押し上げている様子や、丸いお尻のラインが見て取れて。
目の毒だ。
時計を見るとまだ5時。
僕が起きるのは6時で、起きるのはまだ先のはず……
姉は言った。
「朝ご飯の準備だ。会社に間に合わないぞ」
あっ!
そこで僕は思い出した。
そうだった。
昨日の晩、かりんとうばんを食べたんだ!
それを思い出して……
興奮してきた。
本当に効果があるのか……!
これからを思い、妄想が脳内を駆け巡る。
「早く起きてくれ。朝は時間が無い」
「分かった。姉さん」
僕は一気に覚醒し、身を起こした。
姉夫婦は5時に起き、2人で協力して朝ご飯の準備をする。
朝から味噌汁と焼き魚、サラダの準備を2人でするんだ。
そうすることで、1人でやるよりずっと早く片付けてしまう。
3人分、それをやる。
キッチリ、本来なら僕の分もしてくれるわけだ。
そして早々、2人で食事を終えて、片付ける。
会話は無い。
そして6時になったら僕を起こして身支度。
今は僕の役割は義兄さんが果たすので、姉は義兄を起こしに行った。
……ここまで。
技能的に「できない」と思ったことは無い。
協力して料理するところなんて、色々知識や技能がいるはずなのに、息をするように出来てしまった。
役割をこなすために要求されるものは自然に備わる。
あの説明書きは真実だった……!
姉は姉の会社。
僕は義兄の会社。
今、1人で食事をしている義兄を残し、僕らは玄関に居た。
僕は会社に行っても問題ない私服で。
姉は女性用のスーツ姿。
姉夫婦は共働きなので、そうなる。
義兄は企業の研究員だから私服で出社するのだけど、姉はそうじゃないからね……。
「じゃあ今日も頑張ろうな。守」
姉は僕にそう言って、玄関で身を屈めて革靴を履いていた。
……ここまでで思ったのは、姉の僕に対する態度が、義兄のものでは無い事で。
そこだけがまだ、確証を持ててなかった。
簡単に言うと、僕の肩書が高校生から企業研究員に切り替わっただけで、姉の態度は弟に対するものであるのは変わらないってことなんだ。
だから姉は僕のことを守と呼び、康紀さんとは言わないんだよ。
そこで完全な確証が持てなくて……
僕はここまで、姉の身体を触ったり、キスをしたりはしていなかった。
そこまで役割が変更されて無いんじゃないか? ってさ。
でも……
「守」
そのとき。
僕は現実を疑った。
靴を履いて立ち上がった姉が、僕にキスしてくれたんだ。
頬じゃない。
唇に。
触れるだけの、挨拶のキスだったが。
……言ってらっしゃいの挨拶のキス……
「じゃあ、行こうか」
ニコリと微笑み、姉。
僕の心臓は高鳴った。
マジなんだ……
今、姉さんは僕の妻なんだ……!
妻に対して夫の権利を行使できる確証を得た主人公。